都市再生機構
都市再生機構(としさいせいきこう、Urban Renaissance Agency)とは、大都市や地方中心都市における市街地の整備改善や賃貸住宅の供給支援、UR賃貸住宅(旧公団住宅)の管理を主な目的とした独立行政法人である。略称は都市機構またはUR、愛称はUR都市機構。2004年7月1日、都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門が統合され、設立された。運営形態、業務範囲などは独立行政法人都市再生機構法によって定められている。主な収益はUR賃貸住宅の家賃収入や市街地整備による土地の売却益である。本社は横浜市中区にある。
種類 | 独立行政法人 |
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略称 | 都市機構またはUR |
本社所在地 |
〒231-8315 神奈川県横浜市中区本町6-50-1 |
設立 | 2004年(平成16年)7月1日 |
業種 | 都市再生 |
法人番号 | 1020005005090 |
事業内容 |
都市再生のプロデュース 震災等の復興支援事業 都市部の防災機能の強化 |
代表者 | 理事長 小野 邦久 |
資本金 | 8,843億円 |
従業員数 | 4,308人 |
外部リンク | www.ur-net.go.jp/ |
歴史
1955年に日本住宅公団としてスタートした。当時は高度経済成長期で、都市への人口流入が進み、住宅が不足していた。そこで、都市近郊で中堅所得者に良質な住宅を供給する目的で公団が設立され、1956年に日本初の公団住宅となる金岡団地(堺市、賃貸)と稲毛団地(千葉市、分譲)が完成。1960年代の高度成長期には東京や大阪近郊でほぼ画一化された多数の団地(多摩ニュータウン、千里ニュータウン、泉北ニュータウンなどの分譲及び賃貸住宅)が建設された。1970年代には都市再開発事業も手がけるようになった。
1981年、宅地開発公団と統合して住宅・都市整備公団(住都公団)に改組した。しかし、経済が安定期に入ったことで住宅の需要が次第に少なくなってきた。そのため、建設する住宅の量から質への転換を図るとともに、都市公園の整備などにも力を入れるようになった。また、1995年の阪神・淡路大震災では約2万戸の復興住宅を建設するなど、被災地の復興に大きな役割を果たした。しかし、市場原理を無視して分譲住宅の建設を続けたため、1996年以降、大量の売れ残りを抱えていることがマスコミで報道され、分譲住宅の建設は民間に任せるべきとの世論が高まってきた。そのため、1999年、住宅供給より都市整備に重点を置く都市基盤整備公団(都市公団)に改組し、分譲住宅の供給は停止した。
2003年6月13日、独立行政法人都市再生機構法が成立し、2004年7月1日、都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門が統合され、都市再生機構が設立された。初代理事長には都市基盤整備公団総裁の伴襄が就任した。これにより、賃貸住宅の名称は公団住宅からUR賃貸住宅に変わった。鉄道事業(公団線小室駅~印旛日本医大駅)はすべて京成電鉄が設立した千葉ニュータウン鉄道に移管した。
略年表
- 旧都市基盤整備公団
- 旧地域振興整備公団
組織
旧都市基盤整備公団の組織が元になっている。総合開発事務所と都市開発事務所は旧地域振興整備公団の地方都市開発整備部門からの引き継ぎである。
本社
- 主務大臣 国土交通大臣
役員
幹部
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支社など
- 募集販売本部
- 都市住宅技術研究所
- 総合開発事務所
- 都市開発事務所
- 東日本支社(東京都(特別区内においては事業の一部に限る)、北海道、青森県、秋田県、岩手県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、群馬県、栃木県、山梨県、長野県)
- 東京都心支社(東京都特別区内)
- 千葉地域支社
- 神奈川地域支社
- 埼玉地域支社
- 茨城地域支社
- 中部支社(富山県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、名張市を除く三重県)
- 西日本支社(福井県、滋賀県、三重県名張市、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、徳島県、高知県)
- 九州支社(山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
関連会社・団体
開発事業
関東
- 多摩ニュータウン
- 横浜みなとみらい21 - 港北ニュータウン
- 筑波研究学園都市
- 北総鉄道
- 千葉ニュータウン鉄道
- 晴海アイランドトリトンスクエア
- ベルコリーヌ南大沢
- むさし緑園都市
- 久喜パークタウン
- 東雲キャナルコート
- 中野坂上サンブライトツインビル
- 品川シーサイドビュータワー
- 光が丘パークタウン
- 厚木ニューシティ森の里
- 幕張新都心/幕張ベイタウン
- 越谷レイクタウン
- 大川端リバーシティ21
- 恵比寿ガーデンプレイス
- ファーレ立川
- 松原団地
- 成田 (杉並区) - 阿佐ヶ谷住宅
- 竜ヶ崎ニュータウン
中部
近畿
四国
九州
UR賃貸住宅
概要
都市再生機構は新規の賃貸住宅の建設からは撤退し、開発した土地へ民間事業者による賃貸住宅の建設を誘導する。賃貸住宅の建設を行う民間事業者が現れなかった場合のみ、都市再生機構自らが賃貸住宅を建設する。老朽化した建物を建替える場合、家賃が高額化することに居住者の反対が予想されることなどから、積極的に建替えを進めてゆくことが困難な状況となっているケースがある。リニューアルが困難で空き家が増加しているところもある。家賃は近傍の民間賃貸住宅の家賃を基に定められている。民間賃貸住宅は設備や仕様を豪華にして高額な家賃を取るケースが多いが、UR賃貸住宅は質素である。同一建物内でUR賃貸住宅と民間賃貸住宅が共存することとなった汐留H街区超高層棟(2004年竣工)の例では、次に示すようにUR賃貸住宅の最も高い部屋と比較しても民間賃貸住宅は35万~180万円くらい高くなっている。
- UR賃貸住宅「アクティ汐留」 - 3~44階、月額家賃:149,600~349,800円。
- 民間賃貸住宅「ラ・トゥール汐留」 - 45~56階、月額家賃:690,000~2,168,000円
[1]。
入居条件
年収または貯蓄が一定以上ないと原則として入居できない。賃貸借契約の締結の際、保証人を必要としない。民間事業者や地方公共団体が供給する賃貸住宅との最大の相違点である。この制度は国民生活の安定に大きく貢献している。仲介手数料が不要である(民間の賃貸では不動産屋を通して借りる場合、仲介手数料を要求されることがある)。敷金は必要だが、礼金が不要である(民間の賃貸では、返還されない礼金を要求される制度が残っている場合が多い)。家賃を前払いで1~10年分まとめて支払うことができ、期間に応じて割引がある。契約の更新に伴う更新料などの諸費用がかからない(民間の賃貸では、数年ごとに更新料がかかる場合が多い)。
デザイン・間取り
DKやシステムキッチンの普及、全戸南向きの配置など、高度成長期の庶民にとって憧れの生活空間を提供し、民間の住宅建設のモデルになった。一方、同じデザインの棟が連続して建ち並ぶといった画一的な住宅建設が個性の無い街並みを生み出し、日本人の住環境を型にはめてしまった側面もある。その反省から最近では住戸タイプを多様化したり、部屋を広くしたり、凝ったデザインなど様々な工夫が行われるようになった。アネックスルーム(離れ)やフリールームを持つ物件もある。
設備・サービス
新築ではエアコンやコンロが付いていないことがある一方、衛星放送、ケーブルテレビ、ブロードバンドインターネット接続などを利用するためのコンセントは必ず付いている。初期に建設された物件にはエレベータ設備がないものが多い。網戸用のレールがないものも多い。団地内に管理事務所が設けられているところが多い。
居住者
初期に建設された住宅の住民はインテリ層が多く、団地族と呼ばれた。一部の団地のみマルチハビテーション制度を利用してセカンドハウスとして借りたり、友人同士でハウスシェアリング制度を利用して借りることができる。単身者でも入居できる物件がある。外国人も比較的借りやすいため、外国人のコミュニティができつつある団地もある。川口芝園団地のように隣接した小学校の児童の多くが外国人児童(2003年の入学児童の4割が中国籍)といったところもある[2]。住民の高齢化などの課題を抱えているところもある。