下水道

雨水・汚水を、地下水路などで集めた後に公共用水域へ排出するための施設・設備の集合体

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下水道(げすいどう)とは、便・し尿などの生活排水・産業排水・水などを地下水路で集めて浄化などの処理をして公共用水域へ排水するための施設の集合体である。

歴史

紀元前5000年頃、モヘンジョ・ダロにおいてレンガ造の排水溝を使用し生活排水を排除したのが下水道の起源とされている。イギリス産業革命以後、人口の都市集中に伴い生活排水の排除が問題となり、欧米各国で下水道が整備されたが汚水の浄化処理はできず、都市圏から公共用水域等に汚水を排除する役割のみでしかなかった。活性汚泥法を用いて汚水を浄化処理し、浄化された処理水を公共用水域に排除できるようになったのは1914年になってからの事である。

排除方式

合流式

汚水と雨水を同じ水路で集めまとめて浄化処理して放流するものである。

  • 施工が容易で工費が安い。
  • 大雨時に未処理の汚水が排水されやすく汚染の原因となる。

分流式

汚水と雨水とを別の水路で集め、雨水はそのまま、汚水は浄化処理して放流するものである。

  • 工費が高い。
  • 大雨時も確実な汚水処理を行いやすい。
  • 汚水配管が細いため清掃などが行いにくい。


管渠

自然流下方式と真空管方式があるが、いずれも基本的に暗渠である。

自然流下方式

重力を利用して汚水を流下させる方式。管渠関連の経費は安くなるが、地形条件に左右され易い。

真空管方式

真空圧送で汚水を移送する方式。地形条件に左右される事は少ないが、管渠関連経費が自然流下式に比べて高い。

法律上の分類

下水道法による下水道

下水道法の規定による下水道施設

  • 公共下水道: 主として市街地における汚水を排除し処理するために地方公共団体が管理する下水道で、処理施設を有するもの。2以上の地方公共団体が受益し、かつ関係地方公共団体のみで設置する事が困難と認められる場合には、都道府県が受益地方公共団体に代わり公共下水道事業を行う事ができる。
  • 特定公共下水道: 公共下水道の内、特定の事業者の事業活動に主として利用され、当該下水道の計画汚水量の内、業者の事業活動に起因又は付随する計画汚水量がおおむね2/3以上を占めるもの。
  • 特定環境保全公共下水道: 公共下水道のうち、市街化区域(市街化区域が設定されていない都市計画区域にあっては、既成市街地及びその周辺の地域)以外の区域において設置されるもので自然公園区域内の水質を保全するために実施される自然保護下水道、生活環境改善と水質の保全を図る必要がある農山村漁村等の区域において実施される農山漁村下水道、処理対象人口が1000人未満で水質保全上特に必要な地区において実施される簡易な下水道がある。
  • 流域下水道: 同じ河川の流域の二つ以上の市町村の汚水を集めて処理するもので、都道府県や事務組合が管理するもの。
  • 都市下水路: 都市部の洪水防止のための雨水排水路として設けられるもので、原則として明渠であり処理施設は有しない。

下水道類似施設

下水道法の規定以外の下水道施設

  • 集落排水: 集落の水質改善のために設けられるもの。(農業漁業林業の区別があり、市町村や住民が設置。終末処理場は集合処理合併浄化槽であるため、浄化槽法に基づき設置される。合併浄化槽の特性上、生活排水以外は処理できない。)

処理方式

浮遊生物法

好気性微生物を浮遊させて汚水処理する方式で、活性汚泥法と酸化池に分類される。 このうち、活性汚泥法には次の方法がある。

  • 標準活性汚泥法
  • 酸素活性汚泥法
  • 長時間エアレーション法
  • オキシデーションディッチ法
  • 回分式活性汚泥法

生物膜法

好気性微生物を砕石等に付着させて汚水処理する方式。

最終処分

処理水

浄化処理された処理水は、次亜塩素酸カルシウム又は液化塩素により殺菌処理され、公共用水域に放流されるか工業用水等の雑用水として再利用される。

発生汚泥

浄化処理の過程で発生した汚泥は次の方法で処理されている。

・沈殿する汚泥と浮上する汚泥に分けて沈殿する汚泥を1次消化タンクに投入。

・加温しながら1次タンクに送り込み酸発酵させ、その後2次タンクでメタン発酵させる。(最近はこの2つの工程を一つのタンクで行うことが多い)30日ほど滞留させ汚泥からメタンガスを発生後、次の処理工程(汚泥の脱水又は焼却、たい肥化等)に移行する。

・メタンガスを発生した汚泥に凝集剤という汚泥に粘度を付ける薬品を添加し脱水機で汚泥を水分と固形物に分離させる。

・発生したメタンガスは発電や消化槽加温等有効利用させる。

・分離された固形物は焼却されて肥料や埋め立てに使用されたり、焼却されずに埋め立てに使用される。また、京都府南部の一部の地域では色々型に形成してレンガの様に焼き、道路工事の際に歩道の部分に敷き詰め再利用されている。

汚泥の減量化

活性汚泥法を用いる施設においては、生物槽に破砕した汚泥を戻して減量化するシステムが出てきている。  これは、汚泥の発生そのものを減らそうとする試みである。

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外部リンク