2000年代のJRダイヤ改正
2001年以降のJRダイヤ改正(-かいせい)では、2001年(平成13年)から現在に至るまで、JR各社線で実施された各ダイヤ改正について記す。
以前
2001年(平成13年)
3月3日
西日本で日本海縦貫線における運転系統の整理から、1961年(昭和36年)10月の「サンロクトオ」改正以来日本最長距離を走る昼行特急列車として長く活躍した「白鳥」が廃止された。また683系の追加増備でサンダーバードが増発され、運転区間が大阪~和倉温泉、富山(一部列車のみ魚津)となり雷鳥の新潟発着列車は季節営業(愛称は「ふるさと雷鳥」)のみとなった。系統分割された運転区間(富山~新潟)では『北越』を増発して本数を補った。京阪神地区ではUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の開園に先立ち大阪環状線から桜島線(JRゆめ咲線)への直通運転を大増発した。また関空特急「はるか」も一部列車を除き西九条駅に停車するようになった。
四国ではホームライナー的性格を持った特急列車の「ミッドナイトEXP高松」・「ミッドナイトEXP松山」が新設された。
九州では「ソニック」向け885系電車を増備し、『にちりん』が小倉駅発着となった。それに伴い博多駅から485系が撤退した。また福岡地区のホームライナーの特急化が実施された。
7月1日
北海道で昼行便のキハ183系気動車による「おおぞら」を全てキハ283系気動車による「スーパーおおぞら」に置き換え、1961年(昭和36年)以来北海道最古参の特急列車であった「おおぞら」は消滅した。また、夜行便の「おおぞら」は愛称が「まりも」に変更された。
7月7日
西日本の山陰本線でダイヤ改正を実施、高速化で米子~益田間の快速列車にキハ126系が投入された。また鳥取~益田間の特急「くにびき」がキハ187系特急型気動車に置き換えられ「スーパーまつかぜ」に変更された。同時に特急「いそかぜ」の運転区間が益田~小倉間に区間短縮された。
10月1日
東海・西日本でダイヤ改正。新幹線関係では、「のぞみ」が東海道区間で約30分おきの運転及び新横浜駅・新神戸駅への増停車、「ひかり」の速達化が実施された。在来線では名古屋鉄道直通の特急「北アルプス」が廃止。
10月6日
九州で福北ゆたか線(筑豊本線、篠栗線)電化に伴う改正。特急「かいおう」が運転開始される。また筑豊地区での運転系統の再編が行われた。、また817系電車も運転を開始した。一方で同社の50系客車による定期列車の運行が廃止。
12月1日
東日本でダイヤ改正。在来線特急関係では、中央本線で特急「あずさ」・「かいじ」にE257系電車を導入開始した。その一方急行「アルプス」の上りが臨時列車化されている。
首都圏輸送関係では、山手貨物線・品鶴線を経由し新宿駅を挟んで、東海道本線・横須賀線と宇都宮線・高崎線間を直通運転する湘南新宿ラインという系統が新設された。但し、池袋駅・新宿駅の改良工事が完成していなかったために、池袋・新宿始終着の列車はこの段階では残存した。ホームライナーの見直しも行われ、中央快速線では、従来のホームライナーを「中央ライナー」・「青梅ライナー」に名称変更した上で、拡充した。また乗車整理料金を「ホームライナー料金」として近距離特急料金並に値上げすることになった。
2002年(平成14年)
3月16日
北海道で改正。旭川駅方面から新千歳空港駅方面へ直通する特急をスーパーホワイトアローに変更。
3月23日
西日本方面で改正。西日本では姫新線や因美線で試験的に行われていた月1回の保守点検の運休を地方交通線を中心に大幅に拡大。またワンマン運転の拡大、無人駅化や列車本数減(主に早朝・深夜・昼間の列車の削減)など合理化を図った。なおこのダイヤ改正がJR西日本では初の減便改正となった。その後一部の路線では月1回の保守点検の運休の実施要項を見直し、頻度を減少させた路線も存在する。
芸備線の急行の愛称が「みよし」に統一、1往復は三次~備後落合間で普通列車として存続することになり、備後落合駅発着の優等列車は消滅した。。京阪神地区では学研都市線の京田辺駅の改良工事が完成し、分割併合の実施駅が松井山手駅から京田辺駅に変更された。また四条畷駅以東各駅に停車する区間快速が増発された。
四国では高松地区で快速「サンポート」を新設し、高知地区でごめん・なはり線開業を見据えたダイヤとなり、両地区で発車ダイヤのパターン化が実施された。
10月5日
西日本で改正、特に大幅な時刻変更はなかったが、芸備線では一部の列車が各駅停車から快速列車に変更された。広島都市圏の路線群の名称を『広島シティネットワーク』に決定。呼称使用開始。
12月1日
東北新幹線の盛岡駅~八戸駅間が延伸開業し、同区間を走る列車用に、新たに「はやて」の愛称が登場した。また、並行する区間の東北本線がIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道に転換された。これによって関連する優等列車系統も大幅に整理され、上野駅~青森駅間の寝台特急「はくつる」、盛岡駅~青森駅・函館駅を結んでいた新幹線連絡特急「はつかり」・「スーパーはつかり」、青森駅~函館駅間を走る快速列車「海峡」が廃止。代わって八戸駅で新幹線と接続する特急列車として、青森県内相互間の連絡を図る「つがる」、北海道連絡の列車として「スーパー白鳥」・「白鳥」を新設。また、上越新幹線の「あさひ」が「とき」に改称された。また同社においてエル特急や新特急の呼称は使われなくなった。
首都圏ではりんかい線が全通し、埼京線電車と直通運転開始。また京葉線で開業以来初の白紙ダイヤ改正を行い、快速「マリンドリーム」・「むさしのドリーム」を廃止。また、南船橋駅、千葉みなと駅に快速が終日停車するようになった。
2003年(平成15年)
3月15日
北陸以西でダイヤ改正。西日本では、北陸地区の特急「しらさぎ」に683系電車の投入が開始された。また、小浜線が電化、125系電車がデビューした。一方、小野田線で走っていたクモハ42001が運用離脱する。また、奈良線の玉水駅が快速停車駅に格上げされた。
九州では、大村線を走っていた特急「シーボルト」が廃止された。鹿児島本線の全ての快速が大野城駅に停車するようになり、若松線二島~折尾間には本城駅が開業した。
10月1日
東海道新幹線に品川駅が開業した事に伴って白紙ダイヤ改正を実施(後述)。これにより同新幹線の輸送体系は「ひかり」主体から「のぞみ」主体に改められた。JR東海の在来線では運転見直しなどかなり大規模なダイヤ改正が行われている。
西日本では、まず北陸地域の特急に変動があり、米原発着の「加越」が「しらさぎ」に統合されている。山陰本線京都口の特急が一部見直され、綾部駅で分割併合を行う列車が新設された。岡山地区では岡山~鳥取間を智頭急行線経由で結ぶ特急「いなば」がキハ187系に置き換えられ「スーパーいなば」に愛称を改称、スピードアップを図った。また瀬戸大橋線の快速「マリンライナー」も新型車両に置き換えられ、所要時間を短縮した。アーバンネットワークの一部路線では、東海道新幹線「のぞみ」の始発列車、最終列車に接続を受ける列車が増発されている。 芸備線では広島~三次間で列車の増発が行われ、快速列車のみよしライナーが運行開始された。
東海道・山陽新幹線
2003年10月1日、東海道新幹線開業から丸39年後のこの日、東海道・山陽新幹線で大規模なダイヤ改正が実施された。JR東海副社長(当時)の松本正之はこのダイヤ改正を「第二の開業」と称した。
- 主な変更点
- 東海道新幹線に品川駅が開業し、1時間あたり「のぞみ」最大5本・「ひかり」1本・「こだま」最大3本が停車。
- 「のぞみ」を最大3本/h→最大7本/hに大増発(これに伴い「ひかり」は6本/h→2本/hに減少)
- 東海道新幹線において「ひかり」「こだま」を含む全列車で最高速度270km/h運転を開始
- 「ひかり」の停車本数が増加
- 「こだま」増発
- 早朝・深夜の運転体系を見直し
- 小郡駅が新山口駅に名称変更
- 営業面
- 「のぞみ」指定席特急料金の値下げ、(東京~新大阪・新大阪~博多で670円、東京~博多で1240円値下げ)
- 「のぞみ」の1~3号車に普通車自由席を導入(自由席特急料金は「ひかり」「こだま」と同額)
- エクスプレス予約によるe特急券を値下げ(東京~新大阪間13,200円 運賃+指定席料金)
- 新幹線エコノミーきっぷ等の廃止、新幹線回数券等の新設(正確には同年7月から)
- 「JR東海 50+」の発足
- ダイヤ改正に伴うキャンペーン
- JR東海は、イメージキャラクターにアイドルグループTOKIOを起用し、タイアップ曲「AMBITIOUS JAPAN!」と共に様々なキャンペーンを行った。
- 同社が保有する700系C編成の先頭車側面に「AMBITIOUS JAPAN!」とシールでラッピングした(2005年9月25日まで)。
- 同社が保有する300系・700系の車内チャイムにオルゴール調にアレンジした「AMBITIOUS JAPAN!」を使用。
- 2007年7月に登場した同社保有のN700系もこれを使用
- ダイヤ改正と同日の10月1日にタイアップ曲「AMBITIOUS JAPAN!」をリリース(オリコンチャート初登場1位)
- 「のぞみは、かなう。」のキャッチコピーとCMソングとして「AMBITIOUS JAPAN!」を使用しテレビCMを放映。
- のちに「のぞみはいつも、そこにある。」のキャッチコピーも使用された。
- JR西日本も鬼束ちひろの「いい日旅立ち・西へ」を中心にキャンペーンを行った。
- JR西日本保有の新幹線車両の車内チャイムに「いい日旅立ち・西へ」を使用
- 2007年7月に登場した同社保有のN700系もこれを使用
- 「DISCOVER WEST」キャンペーンを開始
- JR西日本保有の新幹線車両の車内チャイムに「いい日旅立ち・西へ」を使用
12月1日
JR西日本アーバンネットワークでダイヤ改正。JR神戸線では新快速が芦屋駅に終日停車するようになった他、朝ラッシュ時に神戸発上り快速が途中新快速に抜かれずに大阪に先着するようになった。JR宝塚線では中山寺駅に快速列車が停車するようになった。
また木次線では第2木曜運休の臨時列車の増発、出雲横田~備後落合間の減便が行われた。
2004年(平成16年)
3月13日
九州新幹線の新八代駅~鹿児島中央駅が開業した事に伴い、九州を中心に大規模な改正が行われた。並行在来線となった鹿児島本線の八代駅~川内駅間は肥薩おれんじ鉄道に転換され、同区間を走る優等列車は消滅した。新幹線の愛称にはそれまで特急列車で使われていた「つばめ」が引き継がれる形で採用され、同列車に新八代駅で接続する連絡特急列車は「リレーつばめ」とされた。そして関連する豊肥本線では特急「あそ」は「九州横断特急」に発展的解消し、肥薩線では特急「くまがわ」や観光列車として特急「はやとの風」などが新設された。また同時に急行「くまがわ」が廃止され、九州でも急行列車が姿を消した。さらに寝台特急「なは」も新大阪~熊本間に運転区間が短縮された。
このほか、上越新幹線では本庄早稲田駅が開業した。東北新幹線仙台以北の定期列車は全てE2系とE3系で統一され、到達時間短縮につながった。中央線では特急「スーパーあずさ」の増発(「あずさ」1往復を「スーパーあずさ」に変更)、「かいじ」の竜王駅発着列車の増発が行われた。
9月1日
西日本の三江線で落石が相次いだため、速度を落とすダイヤ改正を実施。
10月16日
東日本を中心にダイヤ改正。池袋駅・新宿駅構内の改良工事の完成で湘南新宿ラインの大増発(日38往復→64往復)と同線及び宇都宮線・高崎線普通列車へのグリーン車組み込み開始。グリーン車Suicaシステムが導入された。特別快速が新設され、湘南新宿ラインは全列車E231系電車で統一された。埼京線では夜間を中心にりんかい線の直通を増発し、りんかい線内の折り返し列車も含めてすべて10連化された。また東海道線ではE231系電車の大量導入により、熱海駅での系統分割が進み、沼津・静岡方面への直通列車が大幅に減少した。また京葉線では通勤快速が新木場駅に停車するようになった。千葉地区ではE257系500番台が導入され、特急「すいごう」が「あやめ」に統合された。また、Suicaの利用範囲の拡大に伴い東京近郊区間の拡充も図られた。
西日本では、大阪駅~米子駅間(福知山線経由)の急行「だいせん」が廃止された。アーバンネットワーク路線ではJR京都線で朝を中心に新快速が増発された。またJR神戸線・JR京都線・琵琶湖線の快速列車(高槻~明石間以外は普通)から113系、117系が運用から撤退している。これに伴い早朝・深夜に存在する大垣駅発着の列車は221系または223系に置き換えられている。大和路線と阪和線では6連の列車に女性専用車両をラッシュ時に設置された。また阪和線・きのくに線、JR宝塚線、嵯峨野線では朝や夜間に通勤客向けの特急が増発された。阪和線においては大阪市内(美章園駅~杉本町駅間)の高架線の上りのみ完成している(下りは2006年5月に完成)。一方広島地区では、呉線や芸備線などで快速列車の拡充がなされている。
12月19日
西日本の加古川線が電化、所要時間の短縮や初終電の繰上げ・繰り下げを実施。
2005年(平成17年)
3月1日
東海・西日本・九州を中心に改正。2005年日本国際博覧会(愛知万博)を見据え、東海道・山陽新幹線では「のぞみ」の強化が行われた。東京駅~岡山駅間で毎時3本となり、東海道区間での毎時運転本数が最大8本となった。ほか、山陽新幹線では運行パターンが一部見直された。在来線では、特急「しなの」の一部が金山駅に停車とされたほか、万博アクセス列車として中央本線と愛知環状鉄道線とを直通する「エキスポシャトル」が運行開始。
このほか、北越急行に683系8000番台が投入され、定期「はくたか」が681・683系に統一。また京阪神地区で新快速の一部が播州赤穂駅発着となる。
一方で利用不振の列車の廃止・削減も相次いだ。寝台特急では東京駅~下関駅間の「あさかぜ」と東京駅~長崎駅間の「さくら」が廃止、「富士」は東京駅~門司駅間を「はやぶさ」との併結運転とされた。昼行特急では益田駅~小倉駅の「いそかぜ」が廃止、山陰本線益田以西を走る優等列車は消滅した。姫新線や因美線では朝晩の列車を快速列車に変更、芸備線では東城~備後落合間が1日3往復に削減された。
6月19日
西日本では、4月25日に発生した福知山線脱線事故のため不通だった宝塚駅~尼崎駅間の復旧に伴い、福知山線(JR宝塚線)を中心に若干の時刻修正を行った。なお、このときはダイヤに余裕を持たせることを目的とした小規模の改正であったため、「ダイヤ改正」ではなく「ダイヤ修正」という文言が使用されている。このあおりを受けて、北近畿タンゴ鉄道直通の「タンゴエクスプロ-ラ-」はATS機器の関係でKTR8000形(タンゴディスカバリー)の車両に置き換えられている。
7月9日
東日本では、常磐線の新たな競合路線となるつくばエクスプレスの開業を8月24日に控え、それを前に異例の常磐快速線単独での改正を行った。新型車両E531系の新規投入、及び同車両を用いて上野駅~土浦駅間を最速55分で結ぶ特別快速の新設、特急「フレッシュひたち」の増発及び停車駅の変更・統一が行われた。
10月1日
全国的なダイヤ改正を実施。利用不振が続いていた寝台特急「彗星」が廃止され、「あかつき」と「なは」が京都駅~鳥栖駅間で併結運行となった。東海では愛知万博開催期間中(厳密にはその前後を含む3月1日~9月30日)に「エキスポシャトル」が運転されていたが、万博終了に伴い名古屋駅~高蔵寺駅~岡崎駅間を直通する定期列車が運転を開始した。
芸備線では大幅なダイヤ変更が行われ、備後落合駅での広島方面の普通列車と新見方面の普通列車との接続を改善、夜間に広島から新見に移動することができるようになった。
九州では特急列車・快速列車の増発を行うと共に、「リレーつばめ」・「有明」にそれまでより一層充実させた設備を持つグリーン車の「デラックスグリーン席」を連結開始した。また関門トンネルを抜ける普通列車は下関駅で系統分割された。
12月10日
東日本でダイヤ改正を実施。東北新幹線・山形新幹線・秋田新幹線の「はやて」(→盛岡発着を2往復設定)・「こまち」・「つばさ」の定期列車を増発。あわせて、東京駅における着発時間の変更や乗継時間も短縮された。また全車禁煙の特急列車やグリーン料金の見直し、房総地区の特急「しおさい」「あやめ」に使用されていた183系が新型E257系に置き換えられた。武蔵野線では205系に統一され、103系が完全引退した。
西日本では北陸地区の特急「はくたか」が全列車681系、683系に統一された。
2006年(平成18年)
3月18日
東日本の一部を除きダイヤ改正を実施。北海道では札幌駅~稚内駅間の夜行特急「利尻」及び札幌駅~網走駅間を結ぶ特急「オホーツク」の夜行便(9・10号)が季節臨時列車化(「利尻」は「はなたび利尻」に改称の上で夏季のみ、夜行「オホーツク」は81・82号として冬季のみ運行)された。この結果北海道内完結の定期夜行列車は、札幌駅~釧路駅間の特急「まりも」のみとなった。「利尻」「オホーツク」の立て替えを含め札幌駅~旭川駅間はエル特急「スーパーホワイトアロー」・「ライラック」が増発された。
大阪駅発着の寝台特急「日本海」は、利用不振が続いていた函館駅~青森駅間の運転を廃止し、全列車青森駅発着となった。JR東日本所属の485系電車による運転で、経年劣化に伴う故障による運休が頻発していた「白鳥」の本数を削減して、789系電車の特急「スーパー白鳥」に置き換え、函館駅~八戸駅間のスーパー白鳥での運行を5.5往復(他に函館駅発青森駅行きが1便)とした。また、スーパー白鳥の基本編成を5両から6両に変更した。
この他、札幌近郊区間では快速「エアポート」が増発され、新千歳空港へのアクセス改善が図られた。宗谷本線の旭川発始発列車が幌延終着から稚内まで延長され、普通列車でも正午に稚内へ到着することが可能になり、特急列車も運行時間の変更で滞在時間が拡大した。
また、寝台特急を除く北海道内発着の全ての特急・急行列車が全面禁煙化された。
東日本では東武鉄道との直通運転列車として、特急「日光」・「きぬがわ」・「スペーシアきぬがわ」が新宿駅~東武日光駅・鬼怒川温泉駅間に新設された。また、前年7月に単独で改正を行った常磐線は、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線開業後の利用動向をにらみ、特別快速上り1本増発や松戸駅・柏駅において、特別快速と各駅停車との利用が多い方向における乗り換え時間を短縮したほか、特急フレッシュひたちの増発、さらに時刻変更による平日データイムの新松戸駅での武蔵野線との接続改善を行った。その一方、上野~取手駅間の快速電車は一部削減および一部成田線直通列車に変更され、平日朝上り2本の通勤快速は普通列車(取手~上野は快速)へ格下げが行われた。これらの見直しから、JR東日本関東エリアの103系は全車が運用離脱した。このほか、東海道本線・横須賀線でもグリーン車Suicaシステムが導入され、この影響で長年「湘南電車」の顔で親しまれていた113系電車が東日本管内の東海道線から撤退している。横浜線においては、快速が菊名駅に停車するようになった。
西日本では福知山線脱線事故以来の大規模なダイヤ改正で、山陽新幹線を含む西日本のほとんどの路線でダイヤに余裕を持たせた。新幹線の所要時間を(全体的に)延長したのは1964年の開業以来初のこととなった。またアーバンネットワークの路線では一部区間によっては列車の本数を減らすなど、大幅な減便改正となった。 東海道・山陽新幹線では神戸空港や新北九州空港の開港に対抗して東京駅~博多駅間を結ぶ「のぞみ」がほぼ全日にわたり毎時2本に増発された。また新神戸駅が全列車の停車駅になっている。また小倉~博多間に700系使用の「こだま」が登場している。一方で東海道・山陽新幹線の「RAIL GOサービス」が廃止されている。
また、広島地区の芸備線・呉線でのぞみとの接続改善のために始発列車の大幅な繰上げが行われていて、他の地区でも始発や最終の繰上げ・繰り下げが実施されている。
一方、利用不振が続いていた東京駅~出雲市駅間の寝台特急「出雲」、名古屋駅~奈良駅間の急行「かすが」が廃止された。寝台特急「出雲」が廃止された関係で、「サンライズ出雲」・「サンライズ瀬戸」の停車駅に上郡駅が代替(智頭急行経由で鳥取駅方面へ)で加わる事になり、さらにはこの列車に接続となる「スーパーいなば」が増発されている。また「スーパーやくも」も「やくも」に統一された。
なお、このダイヤ改正から西日本旅客鉄道米子支社の管内を運行する列車のうち、運休日のある列車の列車番号が5000番台に変更されている(ただし、保守工事によるものや境線は従来通り)。
この時のダイヤ改正は直通運転・接続の関係もあり東武鉄道(伊勢崎線系統)をはじめ、東京急行電鉄(田園都市線、東横線)、小田急電鉄、樽見鉄道などを除いた第三セクター鉄道などでも同時に行わるなど、かなり大規模のものになった。
6月1日
四国で改正、牟岐線で夜に特急を増発。
7月8日
東日本でダイヤ改正を実施し、上野駅を発着する宇都宮線・高崎線普通列車のグリーン車連結率が100%になった。また15両編成で運転する列車が増え、宇都宮線は自治医大駅以北のホーム延伸により、宇都宮駅まで15両編成での運転が開始された。新幹線では、上越新幹線は熊谷駅に、長野新幹線は高崎駅に停車する列車が増えた。
10月1日
東海の在来線でダイヤ改正を実施。名古屋地区の東海道本線が中心の改正で、快速列車(新快速・特別快速・区間快速を含む)の増発・増結が行われた。一方で、普通列車は一部運転区間が縮小されたほか、途中駅での待避も増加している。また、東海道本線から飯田線への快速乗り入れは全廃。浜松駅直通の快速も大幅削減となった。そのほか、快速の増発によりホームライナーの見直しも行われた。
10月21日
西日本のみ(京阪神地区と北陸地区が中心)でダイヤ改正を実施。湖西線の永原駅~近江塩津駅間、北陸本線の長浜駅~敦賀駅(正確には北陸トンネル敦賀口)間が直流電化となり、新快速が敦賀駅まで乗り入れるようになった。これに伴い北陸本線の普通列車は原則として敦賀で系統分割された。また富山口の高山本線では社会実験の一環として昼間の普通列車が増発された。
12月10日
西日本の岡山地区のみでダイヤ改正を実施。岡山駅の改良工事の進捗で各線のホームが変更となった。また快速「マリンライナー」に関し、妹尾駅の停車列車が増えた。 木次線では上り列車2本の時刻変更が行われている。また、津山線では暫定ダイヤを実施。
12月15日
2007年(平成19年)
3月18日
北海道・四国を除く各社で、在来線を中心に改正が行われた。
東日本では、同日開業した仙台空港鉄道(仙台空港アクセス線)との直通運転が開始された。これに伴い車両増備と更新のため、E721系電車が追加導入された。また常磐線の上野口中距離電車がE531系電車に統一され、同形式においてグリーン車が使用開始された。新型車両の投入も多数行われ、水郡線にキハE130系気動車が導入され、前年12月に中央快速線に導入されたE233系電車が富士急行線・青梅線(奥多摩まで)・五日市線・八高線への乗り入れを開始した。東海道本線の快速アクティーが戸塚駅に停車するようになった。また湘南新宿ラインの特別快速の一部の列車が特定日に熱海駅まで延伸した。吾妻線の特急「草津」は朝・夜の1往復が廃止された。
東海では、特急「東海」が廃止され、夜行快速列車「ムーンライトながら」の運転時刻や指定席の取り扱いが変更された。静岡地区では普通列車の運転系統が見直され、一部区間で増発される一方、閑散区間での削減も行われた。車両面では313系電車を増備し、静岡地区および飯田線に投入した。改正前にすでに投入されていた中央本線も合わせ、東海の所有する113系・115系電車および123系電車の定期運用が廃止された。
西日本では加古川線以外でダイヤ改正が実施されたが、大幅な時刻変更・列車の増発・減便などは特になく、時刻の微調整や津山線の復旧に伴う新しいダイヤでの運行再開などが行われた。また広島・山口地区では山陽本線では快速通勤ライナーにおける柳井~岩国間の快速運転の廃止、海田市駅への通勤ライナーの新規停車などが行われた。和歌山線の北宇智駅のスイッチバックが廃止され、京阪神地区からスイッチバックが消滅している。また321系電車の増備により201系電車が京阪神緩行線の定期運用から離脱し、大阪環状線や大和路線に運用の場を変えている。
四国では土讃線の特急「南風」の運行区間の見直しも行われ、宿毛駅まで行く列車が2往復に削減されている。
九州では、新幹線・特急列車のダイヤを変更し、「ソニック」と新幹線の接続の改善、「つばめ」・「かもめ」の増発が行われた。
また各社で新駅が開業し、東日本では太子堂駅・東北福祉大前駅・平田駅、東海では野田新町駅、西日本ではさくら夙川駅の営業が開始された。
この改正では世界的な風潮と健康増進法第25条(受動喫煙防止)の影響により、全国的に新幹線・特急列車の禁煙席の拡大、および全車禁煙化が進んだ。東日本では、自社内で完結する列車および「白鳥」・「スーパー白鳥」が全車禁煙となった(寝台列車は除く)。九州でも一部列車を除き全面禁煙となった。
ダイヤ面とはあまり関係ないが首都圏の大手私鉄・地下鉄・バス各社(局)で相互ICカード「PASMO」が導入され、JR東日本のSuicaとの相互利用が開始された。この関係でSuicaのシステムが一部変更となっている。また西船橋駅の改札がJR・メトロに分離され、連絡改札が設置された。
6月16日
西日本の三江線が復旧、同時に1往復を山陰本線の浜田駅まで直通させ、江津駅での接続も改善されることになった。一方で早朝と夜の江津~石見川本間の便は廃止された。
6月30日
豪雨で一部不通となっていた越美北線が全線復旧した。
7月1日
東海道・山陽新幹線、西日本の一部でダイヤ改正を実施。
東海道・山陽新幹線では新型車両N700系が運転を開始して「のぞみ」の増発・所要時間の短縮が図られたほか、品川駅を始発とする列車が新たに設定された。
西日本では津山線の徐行運転が解除され、脱線事故前のダイヤに復旧した。芸備線では、急行「みよし」の廃止と快速「みよしライナー」の増発が行われ、同時に広島駅から備後落合駅へ直通運転する列車は消滅した。また、可部線で早朝時間帯に列車が増発された。岡山地区では昼間の発車時刻の見直しを行い、各路線ともパターンダイヤに変更した。また混雑の激しい快速「マリンライナー」の増結(5連→6連)も実施した。