トイレットトレーニング

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トイレットトレーニングないし排泄訓練(はいせつくんれん)とは、排泄に絡む便所の使用に関する訓練(練習と実践を通して、やり方を学ぶこと)を指す。主に家庭内で幼児ペットに対して行われる。

人間のトイレットトレーニング

人間の幼児の場合には、おむつを常時使用する状態から脱却し、自分の意思で一般のトイレで排泄できるようにすることがトイレットトレーニングである。お尻のしつけとも言う。シャワートイレウォシュレット等)を設置している家庭では、それを自力で操作して使用できるようにするのもトレーニングの目的となる。

最初はできないのが普通なので、最初から一人で行う事を求めたり、排泄に失敗した際にきつく叱ることはすべきでない。劣等感や恐怖心を与えると萎縮してしまい、便意を上手に伝える事が出来なくったり、ギリギリまで言い出せずに限界近くで急に尿意・便意を訴えるなどの弊害が発生する。

本人がなかなか尿意や便意を自覚できなかったり、一旦成功しても続かない、夜尿症が続くなど、トレーニングを完了するまでの過程や期間は個人差が激しい。開始から最終段階に至るまで慎重かつ気長に進める必要がある。このため、育児書でも必ず多くのページを割いて説明されている。

これらのトレーニングが当人の人格形成に重要な影響を及ぼすと考える心理学者もおり、教育の観点から様々な方法論が論じられている。しかし、排泄は誰しもが行う身近な行動であるため、難しく考えず、「トイレが使えることは楽しい」とか「皆に褒められる」といった雰囲気を作るなど、本人とトイレの良好な関係を築く事が望ましい。

また、保育者の精神的な負担になったり、保育者が冷静さを失って虐待に発展するケースも指摘されている。うまくいかない場合、トレーニングを中断したり、小学校入学までに1人でトイレにいけるようになれば充分だと開き直るのも冷静さを保つ1つの方法である。

方法

トレーニングの方法や手順は必ずしも1つではないが、概ね次のような過程を経る。

  • 自分の意思が言葉で示せるようになった辺りから開始。
  • 家族(同性が望ましい)のトイレ使用を見せる。
  • 出かける前や昼寝・夜寝る前などに、おまるやトイレでの排泄を実際にさせる。
  • 排泄の意思表示をさせ、おまるやトイレに行くまでの我慢を促す。
  • 自分の意思でトイレに行かせ、自力で着衣を脱いで排泄させる。
  • 紙の使用や手洗いなど自力で後始末させる。

性差

性別によって体の構造が異なるため、トレーニング内容も違う。

男児

男の子の場合、立って排尿(いわゆる立ちション)ができるようになっていた方が望ましい。家庭外では小便器を使う必要に迫られる場合があるためである。一部には、小便であっても大便器を使わせたり、洋式便器に座らせての排尿だけをさせている場合があるが、後々本人が困る結果になりかねない。

男性が小便する場合、下着とズボンの前開きからおちんちんだけ出してするが、男児の場合おちんちんが小さく、かつコントロールが難しいため、下半身の着衣を一旦全部脱衣させた方が良い。慣れてきたら半分だけ下ろすなどの段階を経て、小学校に上がる前までには、男児用ブリーフトランクスを着用させ、立って前開きからおちんちんを出して排尿できるように訓練する。

便器の正面に立たせ、必要とあらばおちんちんを持って介助して排尿させる。終わった後はしずくを落とすようにおちんちんを振る。一般に小便器を使う場合は紙で拭くことはしない。失敗して便器外に小便が散ってしまう事もあるが、徐々に自分でコントロールさせる。便器に尿を直角に近い確度で当てると飛沫が飛び散り易いので、やや斜めなるようにさせる。

女児

女の子の場合、洋式便器なら座らせ、和式便器ならしゃがませて排泄させる。

終わった後は排尿だけであっても紙で拭くが、女の子特有の配慮が必要であることが多くの育児書で指摘されている。肛門尿道口に近接している関係上、大便が他に付かないように考え、大便をした場合は背側から手を回し前から後ろへ拭き、小便だけなら前から手を差し入れて前だけを拭く。これを怠ると雑菌による感染症などの問題が発生する事がある。日本人は毎日入浴に入るなど比較的清潔なためトラブルの頻度は低いが、あまり入浴しない場合は注意が必要である。入浴の習慣があまりない国や民族の場合は、ことさらこういった「拭き方による衛生管理」が強調される。

トイレットトレーニングで使う器具

  • おまる - 幼児用ポータブルトイレ。幼児は体が小さいため、通常のトイレでは使いにくい問題があるのと、トイレの場所までの移動中我慢が出来ないなどの補助となる。
  • 補助便座 - 洋式便器の便座の上に取り付けて口径を小さくする器具。幼児が安定して用を足しやすい。
  • トレーニングパンツ - 使い捨てのパンツ。トイレットトレーニング時期の幼児向けに、尿を漏らした時に一定の不快感を与える(皮膚が濡れた感じがする)ように作られている。
  • 踏み台 - 男児に立って排尿させる時に、高さが合わなければ使わせる。
  • 目印シール - 男児に立って排尿させる時に、「適切なねらい目」を示すためのシール。市販されている。
  • 絵本ビデオ知育玩具 - 楽しく学習できるよう作られている。
  • 携帯トイレ - トイレが近くにない環境で使う。

ペットのトイレットトレーニング

ペットの場合では、所定の位置で排泄するように、飼い主がしつける行為がトイレットトレーニングになる。進め方は動物の種類・生活環境によって異なるので、それぞれの飼い方を説明した書籍等を参照してほしい。ペットの中にはほとんど訓練が不可能な種類の動物もおり、訓練が可能だとされる種類の動物でも個体差がある。動物は、種類によって好む排泄場所があるため、様々なペット用のトイレ用品が見られる。しかし動物全般には言葉が通じず手本も示しようが無いなど、総じて幼児よりも訓練期間は長く掛かる傾向がある。

排泄場所は飼い主が決めることになるが、排泄中の動物は非常に神経質であるため、その多くでは静かな場所に設置する事が勧められる。また複数の排泄場所の設置は、定位置での排泄を好む動物を戸惑わせる結果になるため避けた方がよく、一度決定した排泄場所の移動も避けた方がよい。

臭いを頼りに同じ場所に何度も排泄する傾向が見られる種類の動物もおり、それらでは飼い主の意図と違う場所に排泄してしまったら、その場を掃除することはなおのこと、充分に清掃・消臭する必要がある。

鳥類は排泄を我慢するという概念も、そのための器官もないため、定位置で排泄するというトイレットトレーニングは、ほぼ不可能であるとみられる。

の場合は概ねトレーニング可能である。失敗したら叱ってしつけることが多いが、成功したら褒めるようにとしている解説書もある。予め、新しいトイレにそれら動物から回収した排泄物の臭いを付けるなどの方法論も論じられている。ただ個体によっては、それら各々のトレーニング方法の効果が見えにくい場合もあり、様々な方法が提唱されている。

犬の場合、散歩前に排泄を済ませるように訓練すれば、散歩中に糞を拾う手間が省け、環境衛生上も良い。一部には、尿意・便意を飼い主に伝えるように訓練したり、ペット用の携帯トイレを使わせるよう訓練したりする例もあるが、品種・個体によっては実現は難しい。盲導犬のような補助犬では、主人が許可したときのみ排泄するようにしつけられる。

猫に洋式便器を使用させるためのトレーニングキットも存在する。ただ利用するかしないかは個体差も大きいようだ。

関連項目

幼児自身が理解しやすい幼児語を用いると、幼児は排泄行動を明確にイメージしやすくなり、排泄の意思をきちんと伝えやすくなる・排泄の際に上手に行う学習がしやすくなると考えられる。