裁判員制度

日本の司法・裁判制度

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裁判員制度(さいばんいんせいど)とは、一定の刑事裁判において、国民から事件ごとに選ばれた裁判員が裁判官とともに審理に参加する日本の司法・裁判制度をいう。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号。以下「法」という)により規定され、2009年(平成21年)5月までに開始される予定。

概要

裁判員制度は、市民衆議院議員選挙有権者)から無作為に選ばれた裁判員が裁判官とともに裁判を行う制度で、国民の司法参加により市民が持つ日常感覚や常識といったものを裁判に反映するとともに、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図ることが目的とされている。

裁判員制度が適用される事件地方裁判所で行われる刑事裁判のうち、殺人罪傷害致死罪強盗致死傷罪現住建造物等放火罪身代金目的誘拐罪など、一定の重大な犯罪についての裁判である。例外として、「裁判員や親族に危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件」は裁判官のみで審理・裁判する(法3条)。被告人に拒否権はない。

裁判は、原則として裁判員6名、裁判官3名の合議体で行われ、被告人が事実関係を争わない事件については、裁判員4名、裁判官1名で審理することが可能な制度となっている(法2条2項、3項)。

裁判員は審理に参加して、裁判官とともに、証拠調べを行い、有罪無罪かの判断と、有罪の場合の量刑の判断を行うが、法律の解釈についての判断や訴訟手続についての判断など、法律に関する専門知識が必要な事項については裁判官が担当する(法6条)。裁判員は、証人や被告人に質問することができる。有罪判決をするために必要な要件が満たされていると判断するには、合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない(一部立証責任が被告人に転換されている要件が満たされていると判断するためには、無罪判決をするために合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない)。以上の条件が満たされない場合は、評決が成立しない(有罪か無罪かの評決が成立しない場合には、被告人の利益に無罪判決をせざるを得ないと法務省は主張しているが、法令解釈権を持つ裁判所の裁判例、判例はまだ出ていない)。

なお、連続殺人事件のように多数の事件があって、審理に長期間を要すると考えられる事件においては、複数の合議体を設けて、特定の事件について犯罪が成立するかどうか審理する合議体(複数の場合もあり)と、これらの合議体における結果および自らが担当した事件に対する犯罪の成否の結果に基づいて有罪と認められる場合には量刑を決定する合議体を設けて審理する方式も導入される予定である(部分判決制度)。

裁判員制度導入によって、国民の量刑感覚が反映されるなどの効果が期待されるといわれている一方、国民に参加が強制される、国民の量刑感覚に従えば量刑がいわゆる量刑相場を超えて拡散する、公判前整理手続によって争点や証拠が予め絞られるため、現行の裁判官のみによる裁判と同様に徹底審理による真相解明や犯行の動機や経緯にまで立ち至った解明が難しくなるといった問題点が指摘されている。裁判員の負担を軽減するため、事実認定と量刑判断を分離すべきという意見もある。

導入の理由と背景

裁判員制度は、「司法制度改革」の一環として、死刑制度に反対する公明党主導で導入された。国民が刑事裁判に参加することにより、裁判が身近で分かりやすいものとなり、司法に対する国民の信頼向上につながることが目的とされている。

(趣旨)

  • 第一条  この法律は、国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の特則その他の必要な事項を定めるものとする。
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律より

類似制度として陪審制参審制があり、陪審制はアメリカイギリス、参審制はフランスドイツイタリアで行われている。日本も戦前に刑事裁判に限り陪審制が導入されていた時期がある。また、1980年代には東ドイツをはじめとする共産主義国家でも導入されていた。共産圏諸国の行政的動機は、行政のみならず立法権を官僚が事実上掌握した社会において、官僚が制定した法の遂行作業(司法)を国民自身に参加・担当させることで、「ガス抜き」および国民の体制内化をもたらして、官僚支配を不可視にし、政治体制の維持延命を図るものであった。

対象事件

  1. 死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(法2条1項1号)
  2. 法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(同項2号)
  • 例えば、外患誘致罪殺人罪強盗致死傷罪傷害致死罪現住建造物等放火罪通貨偽造罪など。
  • ただし、「裁判員や親族に対して危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件[1]」については、対象事件から除外される。報復の予期される暴力団関連事件などが除外事件として想定されている。
  • 対象事件はいずれも必要的弁護事件である。
  • 最高裁判所によれば、平成17年に日本全国の地方裁判所で受理した事件の概数111,724件のうち、裁判員制度が施行されていれば対象となり得た事件の数は3,629件で、割合は3.2%とされている[2]

裁判員選任手順

各年度ごとに、市町村の選挙管理委員会が、衆議院議員の公職選挙人名簿登録者から「くじ」で翌年度の裁判員候補予定者を選定して「裁判員候補予定者名簿」として地方裁判所に送付する(法21条、22条)。地方裁判所は、裁判員候補予定者名簿を元に、毎年度、「裁判員候補者名簿」を作成し、裁判員候補者名簿に記載された者にその旨を通知する(法23条、25条)。

そして各事件ごとに、地方裁判所において裁判員候補者名簿の中から呼び出すべき裁判員候補者を「くじ」で選定する。この「くじ」に際しては、検察官及び弁護人は立ち会うことができる(法26条)。呼出すべき裁判員候補者として選定された者には、「質問票」と「呼出状」が自宅に送付される(法27条、30条)。

裁判員候補者は、質問票に回答し裁判所に返送する。この質問票においては、欠格事由(義務教育を修了しない者、禁錮以上の刑に処せられた者など。法14条)・就職禁止事由(一定の公務員、法曹など法律関係者、警察官など。法15条)・事件に関連する不適格事由(被告人・被害者の関係者、事件関与者など。法17条)・辞退事由(70歳以上、学生、重要な用務があること、直近の裁判員従事など。法16条)の存否について質問される。

質問票の回答により、明らかに欠格事由、就職禁止事由、事件に関連する不適格事由に該当する場合および辞退を希望して明らかに辞退事由が認められる者については、呼出しが取り消されることもある。

質問票に虚偽の事項を書いた場合には、50万円以下の罰金に処せられるか、または30万円以下の過料が課される(法110条、111条)。また、呼び出されたにもかかわらず、正当な理由なく出頭しない者は、10万円以下の過料が課されることがある(法112条)。

裁判所に呼び出され、出頭した裁判員候補者の中から、非公開で裁判員と補充裁判員が選任される(法33条)。候補者としては、裁判員・補充裁判員として必要な人数を超える人数(現時点では未定)を呼び出すこととなる。裁判長は、裁判員候補者に対し、欠格事由の有無や辞退理由の有無、および不公平な裁判をするおそれがないかどうかの判断をするため、必要な質問を行う。陪席の裁判官、検察官、被告人又は弁護人は、裁判長に対し、判断のために必要と思う質問を、裁判長が裁判員候補者に対して行うよう求めることができる(法34条)。

裁判所は、この質問の回答に基づいて選任しない者を決定する(法34条4項)。さらに、検察官及び被告人は、裁判員候補者について、それぞれ4人(補充裁判員を置く場合にはこれよりも多くなる。)を限度に理由を示さず不選任請求できる(法36条)。これらの手続を経た上で、裁判所は、裁判員と補充裁判員を選任する決定をする(法37条)。

裁判員の選任手続が終わったら公判に入り、裁判員は裁判官とともに証拠書類・証拠物の検討や、証人尋問検証、被告人質問等の証拠調べを経て、評議・評決の上、判決成立に関与する。公判開始後も、裁判員について不公平な裁判をするおそれがあるときや裁判から除外すべき場合、検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に対し、裁判員の解任を請求できる(法41条)。また、法律問題は裁判官のみによる合議で決定される。

なお、裁判員に選任される確率については、平成17年の統計値を基にした場合、年間約3500人に1人になると試算されている(裁判員候補者として呼び出される確率はこれより高くなる)。

合議体の構成

原則、裁判官3名、裁判員6名の計9名で構成する(法2条2項)。

ただし、公訴事実について争いがないと認められるような事件(自白事件)については、裁判官1名、裁判員4名の5名の合議体で裁判することも可能である(法2条3項)。

裁判員の権限

裁判員は、有罪判決若しくは無罪判決または少年事件において保護処分が適当と認める場合の家庭裁判所への移送決定の裁判をするに当たって、事実の認定、法令の適用、刑の量定について裁判官と共に合議体を構成して裁判をする権限を有する(法6条1項)。

評決に当たっては、構成裁判官及び裁判員の双方を含む過半数の賛成を必要とする(法67条1項)。

なお、構成裁判官及び裁判員の双方の過半数を得られない場合、挙証責任を有する者に不利な判断が下されたものとして扱うほかないと考えられている。例えば、裁判官3名と裁判員1名が犯罪は成立する、裁判員5名が犯罪は成立しないと判断した場合、犯罪の成否に関する事実については、一部の例外を除いて検察官が立証責任を負うので、この場合、犯罪の証明がないとして無罪として扱うこととなるものと考えられる。英米のように、評決不能(hung jury)として、裁判をやり直すわけではない。

ただし、刑の量定について、意見が分かれ、構成裁判官及び裁判員の双方を含む過半数の一致ができないときは、その合議体の判断は、構成裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数になるまで、被告人にとって最も不利な意見の数を順次利益な意見の数に加え、その中で最も利益な意見による(法67条2項)。

なお、法令の解釈に係る判断、訴訟手続に関する判断(保護処分が適当な場合への家裁への移送決定をなす場合は除く)、その他裁判員の関与する判断以外の判断は裁判官のみの合議による(法6条2項)。

もっとも、裁判所は、裁判員の関与する判断以外の判断をするための審理以外の審理についても、裁判員及び補充裁判員の立会いを許すことができ(法60条)、その評議についても裁判員に傍聴を許し、その判断について裁判員の意見を聴くことができる(法68条)。

裁判員が負う義務

出廷義務
裁判員及び補充裁判員は、公判期日や、証人尋問・検証が行われる公判準備の場に出廷しなければならない。正当な理由なく出廷しない場合、10万円以下の過料が課される(法112条)。また、評議に出席し、意見を述べなければならない(評議参加者全員の意見が必要なため。議論が進む中で、気付いた範囲で、自由に意見を述べればよい)。
守秘義務
裁判員は、評議の経過や、それぞれの裁判官・裁判員の意見やその多少の数(「評議の秘密」という。)その他「職務上知り得た秘密」を漏らしてはならない。この義務は、裁判終了後も生涯に渡って負う。裁判員が、評議の秘密や職務上知り得た秘密を漏らしたときは、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される(法108条)。

裁判員等の日当等

裁判員、補充裁判員及び裁判員選任手続の期日に出頭した裁判員候補者に対しては、旅費、日当及び宿泊料が支給される(法11条、29条2項)。

旅費は、鉄道賃、船賃、路程賃及び航空賃の4種であり、それぞれ裁判員の参加する刑事裁判に関する規則に定められた計算方法により算定される。

日当は、出頭又は職務及びそれらのための旅行に必要な日数に応じて支給され、裁判員及び補充裁判員については1日当たり1万円以内において、裁判員選任手続の期日に出頭した裁判員候補者については1日当たり8000円以内において、裁判所が定めるものとされている(裁判員の参加する刑事裁判に関する規則7条)。

宿泊料は、出頭等に必要な夜数に応じて支給され、1夜当たり8700円ないし7800円と定められている(同規則8条)。

区分審理

連続殺人事件や無差別大量殺人事件などのように、多数の事件を1人の被告人が起こした場合においては、審理が長期化するおそれがあり、裁判員が長期間審理に携わることは困難である。そこで、裁判所は、併合事件(複数の事件を一括して審理している事件)について、事件を区分して、区分した事件ごとに合議体を設けて、順次、審理することができる。ただし、犯罪の証明に支障を生じるおそれがあるとき、被告人の防御に不利益な場合などは区分審理決定を行うことはできない(法71条)。

この場合、あらかじめ2回目以降に行われる区分審理審判または併合事件審判に加わる予定の裁判員または補充裁判員である選任予定裁判員を選任することができる。

区分審理決定がされると、その区分された事件についての犯罪の成否が判断され、部分判決がなされる。部分判決では犯罪の成否のみ判断が下され、量刑については判断を行わない。ただし、有罪とする場合において情状事実については部分判決で示すことができる。この手続を区分審理審判という。

そして、すべての区分審理審判が終了後、区分審理に付されなかった事件の犯罪の成否と併合事件全体の裁判を行う。すなわち、ここの合議体では残された事件の犯罪の成否と既になされた部分判決に基づいて量刑を決定することとなる。なお、この審判を併合事件審判という。

そして、裁判員はそれぞれ1つの区分審理審判または併合事件審判にしか加わらないので、裁判員を長期に拘束する必要がなくなり負担軽減につながるとされている。もっとも、裁判官は原則として事件全体に関与するので、裁判員と裁判官の間の情報格差が審理に影響を及ぼすのではないかと懸念する声もある。

裁判員裁判を行う裁判所

裁判員裁判を行う裁判所は、原則として地方裁判所の本庁で行う(裁判員の参加する刑事裁判に関する規則2条)。ただし、次に掲げる地裁支部においては、裁判員裁判を行う。

制度に関して指摘される問題点と対応

刑事裁判に国民を参加させることで司法に対する国民の信頼を増進するとの目的で法制化された制度であるが、従来になかった「抽選で本人の意思に関わりなく裁判員候補者を呼び出し、裁判員を選任する」という性質上、問題点が指摘されている。

裁判員への参加強制

  • 裁判員をやりたくない人を強制的に参加させることは「意に反する苦役」を課すものとして憲法違反(18条)ではないかとの主張
    • 法務省は「憲法でいうところの苦役にはあたらない」とし(平成16年5月11日、参議院法務委員会での政府答弁)、裁判員制度が「裁判の内容に国民の感覚が反映されるということにより、司法に対する国民の理解の増進と信頼の向上が図られ、司法がより強固な国民的な基盤を得るということができるようにするための重要な意義を有する制度」であることを強調する。また、義務履行の担保としては刑事罰や直接強制によることなく、秩序罰たる「過料」を課すにとどめており、一定のやむを得ない事由がある場合には裁判員となることを辞退する制度を設けていることから、裁判員制度の実施のために必要最小限のものということができるとする。原則として辞退はできないが、辞退の要件なども踏まえつつ、個々のケースによって裁判所が適宜判断をする。
  • 以下に該当するものは証明書提出により候補を辞退できる。
    • 70歳以上
    • 地方自治体の議員(会期中に限る)
    • 学生や生徒(通信制の場合等は除く)
    • 過去5年間に裁判員を経験
    • 重い病気
    • 親族の介護・養育
    • その他政令(未制定)で定める上記に準ずる事由
  • 病気で辞任できるが、精神病で悪化する可能性を否定できない病気(鬱病等)の場合も出席しなければならないのか。出席しなくて良い場合、裁判員逃れのために病院で虚偽報告し、病気と判断してもらうこと(精神病の場合外見的に検証が難しいため、知識の無いものでも容易に出来てしまう)が可能となり、問題となる。
    • 裁判員となることで病気が悪化する場合は裁判員から除外されることが制度として予定されている。違法行為により裁判員候補から除外されることを求める者を、あえて裁判員にする必要はない。
  • 戦前、戦時中の赤紙(召集令状)との共通点として、権力機関による強制徴用(呼出)、不適格事由(免除)、罰金(過料)、市町村による名簿作成、旅費支給などがある。軍事的紛争と法的紛争の違いはあるものの、人命などに関わる重大な紛争の当事者を時に死に追いやる行為への強制参加という点、良心的兵役拒否にあたる制度が無い点も共通している。司法制度改革推進本部の資料にも裁判員制度を徴兵制に例える意見がある。 [3]

裁判員の匿名性・安全の確保

  • 裁判員の氏名が、被告人や他の裁判員に知られることで危害が加えられることへの不安
    • 裁判手続において被告人に裁判員氏名が開示されることはなく、裁判員相互も氏名は開示されない。事件について知るために裁判員(又は裁判員であった者)へ接触することも禁じられる。
    • 裁判員(または裁判員であった者)の氏名を漏示すること(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)、また、裁判員等(又は裁判員であった者、その親族)を威迫すること(2年以下の懲役又は20万円以下の罰金)は、それぞれ罰則をもって禁じられている。
  • 氏名非公表としても、顔を出すこと自体不安とする声もある。裁判員の顔は他の裁判員に見られる(同じ室内で同席するため顔を見られることが避けられない)。また、被告人にも見られる。
  • 勤務先に申告して参加する場合、裁判員になったことを勤務先に知られてしまうことは避けられず、第三者に知られてしまう。
    • その種の行為は、法律で禁止されている(法72条)。
    • しかし、世間には違法な情報や他人に知られたくない情報を独自のルートで調べ、利益を上げている違法闇業者(情報屋)もあり、実際に警察に摘発された例もあるため、法律で禁止されているだけでは絶対的に安心とはいえないという意見もある。

裁判員の秘密保持義務に関する問題

  • 裁判員として「評議の秘密」と「その他職務上知り得た秘密」について、終生の秘密保持義務を負い、違反には刑事罰が規定されている。刑事罰による威嚇の下で、「墓場まで持って行く秘密」を「くじ」で選ばれた一般国民が負わされること自体、過重な義務であると批判がある。
    • 守秘義務の程度は、通常の公務員が職務上知りえた秘密に関して負う守秘義務と同程度であり、過重とは言えない。
      しかし、公務員になるのは自らの意思によってであるが、裁判員になるのは自らの意思ではないため、一般国民にとっては大きな負担になるという指摘もある。
    • 裁判員の守秘義務の目的は,評議における裁判員の自由な意見表明を可能にすることにある上,守秘義務があることにより,裁判員に対する不当な接触や関係者からの報復の防止が図られ,裁判員自身のプライバシーや身体の保護につながると考えられることから,裁判員自身もお互いがかかる義務を履行することを望むものと予想される。
  • 「その他職務上知り得た秘密」について、法務省の説明によれば、「刑事裁判で見聞きした証拠のうち、他人のプライバシーに関わる情報など他人に知られたくないような情報を指す」が、「公判で行われた質問は含まれない」とされる。公開証拠と非公開証拠の区別が困難な一般人にとって、「秘密」の内容が不明確であることから、秘密保持義務について不安を招いている。
    • 評議内容、プライバシーを漏らさないよう配慮すれば、裁判員の職務や裁判制度について感想を述べることは自由、と法務省は説明。
  • 不明確な規定によって刑罰を定めることには、罪刑法定主義との関係で問題がある。
    • 「法の不知は許さず」と法格言もあるように、現在の規定で十分明確。

裁判員相互の問題

  • 裁判所での議論は「口頭」で行われるため、威勢の強い者が多く発言し、口下手な人、他人とのコミュニケーションが苦手な人が思ったことを発言できなくなるおそれがある、との主張
  • 威圧感を与える意図がなくとも、外見により他の裁判員に威圧感・恐怖感を与える可能性があるとの主張
    • 法は「裁判長は、評議において、裁判員に対して必要な法令に関する説明を丁寧に行うとともに、評議を裁判員に分かりやすいものとなるように整理し、裁判員が発言する機会を十分に設けるなど、裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならない」と定める。各裁判員が十分意見を言えるよう、裁判官は配慮しなければならないとしている。
    • ただし、口べた云々は個人の資質の問題であり、法や制度が関与できることではないし、すべきことでもない。
    • ちなみに、職業裁判官の場合は最高裁の人事評価によって統制され、上級審による逆転判決を恐れる傾向もあることから、裁判員に比べてみずからの意見を自由に表明することは困難であることが指摘されている。また、袴田事件で有罪判決を書いた熊本元裁判官は、自分は無罪と考え死刑判決に反対したが、結局、押し切られて有罪判決を書かされたと2007年になって告白している。

裁判員の資質の問題

  • 明らかにやる気のない裁判員への対処はどうするのか。裁判員制度のモデルの一つである参審員制度が存在するドイツでは酒に酔った状態で裁判に参加した参審員がいた。そのためその日は裁判ができず延期された。また、陪審員制度のアメリカで、殺人事件の裁判でどうしても事件の審理に興味が持てなかった陪審員の一人が審理中に居眠りをし、その場で陪審員を解任された。また、陪審選任手続の際、選任されたくない者が、質問票に「人種差別主義者である」「男性(女性)優位主義者である」「陪審裁判を行なうまでもなく、被告人を有罪(無罪)と確信している」といった回答を行い、選任手続段階で逃れようとする者も少なくない(しかし、法廷戦略上、被告人に有利もしくは不利な評決を狙い、あえてこのような回答をした候補者を選任しようとする弁護士や検察官もいるため、逆効果になることもある)。
    • 裁判員が義務である以上、裁判長は各裁判員が積極的に参加するために必要な措置を行う。やむを得ない場合は、裁判長がその裁判員を解任して審理を続行する(法41条)。
    • なお、日本の現行制度でも公判中に裁判官や検察官が居眠りをしているところを目撃された例もあり、「やる気」の問題は裁判員に限られない。
  • 海外にも裁判員制度(又は類似した制度)を採用している国は存在するが、多忙なビジネスマンは不参加が多く、結果的に参加者の多くは暇を持て余している専業主婦や年金生活者となる傾向がある。欧州には罰金を払ってでも参加を拒否するビジネスマンもいる。
    • 裁判員として職務を拒むことができる事由は限定されている。専業主婦や年金生活者がビジネスマンに比べて裁判員としての資質に欠けるとはいえない。しかし、様々な職種の裁判員が集まらなければ、真の市民(一般)感覚を取り入れた裁判とは言えず、従来の裁判官が専業主婦や年金生活者に代わっただけという結果では裁判員制度の意味がないという指摘もある。
  • 金銭のやり取りによって結託し、判決を操作する可能性がある。
    • 裁判官3名、裁判員6名からなる合議体で、少なくとも裁判官1名を含む5人の一致によらなければ評決がなされないから、買収危険性は現在の職業裁判官に比べて高いと言えない。
    • 買収など違法行為については、取締りにより対処すべき。
  • 裁判という高い専門性、立法趣旨を理解する高度な洞察力、法解釈には客観的論理性が要求される制度に素人が参加することへの不安。
    • 法令解釈に関する判断、訴訟手続に関する判断は、裁判員は参加せず、裁判官の合議により決定。
    • 一般感覚を裁判に導入するのが裁判員制度の目的で、素人性は否定されるべきものではない。とされているが、法律に無知なことと一般感覚(素人性)は似て非なる別物であり、ある程度の法学力は必要である。とする説もあり、この点については様々な意見がある。

不利益な扱いの問題

  • 法は「労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと」などを理由として「不利益な取扱いをしてはならない。」と定めているが、裁判員となった者が昇進を遅延させられる、解雇されるなどの不利益を課された場合、その救済は困難である。不利益な扱いを受けたことの立証責任は労働者側にあり、また会社を訴えること自体が本人にとってマイナス評価になりかねないとのおそれがあるためである。
    • この点は、裁判員制度特有のものでない。
    • 裁判員制度の円滑な実施のための行動計画」では、「労働者が裁判員の職務を行う場合が労働基準法7条の公の職務に該当する旨の通達を発出し,使用者は労働者が裁判員の職務に必要な時間を請求した場合に拒んではならないことについて周知を行うとともに,裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと等を理由とする不利益取扱いの禁止を徹底する。また,裁判員制度が円滑に実施されるためには,裁判員の職務に対応した休暇制度導入など,労使の自主的取り組みが促進され,労働者が裁判員として刑事裁判に参加しやすい環境が整備されることが重要であるため,法務省厚生労働省及び最高裁判所が連携して必要な施策を実施する。」としている。
    • しかし、西野喜一氏著書「裁判員制度の正体」によれば現実社会でこのような不利益な取扱いを受けないことを保障するものではない。そのため、上記のような努力目標的な対策では実効性は疑問視される。

休暇について

裁判員の職務に就いている間の休暇及び給与の扱いについては、運用については個別の企業に判断がゆだねられている。

従業員が少ない零細企業においては、人手が取られてしまうことによる負担感が大きく、事業活動に支障が出ることが懸念されている[4]

一方、ある程度の規模以上の企業においては、例えばトヨタ東京電力が裁判員制度専用の有給休暇制度を導入するなど、休暇制度を整える動きが広がっている[4]

職務遂行により疾病に陥る恐れ

  • 刑事裁判の証拠資料としての残酷な写真を見なければならないことで、裁判員がPTSD心的外傷後ストレス障害)等に陥る可能性があるとの主張
    • 制度導入を否定すべきものではなく、ケアなどを検討すべき問題である。しかし裁判員には守秘義務があるので、「評議の秘密」と「その他職務上知り得た秘密」を他人に話すことができない。よって苦悩や葛藤を打ち明けることができず、十分なケアを受けられない可能性がある。

障害者の参加

  • 障害者等の参加が困難であるとの主張
    • 制度導入を否定した場合は、障害者のみならず健常者も参加できなくなるから、障害者参加に必要な措置を検討すべき問題。視覚障害の場合点字資料を用意することが考えられる。

被告人の権利

  • 被告人には裁判員裁判を拒否する権利はない。裁判員制度は被告人のための制度ではないからである。この点は欧米の陪審員制度などと全く異なる。
  • 裁判員が法律の素人であること、性別、年齢、容姿、社会的地位に影響され偏見を持ちやすいことなどで被告人が公正な裁判を受けられなくなるという指摘もある。
    • しかし、その根拠となる職業裁判官と市民を比較した調査が行われたことはない。
    • 米国などの陪審制についての研究では、職業裁判官に比べて市民である陪審員は、検察官に対してより高度の立証を求める傾向があること,したがって無罪判決が増える傾向があることが統計数字などをもとに指摘されている。
    • 被告人が、権利として職業裁判官による裁判を保障されているわけではなく、公正な裁判内容は制度で規定される。また、裁判員制度導入で不公正になるとはいえない。
    • なお、有罪率99%を超える現行制度のもとで無罪判決を書いたことがないという職業裁判官も多数に上ることから、職業裁判官にこそ「被告人は有罪」という先入観が生じているではないかという指摘もある。
  • 裁判員制度が目指す迅速審理は、拙速な審理になる恐れがある。
    • ただし裁判を2年以内のできるだけ短い期間内に終わらせることを目指す裁判迅速化法は、2003年に制定されており、拙速審理の危険は裁判員制度導入のみによって発生したものとは言えない。
  • 裁判員制度導入も理由の一つとされる公判前整理手続では、手続後に被告に有利な証拠・証人が出ても、採用が制限される。
    • この問題は、強制捜査権やその結果得られた証拠などの管理権を裁判所から一方の当事者にすぎない検察官に移した戦後刑訴法制定の結果,戦後新たに生じた問題であり、日弁連などでは検察官手持ち証拠の事前、全面開示を要求している。したがってこの問題は、厳密には裁判員制度による問題ではなく現行刑訴法の問題である。
    • 証拠・証人が「やむを得ない事由によって公判前整理手続において請求できなかったもの」である場合、証拠調べを請求できる(刑事訴訟法316条の32第1項)。また、裁判所が必要と認めるとき、職権で証拠調べできる(同条2項)。しかし、同様の規定がある現在の控訴審で極めて限定的な解釈が取られており、裁判員裁判でも同様に制限的に運用される可能性は大きい。結局、現行制度,裁判員制度に共通する問題である。

権力と一体化したメディアスクラムの可能性

  • 一般人が裁判員となると情報操作への抵抗力がないうえ、感情的になりがちなため、今まで以上に裁判におけるメディアの影響力が大きくなり、メディアによる世論操作での判決操作も大きくなるという主張もある。
    • 職業裁判官が一般市民に比べてメディアの影響を受けにくいという調査結果はない。なお,職業裁判官制度では職業裁判官の自覚にのみ頼るが、陪審員制度では陪審員をメディアの犯人視報道から隔離するためメディアへの接触の禁止などの手段もとられている。イギリスでは予断を与えるような事件報道は法廷侮辱罪により規制されている。
    • 世間に単一メディアのみが存在するわけでなく、問題となるのは多数メディアが一致して故意に世論操作する可能性であって、それは限定的場面に過ぎないため、メディアが権力と一体化する蓋然性はない。しかし実際、松本サリン事件尼崎列車脱線事故のようなメディアスクラムが起こり特定の人物が世論感情によりつるし上げられることや興味本位の報道、感情をぶちまける報道が多数存在するなど、世論がマスコミやメディアによって操作される例も珍しくなく、日本ではメディア・リテラシーが確立されていないという現状もある。そのため、裁判の公正性に影響があるのではないかと懸念する意見もある。この点は西日本新聞で法曹関係者がマスコミ各社に対しに意見を述べており、また、BPO内の放送倫理検証委員会でもこの問題について議論が起こっている。[1]
    • 裁判員のみならず、従来どおりの職業裁判官も評決に関与する。また、裁判員制度は一般感覚を裁判に導入するものであるから、メディア報道が一般感覚から乖離したり、過度に過剰な報道をしない限り、否定すべきとまではいえない。

背景事情

裁判員は衆議院議員の公職選挙人名簿より抽選で選ばれ、思想信条・能力にかかわらず選任される。選任に際して虚偽申告した場合、刑事罰として罰金に処せられ、選任された場合に正当な理由なく出頭しなければ行政罰として過料に処せられる。類似制度として検察審査会がある。

意識調査

裁判員制度への国民意識について2005年2月に内閣府が行った世論調査によれば、

  • 導入後の裁判について
    • 専門家でない裁判員により適切でない判決が出る(39.3%)
    • 犯罪・治安のことを自分のこととして考える意識が高まる(31.2%)
    • 裁判に国民感覚が反映され、司法への国民の理解・信頼が深まる(27.6%)
    • 刑事裁判の手続・判決がわかりやすくなる(27.0%)
  • 裁判員として参加したいかについて
    • 「参加したい」(25.6%)
    • 「参加したくない」(70.0%)

などの回答が得られている。

また、政府は裁判員制度導入に向けて前向きな姿勢を保ち続けているが、法曹界での賛否は両論ともにあり、否定的見解としては、「国民にまだ(裁判員制度の導入や詳しい内容が)十分に浸透していないのにもかかわらず、時期尚早ではないのか」といった意見や「裁判員制度を導入したところで、国民の負担が増えるだけで、政府が考えるほどの効果は得られない。廃止、凍結すべきだ」といった反対意見が出ている。

国家による組織的世論誘導

2006年12月12日、あらかじめ政府側が作成した質問を特定の参加者に行わせ、それに対して専門家が用意された回答を行う「やらせ質問」について、司法改革タウンミーティングでも行われていたことが発覚した。タウンミーティング(タウンミーティング 小泉内閣の国民対話)での「やらせ質問」については2006年10月に「教育改革タウンミーティング イン 八戸」で行われていたことが発覚したのが発端であったが、2006年11月15日に社会民主党の保坂展人議員が、当時の長勢甚遠法務大臣に司法制度改革タウンミーティングでのやらせ質問の有無について追及し、2006年12月12日に上記のやらせ質問が発覚したものである。タウンミーティングでやらせ質問が発覚した全15回中、司法制度改革タウンミーティングで最多の6回のやらせ質問が行われていた。

2007年1月には、最高裁判所や法務省が行った裁判員制度フォーラム会場に人材派遣会社が派遣した登録アルバイトスタッフによるサクラを動員したことも発覚した。

2007年2月には、保坂展人議員が、最高裁主催の裁判員制度全国フォーラムについて最高裁が電通と交わした平成17年度の契約書(同年9月30日付)が作成された経緯を国会で追及したところ、この契約書が平成17年9月30日より後に作られたものであることが発覚、すなわち、実際の契約日よりも前の日付が契約書に記載されている「さかのぼり契約」だったことも判明した。これは、1960年に最高裁判所が示した判例に違反する行為である。

マスコミによる不公正な報道姿勢

裁判員制度に対する各マスコミの報道姿勢はほとんど100%推進派の論理で行われており、批判的報道姿勢がほとんどない。それどころか、推進派の論理による不公正な報道姿勢も見受けられる(参考記事[5][6][7][8]。詳細は報道におけるタブー参照)。

制度比較論

裁判員制度は、職業裁判官と一般人の裁判員の協同による制度といえるが、問題点は主に旧来の日本における職業裁判官のみが裁判に関与する制度と比較される。裁判制度には、他に、アメリカで行われている、事実認定に職業裁判官が関与しない陪審制があるが、陪審制との比較を元に裁判員制度を評価する見解は少ない。裁判員制度の問題点の指摘の背景は、多くの場合、現行制度の変更をする必要があるのか、という視点に基づく場合が多く、現行職業裁判官制度が良好に機能しているという意識がある。

裁判員制度導入前の日本の司法制度の問題は、主として、時間がかかりすぎるように思われていること、裁判制度が過度に専門化されているために一般人に理解されにくいことが中心で、判決形成過程に国民が関与できないことに批判があったとはいえない。裁判員制度のメリットの一つとして、審理時間の短縮が挙げられることは、その意識を物語っている。ただし、長期化する裁判は一部に限られていて、一般的に日本の裁判は他国と比べて長いとはいえない。

裁判員制度の問題点は、本来、職業裁判官にも当てはまる問題である。これまで裁判官は社会から隔絶された存在として、心証形成に関する人間的限界があることは、政治的影響が強いケースなどの特殊例を除き、あまり一般には論じられてこなかった点で、放置されてきたが、裁判員制度として問題がある場合は、職業裁判官に裁判を行わせれば問題がなくなるものでない。

適用範囲

裁判員の適用は重大な刑事事件に限られている。

  • 裁判員制度が米国の陪審員制度とは異なり「民事事件に適用されない」とされたのは、米国資本の日本進出にあたってアメリカの国益を守るために、米国企業が対象となる可能性の少ない殺人などの刑事事件に絞ったという指摘がある。アメリカ企業が外国企業と争う裁判で、アメリカの陪審員がアメリカ企業に有利な判決を下すケースが多く、日本企業の多くが特許裁判などのアメリカの裁判で米国民の陪審員に不利な判決を下され巨額の賠償金を取られてきたことから、裁判員制度において日本においてアメリカ企業が逆の目に遭うことを心配しているということである[9]
  • 世論調査で、国民の抵抗感が最も大きいものの一つは「自分の判断で被告人を裁くのは嫌だ」という理由である。そのような観点からは、国民参加は刑事裁判より民事裁判でのほうが抵抗感が薄いと考えられるところ、最も心理的負担の重い重大な刑事事件に限ることで困難が増しているともいえる。裁判員制度の適用範囲については、法律自体において「重大な刑事事件」に限定していることから、どのような種類の事件なら国民が参加の抵抗感が少ないかという点についての議論が、ほとんどなされていない。
  • 特に、労働裁判においては職業裁判官は雇用主寄りの判決を出しやすい傾向にあるとして、米国などでは労働裁判についても陪審制が採用されている。日本においても、従前から労働裁判については選択陪審制の導入が労働弁護士らにより提案されてきたものの、経済界(雇用主側)の反発が強く実現には至っていない[10]。労働裁判は、最も民間感覚が生かせる場と考えられるのにもかかわらず、今回の裁判員制度の導入に際しても労働裁判への裁判員制度の導入は見送られている。

裁判員制度を題材にした作品

関連項目

文献

  • 西野喜一『裁判員制度の正体』講談社現代新書、2007年8月、ISBN 9784062879033
  • 生田暉雄『裁判が日本を変える!』日本評論社、2007年8月、ISBN 9784535515857
  • 田中克人『殺人犯を裁けますか?-裁判員制度の問題点-』駒草出版、2007年4月、ISBN 9784903186368
  • 五十嵐二葉『刑事司法改革はじめの一歩 裁判員制度導入のための具体的手続モデル』現代人文社、2002年4月、ISBN 4877980903
  • 五十嵐二葉『説示なしでは裁判員制度は成功しない』現代人文社、2007年4月、ISBN 4877983341
  • 池田修『解説裁判員法 立法の経緯と課題』弘文堂、2005年5月、ISBN 4335353456
  • 伊佐千尋『裁判員制度は刑事裁判を変えるか 陪審制度を求める理由』現代人文社、2006年5月、ISBN 4877982817
  • 河津博史、池永知樹、鍜治伸明、宮村啓太(共著)『ガイドブック裁判員制度』法学書院、2006年4月、ISBN 4587216151
  • 北尾トロ『裁判長!ここは懲役4年でどうすか 100の空論より一度のナマ傍聴』鉄人社、2003年11月、ISBN 4990073037
  • 九州大学法学部刑事訴訟法ゼミナール(編)『裁判員が有罪、無罪を決める 裁判員裁判の実験と成果 実践ガイド模擬裁判員裁判』現代人文社、2003年9月、ISBN 4877981640
  • 久保内統(文)、藤山成二(絵)『あなたも裁判員 漫画で読む裁判員制度』日本評論社、2003年7月、ISBN 4535514089
  • 小池振一郎、青木和子(共編)『なぜ、いま代用監獄か えん罪から裁判員制度まで』(岩波ブックレット)、岩波書店、2006年2月、ISBN 400009369X
  • 後藤昭ほか『実務家のための裁判員法入門』現代人文社、2004年12月、ISBN 4877982345
  • 小林剛『みんなの裁判 マンガでわかる裁判員制度と重要判例60』柏書房、2006年4月、ISBN 4760128883
  • 小林英明『イラストと事例でわかる裁判の仕組み 裁判員が判決を下す時代の到来!?』かんき出版、2003年12月、ISBN 4761261366
  • 四宮啓、西村健、工藤美香『もしも裁判員に選ばれたら 裁判員ハンドブック』花伝社、2005年1月、ISBN 4763404326
  • 最高裁判所(編)『裁判員制度ブックレット はじまる!私たちが参加する裁判』最高裁判所、2005年10月
  • 自由人権協会(編)『裁判員制度と取材・報道の自由 討議資料』自由人権協会、2003年10月、ISBN 4915723240
  • 高山俊吉『裁判員制度はいらない』講談社、2006年9月、ISBN 4062136007
  • 辻裕教『裁判員法 / 刑事訴訟法 (司法制度改革概説)』商事法務、2005年7月、ISBN 4785712430
  • 東京弁護士会法友会『徹底討論・裁判員制度 市民参加のあるべき姿を展望して』現代人文社、2003年3月、ISBN 4877981551
  • 内閣府大臣官房政府広報室(編)『裁判員制度に関する世論調査』内閣府大臣官房政府広報室、2005年
  • 鯰越溢弘『裁判員制度と国民の司法参加 : 刑事司法の大転換への道』現代人文社、2004年10月、ISBN 4877982140
  • 新倉修(編)『裁判員制度がやってくる あなたが有罪、無罪を決める 市民参加の裁判』(Genjin ブックレット)、現代人文社、2003年2月、ISBN 4877981497
  • 日本弁護士連合会(編)『裁判員制度と取調べの可視化』明石書店、ISBN 4750319848
  • 日本弁護士連合会ニューヨーク州調査報告団(編)『市民が活きる裁判員制度に向けて ニューヨーク州刑事裁判実務から学ぶ』現代人文社、2006年7月、ISBN 487798299X
  • 堀部政男(ほか編)『刑事司法への市民参加 高窪貞人教授古稀祝賀記念論文集』現代人文社、2004年5月、ISBN 4877981888
  • 丸田隆『裁判員制度』(平凡社新書)、平凡社、2004年7月、ISBN 4582852327
  • 三谷太一郎、佐藤博史、白取祐司、登石郁朗(共著)、北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター(編)『『国民の司法参加』の過去・現在・未来 : 陪審・参審・裁判員制度をめぐって』北海道大学大学院法学研究科附属高等法政教育研究センター、2003年10月46106179
  • 季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.41(2005年春)連続特集・裁判員制度と刑事弁護 1 公判前整理手続・連日的開廷が始まる! 特別企画・「取調べ可視化」実現へのプロローグ Part2、ISBN 487798240X
  • 季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.42(2005年夏)連続特集・裁判員制度と刑事弁護 2 選任手続はどうなるのか、ISBN 4877982418
  • 季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.43(2005年夏)特集: 連続特集・裁判員制度と刑事弁護 3 公判手続はどうなるのか? 特別企画・再審事件の現状、ISBN 4877982426
  • 季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.44(2005年冬)特集: 連続特集・裁判員制度と刑事弁護 4 量刑はどうなるのか? 特別企画・記録の取扱い、ISBN 4877982434
  • 季刊刑事弁護編集部(編)『季刊刑事弁護』No.45(2006年春)特集: 模擬裁判員裁判を検証する 特別企画・「取調べ可視化」実現へのプロローグ Part3、ISBN 4877982841
  • 法と心理学会機関誌編集委員会(編)『法と心理』第5巻第1号、日本評論社、2006年8月、ISBN 4535067252

外部リンク

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関連情報

脚注

  1. ^ 俗に言う「お礼参り」のこと。特に暴力団黒社会マフィア、過激派(テロ組織)など組織犯罪の場合その危険性が高まる。米国においては証人、陪審員に対しては国家による保護が付く場合がある。「沈黙の掟」、証人保護プログラムを参照のこと。
  2. ^ 『裁判員制度の対象となる事件の数(平成17年)』最高裁判所 裁判員制度ウェブサイト内
  3. ^ 裁判員制度、刑事裁判の充実・迅速化及び検察審査会制度に関する意見募集の結果概要
  4. ^ a b 2007年3月30日付配信 読売新聞
  5. ^ 毎日新聞2005年5月2日社説から。「仕事に支障」「面倒」が「判断が難しい」「人を裁きたくない」よりも負担が重いという論理の論調で記載されていた。「仕事に支障が出る」という理由が「判断が難しい」という理由より負担が重いというのはその人の状況次第で可能性があるが、論理的に見て「面倒だから」という理由が「判断が難しい」「人を裁きたくない」という理由よりも負担が重いというのはどう考えても100%の嘘である。
  6. ^ 内閣府が2005年2月、2006年末に裁判員制度に関する世論調査を行ったが、裁判員への参加意欲項目について、2005年調査は「参加したい」「参加してもよい」「あまり参加したくない」「参加したくない」だったのが、2006年末調査では「参加したい」「参加してもよい」「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」「義務であっても参加したくない」に変わっていた。それを受けて、「あまり参加したくないが、義務であるなら参加せざるをえない」を参加容認派と解釈して、見出しで毎日新聞インターネットサイトや日経新聞本紙では65%前後が参加するという報道姿勢をとった。
  7. ^ 2006年末に発覚したやらせタウンミーティング(タウンミーティング 小泉内閣の国民対話)問題。教育改革タウンミーティングでのやらせ問題は各マスコミが大きく取り上げたが、次いで発覚した司法制度改革タウンミーティングでのやらせ発覚については極めて扱いが小さかった。特に、裁判員制度と絡めた報道はほとんどなかった。
  8. ^ 2008年日本弁護士連合会会長選挙を受けての各新聞社社説。「司法制度改革は国民の期待」という論調の社説を掲載した新聞社が複数あった。しかし、2006年末の裁判員制度に関する内閣府世論調査で8割の国民が消極姿勢を示したこと、また、日本司法支援センター(法テラス)や法曹増員問題に関する世論調査データは存在しないことから、「司法制度改革が国民の期待である」というのは根拠のない捏造世論と言うしかない
  9. ^ 『拒否できない日本』(文芸春秋)関岡英之
  10. ^ 労働裁判改革のための意見書 (自由法曹団)