H1N1亜型
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![]() 復元されたスペインかぜ(H1N1)のウイルス
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分類(ウイルス) | ||||||||
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H1N1亜型(H1N1あがた Influenza A virus subtype H1N1)はA型インフルエンザウイルスの亜型の一つである。H1N1、A (H1N1)とも表記され、日本ではソ連型、Aソ連型とも呼ばれる。 スペインかぜとしてパンデミック(世界的流行)を起こしたウイルスもこの亜型の株である。ヒトに感染した場合の症状は比較的軽く、ブタの間でエンデミック(局地流行)を起こしたりもする。さまざまな種類の変異株が鳥類から発見された。
概要
H1N1の変異株はスペインかぜと呼ばれるパンデミックを起こし、1918年から1919年の間に5000万人から1億人の死者を出した[1]。また、ブタの間で伝染する株もある。
2005年、H1N1のゲノムが科学雑誌サイエンスで発表されたが、このゲノム情報がバイオテロに使われる恐れがあるとして論争が起こった。同誌には 「1918年のスペインかぜを起こした株と現在の株を比較した場合、約4400のアミノ酸のうち、25個から30個程度しか変異していないことが判明した。この変異によってトリ由来のウイルスがトリからヒト、さらにヒトからヒトへと感染するようになった。」 とある[2] 。 低病原性のH1N1は現在世界中に広く分布しており、2006年にヒトに感染したインフルエンザウイルスの約半数を占めている[3]。
スペインかぜ
スペインかぜは非常に致死率の高い悪性の変異株によって起こったインフルエンザパンデミックである。第一次世界大戦中の1918年から1919年の間に流行し、5000万から1億人の感染者が死亡した。 他の伝染病、戦争、自然災害などと比較しても、最も短期間で多くの死者を出した出来事であった。
スペインかぜはH1N1のインフルエンザウイルスによって起こったものであるが、H5N1やH5N2によって引き起こされるトリインフルエンザと類似性が見られる。H5N1と同様に全身にサイトカイン・ストームを引き起こすため、致死率が高かったと考えられている。
スペインかぜを起こしたウイルスは肺細胞に対して影響を及ぼす。肺組織でサイトカインを過剰に分泌させて免疫系を刺激する。これによって白血球が肺に移動し、肺の細胞を破壊して出血を伴う中程度から重度の肺胞炎、肺胞浮腫を引き起こすことで、患者は呼吸困難に陥る。このようなサイトカイン・ストームは、幼児や高齢者より、健康で免疫系が正常な若年の患者に起こりやすい。
ソ連かぜ
ソ連かぜは、1977年から1978年にかけてソ連で流行したA/USSR/90/77 (H1N1)によって起こったインフルエンザのエピデミック(局地流行)である。 よく似た株によるインフルエンザが1947年から1957年にも流行したため、免疫を持たない23歳未満の子供や青年に感染した。パンデミックと言われることもあるが、主に青年のみに感染したため厳密にはパンデミックではない。1978年から1979年にかけて製造されたワクチンにはこのウイルスが含まれている。日本ではH1N1をソ連型、もしくはAソ連型と呼ぶこともある[4][5][6][7]。
参考
- ^ NAP Book
- ^ New York Times
- ^ CDC
- ^ CNN interactive health timeline box 1977: Russian flu scare
- ^ Time magazine article Invasion from the Steppes published February 20, 1978
- ^ Global Security article Pandemic Influenza subsection Recent Pandemic Flu Scares
- ^ State of Alaska Epidemiology Bulletin Bulletin No. 9 - April 21, 1978 - RUSSIAN FLU CONFIRMED IN ALASKA