日本における衛星放送

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本項目では日本における衛星放送について解説する。

日本に於いては放送法に基づく放送(放送法施行規則に規定する衛星系による放送)として行われるものおよび電気通信役務利用放送法に基づく電気通信役務利用放送(電気通信役務利用放送法施行規則に規定する衛星役務利用放送)として行われるものがこれに相当する。

また、衛星放送の目的として当初は人口希薄な地域における難視聴地域の解消(すなわち既存放送コンテンツの再送信)があげられたが、その後地上系による放送では出来ない様な専門性の高い番組を提供するなどチャンネルを増やす目的の放送が広く行われるようになった。

また、日本放送協会(NHK)のBSは別途衛星契約が必要で地上契約(旧・カラー契約)に945円(毎月)を加えることとなる。2007年5月現在、NHK衛星契約者数はおよそ1300万件であるが地上契約のままの世帯も多い(殆ど視聴されていないがアンテナが立っているケースもある)。

衛星放送全般の弱点

  • 地上波テレビ放送用アンテナとは別に各種衛星放送用アンテナを立てて受信する必要があるが、放送サービスによっては別々にアンテナを立てる必要があることや衛星放送向けアンテナを立てること自体の必要性を感じない世帯も少なくなく、当初見込みほどの普及率には至っていない。普及率が上がっていない理由としては、他にも地方局におけるローカル番組の需要が強い地域も少なくない点[1]もある。
  • 使用電波帯域がSHF波であるがために、受信世帯周辺もしくは送信施設周辺において大雪や大雨などの荒天で電波が遮られやすい(特にkuバンドで起きやすい。一方、Cバンドは荒天による影響はほとんど受けない)ため、受信障害のリスクが大きくなる点である。これが一部では言われていた「衛星放送が地上波放送を駆逐する」論の破綻の大きな原因の一つになった。ただしそれもBSではデジタル放送開始により降雨荒天用のノイズに強い送信を行い、画質が低下しながらも内容を確認できる緊急用放送を実施できるようになっているのである程度克服していると言える(画質は地上デジタル放送のワンセグに近い)。

日本に於ける衛星放送の種類

日本に於いては、衛星放送について次の様に分類される。

放送事業者の種類

 
NHK放送センター西口側にあるBSアナログ衛星放送用アップリンク設備[2]パラボラアンテナ
  • 日本放送協会(NHK)の日本国内向けは委託放送事業者の1形態のみ。
  • 民間放送については委託放送事業者・受託放送事業者・衛星役務利用放送事業者・プラットフォーム事業者などの形態がある。→民間放送を参照
  • 放送(受託国内放送)
  • 放送(受託国内放送)および電気通信役務利用放送の混在

※国内放送として行われるBSアナログは人工衛星の寿命に伴い2007年10月31日をもって終了した。なお、その後の後継人工衛星(2007年8月15日打ち上げ。同年9月29日に引渡し)を使用したBSアナログはBSデジタルと同じく受託国内放送となり、NHKとWOWOWに付いていたアナログ放送でのコールサインは無くなっている。

人工衛星による区分

衛星放送は用いられる人工衛星によって、放送衛星(BS)と通信衛星(CS)に分けられる。

BSとCSの違い

もともとはBSによる放送は広範囲な一般視聴者向け、CSによる放送は特定の受信者(主に企業や業者)に向けてのものであった。

BSはより広範囲への放送を行う目的で設計されているため、衛星に搭載されているトランスポンダの出力が高く設定されていた。一方CSは前述の様に特定の受信者向けの放送を想定しており、トランスポンダの出力はBSより低く設定されていた。従って、このような送出側での出力の高低により受信側の設備もBSとCSでは異なっていた。

その後の放送法の改定などの影響もあり、現在ではBS放送、CS放送ともに実質的には違いは少ない。提供されているサービス面ではCS放送のほうがチャンネル数は多く、各分野に特化した番組(いわゆる専門チャンネル)が多数放送されている。またケーブルテレビ局からの放送においては衛星放送との同時送信を行う場合(サーバ型放送による再送信以外は同時送信となる)、BS放送の場合は「再送信」となる為、放送の内容を改変することは禁止されている。一方CSは衛星放送との同時送信であっても放送法の中での解釈はケーブルテレビ業者側の「自主放送」という扱いとなり、ケーブルテレビ業者の都合や事情などにより一部の番組やCMの差替えや送信中止、複数チャンネルの組み合わせによるパートタイム編成(複数チャンネル間で放送番組を選択して組みあわせて1つのチャンネルとして提供する)などが可能になっている。

衛星の種類

衛星の名称とトランスポンダの利用割り当て状況(2007年現在)[3]は以下の通り(それぞれの利用内容についての詳細は後述の各当該節を参照のこと)。

放送衛星(BS)
  • BSAT-1a(東経110度):2007年10月31日までBSアナログ放送で使用していた(BS-5,7,11ch※1)
  • BSAT-1b(東経110度):2004年5月10日から2007年10月31日までBSAT-1aの負荷電力低減のためBSアナログ放送(BS-9ch※1)を移動し使用していた
  • BSAT-2a(東経110度):BSデジタル放送(BS-1,3,13,15ch※1)→2004年4月26日からBSAT-2cの予備機
  • BSAT-2b:BSデジタル用(BSAT-2a)の予備機となる予定だったが静止軌道投入に失敗
  • BSAT-2c(東経110度):BSデジタル放送(BS-1,3,13,15ch※1)
  • BSAT-3a(東経110度):BSデジタル放送(BS-9ch※1)→2007年12月1日から/BSアナログ放送用衛星(BS-5,7,11ch※1)
  • BS-3N(東経110度):BSアナログ放送用予備衛星→2007年7月に軌道外投棄
  • MBSAT(東経144度):モバイル放送用衛星(モバHO!)

※1:表記のBSch番号(物理チャンネル)については後述を参照

通信衛星(CS)
  • SUPERBIRD-C(東経144度):SOUND PLANETi-HITSCATV向けサービス)、AccessTV、その他の放送サービス、放送以外のサービス(通信サービスなど)
  • SUPERBIRD-C2※2(東経144度):SUPERBIRD-Cの後継用
  • JCSAT-2A(東経154度):MUSIC BIRD、SPACE DiVA
  • JCSAT-3A(東経128度):スカイパーフェクTV!(パーフェクTV!サービス)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
  • JCSAT-4A(東経124度):スカイパーフェクTV!(スカイサービス)、JC-HITS(CATV向けサービス)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
  • N-SAT-110※3(東経110度):e2 by スカパー!(CS1/CS2ネットワーク)、放送以外のサービス(通信サービスなど)
  • JCSAT-11:他のJCSATのバックアップ機であるJCSAT-R(旧JCSAT-4)の予備機として導入予定だったが、搭載用ロケット(名称:プロトンM/ロシア製/カザフスタンバイコヌール宇宙基地で打ち上げ)の打ち上げが失敗(2007年9月)。

※2:SUPERBIRD-7の別称を持つ。
※3:SUPERBIRD-D/JCSAT-110の別称を持つ。

放送と通信による区分

日本では通信衛星を使って送信されている映像のうち放送事業者の扱いを受けていない場合は通信扱いである。海外においては放送と通信に差がないことが多い。実際には受信していた人も多かったが、通信サービスのチャンネルを個人宅で受信することは違法であるとされていた。海外の衛星についてはその後合法化された。

アナログによる衛星放送

BS

使用衛星:東経110度(BSAT-3a)(BSAT-1a)(BSAT-1b)(BS-3N)

1989年にNHKがKuバンド(14/12GHz帯)放送衛星「ゆり2号a」を用いて本放送を開始した。当初は第2放送は地上波の再送信のみで衛星受信料は徴収していなかった。BS-3N以前、地球や月の食のために放送休止があった(詳しくは後述を参照)。以後、日本の直接衛星放送はデジタル方式を含めもっぱらKuバンドを用いて行われている。映像をFM、音声をPCMデジタルで送出する。更に高精細度テレビジョン放送であるハイビジョンの試験放送をMUSE方式で開始した。

1991年には日本衛星放送(現・WOWOW)が民間で初の衛星放送を開始、またWOWOWと同じチャンネルのPCM音声のみを使用してラジオ放送を行う衛星デジタル音楽放送(St.GIGA。2003年にワイヤービーが合併、同年にWINJに営業譲渡)も同時開局している。

BSアナログ放送は地上波アナログ放送が廃止される2011年7月24日までに終了する予定である。「までに」なので同年以前の終了がないとは言えない。

日食による放送休止

春分と秋分をはさんだ各1ヵ月半は太陽の光で発電される放送衛星が地球または月の陰に入る(衛星から見て地球や月による日食)現象のため深夜放送を休止していた時期が1997年春まであった(台風や災害報道では放送に支障がない限り休止中の時間帯でも放送を続けていた)。月による食の放送休止は日中の時間帯にあった(10分程度。深夜の休止時は0:30から4時間)が現在の放送衛星は大容量のバッテリーを搭載し太陽の光で発電される電気を蓄えることができるようになったため、地球や月による食でも放送できるようになり放送休止は年数回のメンテナンス(機器保守)時期程度となった。やがてNHKではBSアナログ放送の放送休止は完全になくなった。2000年のBSデジタル放送開始以降、NHKでは現在までBSアナログ放送での放送休止は2006年に放送設備を更新した時だけである(送出を2系統化しているためメンテナンスがあってもアナログ放送は完全無休で放送。またWOWOWは不定期でメンテナンスのための放送休止あり)。これとは別に、春分と秋分をはさんだ各時期に太陽雑音という現象も発生する(主に通信衛星では起きやすいが、衛星の種類により異なる)。

チャンネル

デジタルBSにおいても同一の番組が放送されているがWOWOWは放送法附則第20項に基づく届出をしなかったため、放送法上ではサイマル放送ではない。WOWOWのサイマル放送スロットはスターチャンネルBSに割り当てられた。

CS

CS通信による専門チャンネルの配信は集合住宅やケーブルテレビ向けに行なわれていた。1989年放送法改正以後は個人宅向けの直接放送ができるようになった。これをうけて1992年に通信扱いの一部のチャンネルが放送扱いとなる。CS通信・放送(アナログ)の受信機はほぼBS兼用となっていた。主に日本衛星通信(株)のJCSAT衛星を用いる「CSバーン」および宇宙通信(株)のSUPERBIRD衛星を用いる「スカイポート」の2つのプラットフォームに別れ、両者で限定受信方式が異なっていた(COATEC方式とスカイポート方式)。1998年スカイポートディレクTVへ、CS BAANはパーフェクTV!(現・スカイパーフェクTV!)へ無償で移行された。

ミュージックバードはデジタルによる音声放送(PCM音声放送)であるが放送法によりアナログに分類される。2002年6月1日に電気通信役務利用放送へ移行した。このため現在では放送法に基づくCSアナログ放送は行われていない。

チャンネルについてはスカイポートCS BAANを参照。

方式

  • 映像はアナログ変調(FM)
    • 主搬送波周波数帯域27MHz(スカイポート36MHz)
  • 音声はデジタル変調(4相DPSK 2.048Mbps)
    • Bモード:48kHz16bitリニアPCM:32kHz14/10bit準瞬時圧伸、独立データ放送(240kbps)
    • Aモード:32kHz14/10bit準瞬時圧伸×2ch 独立データ放送(480kbps)
  • 映像はベースバンド信号を周波数変調、地上アナログ放送の振幅変調(VSB-AM)より高画質、高解像度
  • BモードはCDやBSデジタル放送より高音質でDATと同等である(Aモード音声で使われる独立音声放送はBモードステレオでは使用不可)。
  • 基本的に地上アナログ放送と同じNTSC方式であり文字放送対応、字幕放送対応などもおこなっていた(NHK衛星第2テレビのみ実施)。
  • CS通信・放送ではクローズド・キャプションによる英語字幕放送も行なわれていた。

スクランブル

  • M方式(松下電器産業が開発。ホテル向けアダルト番組や企業内通信サービスで使用していた)
  • NTT方式(JC-SATのNTT通信サービスで使用)
  • コアテック方式(WOWOWCS BAANで使用されていた方式。ミュージックバードでも利用しているがデコーダーは流用できない)
  • スカイポート方式(ソニーが開発。スカイポート通信・放送で使用されていた方式。コアテック方式よりも高画質であると言われる)
  • ソニー方式(ソニーが開発。当時、郵政省ミサワホームが主に使用していた。スカイポート方式と酷似している方式)
  • B-MAC方式(企業内通信サービスで使用)

デジタルによる衛星放送

BSデジタル

使用衛星:東経110度(BSAT-2a)(BSAT-2c)(BSAT-3a)

BSデジタルはBSアナログのデジタル版ともいえる。先述したとおり、2011年7月24日までにBSアナログは終了する。

概要

2000年12月1日11:00、NHKおよび民放キー局の関連会社などがBSAT-1b(のちにBSAT-2a)を用いて放送開始したISDB-S方式による衛星デジタル放送。テレビジョン放送、超短波放送(いわゆるBSデジタルラジオ、BSデジタル音声放送)およびデータ放送を同一の放送方式で送出するため、デジタル受信機が対応していれば1つの受信機で各種放送が受信可能である。

特徴

  • 高画質・高音質の迫力あるハイビジョン映像が楽しめる(画像はMPEG2圧縮、音声はAAC圧縮)。
  • テレビジョン放送では標準画質に解像度を落とす事で1チャンネルにつき3チャンネル分の分割放送(マルチチャンネル放送)ができ、デジタルWOWOWや地上波デジタル放送のNHK教育と同様、同じ時間帯で異なる内容の放送ができる。
    • WOWOWを除いたキー局資本の民放5局ではマルチ編成での放送はBSデジタル放送開局以来7年間は試験的な放送に留まり実質的にはメインチャンネルのサイマル放送となっていたが、2007年12月1日から本格的なマルチチャンネル放送を開始予定[4]。これに伴い、同じスポーツ中継で異なったコンテンツ(別解説・別のアングル映像など)を同時に流したり試合延長に伴う放送チャンネル移動(放送時間の延長)、3チャンネルで完全に別の番組を放送するなどの放送形態が予想されている。なお、現在のところキー局資本の民放5局の中で運用している局はない。
  • 番組表をテレビ画面で手軽に確認できるEPG(電子番組表)を標準規格化し、随時更新して放送。
  • 番組に連動した情報やニュース、生活情報などがリアルタイムで引き出せるデータ放送が放送可能。
  • 番組に連動してクイズやショッピングに参加できる双方向放送が可能。
    • 双方向放送に参加する場合、チューナーを電話回線に接続する必要がある。NHKの双方向番組ではインターネット接続のLAN端子搭載の機種でも対応している。
  • 音声の放送形式(フォーマット)にMPEG-2 AACを使用しているため、5.1chサラウンド音声が放送可能。対応機材を揃えれば5.1ch音声モードの番組を迫力ある臨場感で楽しむことができるが、ビットレートが抑えられているためしばしば破綻気味の音になることがある。
  • 映像信号とは別にニュース速報などの字幕スーパーの信号を放送にのせ、映像と合成して視聴者に見せることが可能。受信機によってはこれは録画されない。2007年7月現在、BS JAPANで使用されている。
  • 番組の録画/コピー禁止・可能を放送局側で制御可能。
    • 2004年4月5日からB-CASカードを利用したコピー制御(コピーワンス)が開始されB-CASカードをチューナー等にセットしないと視聴できず、またデジタル録画機器での放送番組のコピーに様々な制限が掛かるようになっている(詳細に関してはB-CASの項目を参照)。なお、B-CASカードは有料放送の限定受信制御にも利用されている。

放送局

2007年12月現在の放送状況は以下の通り。

  • テレビジョン放送 - 12チャンネル(マルチ編成チャンネル分とサイマル放送分は除く)
  • 単営データ放送局 - 1チャンネル

一部有料チャンネルを除き無料で視聴できる(NHKはアナログ同様受信料未納、衛星契約未締結でも視聴可能)。アナログによるBS放送ではNHK(2チャンネル)とWOWOWそしてアナログハイビジョンだけだったが、デジタル放送の開始に伴って新たに民放系が加わる事で最盛期には合計18チャンネル(テレビジョン放送10チャンネル、超短波放送(単営)11チャンネル、データ放送(単営)7チャンネル)に膨れ上がった。しかし開始後数年で企業体力の虚弱な局(主に単営の超短波放送・データ放送局)は次々と撤退していった。メジャー局の運営する超短波放送局についても後述する経緯(“BSの今後の展望”参照)により、現在は全て閉局している。ただし、今後は再びテレビ放送チャンネルの増加が予定されている(詳細は別項を参照の事)。

物理チャンネル

各物理チャンネル[5]への割り当ては以下の通り。

デジタル放送導入時~2007年11月26日未明まで

※デジタルWOWOW以外のマルチ編成は、同一局内のxx1とのサイマル放送のみで実施中

2007年11月26日以降
  • BS-1ch - BS Asahi:151(152、153はマルチ編成時)/BS-i:161(162、163はマルチ編成時、緊急用に169)
  • BS-3ch - デジタルWOWOW:191(192、193はマルチ編成時)/BS JAPAN:171(172、173はマルチ編成時、緊急用に179)
  • BS-5ch - アナログWOWOW(2011年までデジタル191とのサイマル放送→
  • BS-7ch - NHK BSアナログ1(2011年までデジタル101とのサイマル放送)
  • BS-9ch - BS11デジタル:211/スターチャンネルHV:200(チャンネル名称変更は2007年12月1日からで、それ以前の名称は「スターチャンネルBS」のままである)/TwellV:222(BS11デジタルTwellV2007年11月30日まで試験電波。その翌日に開局)
  • BS-11ch - NHK BSアナログ2(2011年までデジタル102とのサイマル放送)
  • BS-13ch - BS日テレ:141(142、143はマルチ編成時、緊急用に144)/BS FUJI:181(182、183はマルチ編成時、緊急用に189)
  • BS-15ch - NHK BSデジタルハイビジョン:103(104、105はマルチ編成時に使用)/NHK BSデジタル1:101/NHK BSデジタル2:102/WX24/Dpa

BSデジタル放送における放送局等の詳細はBS委託放送事業者一覧も参照。

視聴可能世帯

約3650万世帯(NHK調べ・2008年3月末現在の速報値)
放送開始当初は「放送開始から1000日(2003年8月頃)で1000万世帯への普及を目指す」との目標を掲げていたが、実際に視聴可能世帯が1000万世帯に達したのはその目標から2年遅れ(BSデジタル放送放送開始から数えて1735日・約4年8ヶ月)、2005年8月であった。しかし最近は地上デジタル放送の全国展開も手伝って普及スピードが一気に進み、1000万世帯達成から2000万世帯達成までには約1年3ヶ月の期間で済んでおり、さらに2007年10月末には3000万件を達成した(これを記念して郷ひろみを起用したCMが2007年秋から流されている)。

BSの今後の展望

  • 2000年のWRC-2000(国際電気通信連合世界無線通信会議)でBS17ch,19ch,21ch,23chがそれぞれ日本への追加割当が決定。2007年現在は具体的な利用方法が未定のため衛星にもトランスポンダは未搭載)。
  • 2005年8月に行われた放送法施行規則と放送普及基本計画の見直し(参照リンク)によりBSデジタル放送はハイビジョンテレビ放送に特化した運営が成されることになり、データ・超短波(ラジオ)放送局の設置目標数は大幅に削減された。この事により、これら既存の放送局は殆ど閉局・終了した。
  • 2006年7月の総務省内の研究会にて、2011年のBSアナログ放送終了にあわせてデジタル放送のチャンネル数を50チャンネル以上[6]とする報告書がまとめられた。これを受け、2008年春にも新規放送事業者を募る予定。全くの新規事業者以外にもCS等で放送している事業者の進出や現在の事業者が複数のチャンネルを運営する可能性が示唆されている。
  • 2007年9月、放送大学学園は2011年度に現在実施しているCS放送を終了しBSデジタル放送へ移行する事を検討すると報じられた[2]
  • 2007年7月、NHKが2011年をめどにデジタル衛星ハイビジョンを廃止、その代わりに衛星第1・第2を高精細化(ハイビジョンチャンネル化)する方向で検討に入ったと報じられている[3]。同年9月にまとめられた2008-2012年度の次期5カ年経営計画に盛り込まれ、総務省と調整を行うという。
  • 2009年に地上アナログから地上デジタルの視聴難聴者及び移行放送用として5年間の期間限定でNHK(総合・教育)と在京民放キー局5局の地上波デジタル放送を東京タワーから送信された電波を受信し、BSを用いてSD画質、データ放送無しでサイマル放送を開始する予定[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。(放送はスクランブル化され受信できる放送局は受信地域により異なり受信地域に系列局を開局している放送局のみになる予定。そのため在京民放キー局が全局受信が可能となる地域は北海道、関東広域圏、愛知県、大阪府、岡山県、香川県、福岡県のみとなる予定。但し、番組編成・放送内容は関東ローカルと同じ内容となるため関東広域圏以外の地域では地元局のローカル番組(NHK総合は裏送り送出番組も)は視聴できない。放送形態としては現在実施されている小笠原諸島大東諸島向けに行われている在京キー局の地上波再送信、地上波とCSでサイマル放送されている放送大学、かつておこなわれていたNHK-BSアナログ放送の試験放送、それにスカイパーフェクTV!でかつて放送していたCS★日テレ(無料放送)に近い)。

問題点

鳴り物入りで始まったBSデジタル放送だが、当初の予測よりも視聴者の増加が伸び悩んでいる(下記の各章を参照)。但し2006年には民放BS数局で上期(4~9月)広告収入が黒字化するなどの明るい材料もあり、少しずつではあるが魅力あるコンテンツを生み出せる状況が生まれつつある。

※放送形態(画面サイズや信号形式の違い)面の問題は地上波や他のデジタルテレビ放送と共通なので、デジタルテレビを参照の事。

対応チューナーの普及の遅れ
  • ハイビジョン対応テレビが高価な大型モデルに集中し、小型モデルのラインナップが未だ貧弱(2006年に15インチ型の対応モデルが松下電器産業シャープ等から発売されたがワイド画面では無い上、実売価格は6万円程と高価である。日本の狭い住宅事情もあってか大きく場所を取るブラウン管タイプの需要見込みが統計的に激減傾向にありパネルタイプが市場の主要を占めて廉価なブラウン管タイプは無い。2007年3月にはシャープからワイド画面でハイビジョン対応の16インチ型液晶モデルが発売されたが、それでも実売価格で9万円前後する)。
    • これについては、2011年7月24日の地上アナログ放送の停止に伴いアナログしか対応していない受像機には2011年以降使用できなくなる旨を表示したシールを商品に表示することになったため、技術向上と低価格化によりデジタル受信機の販売が加速されると考えられる(また、テレビ本体が対応チューナーを搭載していなくてもデジタルチューナー搭載型DVDレコーダーなどと接続すれば視聴可能)。
  • 2006年より登場したいわゆる“激安薄型テレビ”は2007年1月現在、まだ地上アナログ対応のみの機種もあり注意が必要であるうえ、デジタル対応を謳う機種でも地上デジタルのみを搭載しBS・110度CSデジタルチューナーを搭載しないものが多い。逆に地上デジタル放送開始以前の受信機器(2000年~2003年に製造)はBS・110度CSデジタルチューナーのみ搭載で地上デジタル非対応のものがある(最初期のものは110度CS非対応のものもある)ので同様に注意が必要である。
  • 現在、地上・BS・110度CSデジタル対応の単体チューナーを生産・販売しているのは以下のメーカーである。低価格なチューナーにはLAN端子が装備されていない物もある。
  • パーソナルコンピューターにおいてはテレビパソコンを謳う機種の大半が地上波チューナーのみの搭載で、BS・110度CSデジタルチューナーを搭載した機種はごく少数に限られている。
脆弱な広告収入
  • 視聴率を計測する会社(ビデオリサーチ)は現在BSデジタルの数値を(少なくとも定期的には)計測していない為、スポンサーが付きにくい(当然のことながらCMも全国一律でしか流せないことから、地方の有力スポンサーはBS番組のスポンサーになりにくい)。資金投資がしにくい事は質の高い番組を作る事が困難という事になる。
    • その反面、地上波では放送を実現しにくいジャンルの番組放送(アジア系ドラマなど)や視聴率獲得に走らない番組製作(紀行番組・経済番組など)が可能。実際その様な番組はBSデジタルの主軸の一つとなっており、満足度は必ずしも他のメディアに劣らないとする意見もある。また、地上波(主に関東地区)での視聴率の低迷を背景に巨人戦を中心としたプロ野球中継は年を追うごとに中継本数を増やしており、BSデジタル放送の普及や認知度向上の面で貴重なコンテンツになりつつある。
    • しかし、日本製コンテンツと娯楽性の高い番組の放送を多く求める層からはアジア系ドラマや紀行番組や経済番組を主軸する番組編成に対しての不満が根強い。
番組制作の著作権・番組出演者の肖像権の問題
  • 特に地上波キー局系5局はBSデジタル放送を利用して系列局の無い地域(NNS佐賀県宮崎県沖縄県JNN秋田県福井県徳島県と佐賀県・FNS青森県山梨県山口県と徳島県・ANNの7県・TXNの34府県)もカバーすることが期待されていたが、これらの壁で地上波で放送されている番組がBSデジタル放送を利用して自由に放送できないのが現状である(当初は地上波の同時・時差放送とごく一部の独自制作番組の編成を主体に行う計画だった)。しかし、視聴者の伸び悩みにマスメディア集中排除原則の規制緩和の方針を打ち出しておりBSデジタル放送を兼営することが出来るようになり、問題が解決される可能性が高い。この為、BSデジタルで放送される地上波の番組も増加傾向である。
  • NHKは地上波・衛星波共に同一法人であるため問題視されることが無く(ただし、海外向けの国際放送〈NHKワールドTV、NHKワールド・プレミアム〉では同一法人であっても、一部のスポーツニュースの映像素材やオリンピック期間中などでは他国の事情や放送権・肖像権の都合による制限がある)、地上波・衛星波が異なる法人である民放にこの問題が浮上している(CS放送においては日本テレビ系の「日テレG+」と「日テレNEWS24」、TBS系の「TBSニュースバード」と「TBSチャンネル」、フジテレビ系の「フジテレビ721&739」、テレビ朝日系の「テレ朝チャンネル」は地上波と同一法人で運営を行っているためある程度は問題視されることがないが、それでも著作権・番組出演者の肖像権による制限がある)。またこのような問題により地上波より先に放送される先行放送の番組が民放では当初は数番組程度あったが、現在は1番組のみである。
各放送局ごとの事情
  • NHKは地上波で放送されている番組をBS2・BShiを中心に放送することが多く、同時放送(NHKニュース(一部)や『NHKのど自慢』、『NHK紅白歌合戦』など)やBSでの先行放送(NHK朝の連続テレビ小説」、NHK大河ドラマ」など)も少なくない。さらには海外向けNHKワールド(海外衛星放送)で放送される音楽番組『J-MELO』も地上波のデジタル教育テレビマルチ編成(023CH)で国際放送の初回放送より1日早い、日本国内においての先行放送を行っている。
  • これに対して民放では地上波より早く放送される先行放送の番組は、テレビ東京BSジャパンの共同制作番組『水曜ミステリー9』(BSミステリー)を除き1番組もなく、前述の著作権・肖像権等の問題が原因で遅れ放送どころか地上波制作番組をBSで放送できない場合(主にアイドル出演番組や音楽番組ドラマ)が極めて多い。過去には『水曜ミステリー9』(BSミステリー)以外にも、関西テレビ放送制作でBS FUJIで全国放送されていた『ほんじゃに!』(2006年10月以降は先行放送から遅れ放送に変更)や開始当初はBS先行だったが途中からディレイ放送に変更された『MUSIX』(テレビ東京とBSジャパンの共同制作番組。既に放送は終了)などもあった。
  • また民放のニュース番組の同時放送もBS JAPANはほぼすべてで放送されるものの、他局では『Oha!4 NEWS LIVE』、『NNNストレイトニュース』(日本テレビ、BS日テレ、日テレNEWS24 月~金、この2番組もニュースによっては権利上の問題から静止画などに差し替えられることがある〈かぶせ放送〉。これはCS放送・日テレNEWS24の完全サイマル放送を前提に行われているため)に限られ、報道特別番組を行わない限り放送されていない。
  • BSジャパンは他の事業者とは異なりテレビ東京地上波番組は編成の半分以上を放送しているがニュース番組、スポーツ中継(野球、ゴルフ、競馬、マラソン、ボクシングなど)、『にっぽんの歌』(夏祭り・年忘れ)、大晦日の『東急ジルベスターコンサート』が同時放送される以外は数日(早いものでは翌日)から1年以上遅れの放送となっているのが現状である。
  • 地上波とBSの同時放送は上記の番組の他、レギュラー編成ではBS-iの『王様のブランチ』(TBSとBS-iの共同製作)、BSフジの『BSフジ競馬中継』(フジテレビの『みんなのケイバ』、関西テレビ・東海テレビテレビ西日本の『DREAM競馬』、北海道文化放送の『ドラマチック競馬』のいずれかを放送)がある。
  • このため各放送局の収益は芳しくない所が多く、既に撤退した放送局もある。このため民放キー局各社は赤字体質が続くBSデジタル放送の兼営ができるよう総務省に対してマスメディア集中排除原則の弾力的運用を希望しており、総務省側でも民放地上波キー局がBSデジタル放送の兼営ができるよう法改正を検討している(BSデジタルの「マス排」撤廃をどう考えるか)。ただしこれは同時に地方民放局の存在意義を脅かす問題(在京局による情報発信の一極集中化を加速させる事態など)にも発展する危険性もあり、これらの放送局との共存共栄を果たせるような配慮をした上での方針変更が必要とされる。
  • 2007年3月15日、衆議院総務委員会NHK予算審議で民主党寺田学は集合住宅に共同BSアンテナが設置されている場合、2011年地上アナログ放送が終了するために地上デジタル放送対応の機器を家庭に設置するとアナログと異なり機器のBS対応率が100%に近いため衛星放送はモアチャンネルで特に視聴意図が無い場合もほぼ必然的にNHK衛星受信契約義務が発生するのではないかとの問題を指摘した。2007年5月以降、総務省の受信料体系に関する研究会でもこういった場合、受信料を免除もできるようにすべきだとの意見が相次いでいる[7][8][9]
ケーブルテレビ導入時について

ケーブルテレビ(CATV)が住居棟に導入されている場合、局から有料で貸与・販売されるセットトップボックス(以下STB)で視聴するトランスモジュレーション方式で伝送している局が多い。このため、直接受信の場合は無料で見られる放送も無料では視聴できなくなっている。

BSデジタルのパススルー伝送は行われていないケースが多い。行われている局でも周波数変換パススルー方式で実施している。衛星放送で使われているSHF波およびアンテナ部からチューナー間で伝送で使われる周波数(電波の周波数による分類上はVHF,UHF帯。後述の#BS-IF/CS-IF使用周波数とチャンネルを参照)がケーブルテレビの伝送用に使用している周波数とは帯域幅が異なるためにそのままでは伝送できない事から、伝送可能な周波数帯に変換しているためである。局から有料で貸与・販売される元の周波数帯に戻すコンバーター(変換器)を用いて市販の当該チューナーでもそのまま視聴する。2007年現在、コンバーターが不要な同一周波数パススルー方式での伝送が将来的にできるように業界は動いている。

地上アナログ放送と同じ変調方式に変換して再送信してる局は徐々に減っているがいくつか存在する。この場合、再送信されているチャンネルが受信できる地上アナログチューナーを内蔵した機器(以下、地上アナログ機器。アナログSTB(ターミナル)や市販テレビや市販ビデオレコーダなど)があれば視聴できる(VHF1ch~12ch、UHF13ch~63chで再送信されていればほとんど全ての地上アナログ機器で視聴できる。CATV帯域で再送信されている場合は機器の説明書に「C13ch~C62ch」などの記載がされていれば視聴できる)。ただし再送信にスクランブルが施されてる場合、視聴は局から貸与されるアナログホームターミナルに限られる。

非加入者が視聴できる局は少ない。

CSデジタル

通信衛星を用いたデジタル伝送方式の放送である。現在主力となっている専門チャンネルの放送形式であり、衛星の位置・種類ごとにいくつかのプラットフォームに分かれている。

基本的に規格上はBSデジタルなどに近い仕組みなので、信号切り替えによるステレオ二ヶ国語(デュアルステレオ)放送など、アナログ放送では不可能なものも提供可能になっている。2005年現在は、ごく一部のチャンネルを除きアナログ放送並みのサービスしか提供していない放送チャンネルがほとんど。

スカイパーフェクTV!

使用衛星:東経128度(JCSAT-3A)・東経124度(JCSAT-4A)

1996年、JCSAT-3を使用してパーフェクTV!が放送を開始。JCSAT-4A(後述の配信事業者向け通信も参照)はJスカイBが使用する予定だったが、JスカイBは開局前にパーフェクTV!に合流し、スカイパーフェクTV!としてサービスを提供している。伝送方式は欧州方式(DVB-S)準規を用いる。なおJCSAT-3は寿命が到来し、2007年にJCSAT-3Aへと世代交代している。

ディレクTV

使用衛星:東経144度(SUPERBIRD C)

1997年、SUPERBIRD Cを使用してディレクTVが放送を開始したが2000年に放送終了し、この衛星は現在デジタル音楽放送SOUND PLANETUSEN)が使用(後述の配信事業者向け通信も参照)している。

モバHO!

使用衛星:東経144度(MBSat

移動体向け衛星放送「モバHO!」が2004年10月に放送を開始した。

東経110度CS放送

使用衛星:東経110度(N-SAT-110:SUPERBIRD D,JCSAT-110)

東経110度CS放送に用いられる通信衛星は放送衛星と同じ方角に衛星が打ち上げられており、BSデジタル放送と同一アンテナで受信できるのが特長(およそ2002年以前発売の家庭用BSアンテナは110度CS未対応。マンション等、業務用BSアンテナは、新築であっても110度CS未対応が多い。2006年11月現在)。2002年に放送を開始、伝送方式は日本方式(ISDB-S)を採用している。当初はスカイパーフェクTV!2・プラット・ワンepという3つのプラットフォームがあったが2004年、集約されてスカイパーフェクTV!110となった。それとは別に2004年11月にプラットフォーム・WOWOWデジタルプラスも登場した(2006年12月放送終了)。2007年、スカイパーフェクTV!110はe2 by スカパー!に名称変更。一部のチャンネルでハイビジョン放送が行われている。

受信設備
  • 2053MHzとCS-IF信号の伝送帯域が従来のBS放送より広いため、(特に共聴受信設備では)アンテナ・ケーブル・分配器・分岐器・ブースター・コネクター・壁面直列ユニット(アンテナコンセント)などの全てがこの伝送帯域に対応していることが必要である。従来のBSパラボラアンテナおよびフラットアンテナでは全てのチャンネルを受信できることは少ない。
  • 110度CSチューナー非搭載のビデオデッキDVDレコーダーと接続する場合、内蔵の分配器・分岐器が110度CS伝送帯域非対応であることがあり、アンテナケーブルはそれらの機器を経由せず伝送帯域に対応した分配器を用いて、110度CS受信機器に接続しないと受信できないことがある。これに対し、110度CSチューナーを内蔵したDVDやビデオレコーダーは110度CS伝送帯域対応の分配器・分岐器を内蔵しているので外部分配器を別に用意する必要はない。
    • 各対応機器の標準的な対応伝送帯域は「2150MHz対応」である。このほか2600MHzや2655MHz対応の物も存在する。これは将来、放送に使用される可能性の有る左旋回偏波放送をも共同受信設備で受信するための仕様である。2007年5月現在、具体的な放送開始の計画はない。

SPACE DiVA

使用衛星:東経154度(JCSAT-2A)

SPACE DiVAは2005年、MUSIC BIRDCANシステムがJCSAT-2Aを利用して始めた多チャンネル衛星ラジオ。オーディオ圧縮MPEG1 Audio Layer2(MP2)でサンプリング周波数48kHz、復調方式QPSKで256kbpsから64kbpsまでチャンネルによって情報量(音質)が異なる。

ケーブルテレビデジタル配信事業通信

  • 使用衛星:東経144度(SUPERDIRD C)※ディレクTVも参照。
CS放送用番組のケーブルテレビデジタル配信事業者である日本デジタル配信(JDS)が、ケーブルテレビ局および他のケーブルテレビデジタル配信事業者への送信(i-HITS)に使用している。
CS放送用番組のケーブルテレビデジタル配信事業者であるジャパン ケーブルキャストが、ケーブルテレビ局および他のケーブルテレビデジタル配信事業者への送信(JC-HITS)に使用している。

各放送の仕様一覧

デジタルテレビ」の仕様一覧を参照のこと。

BS-IF/CS-IF

衛星放送から送信されている周波数を受信後にそのまま同軸ケーブルに流すと非常に減衰が大きいため、受信アンテナ部で周波数を変換する。この変換部をBSコンバーターまたはLNB(Low Noise Block)などと呼ぶ。通常は衛星放送用のパラボラアンテナの先端などに取り付けられていて、そのためチューナーに接続した同軸線から電源の供給を受けている。また、LNBは局発(局部発信周波数:Local Frequency)と呼ばれる変換用周波数(通常は固定されていて変更不可能)を持っていてBS放送を例にとると衛星アンテナで受信したBS周波数は局発周波数(10.678 GHz)を減算したBS-IF周波数に変換し同軸ケーブルに流す。従ってチューナーの受信周波数はBS-IF周波数になる(BS周波数-局発周波数=BS-IF周波数)。

歴史

BS衛星放送関係年表
  • 1978年昭和53年)4月8日 実験用放送衛星(BSE)「ゆり」打上げ
  • 1984年(昭和59年)
    • 1月23日 放送衛星2号a「ゆり2号a」打上げ
    • 5月12日 NHKがゆり2号aによる衛星試験放送開始(当初はBS1(BS-11ch)とBS2(BS-15ch)で放送予定も衛星のトラブルでBS-15chのBS1のみで放送開始。1985年(昭和60年)にBS-11chでBS2の放送も始まった)
  • 1987年(昭和62年)7月4日 NHKがゆり2号bによる24時間放送開始(BS1)
  • 1989年平成元年)
  • 1991年(平成3年)
    • 3月30日 世界初の衛星デジタルラジオSt.GIGAによる衛星放送開始
    • 4月1日 初の民間衛星放送局WOWOWによる衛星放送開始
  • 1991年(平成3年)11月25日 ハイビジョン推進協会がハイビジョン試験放送(8時間/日)開始
  • 1994年(平成6年)11月25日 NHKと民放6社がハイビジョン実用化試験放送(8時間/日)開始
  • 1995年(平成7年)4月23日 St.GIGAがスーパーファミコンサテラビュー向けデータ放送(14時間/日)開始
  • 1997年(平成9年)4月17日 BSAT-1a(BS-4a)打ち上げ(この打ち上げた放送衛星より、大容量のバッテリーを搭載している)。翌年、BSAT-1b(BS-4b)打ち上げ
  • 2000年(平成12年)
    • 6月30日 St.GIGA、スーパーファミコン向けデータ放送終了
    • 12月1日 BSデジタル放送開始
  • 2003年(平成15年)1月17日 2.6GHz帯衛星デジタル音声放送が放送方式として制度化される(モバイル向け放送)
  • 2004年(平成16年)11月30日 BS955(メディアサーブ)・BS BIRD(ミュージックバード)が放送を終了。BSデジタル初の放送終了局となる
  • 2005年(平成17年)3月31日 St.GIGAの事業を引き継いだWorld Independent Networks JapanがBSアナログ放送を終了。BSアナログ初の放送終了局となる
  • 2007年(平成19年)
    • 9月30日(正確には10月1日1:00) BSアナログハイビジョン番組放送終了
    • 10月31日 BSアナログハイビジョン放送停波、同時にBSアナログ放送におけるハード・ソフト分離政策によりNHK及びWOWOWは衛星放送局を廃止し、翌日よりBSデジタル放送と同様の委託放送局となる
    • 12月1日 BSアナログハイビジョン放送終了に伴って空いた帯域を使った、BSデジタル放送のハイビジョンテレビ放送をBS11デジタルスター・チャンネルTwellV12の3社が開始。さらに民放5局の放送配信枠が1つから3つに拡大(マルチ編成が運用・許認可上でも可能になった)
CS衛星放送関係年表

(参考:予定)

  • 2008年(平成20年) スカイパーフェクTV!が伝送方式にDVB-S2、符号化(エンコード)方式にH.264を用いたハイビジョン放送を開始予定
  • 2011年(平成23年)
    • BSアナログ放送終了予定
    • BS/CS(B-SAT/JSAT)で東経110度軌道上に共同で衛星打ち上げを予定。BSは本サービス用、CSはバックアップ用になる予定[10]

脚注

  1. ^ 地上波の関西地区では全国ネットの巨人戦を阪神戦に差し替え中継する例が多い。
  2. ^ NHK 放送技術の歴史(pdfファイル)
  3. ^ 参考:衛星デジタル放送 情報ページ
  4. ^ マルチ編成放送については地上波デジタル放送では2007年現在、NHKを除いた民放各局はBSデジタルと同様な規制を受けているが、2011年12月1日以降は地上波デジタル放送でもこれと同様に民放各局でマルチ編成放送が可能になる予定。
  5. ^ 受信機のリモコン操作でのチャンネル番号(リモコンキーIDにより決定される)ではなく、その放送が使用している周波数帯域に放送法上で定義されている番号。
  6. ^ 2007年現在でBSデジタル放送で採用されている技術・規格(MPEG2の映像圧縮技術)では2011年のBSアナログ放送終了で空く3ch分の物理チャンネルと現状は使われていない4ch分の物理チャンネルを使用してもBSで50チャンネル以上というのは明らかに不可能(1ch分の物理チャンネルではハイビジョン放送は3チャンネルが限度)になる。次世代技術であるMPEG4 AVC/H.264での映像圧縮技術で行うことを想定したものと思われる(MPEG2では7物理チャンネルでハイビジョンなら最大21chとなり現状放送の11chと合わせても32chだが、MPEG4 AVC/H.264では7物理チャンネルでハイビジョンならMPEG2での2倍の最大42chとなり、現状放送の11chと合わせると53chが可能になる)。尚、2000年の国際会議で新規割り当てになった追加の4物理チャンネルを使用す場合はその周波数帯域の受信に対応した新しい受信機の購入が必須となることから、次世代技術規格の採用にも支障がないという判断も伴っている。
  7. ^ 総務省、NHKの受信料制度に関する研究会を立ち上げ、6月1日に初回会合
  8. ^ NHKの衛星受信料「免除も」・総務省研究会で意見相次ぐ
  9. ^ 総務省のNHK受信料研究会が第3回会合、衛星受信料体系の問題点を提起
  10. ^ ニュースソースは右の通り→[1]

関連項目

外部リンク