怪物パラ☆ダイス

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怪物パラ☆ダイス(もんすたーぱらだいす)は、メイクソフトウェア1997年7月17日に発売したプレイステーション用ボードゲーム。略称は「モンパラ」。さくまあきらのゲーム製作10周年記念作品。土居孝幸こいでたく関口和之と、初代「桃太郎伝説」のオリジナルメンバーが集結した。

怪物パラ☆ダイス
ジャンル ボードゲーム
対応機種 プレイステーション
開発元 メイクソフトウェア
発売元 メイクソフトウェア
人数 1〜8人(対戦)
メディア CD-ROM
(メモリーカード:1ブロック)
発売日 1997年7月17日
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概要

プレイヤーはトレジャーハンターとなり、「シャルル・ド・プリン13世」が残した財宝のあるゴールを目指す。

さくまが長年手がけてきた(TVゲームにおける)ボードゲームの総決算的な内容で、「面白いけど時間がかかりすぎる」と言われ続けた桃太郎電鉄シリーズに対して「ルールがシンプルで短時間で終わる」内容を目指した。[1]

製作の背景

製作自体は発売の5年前から進んでおり、諸般の事情から一度お蔵入りになっていた。[2]

時は流れて1996年ジャンプ放送局を終了させて「チョコバナナ」というイラスト投稿雑誌を立ち上げたさくま。そこに載ったイラストからインスピレーションを得たさくまは、オリジナルモンスターが大挙出演するボードゲームの企画を再始動させた。そして発売がちょうど上記のようなアニバーサリーの年となるのを知った友人一同は…。

システム・ルール

  • プレイ人数は1〜8人(マルチタップを両方に繋いだ場合)。1人で遊ぶ場合はコンピューターが代行する。4種類のキャラクター(男3人、女1人)が選べるが、能力に違いはない(CPUが操作する場合、思考ルーチンに若干の違いが出る)。複数のプレイヤーが同じキャラを選ぶことも出来る。服の色は、誰を選んでも1P青、2P赤、3P黄、4P緑で、桃太郎電鉄シリーズを彷彿とさせる。
  • 4つのステージに分かれており、プレイヤーはサイコロを振って進み、ステージごとの最後のマスを目指す。最後のマスを通過すると、次のステージのスタートマスに行ける。最終(第四)ステージのみ財宝マスがあり、ここに突入したプレイヤーは再度サイコロを振る。ここで1が出れば最終ボスとの戦闘になり、出なければその数の分だけ戻る。最終ボスとの戦闘に勝てばゲームクリアー、優勝者となる。
  • 初期体力は30。青い「プラスマス」に止まると体力が増え、赤い「マイナスマス」に止まると体力が減る。いずれもサイコロの出た目で数値が決まる。
  • カードを入手すると、サイコロを振る代わりにカードを使用することが出来る。効果は、自分の体力を増やす、相手を妨害するなど様々。戦闘中のみもしくは移動中のみ使えるカードがほとんど。
  • プラス・マイナス・カードの3種のマスに止まると、ランダムでモンスターとの戦闘が発生する。また、複数のプレイヤーが同じマスに止まると、後からマスに入った方が先攻で、プレイヤー同士の戦闘が発生する。
  • 戦闘は全てサイコロで行われ、出た目の数だけ相手にダメージを与えられる。相手のカードを盗んだり、自分がカードを使うことも可能。負けた(体力0になった)場合、そのステージのスタートまで戻されてしまう。その際サイコロを振って体力を回復し、また一からやり直さないといけない。
  • 複数のサイコロを振って「ゾロ目」が出た場合、出た数値の倍の効果が与えられる。例えば戦闘中、サイコロ2個で攻撃して2:2のゾロ目が出たら、2+2のさらに二倍で8のダメージが与えられる。マップ上、各マスでのサイコロによる体力増減も同じ。
  • システムの全てが「体力」と「サイコロ(ダイス)」に集約されている。カードを買う際に支払うのも体力で、「お金」の概念は存在しない。経験値やレベルも存在せず、体力は(上げようと思えば)最大999まであげられる。

主なモンスター

そもそもこの企画は、上記の「チョコバナナ(以下CB)」の投稿イラストのモンスターを使ってゲームを作る、というところから始まった。そのようなわけで、同誌の投稿者たちがデザインしたモンスターが多数出演している。さらに、10周年を記念してさくまあきらの友人である業界人たちがモンスターのデザインを提供した。これらはクレジットでは「チョコバナナオールスターズ」とされている(スタッフロールでは、モンスターとデザイン担当を一人一人確認できる)。

チョコバナナの投稿から採用されたモンスター

括弧内は雑誌掲載時のペンネーム。スタッフロール等では本名で載っている人もいる。

  • カオシリベー(作:蚕わかな) ゲーム誕生の直接のきっかけになった作品その1。
  • ワー(作:も) ゲーム誕生の直接のきっかけになった作品その2。
  • ポー(作:ヤングダックス)
  • ビブ(作:ヂュゲムP助)
  • ヴァイスピエロ(作:染井はいど)
  • ルク(作:東雲まほろ)
  • ようこそ(作:ユメみるバカねこ)
  • ゴーゴースト(作:空龍あるふぁ)
  • ギロチンゴースト(作:酒喜丸)
  • ガーディアン(作:KANERU-S)
  • ブルーハート(ボスモンスター)(作:幻想鬼)
  • クリムゾン(ボスモンスター)(作:幻想鬼) 1~4巻まで連続で大賞を取った投稿者。
  • アニマフランケン(ボスモンスター)(作:も)
モンスターをデザインした業界人(「」内がモンスター名)

逸話

  • 「シャルル・ド・プリン13世」のモデルは、このゲームの作者さくまあきら。それだけに「脳内出血により他界」という設定は「シャレにならん」と知人一同から不評だったという。[3]
  • さくまあきらの10周年記念のアニバーサリー作品という事で、友人の業界人たちからお祝いメッセージが送られた。それに対するさくまの返答も合わせて、ゲーム中の特定の場所をクリックすると見られる。
  • キャラクターデザインのこいでたくは、「桃太郎伝説」の時は洞窟担当(原画?)だったという。さらに桃太郎活劇までの女湯の原画も手がけた。「ドンチ」のデザインを提供した桝田省治も「桃太郎」のメインスタッフで、戦闘ルーチンや演出の担当だったという。今回もメインスタッフとして参加させようとするも、ゲーム5本を抱えて多忙につき実現ならず。モンスターの絵だけの参加となった。「ドンチ」という名前は、モンスターの顔が井沢ひろしに似ていると、さくまが命名。[4]
  • ゲストで参加したデザイナー達の話。「ゾンビ男」をデザインした大川清介。彼の独特な筆のタッチはドットでは表現しづらい、無理だよとさくまが伝えると「それはいいから、顔のまわりを飛ぶハエだけは忘れず入れてくれ!」と言ったという。カプコンの元デザイナー西尾仁志は、「ぜひ参加させてください。下手だったらボツにしてかまいません」と、3体のモンスターをデザインした。採用された「ガーゴイル」の他は、ゴーレムとヴァンパイア。さくまは「移植のときには、他の二体も登場させたいところだ」と言っていたのだが…。[5]
  • 学生時代の仲間がみんな参加しているのを見た榎本一夫。自分も参加したいと「オオカミ男」をデザインすることに。しかし久々の絵筆に緊張した彼は、土居孝幸に「どう描いたらいいのか」と相談。「変身前のサラリーマンの絵も描いたらいいんじゃない?」と言われ、その通りにした。が、実際には変身前の絵はいらなかった。「またえのクンは土居ちゃんの適当な言葉に騙された(byさくま)」。[6]
  • ボスモンスター「トンテンカン」は、人間プレイヤーだけの勝負でなおかつ1/64の確率でないと出現しない、実質的な隠しキャラ。メッセージの変な口調は、学生時代の堀井雄二のしゃべり方だそうだ。[7]
  • モンスター「ユーレイヒー」とボスモンスター「デビリアン」をデザインした、謎のイラストレーター「名古屋明」。さくまは最後までしらばっくれたが、その正体は名古屋在住の大物漫画家である。
  • かくて完成した「怪物パラ☆ダイス」だが、さくま自身はその出来に納得が行っていなかったという。詳しい事情についてさくまは「過ぎてしまったことを言うのは、男らしくないから詳しくは言わない」としながらも「CBから生まれたゲームの製作担当者が一度もCBを読んでくれなかったのはいまだに許せない」「その愛情のなさがゲームに出ている(具体的には「スタッフロールに誤植がある」など)」と、スタッフとの間に意識の温度差があったことをうかがわせる発言をしている。[8]
  • 年末年始の「桃鉄」と並んで毎年夏に出したい[9]と、「2」の企画を立てていたり、発売前から多機種への移植の話が出ていた[10]「モンパラ」だが、上記の理由により全て断ってしまった。CB投稿者たちによる「4コマ劇場」も、募集はしたもののやはり出版を断念した。だが、さくまの「チョコバナナ発のゲーム」という構想自体は、のちに「さくま式人生ゲーム」に受け継がれる。
  • 2003年の「ゲームセンター「CX」」のインタビューによると、続編(またはリメイク)を製作中だという。開発・発売元だったメイクソフトウェアは現在、ゲーム業界から撤退しているため、どのメーカーから出すのかは不明。
  • 豪華スタッフが参加したゲームでも知名度があるとは限らないのは業界の常だが、本作も例外ではない。上記の「CX」の書籍版では「モンスターパラダイス」と表記され、ネット通販「アマゾン」では「怪物パラダイス」(☆がない)として出品された上にメーカーが販売元の「エレクトロニックアーツビクター」になっている(本来は開発・発売元のメイクソフトウェアの名を出すべき)。本作の知名度の低さを示す現象であると同時に、ユーザーがネット等で本作を検索する際の障害ともなっている。

スタッフ

  • ゲームデザイン/さくまあきら
  • ゲームミュージック/関口和之
  • メインキャラデザイン/土居孝幸
  • プレイヤーキャラデザイン/こいでたく
  • マップデザイン/こいでたく・宍戸聡
  • 進行/佐久間真理子・牧野正
  • 音楽協力/フォニックス・笹沢一宏・辻邦博
  • 開発/メイクソフトウェア
  • 販売/エレクトロニックアーツ・ビクター


  • 佐藤憲亮/戦闘画面担当

さくまの事務所のメンバー。「チョコバナナ」1~4巻の選考スタッフでもある。

  • 石関秀行/敵キャラ発注担当

「チョコバナナ」3巻に登場。さくまが採用したモンスターの作者に、承諾書を送る。承諾が出たら前・後ろ・横の絵を発注。という流れを説明した。

  • AKD/女湯原画担当

「チョコバナナ」投稿者。のちに名誉会員・光組26番になる。

主題歌

  • 「ランデヴー」作詞:市原真紀 作曲:関口和之 編曲:宮路一昭村山知義 歌:パープルウォーム(松尾奈々恵) 発売元:東芝EMI(TYDY-2095)
    • ゲーム中では開始前の準備画面で流れる。ただし、インストゥルメンタルで、歌詞も曲名もない。
    • 間奏で榎本一夫のラップが入る。
    • パープルウォームは、ジャンプ放送局の頃より活躍していた投稿者。「チョコバナナ」での会員番号は光組2番。
    • 8cmCDでありながら、ゲームで使用されたBGMが3曲収録されている。実質、この作品の唯一のサウンドトラックでもある。
    • パッケージ裏表紙には「チョコバナナ」の宣伝とパープルウォームの全身写真が載っている。その写真を撮ったのはアニメ監督のひろたたけし。レコーディングに立会い、彼女の度胸や本番強さを気に入ったとの事。

参考文献

このゲームの誕生に深く関わった雑誌。コーナーのひとつ「モンスター部門」からさくまがアイデアを得て、実際に作品として完成するまでが、巻を追う毎に明らかになる。9巻に本誌から採用のモンスターの原画、10巻に有名人たちのモンスターの原画、11巻に上記の主題歌の製作秘話および最終ボスの原画、13巻に幻に終わった「4コマ劇場」の傑作選を掲載。
  • 「怪物パラ☆ダイス 速攻本」衆芸社、高須企画
モンスターの原画、お祝いメッセージが全て見られる。
  • 「怪物パラ☆ダイス公式 ダイスマスターへの道」 じゅげむ編集部 編 メディアファクトリー
巻末にはさくまあきらとこいでたくの対談を収録。

脚注

  1. ^ 「チョコバナナ」10巻p11より
  2. ^ 「チョコバナナ」9巻p13より
  3. ^ 「チョコバナナ」10巻p142より
  4. ^ 「チョコバナナ」11巻p45より
  5. ^ 「チョコバナナ」10巻p13より
  6. ^ 「チョコバナナ」10巻p15より
  7. ^ 「チョコバナナ」11巻p46より
  8. ^ 「チョコバナナ」12巻p111より
  9. ^ 「チョコバナナ」9巻p11より
  10. ^ 「チョコバナナ」10巻p16より