ヒ化ガリウム
ガリウムのヒ化物
ヒ化ガリウム | |
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IUPAC名 | ヒ化ガリウム(III) |
別名 | ガリウムヒ素 |
組成式 | GaAs |
式量 | 144.645 g/mol |
形状 | 銀色 |
結晶構造 | 閃亜鉛鉱型 |
CAS登録番号 | [1303-00-0] |
水への溶解度 | < 0.1 g/100 mL ( °C) |
融点 | 1238 °C |
ヒ化ガリウム(ひかガリウム、Gallium Arsenide)はガリウムとヒ素の化合物。ガリウムヒ素とも呼ばれる。IUPAC名はヒ化ガリウム(III)。
性質
常温で安定な結晶構造は閃亜鉛鉱型(ジンクブレンド型)構造。銀色の金属状化合物で、組成式GaAs。式量144.64、融点1238°C、比重5.310。砒素化合物の中では毒性は弱いが、酸や蒸気との反応で有毒なアルシンを発生させる。半導体材料としての性質は、1.43 eV のバンドギャップを持つIII-V族半導体であり、電子移動度は 0.85 m2/Vs、ホール移動度は 0.04 m2/Vs である。
特徴
一般的な半導体材料であるシリコンと比較して、電子移動度が高い。 また、アンドープ基板が非常に高抵抗(シート抵抗値が数 MΩ/□)を示す。 この基板を半絶縁性基板と呼ぶ。この基板は、現在のSOI技術によるFETと同じく、基板へのリーク電流や寄生容量を低減する。
これらの特徴は、高速動作、低消費電力の半導体素子の作成に有利に働いている。 その一方で、この半絶縁性の原因であるミッドギャップ近傍の準位は数msから数sの遅い時定数の応答を引き起こし、不安定動作の原因となっている。
用途
前記の利点を生かして、ヘテロ構造を使用した、HEMTやHBT等の高速通信用の半導体素子の材料として用いられる。 また、直接遷移形の材料であるため、赤色・赤外光の発光ダイオードに広く用いられており、半導体レーザーにも使用されている。