CH-53E (航空機)
CH-53Eは、シコルスキー・エアクラフト社がアメリカ海兵隊の要望によって開発した、重輸送を目的としたヘリコプター。愛称はスーパースタリオン(Super Stallion)、スタリオンは成長した種馬の意。社内呼称はS-80E。CH-53 シースタリオン(S-65)の強化型でその後継機として作られた、現在西側最大のヘリコプターである。ここでは掃海ヘリコプターで海上自衛隊も保有しているMH-53Eシードラゴンも紹介する。

概要
CH-53の機体中央部左側に3基目のエンジンを増設した機体である。開発は1971年より開始され、1981年から部隊配備が開始された。エンジンが増設されるとともに、各エンジンの出力向上も図られている。そのため、ローターのブレード数が6枚から7枚に増え、直径も2m拡大された。テイル形状も変更され、テイルローターは左側に20度傾けられた。
アメリカ海兵隊やアメリカ海軍では輸送目的に使用しているが、派生型として掃海用のMH-53E シードラゴンがある。MH-53Eは機体両側に大型のスポイソンを取り付けられているのが、CH-53Eとの大きな違いである。このスポイソンは燃料タンクであり、燃料搭載量は3倍近くに増加している。
MH-53Eはアメリカ海軍のほか、台湾海軍、海上自衛隊、イラン海軍で使用している。海上自衛隊は、FMS(有償供与)によって1989年から部隊配備を開始して11機を取得。1995年に事故により1機が失われ、残りの10機が岩国基地の第111航空隊で運用されている。海上自衛隊MH-53Eは近い将来退役が予定され、後継機はMCH-101に決定している。イラン海軍のMH-53Eはイラン・イラク戦争後はもっぱら輸送任務に使用していると見られている。
諸元(MH-53E)
- 全長(胴体のみ):30.19(22.35m)
- 高さ:8.46
- 幅:8.97m
- ローター直径:24.08m
- エンジン:3基(名称:T64-GE-416/419、出力:4,380SHP×3)
- 機体重量(自重/全備) 15,071kg・33,339kg
- 飛行速度(最大/巡航) 315km/h・278km/h(海面高度)
- 上昇率(海面上) 664m/m
- 上昇限度(実用/限界) 5,640m/3,520m(地面効果付きホバリング限界)
- 航続距離 2,070km(空輸時)
- 乗員:3名