ウィザードリィ

1981年のコンピュータゲーム

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ウィザードリィ (Wizardry) は、1981年に米国 Sir-Tech社からApple II用に発売されたコンピュータ・ロールプレイングゲームのソフトウェアである。このゲームはシリーズ化され、時代とともに対応するコンピュータを変えながら20年間にわたり発売され続けた。シリーズの各作品は、当初発売された機種用以外にも、PC/ATおよびその互換機、PC-9800シリーズ、またファミリーコンピュータスーパーファミコンプレイステーション等の家庭用ゲーム機、果ては携帯電話対応ゲームにまで、さまざまな環境に移植され続けてけている。また、日本での人気が高く、日本のいくつかのソフトウェア会社から、Sir-Tech社の移植版ではなく、ウィザードリィの名を冠した新たなオリジナル作品も発売されている。21世紀になってもこのゲームのファンはあいかわらず多い。

ウィザードリィは、ウルティマローグと並んでコンピューターRPGの原点、古典と言われ、その後の多くのゲームに影響を与えたゲームである。ウィザードリィ・シリーズの最初のいくつかの作品は、グラフィックは簡素で、プレイヤーの想像力で補う面が多いゲームだった。単純な線画(ワイヤーフレーム)で描かれたダンジョン(迷宮)の中を、武器を使う戦士、魔法使いなど、異なる能力を持ったキャラクターを組み合わせたグループ(パーティー)を組んで探検するのが基本で、ダンジョンでは、遭遇するモンスターを倒し、宝物の罠を回避して戦利品を持ち帰る、ダンジョンから出ると宿屋に泊まって体力を回復し、装備を整えて再び探検に出る、という単純な作業の繰り返しでゲームは進んでいく。その間に、各キャラクターは経験を積んで成長していき強力な魔法を唱えられるようになったり、戦利品から優れた武器を選び身に着けることで、パーティーは、ダンジョン内でより強いモンスターのいるエリアにも進出できるようになる。戦利品として得られる武器の種類の多さも魅力であった。

メインデザイナーはロバート・ウッドヘッド (Robert Woodhead) とアンドリュー・グリーンバーグ (Andrew Greenberg)。シナリオ#1『狂王の試練場』の狂王トレボー (Trebor) と邪悪な魔術師ワードナ (Werdna) の名は、彼等2人の名前を逆に綴ったものである。

シナリオ

本家

ウィザードリィには多くのシナリオがある。全てのウィザードリィの基本である“ウィザードリィ(Wizardry)”(ここでは便宜的に「シナリオ#1」とする)と、その続編であるシナリオ#2、#3、そしてその“番外編”的性格の#4、#1~#4の集大成ともいえる#5。さらに基本的なシステムを踏襲しつつ、画面表示を派手に、また呪文や選択できる職業・種族等を拡張して世界を広げた#6以降のシナリオ、である。なお、ファミコン版のシナリオ#2とシナリオ#3は内容が逆転している。また、「リルガミンサーガ(#1~3)」「ニューエイジ オブ リルガミン(#4・5)」「ウィザードリィ・コレクション(#1~7)」などこれまで発売された作品を1本のパッケージにまとめた製品も存在する。なお、システムや世界観など設定の違いから便宜的に#5以前を「旧Wiz」、6 (BCF) 以降を「新Wiz」と称する場合がある。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


  • Wizardry - Proving Grounds of the Mad Overlord (邦題『狂王の試練場』)
    • 全てのウィザードリィの基本となったシナリオである。ワイヤーフレームによる3Dダンジョンの表示、店や寺院・宿などの各種施設、職業やアライメント(性格)・種族、独特の呪文体系、迷宮内の罠や宝箱といったウィザードリィを形作る原型のほとんどがここにある。
    • 魔術師ワードナに盗まれたアミュレット(護符)を、狂王トレボーの命により奪還しにゆく、というストーリー。
  • Wizardry #2 - Knight of Diamonds (『ダイヤモンドの騎士』)
    • シナリオ#1で育てたキャラクターを転送して用いることを前提としている。従って敵となる魔物のレベルが#1と比べて高く、難易度も高めである。
  • Wizardry #3 - Legacy of Llylgamyn (『リルガミンの遺産』)
    • シナリオ#1で活躍したキャラクターの子孫の物語である。
    • 天変地異の原因を究明するため、伝説の龍ル’ケブレスが護る神秘の宝珠を探索するというシナリオ。
    • 迷宮のフロアの数は#2と同じく6層と、#1(10層)と比べて小規模なものである。しかし、キャラクターのアライメントにより侵入を拒まれるフロアが存在するために、2つのパーティを同時進行で育てる必要があり、#2とは別の意味で難しい。
  • Wizardry #4 - The Return of Werdna (『ワードナの逆襲』)
    • シナリオ#1の敵役でありトレボーに地下深く封印されたワードナが、自ら召還した魔物を引き連れ地上に戻るというストーリー。シナリオ#1~#3の「番外編」の様相が濃い。
    • クリアのためにはシリーズ中でも一二を争う難解な謎解きを要し、特に西欧の神話・伝承に通じていない日本人プレーヤーにとってヒント無しの攻略は厳しいとされる内容である。その難しさ故にファンの間でも評価の分かれるシナリオである。これまでのシナリオをクリアしてきたプレーヤーに対する制作者からの挑戦であるという解説もなされる。
  • Wizardry #5 - Heart of the Maelstrom (『災禍の中心』)
    • これまでほとんど変更されなかったシステムが、初めて見直されたシナリオ。武器に射程の概念が追加され、盗賊・忍者は戦闘中に影に隠れて奇襲できるようになった。また、呪文の追加、削除も行われた。
    • 1階層が20×20ブロックからなる定型のダンジョンを脱した初のシナリオでもある。多彩なノンプレイヤーキャラクター(NPC)との交渉や、広大な地下空間に点在する生活感のあふれる施設巡りを楽しむこともできる。
  • Wizardry 6 - Bane of the Cosmic Forge (『禁断の魔筆』)
    • シナリオ#5までとはがらりと変わった新時代WIZである。システムが大幅に改訂され、新しい種族や職業が多数追加された。また、魔法体系も全面的に変更され、4系統(魔法使い、僧侶、錬金術、超能力)、6領域(地水火風、精神、魔法)に分類された。呪文の名称も、プレーヤーに馴染み深かった名前が廃止され、英単語の名前になった。スキルが導入されるなど、キャラクターの成長や戦闘のシステムも変更されている。
    • シナリオとしては、書いたことが現実になるといわれる魔法のペンCosmic Forgeを求めて古城を探索することとなる。探索ではNPCの役割が殊更に重要となっている。それまでのWIZと決定的に違う点としてパーティーの再編成ができないことが特徴的である。一度城に突入すると、もう後戻りはできない。自由にセーブ&ロードが可能だが、そうでもないとまともにクリアできないほどの難易度を誇る。
    • 発売時のタイトルには「6」という番号はついていなかったため、原題を略してBCFと呼ばれることもある。
  • Wizardry 7 - Crusaders of the Dark Savant (『ガーディアの宝珠』)
    • Wizardry6 (BCF) のシステムを継承しているものの、別の惑星が舞台となり、雰囲気を一変させたシナリオ。冒頭から宇宙船が登場するなど、SF色が濃くなった。シナリオの目的は、大昔に哲学者が宇宙生成の秘密を隠したといわれる「アストラル・ドミナ」を求め、惑星ロスト・ガーディアを探検することである。
    • 発売時のタイトルには「7」という番号はついていなかったため、原題を略してCDSと呼ばれることもある。
  • Wizardry 8
    • Wizardry6 (BCF) から続く新Wizardry三部作の最終作であるが、米国Sir-tech社の経営難に伴って開発が大幅に遅れ、1998年10月の米国Sir-Tech社倒産後はカナダSir-tech社によって開発が引き継がれ、2001年にようやく発売にこぎ着けた。

外伝

シナリオ#1~#5の家庭用ゲーム機への移植を行なったアスキーが、ウィザードリィの基本的なシステムを崩すことなく新味を取り入れて制作した、日本オリジナルのシナリオである。“本家”であるアメリカのプレイヤーにも幅広く受け入れられ、高い評価を得た。

  • ウィザードリィ 外伝Ⅰ 女王の受難(The First Episode - Suffering of The Queen)
  • ウィザードリィ 外伝Ⅱ 古代皇帝の呪い(The Second Episode - Curse of the Ancient Emperor)
  • ウィザードリィ 外伝Ⅲ 闇の聖典(The Third Episode - Scripture of the Dark)
  • ウィザードリィ 外伝Ⅳ 胎魔の鼓動(Throb of the Demons Heart)
    • 日本に通じる雰囲気をもつ遙か東の国「緋蓮」を舞台としている。

アナザーストーリー

本編や外伝とは別に、システムと世界観を踏襲した作品が数多く存在する。

  • ウィザードリィ エンパイア
  • ウィザードリィ エンパイア ~復活の杖~
  • ウィザードリィエンパイア ~古の王女~
  • ウィザードリィエンパイアIIプラス ~王女の遺産~
  • ウィザードリィエンパイアIII ~覇王の系譜~
  • BUSIN~Wizardry Alternative~
  • BUSIN 0 Wizardry Alternative NEO

携帯電話向けのシナリオ

DoCoMo,au,ボーダフォンの携帯電話端末に配信するゲームに、ウィザードリィの名を冠するものが複数存在している。携帯電話の小さな画面でも操作しやすくするため、1フロアの大きさを16×16としたり、パーティのメンバーを最大4名にするなどの工夫がされている。

関連書籍

  • ヘッドルーム『ウィザードリィ事典』 冬樹社(1991)
  • ヘッドルーム『ウィザードリィ大事典』 ソフトバンク(1996)
※ 下巻には『ウィザードリィ小説アンソロジー』に収録された短編『不死王』が併録されている
  • 古川日出男
    • ウィザードリィ外伝II 砂の王(1) (イラスト:小島文美)』 アスペクト ログアウト冒険文庫(1994.03.22) ※ 未完・絶版
  • 矢野徹
    • ウィザードリィ日記―パソコン文化の冒険』 アスペクト(1988.05) ※ 絶版
    • ウィザードリィ日記―熟年世代のパソコン・アドヴェンチャー』 角川書店 角川文庫(1989.07.25) ※ 絶版
    • 続・ウィザードリィ日記―未来はバラ色』 アスキー Login Books(1991.07.20) ※ 絶版
    • ウィザードリィ幻想曲』 マイクロデザイン出版局 RPG books(1992.05.10) ※ 絶版