螺旋

3次元曲線

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螺旋(らせん)とは、3次元曲線の一種で、回転しながら回転面に垂直成分のある方向へ上昇する曲線である。ヘリックス (helix)。螺線(らせん)とも。「螺」は「ラ」「にし」と読み、タニシ(田螺)やサザエのような巻き貝貝殻を意味する。

螺旋
巻き貝類の多くは螺線構造をもっている

渦巻も螺旋・螺線と呼ぶことがあるが、異なる2次元曲線である。渦巻と区別するために、本来の3次元曲線の螺旋を弦巻線または蔓巻線(つるまきせん)と呼ぶことがある。

螺旋と螺線の使い分けはほとんどされないが、螺旋を現実の構造物、螺線を数学的図形とすることもある[1]。螺旋を弦巻線、螺線を渦巻線の意味とすることもある[2]

以下では本来の螺旋(弦巻線、ヘリックス)について述べる。

螺旋の例

渦巻と螺旋

 
螺旋を平面に投影すると渦巻となる。
渦巻と螺旋との比較
 渦巻螺旋(弦巻線)
英語spiralhelix
次元2次元曲線3次元曲線
蚊取り線香一様螺旋)、アンモナイトの殻(対数螺旋)、ロールケーキアサガオつるコイルばね常螺旋)、DNA二重螺旋)、ねじ

スパイラルとヘリックスの混同は英語でも見られるが、日本語とは逆に、本来ヘリックスであるものがスパイラルと呼ばれることが多い。たとえば、螺旋階段は英語ではspiral stairwayである。

螺旋を平面に投影すると、渦巻の一種の双曲螺旋となる。

数学的表現

媒介変数   を使って次のように表せる。

 
 
 

円筒座標を使えば、もっと単純に表せる。

 
 

回転する模様として

螺旋は回転させると、その方向に応じて上昇、あるいは下降して見える。床屋の看板やコマの軸の模様に多くの例がある。

象徴としての螺旋

螺旋は、運動性や生命力を感じさせる面があるので、芸術作品などにおいては、様々な意味を込めた象徴シンボルとして用いられることも多く、作品のタイトルとなっている例も多い。(→螺旋 (曖昧さ回避)

また、基本的には繰り返しの構造でありながら、同じ位置をたどらず、例えば無限に上昇する構造を歴史生命になぞらえる例もある。

なお、無限上昇のカノンは別名を螺旋カノンと言い、一つの旋律が繰り返す際に少しだけ音程を高くして始まるようになっており、繰り返すにつれてどんどん音程があがってゆくものである。バッハの「音楽の捧げもの」にその例がある。実際には1オクターブ上がったところで終了させるか、そこでもとの音に戻って終了させる。もちろん実際に無限に上昇するのは不可能であるが、コンピューターミュージックなどで音程があがるにつれて音量を抑え、旋律の音程があがるにつれて1オクターブ下に新しく旋律を追加するようにすれば、無限上昇を実感できる。

文献

  1. ^ 岩波書店広辞苑』第4版の記述を要約
  2. ^ アルク『数学基本用語辞典』1994年版

関連項目