熱電対

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熱電対(ねつでんつい、thermocouple)は温度差を測定するセンサ熱電能の異なる二種の金属を接合して、2つの接合点を異なる温度にすると、一定の方向に電流が流れ、熱起電力が生じる現象(ゼーベック効果)を利用した温度センサである。

使用する金属は、接合する各金属ごとに測定範囲、測定精度などが異なるため、材料の費用も考慮に入れて適切に選択する。熱電対の種類、素線径などは各種規格(IECJISANSIなど)によって定められている。

形式

 
構造

熱電対は、常温付近で使用されることが多いが、高温領域や極低温領域でも用いられることが前提とされている。そのため、低温脆性が少なく、耐熱性や耐酸性・耐アルカリ性などを持つ、化学的にも物理的にも安定した金属である 白金 (Pt)、レニウム (Re)、タングステン (W)、 (Ag)、 (Au) といった貴金属や、それらを含む合金類を用いることが多い。

全ての配線をこれらの素材で行なうと極めて高価となるため、感温部のみにこれらの貴金属類を用い、常温付近となる配線用の部分にはこれらの貴金属と同じ熱電能を持った比較的廉価な金属を成分とする合金線を用いることができる。この際用いられる合金線は「補償導線」と呼ばる。また、補償導線等の接続には同じ熱電能の合金により製作されているコネクタにより接続し、これらを用いて計測器の温度均一、温度変化の少ない機器内部などの温度補償された接続部分まで配線する必要がある。なお、補償導線の規格JIS C 1610 に定められている。

熱電対の測温部分は温度の計測要求に応じて接触型・非接触型で用いる。また、細い熱電対を保護するため「熱電対保護管」を用いる。この保護管には金属(ステンレス、カンタル、インコネル、チタン、ハステロイ)、非金属(硬質ガラス、高純度アルミナ石英ジルコニア窒化ケイ素テフロン)などが用いられる。

金属保護管に酸化マグネシウムシリカ粉末で充填した構造のものを「シース熱電対」といい、太さ0.25ミリメートル程度のものまである。 通常の熱電対は温度変化に対して鈍感な物であったが、13ミクロンメートル程度まで市販されている極細熱電対によりミリsec単位の早い温度変化と微小対象物も計測することが可能となった。

種類の例

記号 +極(脚) −極(脚) 使用温度範囲(℃) 特徴
K クロメル アルメル −200–+1000 熱起電力の直線性が良い
E クロメル† コンスタンタン −200–+700 熱起電力が大きい
J コンスタンタン −200–+600 さびやすい
T コンスタンタン −200–+300 熱伝導誤差が大きい
R 白金ロジウム合金(ロジウム13%) 白金 0–1400 ばらつきや劣化が少ない
B 白金ロジウム合金(ロジウム30%) 白金ロジウム合金(ロジウム6%) 0–1800 ばらつきや劣化が少ないが起電力が小さい
W/Re5-26 タングステンレニウム合金(レニウム5%) タングステンレニウム合金(レニウム26%) 0–2480 最高温対応.還元雰囲気のみで使用できる
IrRh イリジウム イリジウムロジウム合金(ロジウム40%) 1100–2000 高温で使用.酸化雰囲気でも使用可能
CrAu ニクロム 合金(鉄0.07%) 1–300K 低温用
CuAu コバルト合金(コバルト2.11%) 4–100K 極低温用

† 登録商標。


関連項目