1974年の日本シリーズ
1974年の日本シリーズ(1974ねんのにっぽんシリーズ)は、1974年10月16日から10月23日まで行われたセ・リーグ優勝チームの中日ドラゴンズとパ・リーグ優勝チームのロッテオリオンズによる日本プロ野球の日本選手権シリーズである。
| ゲームデータ | |
|---|---|
| 日本一 ロッテオリオンズ 4勝2敗 | |
| 試合日程 | 1974年10月16日-10月23日 |
| 最高殊勲選手 | 弘田澄男 |
| 敢闘賞選手 | 高木守道 |
| チームデータ | |
| ロッテオリオンズ(パ) | |
| 監督 | 金田正一 |
| シーズン成績 |
69勝50敗11分 (後期1位/PO優勝) |
| 中日ドラゴンズ(セ) | |
| 監督 | 与那嶺要 |
| シーズン成績 |
70勝49敗11分 (シーズン1位) |
| パリーグプレーオフ | |
| 1974年のパシフィック・リーグプレーオフ | |
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戦評
金田正一監督率いるロッテオリオンズと読売ジャイアンツのV10を阻んだ与那嶺要監督率いる中日ドラゴンズの対決となった1974年の日本シリーズは、ロッテが4勝2敗で勝利し、毎日時代の1950年の第1回以来、2度目の日本一。中日の野手・投手陣は、高木守道、トーマス・マーチン、谷沢健一、木俣達彦、星野仙一、松本幸行の野手・投手陣、一方、ロッテの野手・投手陣は、山崎裕之、有藤道世、弘田澄男、ジム・ラフィーバー、村田兆治、木樽正明の野手・投手陣の戦いは、第1・2・4戦が逆転、第6戦が延長戦と混戦だった。また、両チームともに守りにミスが多かったのが、この混戦とも言える。8対5とロッテが制した第2戦では、両チームともに3失策。6試合で17失策というお粗末さ。また、両チームともに決め手を欠く投手陣で、投手起用数も多く、第2戦では両チーム合わせて13人の投手を起用する試合になった(新記録)。MVPは弘田澄男が獲得。
試合結果
第1戦
10月16日 中日 入場者22148人
| ロッテ | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中日 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2x | 5 |
(ロ)金田、水谷則、成田、木樽、●村田(1敗)-村上
(中)松本幸、三沢、渋谷幸、○星野仙(1勝)-木俣
本塁打
(ロ)弘田1号ソロ(4回三沢)
[審判]セ岡田和(球)パ道仏 セ竹元 パ岡田豊(塁)セ久保田 パ斎田(外)
3対3で迎えた9回表、ロッテは星野仙一を攻め、山崎裕之のタイムリー二塁打で勝ち越す。リードを奪ったロッテは9回裏に村田兆治を投入するが、1死1、2塁から高木守道が村田をとらえ、左中間二塁打で2者生還、劇的な逆転サヨナラ勝ち。
第2戦
10月17日 中日 入場者24798人
| ロッテ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 4 | 1 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中日 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 |
(ロ)木樽、八木沢、三井、水谷則、○成重(1勝)、村田-榊、土肥、村上
(中)鈴木孝、竹田、渋谷幸、稲葉、●星野仙(1勝1敗)、星野秀、水谷-木俣
本塁打
(ロ)山崎1号ソロ(6回竹田)
(中)広瀬1号ソロ(5回木樽)、有藤1号ソロ(8回星野仙)
[審判]パ斎田(球)セ松橋 パ道仏 セ竹元(塁)パ大野 セ久保田(外)
3-5とリードされたロッテは、8回、有藤通世の本塁打、弘田澄男の適時打と前日に続いて星野仙を攻略。急遽リリーフした星野秀孝から得津高宏が2点適時打を放ち、逆転。一方、ロッテの村田は8回9回を無安打に抑え、前日の汚名返上を果たした。両チームのリリーフエースが明暗を分ける形になった。
第3戦
10月19日 後楽園 入場者29103人
| 中日 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロッテ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 | 4 |
(中)○松本幸(1勝)、S鈴木孝(1S)-木俣
(ロ)●成田(1敗)、八木沢、水谷則、成重-土肥、村上
本塁打
(中) 谷沢1号3ラン(4回成田)、島谷1号ソロ(6回成田)、谷沢2号ソロ(6回成田)
(ロ)前田1号3ラン(8回松本幸)
[審判]セ松橋(球)パ大野 セ岡田和 パ道仏(塁)セ竹元 パ岡田豊(外)
中日が谷沢健一の3ラン、島谷金二の2ランで5点をリード。8回、好投を続けていた松本幸行が前田益穂の3ランで1点差に詰め寄られると、中日は鈴木孝政を投入し、逃げ切った。
第4戦
10月20日 後楽園 入場者43128人
| 中日 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロッテ | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | 0 | X | 6 |
(中)稲葉、水谷寿、竹田、●渋谷幸(1敗)、三沢、星野秀-木俣
(ロ)○金田(1勝)、S村田(1敗1S)-村上
本塁打
(中)高木守1号ソロ(1回金田)、マーチン1号ソロ(6回金田)
(ロ)弘田2号ソロ(6回渋谷幸)、有藤2号ソロ(6回渋谷幸)
[審判]パ岡田豊(球)セ岡田和 パ大野 セ久保田(塁)パ斎田 セ松橋(外)
6回に同点に追いつかれたロッテは、その裏、弘田、有藤の連続本塁打、岩崎忠義の適時打で再び突き放した。7回から村田を投入、村田は3イニングを1安打無失点で起用に応えた。
第5戦
10月21日 後楽園 入場者28187人
| 中日 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ロッテ | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | X | 2 |
(中)●鈴木孝(1敗1S)、竹田-木俣
(ロ)○木樽(1勝)-村上
[審判]セ竹元(球)パ斎田 セ久保田 パ大野(塁)セ岡田和 パ道仏(外)
ロッテは1回、岩崎がヒットで出塁、飯塚佳寛が送りバント、得津のタイムリーヒットであっという間に先制。7回にもヒットで出塁した有藤が盗塁、暴投で3塁に進み、村上公康がスクイズを決め、追加点。守っては木樽正明が危なげないピッチングで2安打無四球の完封勝利。ロッテが日本一に王手をかけた。
第6戦
10月23日 中日 入場者23433人
| ロッテ | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中日 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
(ロ)○村田(1勝1敗1S)-村上
(中)松本幸、●星野仙(1勝2敗)-木俣
本塁打
(ロ)千田1号ソロ(5回松本幸)
[審判]パ道仏(球)セ久保田 パ斎田 セ松橋(塁)パ岡田豊 セ竹元(外)
ロッテはここまで好救援を見せていた村田が意表をつく先発。2-2で迎えた10回表、ロッテは弘田の左中間を破るタイムリー二塁打で勝ち越し、そのまま逃げ切り日本一を決めた。村田は10回を完投。中日は5回途中からロングリリーフの星野仙が踏ん張ったが、10回に力尽き、実質的に3度のリリーフ失敗となったのが痛かった。
表彰選手
- 第1戦:10月16日
- 第2戦:10月17日
- 第3戦:10月19日
- 第4戦:10月20日
- 第5戦:10月21日
- 第6戦:10月23日
- 中日が前回優勝した20年前は在名民放テレビ局がなかったため、当然ながらCBCと東海テレビの両局にとっては初の日本シリーズ中継となった。
- この年は腸捻転最後の年でもあり、朝日放送にとっては第1戦が最後の中日ドラゴンズ・ホームゲームのテレビでの放送となった(ラジオは翌年以降も継続)。ちなみに第1戦の先発は、中部日本放送のエリアで生まれ育ったロッテ金田留広と朝日放送のエリアで生まれ育った中日松本幸行である。
- 第5戦は中京圏では東京12チャンネルの親企業である日本経済新聞社と結びつきが強い中京テレビ放送からではなくて、名古屋放送がネットしたが(テレビ愛知開局は9年後)、NETの『13時ショー』(黒柳徹子司会)との兼ね合いもあって、午後2時(JST)からの飛び乗りネットとなった。ちなみに東京12チャンネル→テレビ東京の次のシリーズ中継は、29年後の福岡ダイエーホークスVS阪神タイガースまで待たなければならない。
- 金田監督の胴上げ試合となった第6戦はNHK総合の独占中継となったが、日本シリーズのテレビでのNHKの独占中継は今のところ、この試合が最後である。また、開催されなかった第7戦はCBCと東海テレビが並列中継する予定だった。
- ロッテの当時の事実上の本拠地宮城県の民放では
- で中継された。(第5戦は東京12チャンネル制作だが、宮城県では親局が同じ12chという理由からでもないだろうが、仙台放送で中継された。なお、宮城県では当時も、そして現在も東京12チャンネル→テレビ東京の系列局はない。また、この時点で東日本放送は未開局であった)
ラジオ中継
- 第1戦:10月16日
- 第2戦:10月17日
- 第3戦:10月19日
- 第4戦:10月20日
- 第5戦:10月21日
- 第6戦:10月23日
- ※なお、宮城県の民放ラジオでは全ての試合をTBCラジオで中継した。(どの系列の中継を放送したか詳細不明)