MW (漫画)

日本の漫画

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MW』(ムウ)とは手塚治虫の漫画作品で、「ビッグコミック」(小学館1976年9月10日号 - 1978年1月25日号に連載された。同作品を原作とした日本映画2009年7月4日より公開された。また同年6月30日には、映画連動企画のテレビドラマも放映された。

概要

タイトルであり作中の化学兵器の名でもある「MW」とは、主人公の美知夫が得意とする犯行の際の、女装男娼的行為から「Man&Woman」との説がある。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


ストーリー

梨園に生まれたエリート銀行マンの結城美知夫(ゆうきみちお)には、狂気の連続凶悪犯罪者としての顔があった。犯行を次々に重ねては、その後に教会を訪れ、旧知の賀来巌(がらいいわお)神父[1]のもとで懺悔をする美知夫。しかし、2人は同性愛者として、肉体関係を結んでいた。

かつて美知夫は、少年時代に南国の沖ノ真船島(おきのまふねじま)を訪れ、この地にたまたま来ていた不良少年グループにかどわかされた経験をもつ。その際、同島に駐留する某外国軍の秘密化学兵器MW(ムウ)」が漏れた。島民が相次いで変死する地獄絵を目の当たりにしたトラウマと、自らも毒ガスを吸ったショックとから、美知夫は心身を蝕まれる。

そして、不良グループの一員だった賀来の手で、凄惨な場面から逃げおおせたのもつかの間、避難先で賀来に強引に犯される。主従関係は変わっても、2人の奇妙な関係はその後も続いていたのだった。一方、沖ノ真船島の犠牲者たちは、外国軍および彼らと結託した政治家らの手によって跡形もなく処分され、島の秘密を知っているのは美知夫と賀来だけとなってしまう。

自分の心身の健康を奪われた美知夫は、当事者への復讐として数々の誘拐事件と猟奇殺人を繰り返した末にMWを奪い、全世界を自分の最期の道連れにしようとたくらむに至る。それを阻止し、美知夫を救済すべく動き回る、賀来神父の苦悩と救済と改悛を拒否しながら、加速度的に愉快犯を重ねていく美知夫の姿が描き出された、一大ピカレスク・ロマンである。

登場人物

  • 結城美知夫
  • 賀来巌(いわお)神父
  • 中田英覚
  • 目黒検事
  • 澄子
  • 中田美香

映画

MW-ムウ-
監督 岩本仁志
脚本 大石哲也
木村春夫
製作 「MW」製作委員会
製作総指揮 橘田寿宏
出演者 玉木宏
山田孝之
石田ゆり子
石橋凌
音楽 池頼広
主題歌 flumpoolMW 〜Dear Mr. & Ms. ピカレスク〜」(A-Sketch
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
公開 2009年7月4日
製作国 日本
言語 日本語
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タイトルは『MW-ムウ-』。2009年7月4日公開。暴力的な描写がある為、映倫によりPG-12指定を受けている。

キャスト

スタッフ

キャッチコピー

  • 生きる物、全て道連れだ。
  • 世界を変えるのは、破壊か。祈りか。

原作との相違点

ストーリーの大まかな流れは原作に沿っているものの、結城と賀来の下の名前が違う (美知夫→美智雄、巌→裕太郎) こと、また結城と賀来以外のほとんどの登場人物が映画オリジナルのキャラクターであることなどが示すように、手塚漫画を原案とした別ストーリーととらえるべきである。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


  • アクション・エンタテインメント作品になっている。
  • 結城が梨園の家の生まれで兄がいるという設定がなく、賀来も不良ではない。
  • 女装や男娼、同性愛などの性的描写は仄めかすようなものを除いて全くない。
  • 結城と賀来が沖ノ真船島で育った同年輩の幼なじみに設定されている。
  • 結城が賀来を救ったためにMWを吸ってしまったことになっており、賀来にとって結城は命の恩人となっている。
  • 結城が、原作の両性具有のイメージに対して、男女のどちらでもない無機質なキャラクターになっている。
  • 賀来が(精神的に)女性的なキャラクターになっている。
  • 結城の飼い犬「巴」が登場しておらず、故に刑事の死に方が違う。
  • 原作の最初の誘拐事件自体が原作と比べて冗長になっており、役員に関する設定が異なる。
  • 登場人物が大いに割愛され、特に女性が少ない。また、美香の設定が異なる。
  • 沖之真船島に新たな住民が入って来たという設定がない。
  • 最後の展開が原作を発展させたようなものになっており、続編の可能性を示唆している。

同性愛設定について

主人公二人の特殊な関係を表現する上で重要な要素である同性愛設定は、製作発表当時、映画では描かれないと報道された。そのため原作ファンからの大きな反発を招いたが、その後、数々の映画雑誌等のインタビューにおいて、直接の描写がないだけで「裏で肉体関係がある」ことを匂わすように役者に演じさせていることが明かされた[2]。また上映初日の前日 2009年7月3日になって主人公二人が妖しく絡み合った写真が公開された[3](この写真は後日映画公式サイトのトップ画像として使われた)。更に上映期間中の 2009年7月13日に秋葉原デジタルハリウッド大学で行なわれた特別講義において、岩本監督松橋プロデューサーが、同性愛描写について主演二人の事務所が OK していたにもかかわらず、スポンサーからの NG で直接描写ができなくなったことを明らかにし、話題となった[4]

このように同性愛設定については、直接の描写がないだけで設定としては残っているとされているが、実際に完成した作品からその設定を読み取るのは難しい。確かに通常の友人同士では不自然に思われる言動は見られるものの、同性愛設定を否定するように聞こえるセリフが挟まれているためである。そのため、表面上同性愛設定がないように見えるストーリーと同性愛を意識した役者の演技との間にギャップが生まれ、そこにダブル・ミーニングを読み取った観客もいたが、(予備知識のない) 一般観客にとっては不自然さだけが残る結果になった。また二人の関係があいまいになったことにより、賀来神父の物語上の存在意義が希薄になってしまった。

その他

映画のノベライズ版が 2009年6月5日に小学館から発売された。主人公二人の少年時代など、映画で描かれていない部分を補完する内容となっている。

テレビドラマ

タイトルは『MW-ムウ- 第0章 〜悪魔のゲーム〜』。映画で展開される物語の数か月前を描くオリジナルストーリーで、6月30日に日本テレビ系列で放映された。視聴率は9.9%。

キャスト

スタッフ

  • 監督:岩本仁志(日本テレビ)
  • 脚本:木村春夫
  • 主題歌:flumpool「MW 〜Dear Mr. & Ms. ピカレスク〜」(A-Sketch)
  • 挿入歌:SWANKY DANK「For You」(UNITED NOTES)
  • 音楽:池頼広
  • 脚本協力:山岡真介
  • アクションコーディネイター:小原剛
  • VFXデザイン:ROCKWORKS
  • 技術協力:ビデオスタッフ
  • プロデューサー:植野浩之(日本テレビ)、大野哲哉(日本テレビ)、松橋真三(スタジオスワン / IMJ
  • 統括:堀越徹、橋田寿宏
  • チーフプロデューサー:小野利恵子
  • 特別協力:映画「MW」製作委員会
  • プロダクション協力:スタジオブルー
  • 製作プロダクション:スタジオスワン
  • 企画制作:日テレ
  • 製作著作:D.N.ドリームパートナーズ、アミューズ

単行本

脚注

外部リンク