ルールブックの盲点の1点
ルールブックの盲点の1点(ルールブックのもうてんのいってん)は、水島新司の野球漫画『ドカベン』(35巻)で描かれたエピソードのひとつ。転じて、野球でアピールプレイを怠ったことによる失点全般を指すときにも使われる。
なお、「ルールブックの盲点」と言うが、これは公認野球規則の不備ではなく、「プレイしている選手にも意外に知られていないルール」という意味合いである。
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
概要
主人公たちの明訓高校と好投手・不知火守を擁する白新高校との夏の甲子園の神奈川県予選大会三回戦で描かれた。
得点は0-0のまま延長戦に突入。10回表、明訓の攻撃。一死満塁で打者は微笑三太郎。
- 微笑はスクイズを試みるが、投手前に小フライとなってしまう。白新の投手・不知火がこれを飛びついて捕球、微笑がアウト(二死)。
- 三塁走者・岩鬼正美はスタートを切っており、リタッチしないまま本塁に滑り込む。
- 一塁走者の山田太郎が離塁していたのが見えた不知火は迷わず一塁へ送球。一塁手が一塁に触球し、山田がアウト(三死)。ダブルプレイが成立。
- 第3アウトが宣告されたので、白新ナインは全員ベンチへと引き上げた。
この時、第3アウトはフォースプレイによるものではないため、第3アウト成立以前に成立した得点は有効である。岩鬼は第3アウト成立前に本塁に到達しているので、この走塁による得点は認められる。
ところが、岩鬼は三塁へのリタッチを行っていなかったため、白新側は第3アウト成立後であっても審判員に対して彼の離塁が早かったことをアピールし、岩鬼を三塁でアウト(第4アウト)にすることで、第3アウトを置き換えて彼の得点を無効にすることができた。しかし得点が認められることに気付かなかった白新はこれを行わず、さらに野手全員がファウルラインを越えてベンチへ引き上げてしまったことでアピール権も喪失してしまった。
結果として岩鬼の得点は認められ、明訓に1点が入った。記録は微笑の投手フライと山田の一塁アウト(併殺)の間に岩鬼が本塁に生還したという扱いで、微笑に犠打は記録されない。
なお、試合はこの1点を守った明訓が1-0で勝利した。
反響
雑誌連載当時(1978年)、この展開を読んで状況を正確に把握し理解できた者は、野球の指導者・専門家はもとより、元プロ選手の解説者、野球専門のマスコミ関係者まで含めても非常に少なかった[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。作者・水島新司は、少年野球の指導者から「いい加減なことを描くな」との抗議を受け、交際のあった現役のプロ野球選手からも「せっかく現実味のある野球を描いてきたのに、台無しじゃないですか」と冷やかされたと回想している[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
しかしやがて、この一連の展開は公認野球規則に照らして正しいものであり、現実の野球試合でも発生し得るプレイであるということが確認され、むしろ野球漫画家としての水島の評価を大きく高めることにつながった。現在ではアピールプレイや第4アウトの説明でよく引用されるエピソードとなっている。
関連項目
- 安全進塁権 - ここにも『ドカベン』に登場する「ルールブックの盲点」について記載されている。