いしかわ動物園

石川県の動物園

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いしかわ動物園(-どうぶつえん)は、石川県能美市(辰口地区)にある動物園。ここでは、かつて存在した「金沢ヘルスセンター」および「金沢サニーランド」についても記述する。

概要

  • 場所 石川県能美市徳山町600番地
  • 面積 約23ヘクタール
  • 動物数 135種 約600点(この他 魚類 45種 約2,200点)(2006年6月1日時点)
  • 駐車場 普通車1,300台・バス19台(無料)
  • 園長 美馬秀夫
  • 開園時間(入園は、閉園の30分前まで)
    • 4月1日から10月31日 午前9時~午後5時
    • 11月1日から3月31日 午前9時~午後4時30分
  • 休園日
    • 毎週火曜日(火曜日が祝日に当たる場合はその翌日)ただし、7月20日から8月31日の期間は無休
    • 年末年始(12月29日~1月1日)    
  • 基本コンセプト 「楽しく、遊べ、学べる動物園」

石川県が、財団法人石川県県民ふれあい公社」に管理・運営を委託している施設である。この公社は、七尾湾に浮かぶ能登島にある水族館のとじま臨海公園水族館」の管理・運営も担っている。

2001年には、国内で初となる「ホクリクサンショウウオ」の飼育下繁殖に成功し、日本動物園水族館協会認定の繁殖賞を受賞した。

園内の動物舎は、自然の地形を生かした中に植栽や岩、池などをふんだんに配し、できるだけ動物たち本来の生息環境に近い環境を再現している。また、動物が飛び越えられない幅の堀を巡らせる「モート方式」やガラス越しの観察により、従来のコンクリートや鉄格子で仕切った狭い動物舎では見られない、生き生きとした動物たちの自然な素顔や姿が間近に観察できるよう配慮している。

高齢者や身体障害者、車椅子等の利用者にも安心して利用できるよう、園路(約1.1km)は、勾配を4%以下にするとともに、階段部分にはスロープが設けてある。屋内観察通路の出入り口は自動ドアとするとともに、2階のレストランにはエレベーターが設置してある。園路や観察通路には、視覚障害者が安心して歩行できるよう点字ブロックが設置されているとともに、各動物舎の前には、点字による案内板が掲げてある。

歴史

民間施設として

1958年11月1日、金沢市卯辰山に松本観光株式会社が「金沢ヘルスセンター」とともに、「金沢動物園」が開園した。 1963年8月、隣接地に「金沢水族館」を開業した。

「金沢ヘルスセンター」とは、この金沢動物園のほかにも、演劇場・映画館・小遊園地、さらには大浴場や宿泊施設があり、隣接する「金沢水族館」と共に、子供から大人、老人まで楽しめる娯楽センターであった。中でも、動物園は子供たちには大人気の場所だった。水族館と金沢ヘルスセンター間にはロープウェーが設置されていたが後に老朽化のために廃止された。

積雪が多い北陸の気候を考慮して、冬でも楽しめるように、動物園全てに屋根があった。また、ここはヘルスセンターの一部であったため、裸足で動物たちを見学することができた。天気に関係なく、しかも裸足のままで楽しめる動物園は、後にも先にもこの「金沢動物園」だけであろう。

また、隣接する「金沢水族館」もユニークだった。通常、水族館は海辺に立地しているが、この水族館は「山頂」に位置していた。そんな環境でも、飼育する魚たちのほとんどが「海水魚」。看板にも、「世界で最初の山頂水族館」となっていた。

子供たちは遊園地ゲーム、大人は大広間で演劇。そして一緒に動物園水族館へと、一日遊ぶことが出来る場所であった。

料金体系は水族館だけか金沢ヘルスセンター(動物園、水族館を含む)かの2種類であった。宿泊も可能であった。

当時の経営者夫婦の離婚に伴い、会社が片町に映画館複数を経営する松本興業と金沢ヘルスセンターの2社に分割されたことで経営が悪化した。(当時の松本観光は金沢市内の娯楽産業大手であった。)

社名、施設名とも金沢サニーランドと変更したが好転せず、1993年8月31日、石川県内唯一の動物園は35年間の歴史に、ひとまず幕を下ろすこととなった(なお、このときのエピソードが唐十郎の戯曲『動物園が消える日』の元ネタに用いられている)。

公営施設として

「金沢サニーランド」を運営する「金沢動物園」が破産後、一定期間、施設は閉鎖された。しかし、石川県内唯一の動物園であること、当時から進んでいた「動物園の公営化」の流れなどを受け、石川県が施設全体を買収することとなった。1994年、ここに「県立いしかわ動物園」が誕生するのである。

「公営施設」として再出発を迎えた動物園ではあったが、施設の狭小、老朽化は目に見えていた。築40年近くが経過していること、拡張しようにも新たな土地の確保が難しいことなどから、ついに県は動物園全体の移転を検討し始めた。

県民の意識としては「動物園は絶対必要」との考え方が非常に多かったが、いざ自分たちの地域に「動物園」がやってくるとなると、話は別であった。井戸水への動物の糞尿の混入、猛獣の脱走、動物園独特の臭いなど、動物園受け入れ反対の意見は様々であった。県は検討の結果、移転候補地として3地区をあげた。

石川県森林公園」があったことから、候補地となった。しかし、積雪が多いことから、早い段階で候補地から外された。
県有地があったことから、候補地となった。しかし、周辺住民の受け入れ態勢が整わなかったため、候補地から外された。
辰口丘陵公園」の隣接地に県有地があったことから、候補地となった。山に囲まれた立地、周辺にあまり人家が無いことから、反対の声も弱く、県はこの場所に新しい動物園の建設を決めることとなる。

1996年7月29日、新動物園建設予定地で起工式が行われ、いよいよ新しい動物園の建設工事が本格化してきた。それと同時に、動物たちのおよそ30kmにも及ぶ「引越し」の準備も進められていった。

1999年5月20日から翌21日にかけて、卯辰山から辰口へと、動物たちの移転作業が実施された。30kmにもおよぶ、動物たちにとってはかなりの長距離となる移動には、石川県警が全面協力し、パトカー・白バイによる先導、途中経路の全信号の青信号への操作(移動の迅速化を進めるため)が行われた。また、金沢水族館に展示されていた魚の一部は、のとじま水族館のほうにも移された。関係者の心配もあったが、移転作業は無事に完了した。

1999年10月9日、新しい動物園「石川県立いしかわ動物園」が、正式にオープンした。

年表

  • 1958年
    • 11月 金沢動物園(金沢ヘルスセンター)開園
  • 1963年
    • 8月 金沢水族館開館 
  • 1993年
    • 8月31日 金沢動物園・金沢水族館閉鎖
    • 9月 石川県議会、石川動物園(仮称)設置準備費計上
    • 12月21日 財団法人いしかわ動物園設立
  • 1994年
    • 1月1日 (財)いしかわ動物園、運営を開始(金沢市卯辰山)
    • 3月6日 (財)いしかわ動物園開園
  • 1996年
    • 7月29日 新いしかわ動物園建設起工式(辰口町)
  • 1998年
    • 8月31日 (財)いしかわ動物園閉園(1994年3月6日までで、入園者56万5千人)
  • 1999年
    • 3月31日 (財)いしかわ動物園は(財)石川県健民公社へ統合のため解散、新いしかわ動物園建築工事完成
    • 4月1日 (財)石川県健民公社が、県からいしかわ動物園の管理・運営業務を受託
    • 5月20日~5月21日 旧いしかわ動物園から新いしかわ動物園へ移転
    • 9月1日 公社の名称を(財)石川県県民ふれあい公社に改称
    • 10月9日 新いしかわ動物園開園

施設

動物展示施設

  • アシカ・アザラシたちのうみ
  • サルたちの森
  • 小動物プロムナード
  • ネコたちの谷
  • オーストラリアの平原
  • 郷土の水辺・南米の森
  • ふれあいひろば
  • 水鳥たちの池
  • バードストリート
  • アフリカの草原
  • ゾウの丘
  • カバの池
  • チンパンジーの丘
  • オランウータンの森

その他の施設

  • レストラン・ズーショップ
  • 動物学習センター
  • 大型休憩所
  • 動物リハビリセンター
  • メダカたちの池
  • ゆめつり橋

代表的な飼育動物

  • アシカ・アザラシたちのうみ
カリフォルニアアシカゴマフアザラシバイカルアザラシ
  • サルたちの森
コモンリスザルワオキツネザルブラッザモンキーテナガザル
  • 小動物プロムナード
アライグマシセンレッサーパンダケープハイラックスマーラ
  • ネコたちの谷
ライオントラヒョウピューマ
  • オーストラリアの平原
オオカンガルーアカクビワラビーエミュー
  • 郷土の水辺・南米の森
メダカカジカアカハナグマボアコンストリクター など
  • ふれあいひろば
マゼランペンギンカピバラウサギキュウカンチョウ など
  • 水鳥たちの池
アマサギゴイサギオシドリカルガモ など
  • バードストリート
オオタカウミネコマナヅルコウライキジフクロウ など
  • アフリカの草原
アミメキリングレビーシマウマカンムリヅル
  • ゾウの丘
アジアゾウ
  • カバの池
カバ(日本最高齢記録を更新中のカバである「デカ」がいる。「デカ」は、岡山の菓子メーカー、カバヤ食品移動動物園で「カバ子」として8年間に渡って全国を巡った。ドイツからの輸入時、推定1歳であった)
  • チンパンジーの丘
チンパンジー
  • オランウータンの森
ボルネオオランウータン

動物園の取り組み

「エコ動物園」に向けて

「いしかわ動物園」は、全国でも稀に見る「エコ」に積極的に取り組んでいる動物園である。

卯辰山からの移転話が持ち上がったとき、各移転候補先では反対の声が相次いだ。そこで、いしかわ動物園では、周辺住民への事実上の「公害」を最大限防止するという意味で、「エコ」に徹底的に取り組むことになったのである。

  • ゴミの持ちかえり運動を実施
  • ペットボトルなどの回収箱を設置
  • 園内の調整池にたまった雨水を、動物舎やトイレの清掃・植栽の散水用として利用
  • 動物の糞やエサクズを、堆肥舎のプラントで有機肥料としてリサイクル
  • 太陽電池による時計や電気自動車の導入により省エネ化を図り、二酸化炭素の排出を抑制
  • 園内の随所に実のなる木を植栽するとともに、調整池をできるだけ自然の形に近づけるよう「ビオトープ」化を図り、野鳥や昆虫などの野生生物が住みやすい環境を整えている
  • 雨水を地下に浸透させるため、透水性舗装や透水性ブロックを使用

「教育係」の設置

「いしかわ動物園」は、全国でも珍しい「教育係」と呼ばれる職員を配置している。

通常の動物園では、入園者に対して動物園の概要や理念、仕事内容を紹介する職員は、動物の「飼育係」と兼務している。しかし、この「いしかわ動物園」では、このような業務を専門に担当する「教育係」が配置されている。

トキの分散飼育

いしかわ動物園では以前よりホオアカトキなどの近縁種の飼育に取り組んでおり、その飼育・繁殖の実績が評価され、多摩動物公園に続いて国内2ヶ所目の分散飼育地に選ばれた。2010年1月8日に、佐渡のトキ保護センターからオス2羽、メス2羽の合計4羽が到着。そのうち2羽はすでに繁殖経験のあるつがいである。一般には非公開のもとで飼育される。

所在地

石川県能美市徳山町600番地

アクセス

  • バスで
    • JR北陸本線金沢駅」から北陸鉄道バス辰口線利用。「いしかわ動物園」下車すぐ(所要時間 約60分)
    • JR北陸本線「小松駅」から加賀白山バス佐野線利用。「いしかわ動物園」下車すぐ(所要時間 約40分)
    • JR北陸本線「松任駅」から加賀白山バス川北線利用。「いしかわ動物園」下車すぐ(所要時間 約35分)

ただし動物園内を経由する便は曜日、時間帯によって限られている。動物園を経由しない便の場合は「辰口丘陵公園口」バス停で下車し、10分ほど歩く必要がある。

  • マイカーで
    国道8号 乾東交差点を左折
    加賀産業道路 安養寺北交差点を右折
    加賀産業道路 川北大橋で通行料金を支払う
    加賀産業道路 動物園前交差点を左折
    長崎中交差点を右折
    国道8号 長田南交差点を直進
    加賀産業道路 上八里町交差点を左折
    加賀産業道路 動物園前交差点を右折

外部リンク