月桂冠 (企業)
月桂冠(げっけいかん)は、日本酒を中心に各種の酒類を製造する酒造会社。同社が製造する日本酒の銘柄名でもある。勝利と栄光を意味する月桂冠を由来として名付けられた。明治時代以降、急速に全国展開し、灘の白鶴酒造とともに、日本最大の酒造メーカーとなった。戦後、業界に先駆けて、一年を通して醸造可能な「四季醸造蔵」を建設し、大量の酒を供給することに成功したことでも知られる。コーポレートブランドコンセプトは「For Your Lifestyle Taste うるおいをあなたと」で、基本理念は「健をめざし 酒を科学して 快を創る」となっている。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
612-8660 京都府京都市伏見区南浜町247 |
設立 | 1637年創業(会社設立は1944年) |
業種 | 食料品 |
法人番号 | 2130001000050 |
事業内容 | 日本酒を中心とした各種酒類の製造・販売、化粧品・入浴剤の製造・販売、飲食事業 |
売上高 | 単体:332億円(2006年3月期) |
関係する人物 | 大倉治彦(代表取締役社長)・大倉敬一(代表取締役会長) |
外部リンク | 月桂冠ホームページ |

近年は本業である日本酒の製造のほか、焼酎の製造・販売、ビール・ワイン、食品等の販売、日本酒を利用した化粧品や入浴剤などの販売や医薬品開発なども行っている。清酒の製造で培った技術を利用し、近年では稲わらからバイオエタノールの特許技術を取得したり、花王との共同研究により、麹菌による染毛技術の特許を取得するなど、バイオ技術の面でも注目されている。
特徴
創業が他業界と比べて非常に古いといわれる日本酒業界の中でも、月桂冠の歴史は古く、創業は1637年にまで遡る。1867年の鳥羽・伏見の戦いでは、酒蔵などが被害を受けるものの、本宅が被害を受けずに済み、廃業を免れたという歴史的な経緯もある。明治時代以降は、全国的な清酒メーカーとして発展した。
数十年以上の長きにわたり日本酒メーカーのトップシェアを誇ってきた月桂冠であるが、2002年に白鶴酒造に追い抜かれた。
京都における名門企業であり、伝統企業の国際組織である「エノキアン協会」(1981年結成 本部パリ 団体名は旧約聖書に登場するアダムの孫エノックから)に加盟している。協会への入会の条件として、「創業200年以上の歴史」、「同族経営」、「業績良好」の3条件を全て満たさなければならず、日本で条件が満たせたのは月桂冠を含めて4社であった(他には赤福、法師、岡谷鋼機)。社長は代々大倉家から出される。
また、株式会社ではあるが、サントリーや竹中工務店・ロッテなどと同様に非上場の企業としても有名である。堅実な経営を脈々と続けてきたことで知られ、一貫する経営方針やその経営内容は大企業でも参考にするものが多い。
ロゴは月桂樹の葉を環状にしたものが主流であったが、近年CMなどでは、月桂樹の葉を近代的に改良したロゴを使用している。かつては「お酒の王様・月桂冠」(1970年代頃)、「日本の酒・月桂冠」(1980年代頃から)というジングルが流れていたこともある。
業界に先駆けて「月桂冠総合研究所」を設立したり、四季醸造蔵を業界ではじめて建設するなど、科学技術を駆使した大量醸造を可能にし、近代化を進めた酒造メーカーである。一方で、ごく一部ではあるが杜氏を中心とした伝統的な醸造も現在も行っていることで知られている。ただし、常勤の杜氏は1人だけであり、基本的には機械による大量醸造でコスト競争力のある製品を製造している。全国新酒鑑評会やモンドセレクションで各蔵で金賞を数多く受賞するなど、一般的な「安酒」のイメージを拭うためのアピールを継続している。
Jリーグの京都サンガF.C.のオフィシャルスポンサーであり、また、近年は企業メセナなどにも積極的に関わるなどしている。本社のある京都市伏見区には、月桂冠大倉記念館があり、酒造りに関する文化財等を公開している。
米国へも比較的早い時期から進出し、現在では、米国内でのシェアは25%もある。現在では他社も進出し日本酒自体が現地で定着したため「Sake」または「Japanese Sake」と普通に呼ばれるようになったが、過去には「Gekkeikan」が日本酒の代名詞であった。また清酒需要のある韓国へも進出し、海外展開を進めている。
なお、自社単独で厚生年金基金を保有する数少ない企業である。非上場のため退職給付会計等の影響が軽微なことが基金存続の理由と思われる。京都府下で他に厚生年金基金を保有する企業は株式会社イシダのみである。
沿革
- 1637年(寛永14年)、大倉治右衛門により酒屋「笠置屋」として創業。
- 1905年(明治38年)、月桂冠を銘柄名として採用。
- 1910年(明治43年)、駅でコップ付の酒を販売、月桂冠の名が知られるようになる。
- 1927年(昭和2年)、法人化した「株式会社大倉恒吉商店」を設立。
- 1944年(昭和19年)、「大倉酒造株式会社」に変更
- 1981年(昭和56年)、業界に先駆け、三増酒を全廃(菊正宗や松竹梅が再開した現在では、大手で唯一の完全無糖化の蔵である)。
- 1984年(昭和59年)、創業200年以上の企業で構成されるエノキアン協会に加盟。
- 1987年(昭和62年)、「笠置屋」創業350周年、法人化60周年を機に、「月桂冠株式会社」に変更。
- 1989年(平成元年)、米国月桂冠株式会社を設立。
- 1996年(平成8年)、韓国月桂冠株式会社を設立。
- 2007年(平成19年)、上海駐在所を設立。中国進出。
主力商品
パック類
- つき
- 上撰さけパック
- 佳撰グリーンパック
- 辛口派
- 甘口派
- ひんやり冷酒
- 味わい燗酒
- すべて米の酒
- 糖質ゼロ
カップ・壜
- 月桂冠(特撰・上撰・佳撰)
- ザ・カップ(上撰・佳撰)
- プチムーン
- ヌーベル月桂冠
- 笠置屋
- 鳳麟
- 伝匠月桂冠
- 生酒
- にごり酒
化粧品
- モイストムーン
- しっとり酒風呂
健康食品
- 超(スーパー)米ウコンプラス(健康飲料)
ドイツビール
- ヴェルテンブルガー
ドイツワイン
- グリューワイン赤
- グリューワイン白
- ペーター・メルテス
- モーゼルラント
フランスワイン
- リュック・ジャヴロー
- モンシガール
- メゾン・ベシエール
所在地
本社
京都市伏見区南浜町247(〒612-8660)。 近くには黄桜(旧社名・黄桜酒造)や寺田屋などの歴史的建造物が多く建っている。
支店組織
- 東日本営業部
- 北海道支店(札幌市)
- 東北支店(仙台市)
- 首都圏支店(東京都中央区)
- 関東信越支店(東京都中央区)
- 首都圏業務用支店(東京都中央区)
- 東日本流通部
- 首都圏流通支店(東京都中央区)
- 関東信越流通支店(東京都中央区)
- 中部営業部
- 東海支店(名古屋市)
- 北陸支店(金沢市)
- 中部流通支店(名古屋市)
- 西日本営業部
- 大阪支店(大阪市)
- 大阪業務用支店(大阪市)
- 京都支店(京都市)
- 中国支店(岡山市)
- 四国支店(高松市)
- 西日本流通部
- 近畿流通支店(大阪市)
- 中国四国流通支店(岡山市)
- 九州営業部
- 北部九州支店(福岡市)
- 南部九州支店(福岡市)
- 九州流通支店(福岡市)
- 広域流通部
- 広域流通支店(東京都中央区)
蔵・工場
- 物流センター
- 昭和蔵
- 大手蔵
- 総合研究所
海外拠点
- 韓国月桂冠
- 米国月桂冠
関連企業
- 多賀(株)
- 松山酒造(株)
- 共同酒造(株)
- 大倉産業(株)
- (株)大倉酒店
- (有)一寸木商店
- (株)京都アメニティ開発
資本参加
- (株)伏見夢工房
関連施設
- 昔の酒蔵を改造し伝統的な酒造工程やその用具などを展示する博物館。展示物には京都市の有形民俗文化財に指定されているものもある。館内ではプラムワインや吟醸酒などの試飲をするスペースがあり、また、成人の入館料はお酒のおみやげ一本つきというシステムである。近隣には、十石船の乗り場があり、春・秋のシーズンには、景色を楽しむ観光客で賑わいを見せる。
提供番組
CM出演者
現在のCM出演者
過去のCM出演者
- 高島忠夫・寿美花代夫妻(1970年代から80年代前半までのイメージキャラクター)
- 中村雅俊(シルバー月桂冠)
- 千代の富士貢(月桂冠NEW CUP)
- 風間杜夫
- 風吹ジュン・杉本哲太・黒鉄ヒロシ(月桂冠 つき)
- 天海祐希(月桂冠 THEカップ)
- 真田広之(花鳥風月、融米造り 絹仕立て、月桂冠 さけパック(さけパックは岡本喜八と共演))
- 西川のりお(歌の出演のみ)
- 十朱幸代(月桂冠 生酒)
- 十朱幸代・風間杜夫(月桂冠)
- 津田寛治・木村多江(月桂冠 つき)
- 永作博美・李鐘浩(月桂冠 つき)
- 小市慢太郎・相築あきこ(月桂冠 月)
- 樋口可南子(薫りの純米)
- 山田邦子(生酒)
- 高嶋政伸(月桂冠THE CUP)
- 内山信二(月桂冠THE CUP)
- 千堂あきほ(生酒)
- 和田勉(ザ・カップ)
- 大屋政子(にっぽん)
- ヘンリー・カー(シルバー月桂冠)
- 石原良純・宮崎哲弥(月桂冠 つき) - 藤原紀香と共演
関連項目
- 明治屋(明治時代から販売の委託を行っていた)