JR東日本701系電車
701系電車(701けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交流用一般形電車。1993年(平成5年)から交流電化区間用の標準車両として製造された。
JR東日本701系電車 | |
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![]() 701系1500番台 1次車 (2008年6月 / 磐城太田駅) | |
基本情報 | |
製造所 | 川崎重工業・JR東日本土崎工場 |
主要諸元 | |
編成 |
2両編成 (1M1T) 3両編成 (1M2T) 4両編成 (2M2T) |
軌間 |
0・100・1000・1500番台:1,067mm 5000・5500番台:1,435 |
電気方式 | 交流20,000V (50Hz) |
最高運転速度 | 110 |
設計最高速度 | 120 |
全長 | 20,000 |
全幅 | 2,800 |
全高 | 3,620 |
制御装置 |
VVVFインバータ制御(パワートランジスタ素子) 更新車(IGBT素子) |
制動装置 | 発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(0・100・1000・5000番台)回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(1500・5500番台)抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ |
保安装置 |
ATS-Ps(0・100・1000・1500番台) ATS-P(5000・5500番台) |
また、盛岡駅 - 青森駅間の東北本線を移管したIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道でも同設計の新造車、およびJR東日本からの譲受車を、それぞれIGR7000系電車と青い森701系電車として保有している。本項ではこの両形式についても記述する。
概要
東北地区の幹線に多数残存していた普通客車を電車化するために開発された。
最初のグループは、1993年に秋田地区の羽越本線・奥羽本線と盛岡地区の東北本線に投入された。従来は地域輸送に12系客車(2000番台)や50系客車を使用しており、車齢は10年程度であったが、50系には冷房がなく旅客サービス上問題があること、始発・終着駅で電気機関車の付替え作業を要し、運転上非効率であるなどの検討課題があった。
一方、仙台地区では普通列車の電車化が一足先に完了していたが、車両は余剰になった581・583系を改造した715系近郊形電車、455・457系急行形電車の短編成化・普通列車への充当が中心で、ラッシュ時の運用に不適な車体構造や経年による陳腐化の進行などの問題が顕在化しており、これら老朽車両の取り替えは喫緊の課題であった。
これらの置き換えを目的として開発・投入されたのが701系である。2両編成から8両編成までの組成が可能で、編成の増・解結による柔軟な輸送量の調節を可能とした。2両編成についてはワンマン運転に対応するため、整理券発行機などの各種対応機器を設置した。
701系は、JR東日本の交流電化区間における事実上の標準車として各線区に投入され、奥羽本線・田沢湖線の新幹線直通化後は標準軌仕様の車両が地域輸送用に投入された。
構造
車体
209系電車で採用した軽量ステンレス製のプレスを多用した川崎重工業の2シート工法の構体を採用する[1]。先頭部は貫通路付の切妻構造で、FRP製の覆いを設ける。客用扉は 1,300 mm 幅の両開き式のものを片側3か所に設置し、在来線用の車両は運用線区の駅ホーム高さの関係上ステップを設ける。
側面窓は車端部以外は4連窓、中央2窓のみ2段上段下降式のユニットサッシ[2]である。窓寸法は極力大きくし、熱線吸収ガラスを使用してカーテンを省略した。車端部は通常の1枚窓を設置する。冷房装置は集中式で全車が装備し、在来線運用車は単相交流(400V / 50Hz) を電源とするAU710A形、標準軌区間用の5000番台と5500番台はインバータ制御の AU723 形を屋根上に設置する。中間側妻面の貫通扉は幅を 1,200 mm に拡幅した両開き式とし、ワンマン運転時の乗客移動に配慮した。
室内
座席は当初全席ロングシートで新製されたが、投入後の輸送実態を考慮して、クロスシートを設置改造した車両や、新製時よりクロスシートを設置した車両もある。座席モケットは細かい柄の入ったパープル色である。
客用扉は冬季の車内保温のため半自動構造とし、2両編成にはドアチャイムを装備、各出入口の内外に開閉用のスイッチを設ける。ドアエンジンはベルト駆動による空気式である。客用扉に隣接する袖仕切りは209系と同一品の大型として外気の流入を抑え、風防ガラスは省略された。暖房装置は座席直下に大容量のものを設置する。
トイレはクハ700形に設置し、向かい側の空間を車いすスペースとしている。
内装のカラースキームは、明るいベージュ系統でまとめられ、運転席背面と妻面以外をFRP製とし、天井風道もFRPの一体構造である。
乗務員室は、複数編成での利用を考慮して、半室構造となっている。貫通路を構成する際やワンマン運転で最後尾となる場合は、運転席部分を締め切り、補助席側を客室として開放する[3]。
電気関係
(菱形式PS105形)
補助電源装置には、0番台では電動発電機を、それ以外では静止形インバータ装置をそれぞれ採用している。主電動機は新開発のかご形三相誘導電動機MT65形 (125 kW) を搭載する。209系のものを基本とするが、小型軽量化され、耐雪構造となる。主変換装置はパワートランジスタ(PTr) 素子 VVVF インバータを搭載し、GTO素子の209系と同様のすべり制御方式である。後期製造分の1500・5500番台車・IGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道向けの新製車はコンバータを IGBT素子に変更した。
運転室内には、各電動台車のON/OFFを個別に制御するためにNFBが設置されており、片方の電動台車に問題が起き、通常の運転が困難になった場合、問題のある方のスイッチを切り、1M方式を一時的に0.5M(片方の電動台車でのみ駆動)に切り替えることが可能となった。また、主変換装置も同じく個別制御できるように、NFBの設置が行われている。
パンタグラフは下枠交差式のPS104形、菱形式のPS105形、シングルアーム式のPS106形を搭載[4]する。
ブレーキ装置
電気指令式空気ブレーキを全車に標準装備する。当初の車両は抑速及び停止ブレーキのために発電ブレーキを装備し、屋根上に電力消費用の抵抗器を持つ。1997年以降製造の1500・5500番台は回生ブレーキに変更され、抵抗器は装備しない。全車とも遅れ込め制御はなく、耐雪ブレーキ・直通予備ブレーキを併設する。秋田地区の一部車両は更新工事により、発電ブレーキで使用していた抵抗器が撤去され、1500・5500番台と同じ回生ブレーキ併用空気ブレーキ装置へ変更し、純電気ブレーキ装備[要出典]となり、1500・5500番台と屋根上はパンタグラフを除き同じ構成となった。
保安装置
ATS-P(標準軌区間)、ATS-Ps(在来線区間)[5]、列車無線・防護無線の他、緊急列車防護装置 (TE) を設け、ワンマン対応車にはEB装置を設置する。
台車
209系で採用された軸梁式軽量ボルスタレス台車を基本に、床面高さを下げるため台車枠中心を下げた構造としたDT61A(電動車)と TR246A(付随車)を装備する。標準軌区間用の車両では台車枠を標準軌対応とし、台車枠中心を標準の高さに戻したDT63(電動車)、TR248・TR252[6](付随車)を用いる。
その他
主幹制御器は209系の様なワンハンドルマスコンではなく横軸マスコンである。簡易モニタ装置を搭載し、ドアやインバータなどの動作状況を監視できる。2両編成の車両にはワンマン運転関係機器(運転台近くに自動両替器付運賃箱、自動放送装置、運賃表示器、最後尾乗車口に整理券発行器)を設置する。719系電車とは故障した際の救援時に、E721系電車とは営業運転での併結が可能である。2010年10月20日よりE721系電車との併結運転が開始した。[7]
番台区分
狭軌仕様車
基本番台(秋田地区用)
(2009年5月 / 新庄駅)
秋田地区の客車列車置き換えのために1993年から製造され、6月20日より運用を開始した。クモハ701+クハ700の2両編成が24本(48両、N14 - N38 編成)、クモハ701+サハ701+クハ700の3両編成が13本(39両、N1 - N13 編成)の計87両が在籍する。本区分のみ、前面の種別表示器は手動式であるが、後述の機器更新が行われた車両の一部ではLEDによるものへ取り替えられている[8]。
全車ロングシートで製造されたが、一部の車両(N36 - 38編成)にはクロスシート設置改造が施工された。この編成はパンタグラフをシングルアーム式の PS106 形に換装していたが、2005年以降から改造が行われなかった秋田地区の701系にも同様に交換が行われた。ワンマン運転用の運賃箱も当初の仕様から変更されている。
配置区所および運用区間は以下のとおりである。
車体帯色は、濃淡のマゼンタである。登場時は現在より淡いものであったが、退色が著しい事から現在見られる濃いめのカラーに変更されている。
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N1編成 客室
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秋田地区ワンマン編成車両の運賃表示器[9]
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クハ700形 セミクロス改造車車内
100番台(秋田・仙台地区用)
(2007年3月 / 郡山駅)
基本番台の増備車で、1994年から土崎工場(現・秋田総合車両センター)にて製造された。クモハ701形+クハ700形の2両編成が5本(10両)、クモハ701形+サハ701形+クハ700形の3両編成が1本(N101編成)の計13両が在籍する。
後部標識灯を200mm上方に移設しているのが基本番台との識別点である。室内ではつり革の位置を下げ、数を増やした。軽量化及び保守量の低減のため、蓄電池を鉛電池からアルカリ電池に、制御回路用の補助電源を静止型インバータ (SIV) に変更している。
当初は全車を南秋田運転所(現:秋田車両センター)に配置し、基本番台と共通で使用された。山形新幹線延伸開業のため奥羽本線山形 - 新庄間が標準軌化されると、1999年に2両編成が仙台車両センターに転属した。仙台地区では当初常磐線北部(いわき - 仙台)に専用したが、現在は1000番台(2両編成)・1500番台とともに東北本線(黒磯 - 一ノ関)でも使用されている。 秋田では、編成番号はN100台を、仙台では、F2-100台を名乗る。 現在は、N102編成のみ秋田車両センターへ転属(2007年3月付)している。 その後、2010年10月付でF2-103~F2-105編成が再度秋田車両センターへ転属し、N103 - N105編成となり営業運転に入っており、仙台車両センターにはF2-106編成のみ残存している。
車体帯色は濃淡のマゼンタ(秋田)及び赤+白+緑(仙台)である。
1000番台(仙台・盛岡地区用)
(2010年10月 / 館腰駅)
運賃表示機
(液晶ディスプレイ式に交換後)
(2007年3月 / 盛岡駅)
盛岡地区の客車列車と仙台地区の715系置き換えのため1994年に製造された車両である。クモハ701形+クハ700形の2両編成が38本(76両)とクモハ701形+サハ700形+モハ701形+クハ700形の4両編成が4本(16両)の計92両が在籍する。
中間のモハ701形は本系列唯一の中間電動車で、付随車サハ700形は蓄電池を装備するため、基本番台・100番台のサハとは別形式となっている。基本仕様は100番台と同一だが、仙山線へ入線することを考慮してパンタグラフをPS105形に変更している。故障時の救援のため、719系電車と併結が可能である。
配置区所および運用区間は以下のとおりである。
- 仙台車両センター
- 4両編成4本・2両編成11本が配置され、車体帯色は赤+白+緑 である。
- ※ 4両編成は当初よりワンマン運転非対応。ワンマン運転対応2両編成では運賃表が7セグメントディスプレイ式から液晶ディスプレイ式(レシップ製[10])に取り替えられたほか、客用扉の扉閉弱め機構を搭載している。
編成番号は2両固定がF2-0台を、4両固定がF4-0台を名乗る。クモハ701-1018+クハ700-1018の編成なら、F2-18と表す。
- 盛岡車両センター
- 2両編成15本が配置され、車体帯色は青紫濃淡2色である。
- 東北本線(一ノ関 - 盛岡)
- IGRいわて銀河鉄道線(盛岡 - いわて沼宮内)
- ※ 一部には広告を施したラッピング車両[11]が存在する。
- 本区分のうち2両編成5本は2002年にIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道に、2両編成7本は2010年に青い森鉄道に譲渡されている。
- 編成番号を与えられていない。
1500番台(仙台地区用)
1000番台の増備型として、1998年に仙台地区に投入された。クモハ701形+クハ700形の2両編成が18本(36両)が在籍する。
回生ブレーキを装備し、クモハ701形は屋根上のブレーキ用抵抗器がなくなった。回生ブレーキの作動範囲は、従来の発電ブレーキ車に合わせて20km/h前後までで20km/h以下では空気ブレーキに切り替わる。
2次車の 1509 以降は行先表示器が LED 式とされ、トイレは車いす対応の大型のものを運転台直後に設ける。このため、クハ700形の窓配置が変更された。
1508 は浸水事故で床下機器が損傷した1000番台1編成(クモハ701-1033+クハ700-1033)を修理した車両で、回生ブレーキと LED 式行先表示器を装備して復旧され、1500番台に編入された。
全車が仙台車両センターに配置され(F500台編成)、100番台・1000番台と共通で使用される。車体帯色は赤+白+緑である。
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701系1500番台 2次車
クモハ701形
(2005年9月 / 福島駅) -
拡大・移設されたトイレ
(2007年11月)
IGRいわて銀河鉄道IGR7000系・青い森鉄道青い森701系
2002年12月1日の東北新幹線盛岡 - 八戸間開業に伴い並行在来線を移管して開業した2社の車両である。JR東日本からの譲受車と新製車があり、仕様が一部異なる。
- 青い森鉄道 青い森701系
- 新造車1編成、JR東日本からの譲受車8編成、合わせて2両編成9本(18両)が在籍する。このうち新造車・譲受車1編成ずつは2002年の東北新幹線盛岡 - 八戸間開業時に導入されたもので、残りの譲受車7編成は東北新幹線八戸 - 新青森間開業時に導入されたもの。2010年9月2日より、在籍中の1本がイメージキャラクターのモーリーをあしらったデザインに変更された[12]。車体帯色は、旧デザイン車両が青、新デザイン車両が空色である。また、2010年12月の青い森鉄道全線開業時にJR東日本から譲受した編成については、当分JR時代の車体帯色のまま運用されるが、順次青い森鉄道の新デザインに変更される予定である。
- IGRいわて銀河鉄道 IGR7000系
- 2両編成7本(14両)が在籍する。4編成がJR東日本からの譲受車で、3編成が新造車である。車体帯色はコバルトブルー+やまぶき色である。
新造車は1500番台の仕様に近く、セミクロスシート・クハ(盛岡方)前方に設置された車いす対応トイレ・運賃表示器と車内案内表示器の改良・回生ブレーキ・LED式行先表示器などを備える。JRからの譲受車はいずれも元1000番台の車両で、ロングシートのままである。譲受車は帯の貼り替え時[13]に車内案内表示器を設置した。
両社ともに譲受車は0番台、新製車は100番台に区分されている。なお、譲受車の車両番号の推移を以下に示す。
- クモハ701-1037+クハ700-1037 → 青い森701-1+青い森700-1
- クモハ701-1038 - 1041+クハ700-1038 - 1041 → IGR7001-1 - 4+IGR7000-1 - 4
- クモハ701-1001 - 1007+クハ700-1001 - 1007 → 青い森701-2 - 8+青い森700-2 - 8
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IGRいわて銀河鉄道IGR7000系
(2007年3月 / 盛岡駅) -
青い森鉄道青い森701系(旧デザイン)
(2007年3月 / 盛岡駅) -
青い森鉄道青い森701系(新デザイン)
(2010年9月 / 八戸駅)
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青い森鉄道青い森701系(JR時代の車体帯色の編成)
(2010年12月 / 野辺地駅) -
青い森701-1の車両番号
(もとJR東日本 クモハ701-1037)
標準軌仕様車
5000番台
田沢湖線所属車両
(2007年3月 / 盛岡駅)
秋田新幹線の開業に伴う田沢湖線の標準軌化に際し、普通列車用として1997年に投入された車両である。
室内配置を大幅に変更し、ボックスタイプのクロスシートを1両に4か所千鳥状に配置する。この5000番台に限って両開き扉間の4枚の窓のうち中間2枚が大型の1段下降窓である。客用扉のステップはない。トイレはクハ700形の後方に設置する。秋田新幹線開業と同時にJR東日本管内の快速・普通列車が全面禁煙となったため、このグループ以降は当初から灰皿が設置されていない。行先表示器は字幕式で、尾灯が運転席窓の上部に設置されている。パンタグラフはシングルアーム式、台車は標準軌用のDT63形・TR246形、冷房装置はインバータ方式のAU723形である。
クモハ701+クハ700の2両編成10本(20両)が秋田車両センターに配置され(N5000台編成)、田沢湖線で運用されている。車体帯色は青紫+白+ピンクである。
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運転台
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客室
5500番台
山形車両センター所属車両
(2007年6月 / 高畠駅)
山形新幹線開業に伴う奥羽本線の山形 - 新庄間の標準軌化に際し、普通列車用として1999年に投入された車両である。
1500番台の仕様に準じ、座席はロングシート、客用扉のステップはない。車いす対応の大型トイレをクハ700形の前方に設置する。行先表示器は LED 式で、尾灯が5000番台と同様運転席窓の上部に設置されている。回生ブレーキは発電ブレーキ車と混用しないため、作動範囲が大きくとられた。台車は標準軌用の DT63A 形・TR252 形で、米沢 - 福島(板谷峠)の急勾配対策としてディスクブレーキや砂撒き装置を搭載する。[14]パンタグラフは製造当初は仙台地区701系との互換性を考慮し菱形を搭載したが、2001年にシングルアーム式に交換された。加えて同時期に強化型スノープラウ(雪かき器)も設置した。冷房装置はインバータ方式の AU723 形を搭載する。
クモハ701形+クハ700形の2両編成9本(18両)が山形車両センターに配置され(Z編成)、米沢 - 新庄間で運用されている。車体帯色は山形県の花「ベニバナ」をイメージしたオレンジ+白+緑である。
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パンタグラフ
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DT63A形台車
現況と動向
本系列は東北地区の多くの交流電化区間に投入され、従来の普通客車列車を完全に置き替えることとなった。本系列の導入によって普通列車の完全冷房化・スピードアップが達成され、3扉ロングシートの車体構造は仙台地区などの利用者の多い線区においては旅客の乗降時間短縮効果をもたらした。反面、本系列によって代替された列車は従来より編成両数が短縮されたことに加え、座席構造の変化も相まって一列車当たりの座席定員の減少を招いたことから、それら接客設備の顕著な変化については意見提起の対象ともなった[15][16]。
本系列が当該地区初のロングシート車となった主たる目的は、通勤・通学需要など地域間の短距離輸送を主目的として計画されたことによる。もっとも、本系列使用開始後の種々の情勢変化に鑑み、秋田地区の一部車両ではセミクロスシート化改造が行われ、標準軌用の5000番台は当初からセミクロスシート装備とするなどの設備変更もなされている。
本系列は投入開始から10年あまりが経過し、後天的な装備の変更や配置の移動なども行われている。初期の車両では集電装置をシングルアーム式に換装したものが一部に存在し、仙台地区の一部の車両は運賃表示器がデジタル式から液晶式に変更され、漢字・カタカナ・英語による次駅表示が可能となったほか、側面の行先表示器はLED式に改造された。秋田地区の一部の車両は帯の変更が行われ、従来の帯色よりも多少濃い色になっている。
JR東日本では本系列による交流電化区間の電車化達成後、次段階の車両計画として、老朽化した国鉄形電車を淘汰する目的でE721系電車を2006年に開発し、現在の新規製造は同系列に移行している。
機器更新
機器の老朽化も進んでいることから、前述した設備更新とは別に、標準軌車両(5000番台・5500番台)以外の車両において209系・E217系と同様に機器更新が行われることになった。主な内容は下記の通りである。
- 主変換装置・主変圧器の更新
- E721系電車において採用されている主変換装置・主変圧器への取り替え
- ブレーキ制御装置の交換
- 発電ブレーキの回生ブレーキ化
- これに伴い屋根に設置されている主抵抗器は撤去となる
- 一部車両には、仙台地区と同じ液晶ディスプレイ型運賃表への換装及びワンマン放送装置の更新(ICタイプ化)が行われている。
これらは秋田地区の一部車両に施工されているほか、秋田車両センター所属車以外の車両の更新も順次行う予定である[17]。
路線車体帯色一覧
運用地区 | 正面配色 | 側面配色 | ||||||
盛岡車 |
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田沢湖線 |
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秋田車 |
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仙台車 |
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山形車 |
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青い森鉄道 |
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青い森鉄道 (新デザイン) |
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IGRいわて銀河鉄道 |
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脚注
- ^ 川重のほか土崎工場(現・秋田総合車両センター)でもノックダウン生産された。
- ^ 5000番台を除く。
- ^ ただし補助席用のいすは固定され利用できない。
- ^ 既製車にもシングルアーム式に換装されたものがある。
- ^ ATS-Ps表示器は、編成によっては外付けになっている。
- ^ TR252形は5500番台のみが装備する。
- ^ E721系と701系が併結運転を開始(鉄道ファン)
- ^ 「秋田車両センター701系N32編成の表示器がLEDに」交友社『鉄道ファン』railf.jp 2010年1月31日
- ^ 秋田地区配置車両の運賃表示器は、1番(青森)から奥羽本線を北から南(運行開始当初は山形まで)に向かって表示する。91番から「羽越本線」(羽後牛島 - 鶴岡)「津軽線」などが表示されているが、すべて表示をするのではなく、一番近い駅から表示。新庄駅が羽越本線の運賃を表示する際は、「秋田経由」で表示される。奥羽本線新庄以南と津軽線の運賃は表示されない。
- ^ この液晶式運賃表示機はWindows XP Embeddedが組み込みOSとして採用されている。
- ^ 主な広告主はコカ・コーラ、岩手めんこいテレビなどである。
- ^ 「青い森鉄道株式会社|ニュース&トピックス」 青い森鉄道ホームページ 2010年9月3日
- ^ 2002年12月1日の両社線開業から翌2003年春までの間は、そのままJR時代の車体帯色(盛岡地区の青紫)で会社ロゴ部分だけを貼り替えて使用していた。これは、冬季期間中は気温の低下で車体の色帯の貼り替えが困難だったためである。また、八戸 - 青森間開業時も同様の措置がとられている。
- ^ ただし、現状では5500番台の板谷峠区間での運用はない。
- ^ 川島 令三『徹底チェックJR一般車両―JRはどんな車両をつくってきたか』[下] 中央書院 2001年 71-73頁。
- ^ 曽根悟「クロスシート/ロングシート論争を斬る」『鉄道ピクトリアル』1993年10月号 No.581 p.17 - 23.
- ^ 「鉄道ファン」2010年1月号掲載の「JR東日本 701系の番台別特徴と輸送形態」より
外部リンク
関連項目
- JR東日本E127系電車 - 本系列と類似した直流電車