沼島
沼島(ぬしま)は、淡路島の南4.6kmの紀伊水道北西部に浮かぶ兵庫県南あわじ市に属する島。面積2.71km²、周囲9.53km[1]、 最高地点は117.2m。瀬戸内海国立公園の一部。人口564人(2010年10月末現在)[2]。
| 沼島 | |
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| 所在地 |
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| 所在海域 | 紀伊水道 |
| 座標 | 北緯34度10分5.04秒 東経134度49分33.06秒 / 北緯34.1680667度 東経134.8258500度 |
| 面積 | 2.71 km² |
| 海岸線長 | 9.53 km |
| 最高標高 | 117.2 m |

概要
勾玉形の島で北西側の真ん中に漁業中心の集落と沼島漁港があり、対岸の南あわじ市灘の土生(はぶ)港[注 1]、 洲本市の洲本港との間を定期船で結ばれている。江戸時代末期に漁業や海運業で最も栄え、1955年(昭和30年)頃までは人口2,500人ほどを擁していたが、その後は人口流出が著しい[4]。
中央構造線の南側に位置するため、淡路島とは異なり全島が三波川変成帯の結晶片岩によって構成され、南岸の海食崖には緑・白・黒など様々な縞模様が現れている。また珍しい同心円状の鞘型褶曲(さやがたしゅうきょく)も見られる[注 2]。 崖下に磯が発達していることから磯釣りの名所でもある。
- 注
国産み神話
淡路島は、『古事記』では淡道之穂之狭別島(あわじのほのさわけのしま)と書かれ、『日本書紀』では淡路洲と書かれていて、伊弉諾尊(いざなきのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)の産んだものとされる。
この「記紀」によると伊弉諾尊・伊弉冊尊の二神が天上の「天浮橋(あめのうきはし)」に立って、「天沼矛(あめのぬぼこ)」をもって青海原をかきまわしてその矛を引き上げたところ、矛の先から滴り落ちる潮が凝り固まって一つの島となった。これがオノゴロ島で、二神はその島に降りて夫婦の契りを結んで国産みを行った。初めに造られたのが淡路島で、その後次々に島を生んで日本国を造られたとされる。このおのころ島の所在地については諸説紛々としていて、淡路島北端の淡路市にある絵島、南あわじ市榎列(えなみ)の自凝島神社のある丘、あるいは淡路島全体であるという説もある。しかし南あわじ市には古くからおのころ島の地名があり、二神を祭る「おのころ神社」が存在するため沼島とする説もある[6]。
自然と観光スポット
ほぼ全島が瀬戸内海国立公園の特別地域に指定されている。
- 奇岩 - 上立神岩、屏風岩、あみだバエなど
- 島の南側の海岸線は太平洋の黒潮をまともに受ける場所であり、奇岩・岩礁を形作っている。なかでも高さ約30mの上立神岩(うえたてがみいわ)は「天の御柱」とも言われ、江戸時代の和漢三才図会には「竜宮の表門」と書き記されている。
- ウミウ越冬地
- 11月から3月まで越冬するため、ウミウとヒメウが本州北部から飛来して、島の南側の岩棚に数百羽の集団で越冬している。1971年(昭和46年)に兵庫県の天然記念物に指定[7]。ヒメウは日本国内では絶滅の危険が高いとして絶滅危惧IB類(EN)に指定されている。
- おのころ神社
- 小高い山の上にあり、この山全体がおのころさんと呼ばれる神体山である。天地創造の神である伊弉諾尊・伊弉冉尊の二神を祀っている。
- 沼島庭園(伊藤邸)
- 兵庫県下最古の石組みの庭園。別名鶴亀庭園。足利義稙が沼島在所時に逗留した大寺(おおじ)に作庭したと言う説がある。
施設
- 南あわじ市立沼島中学校
- 南あわじ市立沼島小学校
- 南あわじ市役所 沼島出張所
- 沼島郵便局(2007年3月に集配業務を南淡郵便局へ移管)
- 沼島漁港 - 兵庫県管理の第2種漁港で、主にアジ、イカ、タチウオなどが水揚げされている。2008年(平成20年)の水揚げ量は557t、登録漁船数は128隻[8]。
- 沼島海底送水管・送電線 - 対岸の灘地区との間に2条の送水管と関西電力の送電線が敷設されている[9]。
- ハモの名産地で、島で食事が出来る店は3軒、宿泊可能な店は2軒ある。
- 離島支援により沼島漁港に定期船の埠頭が整備され、道路も舗装され、海水浴場も整備されている(シャワー・トイレあり)。
交通
淡路島から沼島汽船を利用する。和歌山下津港や徳島小松島港など本土との直接の便はない。
- 沼島汽船
- 洲本港 - 火・木・土のみの週3往復。所要時間52分。
- 土生港 - 一日10往復。所要時間10分。
土生港の沼島汽船場へは、
- 兵庫県道76号洲本灘賀集線
- バス
- 洲本バスセンターから淡路交通灘線の来川(こりかわ)行き(一日3往復、来川までの所要時間54分)に乗車。終点で南あわじ市コミュニティバス「らん・らんバス(すいせん号)」に乗換えて沼島汽船場前下車(来川からの所要時間15分)。
- 中林病院・国衙(こくが)から南あわじ市コミュニティバス「らん・らんバス(すいせん号)」で沼島汽船場前下車(一日5往復、所要時間30-37分)。
- 陸の港西淡バスターミナルから南あわじ市コミュニティバス「らん・らんバス(すいせん号)」で沼島汽船場前下車(一日沼島方面1便・陸の港方面3便、所要時間42-52分)。
- 陸の港西淡バスターミナルから南あわじ市コミュニティバス「らん・らんバス(うずしお号)」で沼島汽船場前下車(一日1往復、所要時間70分)。
出典
- ^ “兵庫(瀬戸内海)の島嶼”. 第五管区海上保安本部 海洋情報部 (1990年). 2010年11月25日閲覧。 “沿岸域情報ハンドブック(平成2年3月刊行)”
- ^ “南あわじ市地区・行政区人口世帯票 (Excel 2.26MiB)”. 南あわじ市役所 市民課 (2010年10月31日). 2010年11月23日閲覧。
- ^ “兵庫県の港(瀬戸内海)”. 第五管区海上保安本部 海洋情報部. 2010年11月25日閲覧。 “灘漁港 第二種漁港 南あわじ市管理”
- ^ “沼島ってどんなところ”. 沼島漁業協同組合 (2004年). 2011年1月12日閲覧。
- ^ “南あわじ市 沼島観光スポット”. 南あわじ市. 2010年11月28日閲覧。
- ^ “おのころ島神社”. 南あわじ市役所. 2010年11月28日閲覧。
- ^ “南あわじ市 沼島めぐりガイド”. 南あわじ市. 2010年12月2日閲覧。
- ^ “兵庫県/主な漁港の紹介(沼島漁港)”. 兵庫県農政環境部農林水産局漁港課 (2010年7月15日). 2010年11月28日閲覧。
- ^ “南あわじ市地域の主な水道施設”. 淡路広域水道企業団 (2005年). 2010年12月17日閲覧。 (PDF, 610KiB)
関連項目
外部リンク
- 沼島汽船発着時刻表 - 南あわじ市ホームページ
