公安条例

これはこのページの過去の版です。122.215.123.107 (会話) による 2011年10月6日 (木) 06:27個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

公安条例(こうあんじょうれい)は、集会、集団行進、集団示威運動(デモ活動)の規制に関する地方公共団体の制定した条例である。

概説

 
東京都公安条例に反対するデモを取り締まる警官隊

集団運動を規制することにより公共安全秩序を維持することを目的として制定されるものをいうことから、一般的に「公安条例」と呼ばれている。「公安条例」という語は条例の名称としては用いられていないが、最高裁判決などでは「いわゆる公安条例」としてこの語が用いられており、また多数の下級審判決や論文にも一般的に用いられていることから、「公安条例」という名称は定着しているといえる。

集団による行進や集会は、単なる言論・出版による表現ではなく行動が伴うものであり、また集団心理によって刺激、扇動などから暴徒と化す危険性も充分に考えられることなどから規制の対象となっている。第二次世界大戦終戦までの間、国民の集団行動は治安警察法によって規制されていた。しかし、治安警察法が1945年に廃止されると戦後の権利意識の高揚とあいまって集会や集団示威運動が頻繁に行われるようになった。1948年福井地震が起こった福井市でデモ規制をする「災害時公安維持に関する条例」が制定され、都道府県では福井県で初めてデモ規制をする「震災臨時措置条例」が制定された。その後、多数の自治体が、1948年から1950年までにかけて公安条例を制定した。

日本国憲法第21条に基づき集会の自由として保障された示威活動の権利であるが、事前の届出制を巡り争いが起きている。届出の要件を公安委員会側の裁量で定めた結果、これに反発する活動主催者側との間で食い違いが生じ、合憲性について徳島市・新潟県などでは司法紛争になったが、公安条例自体は合憲とする大法廷判決により、公安条例そのものを問題視することはほとんどなくなった。

都道府県公安条例を制定している自治体は25都県あり、また制定していない道府県でも市町村で公安条例を制定している場合がある。

条例名

都県の条例

都県の条例
都県 条例名
岩手県 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
宮城県 行列行進集団示威運動に関する条例
秋田県 道路交通等保全に関する条例
山形県 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
福島県 示威行進及び多衆の参加する公然の示威運動に関する条例
茨城県 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
群馬県 群馬県集団示威運動等に関する条例
埼玉県 集団行進及び集団示威運動に関する条例
東京都 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
千葉県 多衆行進又は集団運動に関する条例
神奈川県 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
新潟県 行列行進、集団示威運動に関する条例
長野県 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
静岡県 静岡県集団示威運動等に関する条例
富山県 多衆運動に関する条例
石川県 多衆運動に関する条例
福井県 集会、集団行進および集団示威運動に関する条例
岐阜県 集会及び集団行進並びに集団示威運動に関する条例
愛知県 行進又は集団示威運動に関する条例
三重県 示威行進及び集団示威運動に関する条例
滋賀県 行進および集団示威運動に関する条例
和歌山県 集団行進及び集団示威運動に関する条例
島根県 集団行進及び集団示威運動に関する条例
広島県 集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例
佐賀県 集団行進及び集団示威運動に関する条例

政令指定都市の条例

政令指定都市の条例
政令指定都市 条例名
札幌市 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
京都市 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例
大阪市 行進及び集団示威運動に関する条例
神戸市 集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例

公安条例に関する事件

関連書籍

  • 尾崎治「公安条例制定秘史」(柘植書房)

関連項目