血栓性血小板減少性紫斑病
血栓性血小板減少性紫斑病(けっせんせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう、英Thrombotic thrombocytopenic purpura)とは、血栓によって赤血球が壊されて出血傾向を生じる病気。
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病態
ヴォン・ヴィレブランド因子分解酵素「ADAMTS13」の活性異常により、ヴォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor; vWF)が切断されず、vWFと血小板が血管内皮細胞に張り付きやすくなる。全身の毛細血管は血管内皮細胞に裏打ちされているが、毛細血管の内腔は本来なら赤血球がギリギリ通れる大きさである。しかし本症では血管内皮に血小板が張り付いて血栓を作り毛細血管内腔へ向かってトゲ状になるので、体中の毛細血管で赤血球が壊れて発症すると考えられている。
分類
臨床像
古典的に以下の5つの症状が知られている。
検査
基本身体検査
一般検査
血液検査
- 末梢血塗沫標本検査
生化学検査
- 血清生化学検査
- 特殊な検査:以下は病態に基づいた最新の検査であるが、いずれも保険適用はなく、また臨床的な有用性も未知数である。特にADAMTS13においては研究所レベルでの測定が中心で、商用に測定しているものは少ない上、検査結果の信用性も確立されていない。
- フォンヴィレブランド因子マルチマー:フォンヴィレブランド因子分解酵素の異常により、巨大なマルチマーが分解されず血中に存在していることを確認する。
- ADAMTS13(アダムツサーティーン)活性:フォンヴィレブランド因子分解酵素そのものであり、病態から考えて当然減少しているものと思われるが、どうも全例にわたって減少しているわけではないようである。
機能検査
- 血液機能検査
- 血液凝固機能検査
- 凝固因子は問題ないので、プロトロンビン時間(PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)は正常である。
- 血液凝固機能検査
画像検査
- 頭部コンピュータトモグラフィー検査(頭部CT)や頭部MRI検査では白質に浮腫が認められる。
病理検査
統計
発病率は低い。
治療
血漿交換療法を行う。免疫機能を和らげる副腎皮質ステロイドや、血小板凝固を妨げる抗血小板薬を使う事もある。LDHの値を指標とする。血小板輸血は血栓形成を促進して病態を悪化させるため絶対にしてはならない禁忌。
予後
後遺症として腎不全が残ることが多い。