Adobe Flash

Adobeによって開発されたメディアの規格

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Adobe Flash(アドビ・フラッシュ)は、アドビシステムズが開発している動画ゲームなどを扱うための規格及びそれを制作する同社のソフトウェア群の名称。元の開発会社はマクロメディアで旧称は Macromedia Flash(マクロメディア・フラッシュ)。10.1〜11.1までは携帯端末にも対応しているが、それ以前の携帯端末向けは Adobe Flash Lite で、11.2以降は携帯端末は Adobe AIR のみになる予定[3]。競合としては、Microsoft Silverlightがある。類似技術として、W3CWHATWGにより標準化の過程にあるHTML5が台頭しつつある

Adobe Flash Professional
開発元 アドビシステムズ
最新版
CS5 (11.0.2)
/ 2010年9月8日 (15年前) (2010-09-08)
対応OS MS WindowsMac OS X
種別 Multimedia Content Creator
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.adobe.com/jp/products/flash/
テンプレートを表示
Adobe Flash Player
開発元 アドビシステムズ
最新版
11.1.102.64
/ 2012年2月15日 (13年前) (2012-02-15)
対応OS

【開発中】
MS Windows, Mac OS X, Linux, Solaris
【開発終了予定】
Android, BlackBerry
【開発終了(公開中)】

Pocket PC[1], OS/2, HP-UX[2], IRIX, Symbian OS, Palm webOS, Windows Mobile
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.adobe.com/jp/products/flashplayer/
テンプレートを表示
Adobe Flash Catalyst
開発元 アドビシステムズ
最新版
CS5 (1.0.0)
/ 2010年4月30日 (15年前) (2010-04-30)
対応OS WindowsMac OS X
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト www.adobe.com/jp/products/flashcatalyst/
テンプレートを表示

概要

ベクターイメージが規格の中心で、それにスクリプトで制御することによりマウスの動きに合わせてアニメーションしたり、音を鳴らしたりなど、インタラクティブなウェブサイトを作成するのに向いている。アニメーション、ゲーム、ウェブサイトのナビゲーション、音楽再生などのコンテンツを作るためのソフトウェア。再生環境への依存度が低く、ベクターイメージを扱う場合、ウインドウサイズを変えても画質が劣化しないという特徴がある。ラスターイメージを扱うこともでき、この場合ビットマップスムージングで画質の劣化を目立たなくすることができる機能がある。

Flash を用いるとインタラクティブ性の高いウェブサイトにすることも可能だが、ウェブブラウザやプレーヤーからテキスト検索できない。ただし、google.com など一部の検索エンジンFlash 内のテキストを抜き出して、検索対象とすることができる。

Flash 再生ソフトとしては主に Flash Player(フラッシュ・プレイヤー)が使われる。{{{2}}}Mac OS XLinux などのオペレーティングシステム上で動作し、代表的なウェブブラウザの中でプラグインとして動作させることもできる。携帯電話機にも再生ソフトが搭載されているものがある(以前は機能制限を加えた Adobe Flash Lite(アドビ・フラッシュ・ライト) が提供されていた)。

また、アドビシステムズは Flash をウェブ以外にも利用できるようにする意向を発表している。Flashファイルフォーマットは仕様が一般に公開されており、アドビシステムズ以外の企業、個人でも Flash データを加工、生成するソフトウェアを自由に開発、配布することができる。しかし、仕様書に基づいてFlashファイルを再生するソフトウェアを開発することは認められていなかった。そのため、例えば Flash 再生ソフトである Gnash では、ウェブ上に存在する Flash を収集し、それらを解析することを通じて開発が行われていた。その後ライセンスの変更が行われ、現在では互換ソフトの開発が可能になっている。

Flash によるアニメーションは、ポータルサイトや企業や公的機関、歌手や個人のウェブサイト等においてトップページに使用されるが、HTMLの代替ページを用意していない場合は、アクセシビリティの観点から批判も受けることも多い。また、Flash 上に表示されたテキストは、通常のテキストや画像のようにブラウザの機能を用いてコピーや印刷、保存することが不可能なため、たとえば歌詞などのテキストを Flash を用いて表示し、容易にコピーペーストされないようにするという特殊な使われ方もある。そのほか、バナー広告をはじめとしたウェブ広告の分野においても広く使用されている。

近年のバージョンでは、インタラクティブなコンテンツの表現手段だけにとどまらずリッチインターネットアプリケーション向けの機能が拡充されており、高度なユーザーインターフェイス、複数ファイルの同時アップロード、シームレスな動画の再生など、DHTMLなどではまかないきれない柔軟で利便性の高いインターフェイスをクロスプラットフォームで比較的容易に提供できる手段としても普及している。

とくに、2006年に脚光を浴びた動画投稿サイト YouTube とともに急成長した動画配信の分野においては、(デジタル著作権管理の保護が必要な一部のケースを除いて)非常に広く使われており、従来の Windows Media PlayerQuickTimeRealPlayer によるストリーミング再生に替わって、動画配信において欠かせない技術のひとつとなっている。

メディア・アート、インタラクティブ・アートやインスタレーションの制作ツールとして Flash が使用されることもある。

バージョンアップの歴史

Flash 1, 2

1996年にアメリカ合衆国のコンピュータソフトウェア会社フューチャーウェーブ・ソフトウェア[4]が アニメーション・データを作成するソフト FutureSplash Animator と再生プラグイン FutureSplash Player(フューチャースプラッシュ・プレイヤー) を開発。これをマクロメディアが会社ごと買収、「FutureSplash」の頭文字「F」と接尾「lash」をとって略称を「Flash」とし、Shockwave シリーズに組み込んで「Shockwave Flash」とした。ファイルフォーマット名及び拡張子として使われている「SWF」は元々「small Web format」(スモール・ウェブ・フォーマット)の略であったが、マクロメディアによって「Shockwave Flash」の略として改称された(現在は再び元の略称へ改称)。作成ソフトは Macromedia Flash に改名された。このころからすでに数多くの基本的な機能を備えており、またベクターイメージで描画する事により動画データとしては非常にデータ量を小さくした事により注目される。

Flash 3, 4

1998年、 Flash 3 のベータ版公開と同時に Shockwave Flash (SWF) の仕様をオープン・スタンダード化する事が発表される。同年発売された Macromedia Flash 3 からインタラクティブ関連の機能が強化され、次第に「アニメーションソフト」の枠にとどまらない発展をするようになる。Flash 4 で変数、文字列処理、条件分岐ができるようになる。

Flash 5, 6

Macromedia Flash 5Macromedia Flash MXFlash Player 6)で ActionScript が搭載され、プログラミングの機能が大幅に強化されたため、プログラマたちも Macromedia Flash を使うようになる。なお、MXは「miracle experience[5]の略称である。

Flash 7, 8

Macromedia Flash MX 2004Flash Player 7)では、ActionScript 2 が搭載され、動画配信もサポートし、2005年秋にリリースされた Macromedia Flash 8 Professional ではアニメ、グラフィック関連を中心に大幅なバージョンアップが行われ、また機能制限版の Macromedia Flash 8 BASIC も同時リリースされ、新たな層の開拓にも意欲的である。

Adobe による買収

2005年4月にマクロメディアはアドビシステムズに買収され、プレイヤーは Adobe Flash Player に改名される。作成ソフトは新バージョンの発売まで Macromedia Flash の名称のまま販売が継続された。2007年4月アドビのクリエイティブ製品群である「Adobe Creative Suite 3」に組み込まれて新バージョンとなる Adobe Flash CS3 Professional が発売され、作成ソフトの名称も Adobe Flash に改名された。

Flash CS3 (9)

第8版までは Macromedia FlashFlash Player がほぼ同時にリリースされていたが、WindowsMac OS 用の Flash Player 9 が2006年6月にリリースされた(開発環境は現在、Adobe Flash CS3 ProfessionalFlex 2 および Flex 3)。

Linux 用について見ると、Flash Player 8 はそのリリースが見送られることとなった。その後、Flash Player 9WindowsMac OS 用よりも数ヵ月遅れた2007年1月にリリースされた。Linux 用のリリースが遅れた理由は、多くの Linux ディストリビューションに対応させる必要から、開発に相当時間がかかったためであるといわれている。

Flash CS4 (10)

CS4製品の米国での発表は2008年9月2日、発売は同年10月15日。日本語版の発表は同年11月11日、発売は同年12月19日であった。

3D変換、H.264のエンコード、Adobe AIRとの連携、新フォーマットXFLなどをサポートしている。

Flash Professional CS5 (10.1)

全世界での発表は2010年4月12日、日本での発売は同年5月28日

Flash Catalyst CS5 (1)

CS5 から新設されたソフト。

Flash Player 10.2

2011年2月8日公開。以下の機能を追加[6]。対応する Adobe AIR は 2.6。

  • StageVideo のハードウェアアクセラレーション
  • 複数のモニターでのフルスクリーンモード
  • Internet Explorer 9 でのハードウェアアクセラレーションによるレンダリング
  • カスタム ネイティブマウスカーソル
  • サブピクセルテキストレンダリング

Flash Player 10.3

2011年5月12日公開。以下の機能を追加[7]。対応する Adobe AIR は 2.7。

  • メディアの測定 - ビデオの使用状況の分析
  • 音声エコーの除去 - ヘッドセットを利用していない状況で、より強力なエコー除去やノイズ除去など
  • ローカル記憶領域の管理の改善
  • ネイティブ制御パネル
  • Mac OS X でのアップデートの自動通知

Flash Player 11.0

2011年10月3日公開。以下の機能を追加[8]。対応する Adobe AIR は 3.0。SWF バージョン13。

  • GPUによる2D, 3Dのハードウェアアクセラレーションレンダリング。Stage3D APIMolehill」。
    • レンダリング性能が1,000倍高速化するケースが存在する[9]
    • DirectX 9 (Windows)、OpenGL 1.3 (Mac OS XLinux)、OpenGL ES 2.0 (AndroidiOSBlackBerry Tablet OS) などを使用。未対応なら、SwiftShader を使用[10]
    • シェーダ言語の Adobe Pixel Bender 3D も2011年3月2日に発表[11]。シェーダ言語のアセンブリ言語として、Adobe Graphics Assembly Language (AGAL) も利用可能[10]
  • キュービックベジェ曲線 (3次ベジェ曲線)
  • 64ビットブラウザサポート
  • Linuxベクター印刷
  • G.711
  • H.264/AVC ソフトウェア圧縮
  • JSON
  • ガベージコレクションのタイミング指示
  • ソケットプログレスイベント
  • 安全な乱数生成機
  • HTTP ダイナミックストリーミングがコピーガード対応
  • JPEG-XR
  • 大きなBitmapDataのサポート
  • LZMAによるSWFの圧縮
  • DisplayObjectContainer.removeChildrenMovieClip.isPlaying
  • 非同期のビットマップデコード
  • TLS

Flash Player 11.1

2011年11月10日公開。対応する Adobe AIR は 3.1。SWF バージョン14。

  • iOS 5 (AIR) 対応
  • モバイル版 Flash Player の最終版

Flash Player 11.2

以下の機能を追加。対応する Adobe AIR は 3.2。SWF バージョン15。

  • マルチスレッド ビデオデコード (Windows, Mac OS X, Linux)
    • 幾つかのエンコーディング、典型的にはライブストリームやリアルタイムインタラクティブで時々見られたジッターを除去。
    • 幾つかのプラットフォームでビットレートの高いコンテンツで、ドロップされるフレームを減らすことにより、フレームレートを最大50%改善。
    • フレームシークを正確にした。
    • 解像度が高かったり、ビットレートの高いコンテンツをデコードしても、メインUIスレッドを止めないようにした。
    • HTTP ストリーミングで、シークの反応性が良くなり、シーク後により素早く再生できるようにした。
  • Flash Player バックグラウンドアップデート (Windowsのみ) - 「可能な場合にアップデートを自動的にインストールする (推奨)」を選択した場合、何も通知せずに自動的にバージョンアップするようになる
  • フルスクリーンモードでのマウスロック、相対マウス座標 (モバイルの Adobe AIR は対応しない)
  • 右クリック・中クリック (Adobe AIR だけでなく、Flash Player も対応)
  • Flash Player 11.1 までは、Windows でビデオカードのデバイスドライバの日付が、2009年1月1日よりも前の場合は、wmode="direct" の時でも、ソフトウェアレンダリングを使用してたが、その判定日時を2008年1月1日に切り替えた。
  • ウェブブラウザでタブが背後に隠れたり、最小化したときに、ThrottleEvent を生成。
  • Linux 版 Flash Player の最終版[12]

バージョン

作成ソフト

  • 1996年 Future Splash Animator (Macromedia Flash 1)
  • 1997年 Macromedia Flash 2
  • 1998年 Macromedia Flash 3
  • 1999年 Macromedia Flash 4
  • 2000年 Macromedia Flash 5
  • 2002年 Macromedia Flash MX (6)
  • 2003年 Macromedia Flash MX2004 (7)
  • 2003年 Macromedia Flash MX Professional 2004 (7)
  • 2005年 Macromedia Flash Basic 8
  • 2005年 Macromedia Flash Professional 8
  • 2007年 Adobe Flash CS3(9) Professional
  • 2008年 Adobe Flash CS4(10) Professional
  • 2010年 Adobe Flash Professional CS5 (10.1)

プレイヤー

必要システム構成

Adobe Flash Player

必要システム構成は以下の通り[20]。2.33 GHz 以上となっているが、Flash Player 11.0 リリース時点で、モバイル向け Sandy Bridge では、Core i3 や 低消費電力タイプ(25W以下)の Core i7 など最新のCPUが対象外となるなど、おかしな指標であるが、Pentium 4 を想定した数値であると思われる。

Windows
  • 2.33GHz 以上 (もしくは Atom 1.6GHz以上)
  • 対応OS (32ビット)
  • 対応OS (64ビット)
  • 128MB以上のRAM(ネットブックでは1GB以上推奨)、128MB以上のビデオメモリ
Mac OS X
  • Intel Core Duo 1.33GHz 以上 (PowerPCのサポートは10.1で終了)
  • Mac OS X 10.6 以降
  • 256MB以上のRAM(1GB以上推奨)、128MB以上のビデオメモリ
Linux
  • 2.33GHz 以上 (もしくは Atom 1.6GHz以上)
  • 対応OS
  • 512MB以上のRAM、128MB以上のビデオメモリ
Solaris
  • 1600 MHz Sun UltraSPARC IIIi以上
  • Solaris 10
  • 2GB以上のRAM、128MB以上のビデオメモリ
Android
  • Google Android 2.2 以降
  • ARMv7-A(ベクターFPU搭載)550MHz 以上
  • OpenGL ES 2
  • H.264およびAACハードウェアデコーダー
  • 256MB以上のRAM
BlackBerry Tablet OS

日本における普及

日本での本格的な流通はFlash 2の頃からであるが、実際にはFutureSplashの直輸入版も一部店舗では取り扱われていた。

ウェブサイトの一般ユーザーに広くFlashが認知されるようになったのはFlash 4の時期とされる。数々の企業サイトで採用されるに至っていたが、特にフォークデュオゆずの公式サイトは、そのほとんどをFlashで構築した上、「ゆず一家の家の中」を探索するアドベンチャーゲーム風の演出をそれに取り入れていた。他方で個人制作されたFlash作品もこの時期を境に増え始めており、個人制作Flashの「投稿型コミュニティ」や、自動リンクを用いて主催者が気に入った作品を登録する形式で紹介するウェブサイトが派生してきたのもこの時代である。

いわゆるMADムービーの制作ツールとしてFlashが多用されていた時期があり、『サザエさん』や『ドラえもん』、コミックソング等を素材に使用した作品が数多く公開された。一方で個人制作ながら表現において高レベルの水準に到達した『つきのはしずく』(森野あるじ)や、脚本に注力されFlashに興味の無い一般層も抵抗無く作品世界へ引き入れた感動系の始祖『キミとボク』(やまがらしげと)など、黎明期を代表する作品が発表されている。

また2ちゃんねるの利用者増加にしたがって、同掲示板内での内輪受けを狙ったFlash作品からも大きな流行が起こり、2002年始めに設立されたFLASH・動画板はその中核となった。作品にアスキーアートを多用している(比較的キャラが決まっているので、一から設定する必要がない、画力の差がそれほどでない、などの利点がある)。掲示板内の有志で様々なテーマに沿った「発表会」も主催されるなど、制作者同士の情報交換が頻繁に行なわれた。他にも作品に「泣ける系」「PV系」などの独特なジャンル分けを行なったり、Flash制作者を「Flash職人」と呼称するなど、独自の文化を形成している。

2005年春には商用音楽を無断転載して公開していた Flash を逆に企業が注目し、プロモーションとして大々的に抜擢する異例の「大出世」があった。(「恋のマイアヒ」参照)。また、2006年には同じく商用音楽を無断使用していたFlash「WALKING TOUR」が絵本化され、その際に同梱されたCDに収録のFlashに、当初は無断使用されていたプラネテスの「PLANETES」と同じ黒石ひとみによって新規に書き下ろされた曲が使われた。

Flashのバージョンアップに従って、Flashに搭載されているスクリプト言語であるActionScriptが高度化されたことに伴い、ウェブブラウザ上なら軽快に動作し、比較的容易な開発環境にあるFlashを使用した数多くの大規模なネット・ゲームやコミュニケーション・サイト、動画配信や地図ナビゲーション、Flash Liteを使用した携帯アプリなど、スクリプトベースで「作品」が制作されることが増加傾向にある。

2006年春、『菅井君と家族石』で注目されていたFROGMAN蛙男商会)が、また、全編Flashで制作されたテレビアニメーションシリーズ『THE FROGMAN SHOW』が制作され、テレビ朝日朝日放送にて放映。映画化やゲーム化なども行なわれた。加えて、うすた京介の漫画『ピューと吹く!ジャガー』が、蛙男商会の手によりFlashでOVA化されている。

セキュリティ問題

Flash Playerは本格的なプログラミング言語であるActionScriptの処理系を含んでいる。そのためFlashデザイナーやFlexプログラマーは任意の機能を実現できるが、信頼性の保証がないサーバから読み込まれたプログラムが動作することについて、セキュリティ上の懸念が存在する。

Flash Playerにはサンドボックスモデルに基づいたセキュリティ機構が実装されている。ローカルストレージや周辺機器へのアクセス、ダウンロード元と異なるドメインのサーバとの通信は制限されており、例えば自由に読み書きできるローカルストレージはWebブラウザのCookieに相当するSharedObjectに限られ、ファイルの読み書きにはユーザの選択による許可を必要とする。

このため通常はFlashによってシステムが破壊されたり、ローカルファイルに保存した情報が盗まれることはないが、Flash PlayerやPDFに埋め込まれたFlashを再生できるAdobe Readerにはシステムのクラッシュや悪意のあるプログラムの実行を許す脆弱性が過去にいくつか発見されている。多くのユーザはWebブラウザに組み込まれたFlash Playerを有効にした状態でWebを利用しているので、それらの脆弱性を突くJSRedir-RTROJ PIDIEF.INのようなウィルスは修正アップデートが公開されるまでの間に急速に感染を拡大した。

Flash10以降では、インストール時に手動でチェックボックスを外さない限り、McAfee Security Scanが自動的にインストールされるようになった。

HTML5との比較

アップルは、Safariがクラッシュする原因の大半はFlash Playerによるものだとし(Mac版Flash PlayerはWindows版に比べ安定性が低い[要出典])、動作が重くセキュリティ問題を抱えるFlashは携帯機器には不向きであるとして、iOS上では動作しないようにしている[21]。同社はまた、Flashの代替として、プラグインを必要としないHTML5を強く推奨している。

しかし、HTML5はまだ仕様が確定していない発展途上の段階であり(2014年までに正式の仕様が勧告される予定)、現時点では実装状況はブラウザによって異なる。そのため、Flashを完全に置き換える要素にはなっていない。

Googleは、HTML5を強く推進し、また独自の動画規格WebMを開発している一方、AndroidをFlashに対応させたり、Google ChromeにFlash Playerを内蔵させている。

また、Adobe自身もFlashからの変換ツールを開発する等、HTML5を推進する立場をとっている[22][23][24]

ブラウザへのインストール

Google ChromeはFlash Playerを搭載された状態でインストールされ、アップデートも自動で行われるが、言語バーが消える、Flash上の新しい情報が読み込まれない等といった不具合が発生する。この症状は、Mozilla Firefoxでも見られる。他のブラウザはFlash Playerをインストールする必要がある。

Windows用では、「Internet Explorer」版と「その他のブラウザ」版に分かれていてInternet Explorerとその他のブラウザ両方で利用したい場合、それぞれインストールする必要がある。「その他のブラウザ」版を一回インストールすると、FirefoxSafariOperaの全てで利用可能になる。 Flash Player 11.0 から64ビット版もリリースされており、64ビットネイティブ版ブラウザでも利用することができるようになった。

アンインストールについては、Adobeから「Flash Player Uninstaller」がリリースされており、それを利用するとすべてのブラウザのFlash Playerが削除される。

アドビシステムズ以外の実装

再生ソフトウェア

アドビシステムズ以外が実装する Flash 再生ソフトウェアは存在するものの、いずれもまだバグが多く実用レベルに達していない。なお、SWFのファイルフォーマットの仕様は公開されている。昔は、この仕様書を再生ソフトウェアの作成に用いることはできなかったが、2008年5月1日に、ライセンスが変わり、Open Screen Project が始まり、互換プレーヤーを作ることが可能になった[25]

作成ソフトウェア

Flash のファイルフォーマットである SWF は仕様が公開されており、サードパーティー製の Flash 作成ソフトも多数存在する。

統合開発環境

ActionScript の統合開発環境。Adobe 製は Adobe Flash Builder

普及率

Adobe Flash Player の普及率は以下の通り[26][27]。RIAStats.com の調査はほとんどがパソコンを対象としているが、多少、スマートフォンやタブレットを含んでいるため、未インストール率が高めに出ることに注意が必要。また、RIAStats.com は iOS 5 を Mac OS X に含めている。Adobe の調査はパソコンのみが対象。

バージョン RIAStats.comの調査
(全OS)
Adobeの調査
(先進国)
Adobeの調査
(日本)
未インストール 4.37% 0.7% 0.6%
9 0.62% 0.6% 0.5%
10.0 5.85% 7.9% 16.0%
10.1 6.37% 13.0% 18.0%
10.2 3.67% 37.3% 29.5%
10.3 12.47% 40.5% 35.4%
11 66.43% 0% (公開前の調査)

Adobeの調査は2011年6月現在、RIAStats.comの調査は2012年2月17日現在。

関連項目

参照

  1. ^ Adobe - Flash Player 7 For Pocket PC
  2. ^ Macromedia Flash Player 6 for HP-UX
  3. ^ Flash to Focus on PC Browsing and Mobile Apps; Adobe to More Aggressively Contribute to HTML5 (Adobe Featured Blogs)
  4. ^ FutureWave Software
  5. ^ 「奇跡体験」を意味する。
  6. ^ Adobe Flash Player 10.2 リリースノート
  7. ^ Adobe Flash Player 10.3 リリースノート
  8. ^ Flash Player 11 および AIR 3 リリースノート:2011/10/04
  9. ^ Adobe - アドビ システムズ社、Flash Player 11AIR 3 によって、3Dゲームを実現
  10. ^ a b Digging more into the Molehill APIs - ByteArray.org
  11. ^ Adobe Pixel Bender 3D vertex and fragment shaders, molehill - Adobe Labs
  12. ^ Adobe and Google Partnering for Flash Player on Linux” (英語). Adobe AIR and Adobe Flash Player Team Blog (2012年2月22日). 2012年2月23日閲覧。
  13. ^ マクロメディア、「Flash Player 8」を公開
  14. ^ 「Adobe Flash Player 9」リリース、パフォーマンスを大幅向上
  15. ^ 「Flash Player 10」正式版公開、レンダリングエンジンを強化
  16. ^ 「Flash Player 10.1」正式版が公開、ゼロデイ脆弱性にも対応
  17. ^ 「Flash Player 10.2」正式版公開、Stage Video技術に対応、脆弱性の修正も
  18. ^ 「Adobe Flash Player 10.3」公開、Android 3.1もサポート
  19. ^ 窓の杜 - 【NEWS】「Adobe Flash Player 11」「Adobe AIR 3」がついに正式公開
  20. ^ 必要システム構成
  21. ^ http://www.apple.com/hotnews/thoughts-on-flash/
  22. ^ HTML5/CSS3 特設サイト
  23. ^ Adobe Illustrator CS5 HTML5 Pack
  24. ^ Adobe Max 2010まとめレポート - アドビのHTML5・jQueryサポート最新事情
  25. ^ Adobe and Industry Leaders Establish Open Screen Project(2008.4)
  26. ^ Rich Internet Application Statistics
  27. ^ Adobe - Flash Player Version Penetration

外部リンク