獣姦
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獣姦(じゅうかん)とは、人間が人間以外の動物と行う性行為のことである。



人間が他の種類の動物に対して性的魅力を感じる性的倒錯を動物性愛、ズーフィリア(英語: Zoophilia、ギリシャ語のζώον zóon「動物」+ φίλειν phileín 「愛する」、ゾーフィリアとも)と呼ぶ。
概要
世間一般の価値観からいえば拒絶される傾向も強く、これらは相当数が他に知られない形で行われていると見られている。本来の生殖行為から逸脱していることもあり、これを忌避する文化圏は多い。他方では性的に欲求不満となった男性が緊急的にこれら行為にふけるケースも見られる。性的欲求不満が高じると、自慰(手淫)によってこれを解消することがあるが、これに満足しない場合に獣姦に走ることがある。
歴史
- 『出エジプト記』22章18節には「全て獣と寝る者は必ず死刑に処される」とある。これはモーゼが神から授かった十戒に次ぐ契約の書として書かれている。
- 中世ヨーロッパなどではイヌなどと交合したなどとして、男性、女性とも魔女狩りにより性行為を行った動物とともに処刑されたケースもあったと言われている。
- 古代インカでは、酪農家は家畜に餌を食ませるためかなり遠い地域まで草を求めて遠征したが、この仕事は男性の仕事とされ、何週間も家族とも人間の社会とも離れて生活するため、孤独を癒すために家畜のヤギやリャマで発散したと言われている。
獣姦は歴史的に宗教的戒律から禁じられてきた。しかしながら同性愛などのタブーなどが解禁されている現代においては、後述のように動物虐待といった観点以外これを禁ずる社会的規範を当てはめることはできない。
相手となる動物
類人猿に限らず幼少時から人間に育てられた動物が人間に求愛行動をすることはコンラート・ローレンツによって報告されている。アラビアンナイトには人間の女性を襲うヒヒが登場するが、そのように学習したヒヒならこれはあながち荒唐無稽な話とは言い切れない。また、獣姦は動物虐待とみなされることもある。
- イヌ
- 陰茎のサイズが人間に近い。陰茎にはコブがついており一度いれてしまうと20分から30分膣から抜けない。何回にも分けて射精する。イヌだけではなく、イヌ科の動物もコブがついている。精子の味も人間とは違う。ヒトの女性に対して発情するケースもあるとされる。
- ヤギ・ヒツジ
- 体の大きさ的に運動しやすくおとなしい。
- ウマ
- 精液の量が非常に多いので、フェラチオにより射精に導くポルノ作品に使われることがある。ウマの陰茎は最大で成人男性の腕以上にもなるため、危険性が高く死亡例も多く報告されている。ポルノ映画においては一部作り物の陰茎を用いていることも多い。
など
衛生上の問題
昔は、おもに梅毒などの性病患者が性処理のためにイヌを獣姦するケースがあり、イヌが性病に感染して衛生的な問題となったことがある。性病の治療薬の普及によってイヌの性病感染は減少したが、現在でも治療薬が不足しているアフリカ諸国では、梅毒に感染したイヌを目撃することがある。
いずれにせよ、人間ほどには衛生的ではない動物と交合することによる感染症などのリスクを伴う。一説では梅毒はもともとは家畜の病気であったが、先に挙げたインカの男性から女性へ、さらにはインカを征服したスペイン人へと伝播し、そこから世界に広がったと言われている(なお、これはインカ文明研究における風説の域を出ず、コロンブスがカリブ海周辺からヨーロッパへ持ち帰ったとする説もあり、医学的にはこちらが有力視されている)。
神話・伝説上の獣姦
獣姦は芸術、文学にしばしば登場し、中でもギリシャ神話がよく知られている。
白鳥に変じたゼウスとレダが性交して後にトロイ戦争の火種となるヘレネーが誕生する話(ただし、一説では性交ではなく抱きしめただけで懐妊したともある[要出典])をはじめ、ミノス王の妃パーシパエー(パシファエ)が牛と性交して後に牛頭人身のミノタウロスを産んだ話などはとくに有名である。
日本では、農家の飼いウマとその家の娘が性交して夫婦になった遠野のオシラサマ伝説や、佐倉城の姫が飼っていた白鳥と性交してのちに半鳥半人が誕生する伝説などが有名である。
日本における獣姦
日本でも古来より獣姦は行われてきたが、記録として残されている例は少ない。浮世絵などではエイを犯す漁師の絵や、非現実的ではあるがタコに犯される海女の絵が有名である。
明治時代末、白瀬矗陸軍中尉率いる南極探検隊がペンギンを相手に獣姦を行っていたこと[1]が、指摘されている。
一部のアダルトビデオでは、撮影のための獣姦が行われている(『獣皇』シリーズなど)。
現代日本のサブカルチャーと獣姦
商業誌の中の異種姦は、性欲の偏向という意味ではこれも獣姦に等しい部分を含む。その一方でオタク文化にはいわゆる「二次元コンプレックス」と呼ばれる非生物に対しての「萌え」の様式もあるため、もともとそのような傾向への閾値(いきち)が低いのかもしれないが、その一方で実際の・現実世界での性交には消極的な傾向も見出せるため、やはり似て非なるものなのかもしれない。
獣人や擬人化したものと獣姦とは二次元内であってもまったく別のジャンルと言える。獣人の嗜好をもつ者が獣姦を好むことはあまりないようであることから、嗜好的にも趣味的にも「ケモノ」と呼ばれるジャンルとは別と考えられる。
獣姦が登場する作品
映画作品
- 『あばよダチ公』(1974年 日活)
- 欲求不満から、ジンギスカンにするべく食料として盗んできた山羊と性交する男が登場する。
- 『父 パードレ・パドローネ』(1977年 イタリア)
- ガヴィーノ・レッダ作Padre Padrene。イタリアのサルデーニャ島で牧童が日常的に家畜を相手に獣姦を行っていた事実が明らかにされた。
- 『楢山節考』(1983年 東映)
- 姥捨山の話をモチーフに信州の山奥の寒村に住む人々を描いた作品。犬と性交する男が登場する。
- 『犬とおばさん』(1995年 エクセス)
- 主演女優(辻真亜子)と犬との獣姦を描いた作品。成人映画ながら広告媒体などを通じ一般に広く知られる。
- 『続・犬とおばさん』(1995年 エクセス)
- 前作を受けて製作された犬との獣姦を描いた作品。
- 『変態村』(2004年 フランス)
- 地図に載っていない小さな村に迷い込んだ売れない歌手の青年が体験する恐怖を描いた作品。豚と性交する村人たちが登場する。
浮世絵
書籍
- 『愛しのペット―獣姦の博物誌』(2000年 工作舎) ISBN 4875023308
脚注
- ^ 『帝国陸軍 戦場の衣食住』(2002 学研)などより。