湖月わたる
湖月わたる(こづき わたる)は、宝塚歌劇団の星組男役トップスター。埼玉県出身。のびやかな持ち味と175センチの長身を生かしたスケール感が魅力。
略歴
長身を生かせる、と宝塚歌劇を志望、1987年宝塚音楽学校に合格、卒業後の89年、星組公演『春の踊り/ディガディガドゥ』で初舞台を踏み、翌90年に星組に配属。
長身を活かしたダイナミックなダンスと、男役の申し子的な容姿でスター候補生とみなされ、下級生の頃から抜擢を受ける。1992年にはニューヨーク特別公演メンバーに選ばれた。
1994年、藤沢周平原作『若き日の唄は忘れじ』の文四郎(実家に預けている愛犬の名前もここに由来)役で、新人公演初主演。同年には自身2度目の海外公演・ロンドン公演に出演。
1996年、バウホール公演『ドリアングレイの肖像』で準主役をつとめる。また同年、星組版『エリザベート』に青年革命家エルマーとして出演。
1997年には『夜明けの天使たち』で日本青年館公演初主演。直後に3度目の海外公演、香港公演に出演。
そのまま新設の宙組に3番手として異動となる。1998年、宙組版『エリザベート』にルキー二役で2度目の出演。1999年には、香港を舞台とした『テンペスト(バウ)』で記憶を失い殺し屋になった青年役で主演。
2000年、姿月あさと退団に伴い、宙組2番手へ昇格するも、直後に劇団内構造改革の一環として発足した「新専科」に異動となる。
同年12月シアタードラマシティ公演『月夜歌聲(ツキヨノウタゴエ)』に主演。朝海ひかる(現雪組トップスター)との共演で好評を博す。
2001年には、雪組大劇場公演『猛き黄金の国/パッサージュ』、星組東京公演『ベルサイユのばら2001―オスカルとアンドレ編―』(アンドレ・グランディエ役)、雪組東京公演『猛き…』、月組東京公演『大海賊/ジャズマニア』、宙組大劇場公演『カステルミラージュ/ダンシングスピリット』、と立て続けに出演。2002年には、日生劇場で行われた特別公演『風と共に去りぬ~雪組・花組~』にアシュレ役で出演。この時点で新専科としては唯一人の全5組出演を達成する。
同年6~7月には、初の外部主演となる『フォーチュンクッキー』(製作:TSミュージカルファンデーション)に出演。等身大の女の子を演じ話題を呼ぶ。続いて月組『長い春の果てに/With a song in my heart』では、大劇場→東京→愛知・中日劇場と3か所連続出演。
2003年、全国ツアー『蝶・恋(ディエ・リエン)/サザンクロス・レビュー3』で、古巣星組のトップスターに就任。大劇場お披露目公演『王家に捧ぐ歌』は芸術祭演劇部門優秀賞を受賞。
2002年の『風と共に去りぬ』で夫婦役として初共演した美貌の娘役檀れいを相手役・娘役トップスターに迎えた。湖月・檀コンビは大人の芝居と共に、コスチュームプレイの似合うトップコンビとして好評を博す。
檀の退団後の相手役には白羽ゆりが後任。2005年全国ツアー『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!』が新トップコンビのお披露目公演となった。娘役としては異色の存在であり女役と呼ぶのがふさわしかった檀と対照的に、娘役らしく、姫役者としての気品とたおやかさが魅力の白羽とのコンビは、如何にも星組らしいコンビとして全国ツアーから高い評価を得た。
また、『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!』は、史上初となる韓国公演でも上演。 自身にとっては4度目。トップとしては初の海外公演となり、見事大成功を収める。
2006年1月より、『ベルサイユのばら―フェルゼンとアントワネット編―』に出演。
スター像
歌唱力は高い方ではなかったが、努力を惜しまぬ真摯な姿勢で稽古に臨み続け、向上させた。また、歌う姿は情感を感じさせ、歌自体にも芝居心が随所にみられる。 軍服やコスチュームに強いだけでなく、その時代や歴史を背負っての芝居が出来るのも魅力。 近年クールビューティーな男役が増える中で、人間味あふれ男くさい熱い血潮を感じる湖月は貴重な存在と言える。 ダイナミックで男役らしいダンスにも定評がある。
また日舞花柳流の名取(花柳湖月)でもあり、日本物にも強い。 明るくあたたかな人柄、大らかで優しい素顔は、舞台で見せる包容力にも繋がっている。
私生活では柴犬の文四郎がもう一人の愛する家族(実家に預けている。)
主な主演舞台作品
新人公演主演
(計4回)
バウホール/青年館公演(主演)
- 『夜明けの天使たち』(1998年)
- 『TEMPEST』(1999年)
シアタードラマシティ公演(主演)
- 『月夜歌聲』(2000年)
星組トップ時代
- 『蝶・恋(ディエ・リエン)/サザンクロス・レビュー3』(2003年)(全国ツアー)
- 『王家に捧ぐ歌』(2003年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『永遠の祈り―革命に消えたルイ17世―』(2003年)(シアタードラマシティ)
- 『1914/愛 タカラヅカ絢爛―灼熱のカリビアンナイト―』(2004年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『花舞う長安―玄宗と楊貴妃―/ロマンチカ宝塚’04―ドルチェ・ヴィータ!―』(2004年)博多座、宝塚大劇場、東京宝塚劇場)
- 『王家に捧ぐ歌』(2005年)(中日劇場)
- 『長崎しぐれ坂/ソウル・オブ・シバ!!―夢のシューズを履いた舞神―』(2005年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場
- 『ベルサイユのばら/ソウル・オブ・シバ!!―夢のシューズを履いた舞神―』(2005年)(全国ツアー、韓国)
- 『ベルサイユのばら―フェルゼンとアントワネット編―』(2006年)(宝塚大劇場、東京宝塚劇場)(予定)