TOTO (バンド)
TOTO(トトと発音)は、1978年にスタジオミュージシャンを中心に結成されたアメリカのロックバンドである。
バンド名の由来
メンバーによって、またその時によって説明が異なっている為、正確には不明であるが、ボビー・キンボールの本名、ロバート・トトースを捩ったもの、全てを含むを意味するラテン語を英語風に捩ったもの、日本の企業、東陶機器のブランド「TOTO」からとった等、複数の説、及びメンバーの説明がある。もちろん、東陶機器からとったいうのはメンバーによるジョークであるが。
現在、公式ウェブサイトではオズの魔法使いに登場する犬の名前からとされている(参考:Official TOTO WebsiteのTOTO, ORIGIN OF BANDNAME)。東陶機器も参照のこと。
尚、複数の理由を組み合わせた場合の説明もある。(例:オズの魔法使いの犬にヒントを得たが、ラテン語で全てを含むという意味を持つ言葉でもあると知り、まさにそういう音楽性にしたいと思ったから。)
音楽的特徴
しばしば、AORのお手本的サウンドであるとか、商業ロック等と表現される事が多く、確かにヒット曲にはそういった趣の楽曲が多いのも事実である。しかしながら、実際には非常に幅広い音楽性を持っており、ハードロックからプログレ、ジャズ/フュージョンといった様々なタイプを内包している。
また、専任のヴォーカリストがいるにも関わらず、アルバムの半数近くをギターのスティーヴ・ルカサー、キーボードのデヴィッド・ペイチがリード・ヴォーカルをとる事が多い。(実際、TOTOの最高ヒット曲Africaはペイチのヴォーカルである)
全盛期には、全体のエフェクトにリバーブやゲートリバーブ、ギターにはコーラス等を多用し、アンプに通さず直接ミキサーのインプットに入力したクリスタル・クリーン等と形容されるギターサウンド、ペイチのジャジーなピアノやオルガン、エレピ、そしてスティーヴ・ポーカロのブラス系を含む煌びやかなシンセサイザーサウンドは正に80年代サウンドのお手本と言える。
しかし、初期TOTOにおいて一番その特徴といえるのがバンドの中心人物でドラムスのジェフ・ポーカロのリズムである。基本的に16ビート調の曲が多いのだが、通常の8ビートや16ビートでも独特のハネとウネりがあり、それが初期のTOTOをTOTOたらしめている根本と言っても過言ではない。特に顕著なのがRosannaに代表されるような3連ゴースト・ノートを多用する16ビートのハーフ・タイム・シャッフルである。レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナムやスティーリー・ダンでプレイしたバーナード・パーディから影響を受け、独自にアレンジしたというこれらのリズムは未だに多くのドラマーの課題となっている。(実際ジェフ自身もスティーリー・ダンでプレイした経験がある)
バンドメンバー
TOTOはメンバーチェンジを繰り返しており、時代ごとにラインナップが異なる。2006年1月、現メンバーでは初の作品がリリースされた。
現在のメンバー
- David Paich-デヴィッド・ペイチ(ヴォーカル、キーボード)… オリジナル・メンバー
- Steve Lukather-スティーヴ・ルカサー(ヴォーカル、リードギター)… オリジナル・メンバー
- Bobby Kimball-ボビー・キンボール(ヴォーカル)… オリジナル・メンバー。1984年Isolation制作中に脱退。1999年MindFieldsより復帰。
- Mike Porcaro-マイク・ポーカロ(ベースギター)… ジェフの弟。セッションとしてはIVからの参加であるが、正式加入はIVリリース直後のデヴィッド・ハンゲイト脱退により参加。TOTOに留まったポーカロ兄弟最後の一人。
- Greg Phillinganes-グレッグ・フィリンゲインズ(ヴォーカル、キーボード)… 2005年より加入。それまでツアーでのサポートメンバーとして参加していたが、その力量を買われて正式加入。レコーディング参加は2006年1月現在最新作のFalling in Betweenから。TOTO初のアフリカ系アメリカ人
- Simon Phillips-サイモン・フィリップス(ドラムス)… 死去したジェフの後任としてKingdom of Desireのツアーより参加。レコーディング参加はTambuから。
過去に在籍していたメンバー
- Jeff Porcaro-ジェフ・ポーカロ(ドラムス)…オリジナル・メンバー。結成から死去まで、事実上のTOTO中心人物。1992年殺虫剤散布中に殺虫剤アレルギーによる心不全が原因で死去。「ジェフこそがTOTOである」、「TOTOはジェフとペイチのバンドだ」等の声も非常に多い。
- Steve Porcaro-スティーヴ・ポーカロ(キーボード)…オリジナル・メンバー。ジェフ及びマイクの弟。FAHRENHEITを最後に脱退(が、次作THE SEVENTH ONE以降の作品でもほぼ毎回、正式メンバー並に参加している)
- David Hungate-デヴィッド・ハンゲイト(ベースギター)…オリジナル・メンバー。商業的成功が故に多忙となり、家族の為にTOTO IVを最後に脱退。
- Fergie Frederiksen-ファーギー・フレデリクセン(ヴォーカル)…Isolationのみの参加で脱退。
- Joseph Williams-ジョセフ・ウィリアムズ(ヴォーカル)…ジョージ・ルーカスのスター・ウォーズシリーズやスティーヴン・スピルバーグの作品等、映画音楽作曲家として有名なジョン・ウィリアムズの息子。THE SEVENTH ONEを最後に脱退。 現在でもTOTOの作品に作曲やゲスト・ヴォーカルとして参加する事がある。
- Jean-Michel Byron-ジャン・ミシェル・バイロン(ヴォーカル)…ベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」で新曲のみ参加。南アフリカ出身で唯一のアフリカ人メンバー。
ディスコグラフィ
スタジオ・オリジナル・アルバム
- 1978年-TOTO(邦題:宇宙の騎士)
- 1979年-Hydra(ハイドラ)
- 1981年-Turn Back(ターン・バック)
- 1982年-TOTO IV(邦題:TOTO IV~聖なる剣)
- 1984年-Isolation(アイソレーション)
- 1986年-FAHRENHEIT(ファーレンハイト)
- 1988年-THE SEVENTH ONE(邦題:ザ・セブンス・ワン~第7の剣~)
- 1992年-KINGDOM OF DESIRE(邦題:キングダム・オブ・デザイア~欲望の王国~)※日本国内盤は廃盤。
- 1995年-TAMBU(タンブ)※日本国内盤は廃盤。
- 1999年-MIND FIELDS(マインドフィールズ)
- 2006年-FALLING IN BETWEEN(フォーリング・イン・ビトゥイーン)
ベスト・アルバム
- 1990年-PAST TO PRESENT 1977-1990(邦題:グレイテスト・ヒッツ)
- 1995年-BEST BALLADS(邦題:TOTO・ザ・バラード)
- 1999年-Premium Best(プレミアム・ベスト)
- 2001年-Super Hits(スーパー・ヒッツ)
- 2003年-GREATEST HITS AND MORE(グレイテスト・ヒッツ・アンド・モア)
- 2004年-The Essential TOTO(エッセンシャル・TOTO)
ライヴアルバム/未発表曲集、その他
- 1993年-ABSOLUTELY LIVE(邦題:ライヴ)
- 1998年-TOTO XX<1977-1997>(未発表曲集)
- 1999年-LIVE FIELDS(ライヴ・フィールズ)
- 2002年-Through The Looking Glass(スルー・ザ・ルッキング・グラス)※カヴァー・アルバム
- 2003年-25th Anniversary: Live in Amsterdam(ライヴ・イン・アムステルダム~25TH ANNIVERSARY)