ラゴン (ウルトラ怪獣)
ラゴンは、特撮テレビ番組『ウルトラQ』を初めとするウルトラシリーズに登場する、架空の怪獣。別名「海底原人(かいていげんじん)」。
『ウルトラQ』に登場したラゴン
『ウルトラQ』第20話「海底原人ラゴン」に登場。
- 身長:2メートル
- 体重:100キログラム
2億年前に地球を支配していた爬虫類が進化した海底原人。卵生で数年に1度の繁殖期になると中心核がゼリー状に包まれた20センチ程の卵を産む。卵は数日間かけてカエルの卵と同じように中心核が胚発生を通じて肉体が形成され、親と同じ姿をした子ともが孵化する。性格は基本的に大人しいがゾウ並みの怪力を誇る。漁師が誤って引きあげた自分の卵を取り返すために岩根島に上陸し、卵を求めて、偶然遭遇した漁師を絞殺したり、家を壊すなど暴れ回ったが、孵化した子どもを返され共に海底に戻った。
この成体はメスであり、乳房もある。
『ウルトラマン』に登場したラゴン
『ウルトラマン』第4話「大爆発五秒前」に登場。
- 身長:50メートル
- 体重:2万トン
- 出身地:日本海溝5,000mの深海
1匹のラゴンが、太平洋に墜落したロケットに積まれていた惑星開発用の原子爆弾の1個が日本海溝の深海で爆発した影響で巨大化し、さらに凶暴化した。そして未回収だった原爆1個を肩に付けたまま、海上保安庁の巡視船を沈めた後、三浦半島の葉山マリーナに上陸。放射能の影響で得た、口からの白色放射能光線でジェットビートルを撃墜した。科学特捜隊は海上自衛隊の護衛艦から音楽を流して沈静化させようとしたが、好きだった音楽も放射能の影響で嫌いになっていて通用せず、逆に暴れだした。最後はウルトラマンのスペシウム光線を浴びて、海中に没する。原爆はウルトラマンに宇宙へ運ばれて爆発した。
こちらの個体は、雄である。
- スーツアクター:泉梅之助[2]
- 声はバラゴンの流用。[要出典]
- 名前はSea Dragon「海の竜」からとも、dagon「ダゴン」(H.P.Lovecraftの作品に出てくる深海の魔神)に由来するとも言われる。[要出典]
- 着ぐるみは頭部が『Q』の流用で、胴体は高山良策により新たに製作された[3]。第18話に登場したザラブ星人に改造された。
- 冒頭の核爆弾を積んだロケットの映像は東宝映画『地球防衛軍』でのマーカライトジャイロ発進シーンの流用である[2]。
- 映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』では、『ウルトラQ』の映像の後にゾフィーが「人類は当初自らの力で怪獣や宇宙人と戦っていたが、その力が強大化して人類が太刀打ちできなくなったのでウルトラマンを派遣した」と語っており、その一例としてラゴンの巨大化が挙げられ、本編と違い『Q』の個体がそのまま巨大化したことになっている。声はオリジナルの流用だが、放射能火炎の発射音が高音に変化している。
『ウルトラゾーン』に登場したラゴン
『ウルトラゾーン』内短編ドラマ、第7話『ラゴン登場!』、第8話『ラゴンのハッピーパーデイ』、第12話『ラゴンの恩返し』、第14話『ラゴン、ダンパに行く』、第15話『お笑いに参加』、第16話『ウルトラゾーンファイト』、第17話『M1号はつらいよ』、第18話『ラゴン一家』、第19話『ラゴンのお弁当』、第19話『さすらいのM1号 情熱編』、第21話『さすらいのM1号 完結編』、第22話『名探偵M1号・前編』』、第22話『70年代ドラマが好き!』、第23話『名探偵M1号・後編』に登場。
- 第7話では海岸でビーチバレーをするサークルに参加しようとする。特にメンバーのタカシを気に入っており、深海に引きずり込んだり、人工呼吸しようとしたりするが逆に怖がられている。
- 第8話ではミカという女性の紹介で彼女の友人であるタカシにラブレターを渡そうとしたり、誕生日のバースデイケーキを渡そうとするも失敗、しかしタカシからお詫びにペンダントを貰った時は彼の首を掴みながら喜んでいた。
- 第12話ではある家族の家に座敷童子のように潜んでいた。食事を拝借したりしていた恩返しに息子の博史の家庭教師をするものの宿題は滅茶苦茶にし、今度は整体師としてお爺ちゃんの昭夫[4]にマッサージをしようとするものの滅多打ちにする。家族からは責められるものレコードを聴いたラゴンは大人しくなり、家族と一緒に踊りだした。
- 第14話では、ダンスパーティー会場に「ラゴちゃん」として登場。着けていたビキニのトップスを引きちぎり、タカシとダンスを踊りたいがためにダンス勝負を挑み、ダンス中にライバルの女性達の足を踏むが、恋にマナーはないと(字幕で)言い放つ。しかしそのラゴちゃんの前にディスコティークの女王ケイが現れ、2人でダンス対決をする。ケイのダンスに押され負けそうになったラゴは、臭い息を吐いてケイを倒し、男部員の一人を殴り倒し、もう一人を失明させる。さらに女性達を追い払い、タカシに臭い息を吹きかけ気絶させて連れ去るのであった。
- 第15話では、M1号とケムール人が参加するコントの観客として登場。お笑いには厳しく中々笑わなかったが、M1号とケムール人の激しいツッコミには笑い転げいつの間にか怪獣の本能を呼び起こしてしまった。
- 第16話『ウルトラゾーンファイト』では、リンゴを巡ってM1号とケムール人と争いを始めている。
- 第17話では、M1とケムール人との家族のような同居生活を始めるが、ラゴンちゃんが雄のラゴンさんに恋をする。しかし雄のラゴンさんは人間のサラリーマンとして生きるほうを選ぼうとするものの、一転して相思相愛になり恋が実ると直ぐに子供ができた。
- 第18話では、ある売れないアイスキャンディ売りの男が、ラゴン一家にアイスをあげると懐いてしまい、一家2人ともアイスキャンディ売りの男の家に棲み込み奇妙な同居生活を始めるようになる。今までひとりであった男はその奇妙な生活にも愛着を覚え宝くじも当たった頃、男に結婚を前提に付き合いたいという女性・ケイコが現れた。ラゴン達はケイコの匂いを嗅ぐと殴ってしまい、彼女は怒って家を出て行く。男はカッとなり出て行けというが、実はケイコは男の宝くじを狙っていた結婚詐欺師である事を自白し、宝くじを男に投げつけて出て行った。後に男はラゴン一家を追い出したことを後悔するが、彼らが出会った土手で再び再会し、共にアイスキャンディを売り出す。
- 第19話『ラゴンのお弁当』では、子供のラゴンくんが野球友達の大輔の母親に弁当を奢って貰い大輔との練習試合を頼まれる。ラゴンくんとの練習試合中、ママのラゴンちゃん(雌)とパパのラゴン(雄)は心配で邪魔をしてしまうが、自分ひとりで立ち向かいたいと頼む。2人が心配しながら見ている中、ラゴンくんは見事ランニングホームランを達成する。
- 第19話『さすらいのM1号 情熱編』では、子供のラゴンくんがM1号と出逢い、人攫いから助けられM1号を親分と呼ぶようになる。第21話でもラゴンくんはM1号の店を手伝っていたが母親ラゴンに怒られ帰っていった。
- 第22話&第23話『名探偵M1号』では事件現場の村に居た謎の2人のラゴン婆さんとして登場。名探偵のM1号に惚れるが、実は事件の犯人であった。最後はM1号にKOされる。雌と雄のスーツを使用。
- 第22話『70年代ドラマが好き!』ではラゴンが70年代のレコードを聴いていると、ケムール人によるドラマが再現される。
- しきりに「シャー…」という声を出すが、普通に喋る事もある(声優は不明)。
- スーツは新造型で、第17話より新たに雄タイプと子供タイプの2体が新造された。
- アイキャッチにも登場し、第5話では捨てられた段ボール箱の中に人形サイズとして、第17話ではミス岩根島のコンテストに優勝して感涙している姿が描かれた。
『ウルトラマンギンガ』に登場したラゴン(SD)
『ウルトラマンギンガ』第4話「アイドルはラゴン」に登場。
- 身長:14センチ - 30メートル
- 体重:150グラム - 2万トン
ひょんなことからグラビア撮影のモデルとなった美鈴に嫉妬した千草がダークライブする。等身大で現れる、音楽を聴くとおとなしくなるといった『ウルトラQ』登場時と同じ性質を持つ。
撮影中の美鈴に襲いかかり、巨大化してヒカルがウルトライブしたキングパンドン(SD)と対決。口からの白色放射能光線で攻撃するも、正体に気付いたヒカル達に説得された後、ウルトラマンギンガのギンガコンフォートによってスパークドールズに戻った。
- 演(千草):雲母(きらら)
- 着ぐるみは『ウルトラゾーン』に登場したものの流用だが、顔を改造している[5]。
- 等身大でも登場できるキャラクターであることから脚本の荒木憲一に選出された。台本ではギンガと巨大化したラゴンが戦うとされていたが、相手が千草ではヒカルは戦えないであろうという監督の原口智生の意向により、ラゴンが一方的に襲いギンガはいなす形に変更された。一方で千草=ラゴンという印象を強めすぎないようにダークライブ時の千草の台詞は削除されている[6]。
- 健太にタックルされるシーンでスーツアクターの顔が映り込んでしまっているカットがある。配信版では一度配信した後に、該当のシーンを修正した修正版が配信し直された。
- 本編終了後のコーナー「スパークドールズ劇場」では、第4回から登場。前述の特徴からか性別は女で、初登場時はコーナー終了間際に登場し、もじもじ話すというユニークなシーンもあった。声の担当は田中晶子。
- 『新ウルトラマン列伝』第8話での解説によると、水中戦を想定して送り込まれたがその機会には恵まれなかったとのこと。
その他
- ラゴンの名の由来は、映画『大アマゾンの半魚人』の原題の「The Creature from the Black Lagoon」(黒い入り江の怪物)のLagoon(ラグーン=入り江)からであるという説が「怪獣もの知り大百科」(勁文社、1984年)P131の「半魚人ギルマン」の項に掲載されている。
- 映画『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』では、百体怪獣ベリュドラの胴体を構成する怪獣の一体としてラゴンの姿が確認できる。
- 吉岡平の小説作品『シャルロット・ホームズの冒険 踊る人魚』では、「イクシオピテクス・ツブラヤエ」という学名が与えられている。
漫画作品
- 漫画『ウルトラマン THE FIRST』に登場。伊和水力発電所近郊の井戸に通じる地下洞窟内で、ネロンガと戦闘していた。新型爆弾「ジュピター41」が体に絡まっており、攻撃をすれば爆発しかねない為、科学特捜隊も戦闘を止めるなどの行動ができず、ネロンガの電撃の前に敗れ去った。
- 漫画『ウルトラマンSTORY 0』第5話「失われた光」にラゴンをモデルにした水棲人間が登場している他、第32話「エース秘技炸裂!!」でもイカルス星人が操る怪獣の中にラゴンが紛れている。
- 漫画『ウルトラ忍法帖』では悪の組織「朧党」の忍獣「羅諢」として登場。機械化されたマン達を直す特効薬を作るため鰭を全部抜かれ、周りから笑われたらしく後日ウル忍に復讐をしかけてきた。
脚注
- ^ キャラクター大全 下巻 2011, p. 47.
- ^ a b 『キャラクター大全ウルトラマン全調査報告』(講談社、2012年、ISBN 978-4-06-218128-0)
- ^ キャラクター大全 下巻 2011, p. 109.
- ^ 昭夫を演じたのは初代ラゴンを演じた古谷敏。そのためか、ラゴンを見るなり「懐かしい」「見た事ある」と語っていた。
- ^ 雑誌『宇宙船』142号のインタビューより。
- ^ Blu-ray『ウルトラマンギンガ 2』(バンダイビジュアル BCXS-0788)封入 作品解説書 SPARK NOTES Vol.2。
参考文献
- 『総天然色ウルトラQ』 下巻、講談社〈キャラクター大全〉、2011年12月。ISBN 978-4062173803。