アルスラーン戦記
『アルスラーン戦記』(アルスラーンせんき)は、田中芳樹による日本の大河ファンタジー小説。
アルスラーン戦記 | |
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ジャンル | ファンタジー |
小説 | |
著者 | 田中芳樹 |
出版社 | 角川書店 光文社 |
レーベル | 角川文庫 カッパ・ノベルス 光文社文庫 |
刊行期間 | 1986年8月 - |
巻数 | 既刊14巻 |
漫画 | |
原作・原案など | 田中芳樹 |
作画 | 荒川弘 |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | 別冊少年マガジン |
レーベル | 少年マガジンコミックス |
発表号 | 2013年8月号 - |
巻数 | 既刊3巻 |
アニメ | |
原作 | 田中芳樹 |
監督 | 阿部記之 |
シリーズ構成 | 上江洲誠 |
キャラクターデザイン | 小木曽伸吾(チーフ) 田澤湖、渡邊和夫 |
音楽 | 岩代太郎 |
アニメーション制作 | ライデンフィルム×サンジゲン |
製作 | 「アルスラーン戦記」製作委員会 MBS |
放送局 | #放送局参照 |
放送期間 | 2015年4月5日 - |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | 漫画・アニメ |
ポータル | 文学・漫画・アニメ |
概要
作中の各名称は基本的にペルシア語となっているが、これは19世紀のイランで書かれた『アミール・アルサラーネ・ナームダール』(「名高き王アルサラーン」の意。ペルシア語:امير ارسلان نامدار , Amīr Arsalān-e nāmdār )という英雄叙事詩をモチーフにしているためである[注 1]。
ルシタニアに征服されたパルスを奪還するまでを描いた第一部(1 - 7巻)と、ミスルやチュルクといった隣国やかつてパルスを震撼させた蛇王ザッハークとその眷属たちとの戦いを描いた第二部(8巻 - )で構成され、全16巻(第1部7巻、第2部9巻)となる予定。1986年に1巻が発売されて以降、1992年に発売された9巻までは年間1 - 2巻のペースで順調に刊行されていたものの、10巻は1999年、11巻は2005年の発売となり、6 - 7年の期間が空いた。それ以降は1 - 2年に1巻のペースで刊行されていたが、2008年に13巻、2014年に14巻とまたスローペースに戻っている。
1 - 10巻は角川書店の角川文庫より発売されていたが、現在は品切れ・重版未定(事実上の絶版)となっており、その分は光文社のカッパ・ノベルスから2巻1冊の新装版として刊行されている。11巻以降はカッパ・ノベルスから1巻1冊で刊行されている。
著者である田中芳樹は、あとがきなどで「貴種流離譚を反転させて物語の発想とした」ことを語っており、これは暗殺された先代王の嫡子である銀仮面ヒルメスの事を指している。
あらすじ
第一部
- 小説 第1巻
- 大陸公路の中心で栄華を極めた国家、パルス王国。王太子アルスラーンは、武勇に優れた父・国王アンドラゴラス三世からは疎まれ、美貌の母・王妃タハミーネからは無関心に扱われつつも、大将軍ヴァフリーズ、万騎長キシュワード、ダリューンとはと親交を持てていた。14歳になったアルスラーンは侵略してきたルシタニアとの戦争で初陣を飾る。しかし、不可解な霧の発生やパルス万騎長カーラーンの裏切りに遭い、パルス軍は総崩れし、多くの万騎長が戦死。アルスラーンは、アルスラーン個人に忠誠を誓う最強の武将ダリューンと共に落ちのび、政戦両略に長ける知略家ナルサスと、その侍童エラムを仲間に加える。
- ルシタニア軍は王都エクバターナも陥落。無能なルシタニア王イノケンティス七世は、パルス王妃タハミーネを見染め、自らの妃にしようとする。そんな中、カーラーンは軍を率いて、アルスラーン討伐に乗り出す。だが、ナルサスの計略と、ミスラ神殿の女神官ファランギースと流浪楽士ギーヴの加勢もあり、たった6人で1000の軍勢を崩壊させ、カーラーンを討ち取ることに成功する。
- その頃、ルシタニアの捕虜となり、果てのない拷問を受け続ける国王アンドラゴラス三世の前に、ルシタニア軍に協力していた銀仮面の男が姿を現し、自分こそがアンドラゴラスにより暗殺された先代国王の嫡子ヒルメスであり、パルス王国の正統継承者であると叫ぶ。
登場人物
主な国家
- パルス
- 物語の主な舞台である王国。大陸公路(現実世界のシルクロードにあたる)の中心に位置する国家。王都エクバターナは陸上交通の要衝で、その首都人口は公称100万という。東西を結ぶ大陸公路や南方の港町ギランに代表される港湾都市からの物資が集まり繁栄を謳歌している。現在の王朝は英雄王カイ・ホスロー以来300年余の歴史を誇り、第1部開始時点で第18代国王アンドラゴラス三世の統治下にある。大陸公路の要衝かつ豊かな国であることから諸外国より侵略を受けることが多いが、それを跳ね除けてきた強兵の国でもある。アンドラゴラス三世によって隣接するバダフシャーン公国を併合しさらに強国となっている。現実世界のゾロアスター教に似た多神教が広く信仰されている(ただし、実際のゾロアスター教のような善悪二元論的な教義は見られない)。パルス語は大陸公路での公用語としての役割も果たしており、他国の人間ともこれを用いることで、ほとんどの場合、意思の疎通は可能である。そのため、パルス人は外国語を覚えようとしないという弊害もある。モデルは中世のペルシア、特にパルティア王国やサーサーン朝で、著者曰く名前の由来はパールサ(ペルシア王朝勃興の地)を訛らせたもの。
- ルシタニア
- パルスより北西の王国。貧しい国で豊かな土地を求めて遠征を行った。最初は同じ宗教であるイアルダボート教を信じる国ながら教義の異なるマルヤム(穏健な東方教会派)を攻め落とし、その後パルスに侵攻した。ルシタニアでは強硬派の西方教会が主流であり、一神教イアルダボート教以外の宗教を一切認めようとしない。遠征の失敗によって主だった指導者を失い現在では荒廃し無政府状態になっている。パルス遠征は言うまでもなく十字軍がモチーフ[注 2]。モデルは中世の西欧諸国で、ルシタニアはポルトガルの古称からの命名。
- シンドゥラ
- パルスの南東に位置する王国で、カーヴェリー河がパルスとの国境となっている。北方でチュルク、東方ではモン族やシャン族と対峙している。王都はウライユール。夏の暑熱は厳しいが冬は過ごしやすい。虎や象が生息し、戦象部隊は周辺諸国からも脅威とされている。建国王はクロートゥンガ。歴史的に隣国パルスとは仲が悪く、建国後250年ほどしか経過していないにも関わらずパルスの暦年より1年多く暦を数えている程である(第1部開始時点でパルス暦320年、シンドゥラ暦321年)。ターバンを着用する者が多く見られる[注 3]。モデルはインド。国名はインドの古名「シンド」から。
- マルヤム
- パルスの北西に位置する王国。古い伝統を持つ国であり、ルシタニアと同じイアルダボート教だが、穏健派の東方教会派が多数派を占める。王都はイラクリオン。穏健な政治でパルスとも交易していたが、同じイアルダボード教の国であるが、強硬派の西方教会に属するルシタニアによって滅ぼされる。その後パルスを追われた大司教ボダンが一旦は政権を握るが、同じくパルスを追われたギスカールと覇権をめぐって争う。ギスカールが勝利し新王朝であるケファルニス朝をひらく。ルシタニアよりはマシであるらしいが、大して豊かな国ではない。モデルは東ローマ帝国。
- ミスル
- パルスの西方に位置する王国。王都はアクミーム。国土の大半が砂漠で夏は猛暑となる。ディジレ河の沿岸は肥沃な穀倉地帯であり、灌漑のための水車が並ぶ。砂漠での戦いで勇名を馳せる駱駝部隊と戦車隊を持つ。南で国境を接するナバタイとの交易もおこなわれている。モデルはエジプト(ミスルとはアラビア語でエジプトのことを差す)で、作者自身によると「中世のエジプトがモデル」。現実世界のナイル川に相当するディジレ河がパルスとの国境を隔てている(この世界にはアラビア半島に当る部分が存在しない)。先年パルスに大軍をもって侵攻したが、エクバターナの城壁に拠って撃退されたらしい(ヴァフリーズの言より)。
- チュルク
- パルスの東方に位置する王国。北にトゥラーン、南にシンドゥラと国境を接する内陸の山岳国家。元々チュルク人はトゥラーン人と同じ民族であったと言われている。王都ヘラートは難攻不落の城塞都市として知られる。鳥葬の風習がある。文庫版八巻『仮面兵団』後書きによると「中央アジア山岳地帯の諸国家がモデル」。
- トゥラーン
- パルスの北東に位置する遊牧騎馬民族の王国。西にパルス、南にチュルクと国境を接する。王都はサマンガーン。ただし固定した建造物はなく、王宮は巨大な天幕である。パルスを上回る騎馬民族の国で、会議すらも馬上で行う。他国からは「草原の覇者」とも言われ、野戦ではパルス軍に匹敵するが、その分攻城戦は不得手。トゥラーン人は遊牧民のため、定住はせず天幕をもって草原を移動する。主要産業は他国からの略奪であり、自ら通貨を発行することはなく、他国の貨幣をそのまま使用する。太陽神(ダヤン)を信仰している。モデルはモンゴル民族。国名はトランスオクシアナの古称「トゥーラーン」より。
- 絹の国(セリカ)
- パルスよりはるか東方にある文明国、大陸公路の東端に位置する大帝国。絹の国の皇統は約千年続く。帝都は西都永安府(シーツィーイーアンフ)でその首都人口は200万。北と西の国境線には、外敵である遊牧民族の侵入を防ぐため、「長城」と呼ばれる長大な石の防壁が築かれている。国土を二つの大河である、雷河(ライホー)と龍江(ロンチャン)が流れる。ダリューンが以前に使節団の護衛隊長として赴いたことがある。モデルは中国で、セリカも西洋における中国の呼び名のひとつである(ただし語源は西夏であり、絹とは関係無い)。皇統が長きに渡って続いていることと太上皇帝(帝位の生前譲位)の制度は日本を彷彿とさせる。
- ナバタイ
- ミスルの南方に位置する黒人の国。政権が安定せず第2部の時点で東西の王国に分かれている。幾度かミスルへ侵攻したことがある。鉄鎖術はこの国出身の黒人奴隷(ザンジ)たちが、鎖につながれた身で残虐な主人に抵抗するために修得したと言われる。
- バダフシャーン
- かつて存在した公国で、パルスによって併合された。現在は元首府ヘルマンドスにパルスの総督府が置かれている。国土の大半を砂漠が占める乾燥地帯で、点在するオアシスに多くの住民が居住する。ヘルマンドスはバダフシャーン地方最大のオアシスである「プラタナスの園」(バーゲ・チナール)の中心にある巨大な湖のほとりに作られた都市で、四方を城壁に囲まれている。主要産物は銀や紅玉(ラアル)などの鉱産物。
- ファルハール
- パルスより東方にある公国。大陸公路に点在する小さな都市国家の一つ。ファルハール人は東西の血が入り混じっているため、個人の容貌に差があり、親や兄妹でも似ていないとされる。大陸公路で最も美男美女が多い土地とされている。ファルハール人は20歳を過ぎるまでに母国語であるファルハール語に加えて、最低でもパルス語と絹の国(セリカ)語を習得しているとされる。翡翠と紅玉を産出する。モデルは楼蘭等の中国西域の都市国家。
用語解説
- 万騎長(マルズバーン)
- 武将に与えられるパルスの官職。第一部では実際に1万人の騎兵を率いる。第一次アトロパテネ会戦当時、ダリューン、クバード、シャプール、カーラーン、マヌーチュルフ、ハイル、クルプ、クシャエータ(以上8名はアトロパテネに参戦、ただしダリューンは開戦直前に解任)、キシュワード、バフマン(東方国境のペシャワール城砦に駐留)、ガルシャースフ、サーム(王都エクバターナの留守居役)の12人が任命されていた。万騎長の下には、千騎長、百騎長がいる。第2部では兵制改革によって名誉ある将軍の職になり、実際に1万の騎兵を率いるわけではない。
- 大将軍(エーラーン)
- パルス軍の武将では最高位にあたる官職。パルス全軍で1人しかいない。第一次アトロパテネ会戦当時はヴァフリーズ。先王のオスロエス五世時代には、王弟であるアンドラゴラス三世であった。アルスラーン即位後は万騎長であったキシュワードが就任する。
- ダルバンド(ダルヴァンド)内海
- パルス、マルヤム、トゥラーンの間にある広大な湖。現実世界のカスピ海に相当する。潮の干満があり、塩分が含まれているので実際の海と変わらない。漁業、造塩業が盛んで、パルス=マルヤム間では貿易も盛んであったが、マルヤムがルシタニアに滅ぼされてからは中断されている。
- デマヴァンド山
- パルスにある山で、蛇王ザッハークが封印されていると言われる。パルスでは「魔の山」として恐れられているが、山麓には集落も存在する。英雄王カイ・ホスローが軍装をしたまま、宝剣ルクナバードとともに葬られていた。
- 不死隊(アタナトイ)
- パルスの国王親衛隊で五千人の屈強な騎兵から構成される。大将軍の直属もしくは国王の直率と思われる。アルスラーンの新軍制下では廃止された。
- 獅子狩人(シールギール)
- 単身で獅子(シール)=ライオンを仕留めた戦士に対して贈られる称号。アルスラーンも第2部の狩猟祭(ハルナーク)においてこの称号を得た。現実世界ではほぼ絶滅してしまっているが、かつては物語の舞台のモデルとなっているインドや西アジアにもライオンが生息していた。
- 芸香(ヘンルーダ)
- オレンジに似たさわやかな香りのする香料。ザッハークの眷属を寄せつけず、これを塗った武器で傷をつけると致命傷になることもある。焚き火や松明に投じることで香りが一層広がる。
- 紅玉(ラアル)
- 紅い宝石。ルビーのこと(一部「ルビー」とルビがふられている箇所あり)だが、旧バダフシャーン公国で産出されるものは恐らくスピネルと思われる(レッド・スピネルの別名「バラス・ルビー」は、実在の地名バダフシャーンに由来する、との説がある。現実世界においても、かつてはこの2種類の宝石は区別されていなかった)。
- 緑玉(エメラルド)
- 魔を祓う力を持つといわれる宝石。特にザッハークの眷属を寄せ付けず、眷族に対しては恐怖をもたらす。
- 有翼猿鬼(アフラ・ヴィラーダ)
- ザッハークの眷属。空を飛ぶ有翼の魔物。人肉、特に柔らかい子供を好んで喰らうという。血には毒がある。人間が変身させられることもある。
- 鳥面人妖(ガブル・ネリーシャ)
- ザッハークの眷属。空を飛ぶ有翼の魔物。人語を話し、変装して人間の中に紛れ込むこともある。人間の柔らかい肉を好み、赤ん坊、特に胎児を好んで喰らう。嘴を切り落とされても再生する。
- 四眼犬(シェムル)
- ザッハークの眷属。四つの眼を持つ犬で、黄色の眼一対と赤い眼一対ずつもつ。
- 食屍鬼(グール)
- ザッハークの眷属。人間の戯画のような姿で、好んで死者の肉を喰らう。もっぱら辺境の地に跋扈するという。
- 客将軍(アミーン)
- ミスルに仕えるクシャーフルに与えられたミスルの称号。かつてマルヤムからの亡命者に与えられた称号をもとにしたもの。
- 孔雀姫(ターヴース)
- ミスルにおいて後宮に納められる女に与えられる称号。
- ガズ
- パルスにおける長さの単位。1ガズは約1メートル。
- ファルサング
- パルスにおける距離の単位。1ファルサングは約5キロメートル。
- 金貨(デーナール)、銀貨(ドラフム)、銅貨(ミスカール)
- それぞれの貨幣のパルス語での呼称。通貨単位は登場しないが、作中の記述では貨幣の枚数と価値がほぼ比例しているので、少なくともパルスなど主要国では公定の貨幣制度が存在している様子。パルス金貨1枚は銀貨20枚に相当する(第6巻の記述より)。アルフリードによれば、自由民が手にするのは普通は銀貨どまりで、金貨は「まともな人間の手にははいらないようになっている」とのこと。
- 王族(ワースプフラーン)、貴族(ワズルガーン)、騎士(アーザーターン)、自由民(アーザート)、奴隷(ゴラーム)
- パルスにおける身分制度。アルスラーン即位後のパルスにおいては奴隷階級は廃止された。
既刊一覧
- 角川文庫版
-
- 第1巻「王都炎上」(1986年) ISBN 4-04-166501-9
- 第2巻「王子二人」(1987年) ISBN 4-04-166502-7
- 第3巻「落日悲歌」(1987年) ISBN 4-04-166503-5
- 第4巻「汗血公路」(1988年) ISBN 4-04-166504-3
- 第5巻「征馬孤影」(1989年) ISBN 4-04-166505-1
- 第6巻「風塵乱舞」(1989年) ISBN 4-04-166506-X
- 第7巻「王都奪還」(1990年) ISBN 4-04-166507-8
- 第8巻「仮面兵団」(1991年) ISBN 4-04-166508-6
- 第9巻「旌旗流転」(1992年) ISBN 4-04-166509-4
- 第10巻「妖雲群行」(1999年) ISBN 4-04-166510-8
- カッパ・ノベルス版
-
- 第1巻「王都炎上」 第2巻「王子二人」 ISBN 4-334-07506-1
- 第3巻「落日悲歌」 第4巻「汗血公路」 ISBN 4-334-07516-9
- 第5巻「征馬孤影」 第6巻「風塵乱舞」 ISBN 4-334-07531-2
- 第7巻「王都奪還」 第8巻「仮面兵団」 ISBN 4-334-07543-6
- 第9巻「旌旗流転」 第10巻「妖雲群行」 ISBN 4-334-07553-3
- 第11巻「魔軍襲来」(2005年) ISBN 4-334-07619-X
- 第12巻「暗黒神殿」(2006年) ISBN 4-334-07644-0
- 第13巻「蛇王再臨」(2008年) ISBN 978-4-334-07677-1
- 第14巻「天鳴地動」(2014年) ISBN 978-4-334-07722-8
関連書籍
- 副読本
-
- 「アルスラーン戦記読本」(2000年) 田中芳樹+らいとすたっふ 角川文庫 ISBN 4-04-166519-1
- 画集
-
- 「天馬之夢-アルスラーン戦記」(1991年) 画:天野喜孝 / 詩:田中芳樹 ISBN 4-04-852176-4
劇場アニメ・OVA
アルスラーン戦記 | |
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監督 | 浜津守 |
脚本 |
宮下知也 高田かおり |
原作 | 田中芳樹 |
製作 |
角川春樹 松尾修吾 高橋豊 |
出演者 |
山口勝平 井上和彦 塩沢兼人 |
音楽 |
都留教博 石川光(音楽プロデューサー) |
主題歌 | 遊佐未森「靴跡の花」 |
撮影 | 高橋明彦 |
編集 | 布施由美子 |
製作会社 | 角川書店/ムービック/ソニー・ミュージックエンタテインメント |
配給 | 松竹 |
公開 | 1991年8月17日 |
上映時間 | 57分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 3.5億円(配給収入)[1] |
次作 | アルスラーン戦記 II |
松竹配給で、2度劇場版が作られている。パンフレットによれば、1年1作ずつの構想であったが、角川書店の分裂騒動などもあり、頓挫した。
以下OVAにて4作が続いた。
- 『アルスラーン戦記III(東の城、西の城)』(1993年)
- 『アルスラーン戦記IV(汗血公路)』(1993年)
- 『アルスラーン戦記V(征馬孤影・上)』(1995年)
- 『アルスラーン戦記VI(征馬孤影・下)』(1995年)
スタッフ
- 原作 - 田中芳樹
- 監督 - 浜津守(1991年、1992年、1995年)、アミノテツロー(1993年)
- 脚本 - 宮下知也(1991年)、高田かおり(1991年)、杉原めぐみ(1992年、1993年、1995年)
- キャラクターデザイン - 神村幸子
- 作画監督 - 黄瀬和哉(1991年)、中田雅夫(1992年)、越智信次(1993年)、中村悟(1995年〈上〉)、筱雅律(1995年〈下〉)
- 絵コンテ - 浜津守(1992年、1995年)
- 演出 - 山口美浩(1992年)、小沢一浩(1993年)、玉田博(1995年)
- 美術監督 - 池田祐二(1991年)、木下和宏(1992年)、金村勝義(1993年)、西倉力(1993年)、串田達也(1995年〈上〉)、根崎知恵子(1995年〈下〉)
- 撮影監督 - 高橋明彦(1991年)、月岡敦夫(1992年)、鈴木秀男(1993年)、大瀧勝之(1995年)
- 編集 - 布施由美子(1991年、1992年、1995年)
- 音楽 - 都留教博
- 音響監督 - 藤山房伸(1991年、1993年)、浦上靖夫(1992年)
- 音響演出 - 浜津守(1995年)
- プロデューサー
- 制作プロデューサー - 石川光久(1991年)、鈴木重裕(1993年)、安西武(1993年)、川崎とも子(1995年)
- 制作協力 - アイジータツノコ(1991年)、スタジオぴえろ(1993年)、童夢(1993年)、J.C.STAFF(1995年)
- 制作 - アニメイトフィルム(1991年、1993年、1995年)、アウベック(1992年)
- 製作
- (1991年、1992年) - ムービック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、東急エージェンシー、IMAGICA、角川書店
- (1993年、1995年) - 角川書店、ムービック、ソニー・ミュージックエンタテインメント
主題歌
- 「靴跡の花 〜アルスラーン戦記より〜」歌:遊佐未森(1991年)
- 「ときめきをBelieve(アルスラーン戦記IIバージョン)」歌:谷村有美(1992年)
- 「両手いっぱい」歌:鈴木祥子(1993年)(1995年)
声の出演
- アルスラーン - 山口勝平
- ダリューン - 井上和彦
- ナルサス - 塩沢兼人
- エラム - 佐々木望
- ギーヴ - 矢尾一樹
- ファランギース - 勝生真沙子
- アルフリード - 渡辺久美子
- ジャスワント - 結城比呂
- ザラーヴァント - 星野充昭
- キシュワード - 中村大樹
- クバード - 中田和宏
- メルレイン - 子安武人
- トゥース - 小杉十郎太
- ジムサ - 中原茂
- エトワール - 三石琴乃
- ヒルメス - 池田秀一
- ザンテ - 梁田清之
- イリーナ - 岡村明美
- サーム - 岸野一彦
- ラジェンドラ - 梅津秀行
- ガーデーヴィ - 堀之紀
- ギスカール - 小杉十郎太
- ボダン大司教 - 北村弘一
- アンドラゴラス - 大塚明夫
- タハミーネ - 弥永和子
- ヴァフリーズ - 池田勝
- カーラーン - 納谷六朗
- シャプール - 大滝進矢
- バフマン - 中庸助
- ナレーション - 大木民夫
テレビアニメ
2014年11月に、下記の荒川弘版の漫画を原作とするアニメ化が発表され、2015年1月にテレビアニメであることが発表された。同年4月5日より、毎週日曜17時 - 17時30分にMBS・TBS系列全国ネットにて放送中[2][3]。
スタッフ(テレビアニメ)
- 漫画 - 荒川弘(講談社「別冊少年マガジン」連載)
- 原作 - 田中芳樹(光文社カッパ・ノベルス刊)
- 監督 - 阿部記之
- シリーズ構成 - 上江洲誠
- チーフキャラクターデザイン - 小木曽伸吾
- キャラクターデザイン - 田澤潮、渡邊和夫
- アクション監督 - 木村智
- コンセプトデザイン - 新妻大輔
- 美術監督 - 工藤ただし(スタジオパインウッド)
- 色彩設計 - 篠原愛子
- CGディレクター - 鈴木大介(サンジゲン)
- モデリングディレクター - 足立博志(サンジゲン)
- 撮影監督 - 増元由紀大(グラフィニカ)
- 編集 - 長谷川舞(エディッツ)
- 音響監督 - 明田川仁(マジックカプセル)
- 音響効果 - 小山恭正
- 音楽 - 岩代太郎
- チーフプロデューサー - 立石謙介、丸山博雄、遠藤哲哉
- プロデューサー - 黒須礼央、川添千世、前田俊博、原裕和、里見哲朗、柳村努、田中葉子
- アニメーション制作 - ライデンフィルム×サンジゲン
- 製作 - 「アルスラーン戦記」製作委員会、MBS
主題歌(テレビアニメ)
- オープニングテーマ「僕の言葉ではない これは僕達の言葉」(第2話 - )
- 作詞・作曲 - TAKUYA∞ / 編曲 - UVERworld・平出悟 / 歌 - UVERworld(gr8!records)
- 第1話はOP省略。
- エンディングテーマ「ラピスラズリ」(第1話 -)
- 作詞 - Eir、加藤裕介 / 作曲・編曲 - 加藤裕介 / 歌 - 藍井エイル(SME Records)
声の出演(テレビアニメ)
(出典:[3])
- アルスラーン - 小林裕介
- ダリューン - 細谷佳正
- ナルサス - 浪川大輔
- エラム - 花江夏樹
- ギーヴ - KENN
- ファランギース - 坂本真綾
- 銀仮面卿 - 梶裕貴
- アンドラゴラス三世 - 菅生隆之
- タハミーネ - 田中敦子
- ヴァフリーズ ー 津田英三
- カーラーン - 大川透
- キシュワード - 安元洋貴
- クバード - 三宅健太
- シャプール - 小西克幸
- イノケンティス七世 - 桜井敏治
- ギスカール - 子安武人
- ボダン - 斎藤志郎
各話リスト
話数 | サブタイトル | 脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 | 総作画監督 | 原作話 | エンド イラスト |
放送日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
第一章 | エクバターナの栄華 | 上江洲誠 | 阿部記之 | 田澤潮、吉田伊久雄 服部聰志 |
小木曽伸吾 | 第1話 | 鈴木央 | 2015年 4月5日 |
放送局
放送期間 | 放送時間 | 放送局 | 対象地域・備考 |
---|---|---|---|
2015年4月5日 - | 日曜 17:00 - 17:30 | 毎日放送(製作局)ほかTBS系列全28局 | 日本国内 |
配信期間 | 更新時間 | 配信サイト |
---|---|---|
2015年4月5日 - | 日曜 17:30 更新 | GyaO! |
webラジオ
カセットブック
カドカワカセットブックとして、1988年から順次発売。
- 第一部1 - 7巻(1995年にスペシャルCD-BOXとして再リリース)
- 第二部1 - 2巻
声の出演(カセットブック)
第一部はアニメより前に製作が開始されたため、担当声優が一部異なっている。第一部の主な声優は以下のとおり。
朗読版
銀河英雄伝説の朗読の制作を行っている株式会社アールアールジェイより、朗読サイト「kikubon(キクボン)」にてアルスラーン戦記の朗読が発表されている。 読み手は下山吉光であり、田中芳樹公認の朗読作品として発表されている。
漫画
角川書店版
中村地里の作画でASUKAファンタジーDXで連載。第一部が全13巻で発行されている。4巻以降は小説1冊をコミックス2冊にまとめることに変更された。
- あすかコミックスDX刊『アルスラーン戦記』
-
- (1991年11月、ISBN 4-04-852323-6)
- (1992年5月、ISBN 4-04-852324-4)
- (1993年2月、ISBN 4-04-852325-2)
- (1993年5月、ISBN 4-04-852326-0)
- (1993年9月、ISBN 4-04-852435-6)
- (1994年3月、ISBN 4-04-852436-4)
- (1994年8月、ISBN 4-04-852504-2)
- (1994年12月、ISBN 4-04-852533-6)
- (1995年4月、ISBN 4-04-852534-4)
- (1995年8月、ISBN 4-04-852535-2)
- (1995年11月、ISBN 4-04-852625-1)
- (1996年3月、ISBN 4-04-852652-9)
- (1996年9月、ISBN 4-04-852653-7)
講談社版
田中は以前から荒川作品の読者であったが、荒川は仕事の依頼がくるまで田中作品に目を通したことがなかった。しかし何故か「荒川はアルスラーンの大ファンである」という噂があり、講談社編集者がその噂を鵜呑みにしたままコミカライズ企画を荒川に持ちかけたという、奇妙な縁で連載が始まった[7]。
原作の世界観や人物像などはそのままに、重要人物の登場を早めるなどの改変が施され、残酷な描写を含みながらも掲載誌に合わせて少年漫画らしい作風になっており、アルスラーンの年齢相応の少年らしさが強調されている。第一話に関しては完全オリジナルの前日譚となっている。田中は特に指示を出さずに「続きを楽しみにしているんです。だから、事前にチェックするなんてもったいない。あんまり面白いから、この漫画をノベライズしたいくらいですね(笑)」と、総て荒川に委ねている[7]。
キャラクターデザインはカッパ・ノベルス版の装画担当者・丹野忍のイラストがベースとなっている部分が多い。例としては、ダリューンの筋肉が浮き出たような意匠の鎧やポニーテール状に高く結い上げた髪、ファランギースの登場時に身につけているビキニのような非常に露出度の高い服装や前髪をつくらずに長い髪の分け目を額の中央から流している姿など。
前述のとおり、テレビアニメ版の絵は荒川が作画する講談社版をベースに作られている。
単行本の売上は3巻時点で200万部を超えている。
- 少年マガジンコミックス『アルスラーン戦記』
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- (2014年4月、ISBN 978-4063950502)
- (2014年5月、ISBN 978-4063950632)
- (2015年2月、ISBN 978-4063953077)
脚注
注釈
- ^ この詩は宮廷作家モハンマド・アリー・ナギーボル=ママーレク
(ميرزا محمد على نقيب الممالک شيرازى , Mīrzā Moḥammad ʻAlī Naqībo’l-Mamālek Shīrāzī)が主君ナーセロッディーン・シャーに語って聴かせたペルシア古来の英雄譚を、物語好きな第4王女ファフレ=ッドウラ(شاهزاده خانم فخرالدوله، توران آغا , Shāhazāda Khānom Fakhr-e’d-Dowlah, Tūrān āghā, 1859年 - 1891年)が個人的に書き留めたもの。
大まかな筋立ては、エジプト商人の息子として育てられたアルサラーンがやがて自分の高貴な出自に気付き、ヨーロッパ人に占領された故郷ロウムの玉座を取り戻そうとする……といったものである。 - ^ 特に第4回十字軍が東ローマ帝国の首都コンスタンティノポリスを占領した事情に酷似している。例えば当時のパルスはアンドラゴラス三世が兄のオスロエス五世から王位を簒奪したのではないかとささやかれ、そのオスロエス五世の息子であるヒルメスが正当の王位を回復するためにルシタニアに協力を依頼するというものだが、史実でも当時の東ローマ帝国は皇帝アレクシオス三世が兄イサキオス二世から帝位を簒奪しており、イサキオス二世の息子であるアレクシオスが正当の帝位を回復するために十字軍に協力を依頼している。
- ^ 現実のインドにおいてターバンはシク教徒の習慣であり、一般に広く普及している風俗ではない。後に田中芳樹が執筆したインドを舞台とした作品『天竺熱風録』においては、ターバンの着用を否定する会話が、挿絵師との打ち合わせにおいてなされた。
出典
- ^ 中川右介「資料編 角川映画作品データ 1976-1993」『角川映画 1976‐1986 日本を変えた10年』角川マガジンズ、2014年、285頁。ISBN 4-047-31905-8。
- ^ a b “「銀河英雄伝説」田中芳樹原作「アルスラーン戦記」2015年4月TVアニメ放送決定!”. トーキョーアニメニュース. MOSS (2015年1月4日). 2015年1月4日閲覧。
- ^ a b “TVアニメ『アルスラーン戦記』 放送日決定&メインキャスト第一弾発表!”. アニメ「アルスラーン戦記」公式サイト (2015年2月1日). 2015年2月1日閲覧。
- ^ “STAFF & CAST”. アニメ「アルスラーン戦記」公式サイト (2015年2月1日). 2015年2月1日閲覧。
- ^ “TVアニメ『アルスラーン戦記』 放送日決定&メインキャスト第一弾発表!”. アニメ「アルスラーン戦記」公式サイト (2015年2月1日). 2015年2月1日閲覧。 “「銀河英雄伝説」田中芳樹原作「アルスラーン戦記」2015年4月TVアニメ放送決定!”. トーキョーアニメニュース. MOSS (2015年1月4日). 2015年1月4日閲覧。
- ^ “アルスラーン戦記 特集”. GyaO!. 2015年3月30日閲覧。
- ^ a b 講談社版漫画単行本第1巻収録対談より
外部リンク
映像外部リンク | |
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アルスラーン戦記 PV - YouTube(講談社マガジン編集部が2014年5月19日にアップ) | |
「アルスラーン戦記」アニメ化決定 突撃開始(ヤシャスィーン)CM - YouTube(NBCユニバーサル・エンターテイメントが2014年11月2日にアップ) |
- らいとすたっふ - 田中芳樹のマネージメント、および作品の著作権管理会社
- アルスラーン戦記のチラシ[リンク切れ]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。 - ぴあ
- 田中芳樹 アルスラーン戦記 特設サイト | カッパ・ノベルス | 光文社
- マガメガ アルスラーン戦記
- アニメ「アルスラーン戦記」公式サイト
- アルスラーン戦記 番組サイト(MBS)
- アニメ『アルスラーン戦記』公式 (@arslan_anime) - X
- kikubon(キクボン)「アルスラーン戦記」朗読を発表
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