はんだごて
はんだごて(半田ごて、半田鏝)とは、はんだ付けにおいてはんだおよび接合部分を加熱するために用いる工具。ニクロム線ヒーターやセラミックヒーターを用いた電熱式の製品が大半であるが、電源の無い所でも使用できるように、電池式のものや、ボンベに入ったガスを燃焼させて熱源とする製品もある。かつては主にブリキやトタンをはんだ付けするために銅製のこてを炭火やバーナーで熱して使用しており、現在でも工芸用に使用されている。

種類
- AC電源式
- 安価なニクロムヒーターと、発熱が速いセラミックヒーターの2種類がある。上位製品には温度調節機能がある。
- 電池式
- セラミックヒーターが使用されている。コードレス。電池の品質や残量に影響されやすく、AC電源式より発熱が低い傾向にある。
- ガス式
- プラチナ触媒が使用されている。コードレス。外気温や使用ガスの種類に影響されやすい。ガス放出量をコントロールして温度調節できる。触媒から熱風が出る。
AC電源式のものは、一般的に消費電力が約10Wから500W程度である。LSIなどの精密電子部品用には10~20W程度のものを、電気配線用としては30~60W程度、それ以上は主に金属工芸や板金加工に用いられる。
電気配線用のこて先は、プリント基板などの微小な接合部分に合わせて先端を細く作られたものが多く、熱により電子部品を傷めないよう温度調整機能が付いたものもある。また、漏洩電流(漏電)や静電気による電子部品の破壊を防ぐため、電源からの絶縁が特に考慮されていたり、接地線を設けたりしたものがある。
大型のはんだごての先端(こて先)は安価な銅製が多く、電気配線用のはんだごての先端は耐蝕性の表面加工を施されたものが多い。銅製のこて先が酸化やはんだ中に含まれる錫との反応によって腐食した場合、はんだとなじみが悪くなり対象物への接触性も失われ十分な加熱ができなくなるため、やすりで削り先端を再度整形し機能を回復させる。耐蝕性のこて先が汚れた場合は、加熱した状態で、水で湿らせた専用のスポンジにこすりつけて汚れを取り除く。耐蝕性のあるこて先をやすりがけすると表面加工が失われてしまうため、好ましくない。 また、「家庭用」と称されたはんだごては安価な銅製のこて先が多い。
なお、かつての炭火中で熱する銅製鏝は、炭火の還元雰囲気によって表面の酸化皮膜が取り除かれ、良好な表面を保つことができた。
こて台
はんだごては、しばしばはんだごてを乗せるこて台とともに使用される。はんだごてを保持する部分は金属が用いられ、こての過熱を抑制するヒートシンクとして機能する[独自研究?]。水受けとスポンジが付属しているものが多い。