浮気なぼくら
『浮気なぼくら』 (NAUGHTY BOYS)は、日本の音楽グループであるイエロー・マジック・オーケストラ (YMO) の7作目のアルバム。
『浮気なぼくら (NAUGHTY BOYS)』 | |||||
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YMO の スタジオ・アルバム | |||||
リリース | |||||
録音 |
1982年10月 - 1983年3月 ALFA Studio "A" 音響ハウス | ||||
ジャンル |
ニュー・ウェーヴ テクノ歌謡 | ||||
時間 | |||||
レーベル | ¥EN/アルファレコード | ||||
プロデュース | Y.M.O. | ||||
専門評論家によるレビュー | |||||
チャート最高順位 | |||||
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YMO アルバム 年表 | |||||
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『浮気なぼくら』収録のシングル | |||||
細野晴臣 年表 | |||||
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高橋幸宏 年表 | |||||
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坂本龍一 年表 | |||||
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背景
メンバーのソロ活動や他アーティストへの楽曲提供などを経て、大きく路線を変更したアルバムである。
前作『テクノデリック』発表後、メンバーはソロ活動として様々なミュージシャンに楽曲を提供、ヒットさせている。それらの楽曲は歌謡曲として作られていたが、YMO独特のシンセ・サウンドもさりげなく使われており、その後の歌謡曲・アイドルソングに絶大な影響を与えた(テクノ歌謡参照)。
その後発表されたYMO名義のこのアルバムは、個々のソロ活動からの影響か歌謡曲を意識したものとなっている。一見すると前作までのリスナーにとってはまさしく「浮気な」歌謡曲路線へのレコード・セールスを見込んだ転向に見えるのだが、細野晴臣曰く当時のヒット歌謡曲とは一線を画した楽曲群であり、歌謡曲としてつくられたものではなく、むしろ『テクノデリック』の第2弾という位置付けのアルバムであると後に語っている。また、それまでのソロ活動の影響か、このアルバムでは、重厚な楽曲の細野、ポップな楽曲の高橋幸宏、繊細な楽曲の坂本龍一といったように、3人の特徴が顕著に現れたアルバムでもある。
また、当初アルバムタイトルは『キュート』と名付けられていた。
録音
ドラムの録音ではリン・ドラムをアンプで鳴らし、本物のドラムを共鳴させその音を録音したり、リン・ドラムに高橋の音を焼き付けたROMを装着するなど前作にも通じる制作方法が用いられている。
前々作『BGM』ではデジタル録音が行われ、前作『テクノデリック』ではアナログ録音に戻されたが、本アルバムは最初からデジタル録音で行われている。現在はこのマスターテープを再生できる機材がこの世に存在しないため、『BGM』のテープと共に廃棄処分されている。
使用機材はプロフェット5、Emulator、ローランドMC-4、ローランドTR-808、リン・ドラム、シモンズ(シンセドラム)が挙げられる。
YMOの作品に初めて協力した外国人ミュージシャンとして、ビル・ネルソンがギターで参加。元々は前年に行った高橋のコンサートにビルが参加したことがきっかけで高橋が提案した[1]。坂本は、ビルのE-BOWを使った持続音を鳴らす演奏を気に入っていたという。
今作よりメンバー自らがシーケンサーを利用することとなり、それまでマニピュレートを担当していた松武秀樹が制作から外れ、若手スタッフの一人である藤井丈司が「テクニカル・アシスタンス」として参加している。
当時の坂本は本アルバムのポップ路線について「お遊びだったのであまりやる意味がなかった。しかし、あの時点ではああでもしなかったら、息が詰まりそうだった。無理に遊ぼうとした」とコメントしている[2]。
プロモーション
この当時はテレビ番組に頻繁に出演しており、『クイズ・ドレミファドン!』(1976年 - 1988年、フジテレビ)や『オレたちひょうきん族』(1981年 - 1989年、フジテレビ)などのバラエティー番組へ出演。
収録曲
全編曲: YMO。 | ||||
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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1. | 「君に、胸キュン。(浮気なヴァカンス)」 | 松本隆 | 細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏 | |
2. | 「EXPECTED WAY/希望の路」 | 高橋幸宏 | 高橋幸宏 | |
3. | 「FOCUS」 | 細野晴臣、ピーター・バラカン | 高橋幸宏、細野晴臣 | |
4. | 「ONGAKU/音楽」 | 坂本龍一 | 坂本龍一 | |
5. | 「OPENED MY EYES」 | 高橋幸宏、ピーターバラカン | 高橋幸宏 |
# | タイトル | 作詞 | 作曲 | 時間 |
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6. | 「YOU'VE GOT TO HELP YOURSELF/以心電信(予告編)」 | 高橋幸宏、坂本龍一 | ||
7. | 「LOTUS LOVE」 | 細野晴臣 | 細野晴臣 | |
8. | 「KAI-KOH/邂逅」 | 坂本龍一 | 坂本龍一 | |
9. | 「EXPECTING RIVERS/希望の河」 | 高橋幸宏 | 高橋幸宏、坂本龍一 | |
10. | 「WILD AMBITIONS」 | 細野晴臣 | 細野晴臣、坂本龍一 | |
合計時間: |
曲解説
A面
- 君に、胸キュン。(浮気なヴァカンス)
- 詳細は「君に、胸キュン。」を参照のこと。
- EXPECTED WAY/希望の路
- FOCUS
- ONGAKU/音楽
- OPENED MY EYES
- 全英詞曲。
B面
- YOU'VE GOT TO HELP YOURSELF/以心電信(予告編)
- LOTUS LOVE
- 坂本によると『キュー』の兄弟曲のようなものとのこと。
- KAI-KOH/邂逅
- 鐘の音色は「イミュレーター」を使ったサンプリングで、『戦場のメリークリスマス』のテーマにも使用されているもの。
- EXPECTING RIVERS/希望の河
- 詳細は「希望の河」を参照のこと。
- WILD AMBITIONS
- 全英詞曲。YMOの活動時において唯一、細野と坂本が共作した作品。特にイントロのリズムパターンは細野と坂本が協力したもの。また、スネアの音色には高橋がキディ・ランドで購入したおもちゃの音色が使われている。
スタッフ・クレジット
イエロー・マジック・オーケストラ
参加ミュージシャン
スタッフ
- Y.M.O. - プロデューサー、ミックス・エンジニア
- 小池光夫 - レコーディング、ミックス・エンジニア
- 土井章嗣 (Studio "A") - アシスタント・エンジニア
- アライタカノブ(音響ハウス) - アシスタント・エンジニア
- 井上嗣也 (Beans) - アート・ディレクション
- 坂田栄一郎 - 写真撮影
- 本多三記夫 (Bijin) - ヘアー、メイク・アップ
- ツクイトシナオ - クリエイティブ・サービス
- 伊藤洋一(オフィスインテンツィオ) - マネージメント
- 大蔵博 (B-2 Unit) - マネージメント
- 小尾一介 - A & Rコーディネーター
- タカハシオサム - A & Rコーディネーター
リリース履歴
No. | 日付 | 国名 | レーベル | 規格 | 規格品番 | 最高順位 | 備考 |
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1 | 1983年5月24日 | 日本 | アルファレコード | LP・CT | YLR-20008 (LP)・YLC-28008 (CT) | 1位 | |
2 | 1984年4月25日 | 日本 | アルファレコード | CD | 38XA-6 | - | |
3 | 1984年 | オランダ | Pick Up Records | LP | LPU 0014 | - | |
4 | 1987年3月25日 | 日本 | アルファレコード | CD | 32XA-143 | - | |
5 | 1992年3月21日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-293 | - | |
6 | 1992年 | オランダ | Roadrunner Records | CD | LS 9152 2 | - | |
7 | 1994年6月29日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-9045 | - | |
8 | 1998年1月15日 | 日本 | アルファレコード | CD | ALCA-5222 | - | |
9 | 1999年9月22日 | 日本 | 東芝EMI | CD | TOCT-24240 | - | 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:松本隆×伊藤弘(グルーヴィジョンズ) |
10 | 2003年1月22日 | 日本 | ソニー・ミュージックハウス | CD | MHCL 210〜1 | 76位 | 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様、『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組 |
11 | 2004年2月2日 | カナダ、イギリス | エピック・レコード | CD | E2K 91846 (CA)・513451 2 (UK) | - | 『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組 |
12 | 2010年9月29日 | 日本 | ソニー・ミュージックダイレクト | ブルースペックCD | MHCL-20108〜9 | 254位 | 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD 『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組 |