浮気なぼくら

イエロー・マジック・オーケストラのアルバム

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浮気なぼくら』 (NAUGHTY BOYS)は、日本の音楽グループであるイエロー・マジック・オーケストラ (YMO) の7作目のアルバム

『浮気なぼくら
(NAUGHTY BOYS)』
YMOスタジオ・アルバム
リリース
録音 1982年10月 - 1983年3月
ALFA Studio "A"
音響ハウス
ジャンル ニュー・ウェーヴ
テクノ歌謡
時間
レーベル ¥EN/アルファレコード
プロデュース Y.M.O.
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 1位(オリコンチャート
  • YMO アルバム 年表
    YMO ベスト・セレクション
    1982年
    浮気なぼくら
    1983年
    浮気なぼくら (インストゥルメンタル)
    (1983年)
    『浮気なぼくら』収録のシングル
    1. 君に、胸キュン。
      リリース: 1983年3月25日
    細野晴臣 年表
    フィルハーモニー
     (1982年)
    花に水
     (1984年)
    高橋幸宏 年表
    WHAT, ME WORRY?
    1982年
    薔薇色の明日
    1983年
    坂本龍一 年表
    戦場のメリークリスマス
    1983年
    コーダ
    1983年
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    1983年5月24日アルファレコード(¥ENレーベル)よりリリースされた。

    背景

    メンバーのソロ活動や他アーティストへの楽曲提供などを経て、大きく路線を変更したアルバムである。

    前作『テクノデリック』発表後、メンバーはソロ活動として様々なミュージシャンに楽曲を提供、ヒットさせている。それらの楽曲は歌謡曲として作られていたが、YMO独特のシンセ・サウンドもさりげなく使われており、その後の歌謡曲・アイドルソングに絶大な影響を与えた(テクノ歌謡参照)。

    その後発表されたYMO名義のこのアルバムは、個々のソロ活動からの影響か歌謡曲を意識したものとなっている。一見すると前作までのリスナーにとってはまさしく「浮気な」歌謡曲路線へのレコード・セールスを見込んだ転向に見えるのだが、細野晴臣曰く当時のヒット歌謡曲とは一線を画した楽曲群であり、歌謡曲としてつくられたものではなく、むしろ『テクノデリック』の第2弾という位置付けのアルバムであると後に語っている。また、それまでのソロ活動の影響か、このアルバムでは、重厚な楽曲の細野、ポップな楽曲の高橋幸宏、繊細な楽曲の坂本龍一といったように、3人の特徴が顕著に現れたアルバムでもある。

    また、当初アルバムタイトルは『キュート』と名付けられていた。

    カネボウ化粧品CMに使用された「君に、胸キュン。」を収録している。

    録音

    ドラムの録音ではリン・ドラムをアンプで鳴らし、本物のドラムを共鳴させその音を録音したり、リン・ドラムに高橋の音を焼き付けたROMを装着するなど前作にも通じる制作方法が用いられている。

    前々作『BGM』ではデジタル録音が行われ、前作『テクノデリック』ではアナログ録音に戻されたが、本アルバムは最初からデジタル録音で行われている。現在はこのマスターテープを再生できる機材がこの世に存在しないため、『BGM』のテープと共に廃棄処分されている。

    使用機材はプロフェット5、Emulator、ローランドMC-4、ローランドTR-808、リン・ドラム、シモンズ(シンセドラム)が挙げられる。

    YMOの作品に初めて協力した外国人ミュージシャンとして、ビル・ネルソンがギターで参加。元々は前年に行った高橋のコンサートにビルが参加したことがきっかけで高橋が提案した[1]。坂本は、ビルのE-BOWを使った持続音を鳴らす演奏を気に入っていたという。

    今作よりメンバー自らがシーケンサーを利用することとなり、それまでマニピュレートを担当していた松武秀樹が制作から外れ、若手スタッフの一人である藤井丈司が「テクニカル・アシスタンス」として参加している。

    当時の坂本は本アルバムのポップ路線について「お遊びだったのであまりやる意味がなかった。しかし、あの時点ではああでもしなかったら、息が詰まりそうだった。無理に遊ぼうとした」とコメントしている[2]

    プロモーション

    この当時はテレビ番組に頻繁に出演しており、『クイズ・ドレミファドン!』(1976年 - 1988年、フジテレビ)や『オレたちひょうきん族』(1981年 - 1989年、フジテレビ)などのバラエティー番組へ出演。

    収録曲

    A面
    全編曲: YMO。
    #タイトル作詞作曲時間
    1.君に、胸キュン。(浮気なヴァカンス)松本隆細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏
    2.EXPECTED WAY/希望の路高橋幸宏高橋幸宏
    3.FOCUS細野晴臣、ピーター・バラカン高橋幸宏、細野晴臣
    4.ONGAKU/音楽坂本龍一坂本龍一
    5.OPENED MY EYES高橋幸宏、ピーターバラカン高橋幸宏
    B面
    #タイトル作詞作曲時間
    6.YOU'VE GOT TO HELP YOURSELF/以心電信(予告編) 高橋幸宏、坂本龍一
    7.LOTUS LOVE細野晴臣細野晴臣
    8.KAI-KOH/邂逅坂本龍一坂本龍一
    9.EXPECTING RIVERS/希望の河高橋幸宏高橋幸宏、坂本龍一
    10.WILD AMBITIONS細野晴臣細野晴臣、坂本龍一
    合計時間:

    曲解説

    A面

    1. 君に、胸キュン。(浮気なヴァカンス)
      詳細は「君に、胸キュン。」を参照のこと。
    2. EXPECTED WAY/希望の路
    3. FOCUS
    4. ONGAKU/音楽
      当時3歳だった坂本の娘である坂本美雨のために書いた曲。当時の坂本は美雨に自作他作問わずに様々な曲を聴かせ、ノッて踊るかどうかで曲の良悪を判断していた。歌詞は60年代の現代音楽の手法のことを指している。ベースには2種類の音色が使われている。ドラムの8ビートを刻んでいるのはハイハットではなくスネアである。
    5. OPENED MY EYES
      全英詞曲。

    B面

    1. YOU'VE GOT TO HELP YOURSELF/以心電信(予告編)
      国際連合による「世界コミュニケーション年(WCY)」のキャンペーン曲。スポットCM用の為、曲の時間が30秒になっており、この曲をフルコーラス用に作り直し、歌詞を付けたものが後にシングル発売された。
    2. LOTUS LOVE
      坂本によると『キュー』の兄弟曲のようなものとのこと。
    3. KAI-KOH/邂逅
      鐘の音色は「イミュレーター」を使ったサンプリングで、『戦場のメリークリスマス』のテーマにも使用されているもの。
    4. EXPECTING RIVERS/希望の河
      詳細は「希望の河」を参照のこと。
    5. WILD AMBITIONS
      全英詞曲。YMOの活動時において唯一、細野と坂本が共作した作品。特にイントロのリズムパターンは細野と坂本が協力したもの。また、スネアの音色には高橋がキディ・ランドで購入したおもちゃの音色が使われている。

    スタッフ・クレジット

    イエロー・マジック・オーケストラ

    参加ミュージシャン

    スタッフ

    • Y.M.O. - プロデューサー、ミックス・エンジニア
    • 小池光夫 - レコーディング、ミックス・エンジニア
    • 土井章嗣 (Studio "A") - アシスタント・エンジニア
    • アライタカノブ(音響ハウス) - アシスタント・エンジニア
    • 井上嗣也 (Beans) - アート・ディレクション
    • 坂田栄一郎 - 写真撮影
    • 本多三記夫 (Bijin) - ヘアー、メイク・アップ
    • ツクイトシナオ - クリエイティブ・サービス
    • 伊藤洋一(オフィスインテンツィオ) - マネージメント
    • 大蔵博 (B-2 Unit) - マネージメント
    • 小尾一介 - A & Rコーディネーター
    • タカハシオサム - A & Rコーディネーター

    リリース履歴

    No. 日付 国名 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
    1 1983年5月24日 日本 アルファレコード LPCT YLR-20008 (LP)・YLC-28008 (CT) 1位
    2 1984年4月25日 日本 アルファレコード CD 38XA-6 -
    3 1984年 オランダ Pick Up Records LP LPU 0014 -
    4 1987年3月25日 日本 アルファレコード CD 32XA-143 -
    5 1992年3月21日 日本 アルファレコード CD ALCA-293 -
    6 1992年 オランダ Roadrunner Records CD LS 9152 2 -
    7 1994年6月29日 日本 アルファレコード CD ALCA-9045 -
    8 1998年1月15日 日本 アルファレコード CD ALCA-5222 -
    9 1999年9月22日 日本 東芝EMI CD TOCT-24240 - 細野晴臣監修、リマスタリング盤、ライナーノーツ:松本隆×伊藤弘(グルーヴィジョンズ)
    10 2003年1月22日 日本 ソニー・ミュージックハウス CD MHCL 210〜1 76位 坂本龍一監修、紙ジャケット仕様、『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組
    11 2004年2月2日 カナダイギリス エピック・レコード CD E2K 91846 (CA)・513451 2 (UK) - 『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組
    12 2010年9月29日 日本 ソニー・ミュージックダイレクト ブルースペックCD MHCL-20108〜9 254位 1999年リマスタリング音源、紙ジャケット仕様、スーパーピクチャーCD
    『浮気なぼくら (インストゥルメンタル)』との2枚組

    脚注

    1. ^ すでにYMO散開が決まっていた時期でもあり、何か新しいことがないとつまらない、みんながやる気になるきっかけとならないかと考えたのがその理由。
    2. ^ 「コンパクトYMO」より。

    外部リンク