ニック・ベイカー
ニコラス・ジョン・ベイカー(Nicholas John Baker)は、イギリスの人物。2002年4月13日にジェームス・プルニエ(James Prunier)とともに2002 FIFAワールドカップを観戦するために来日した際に、成田空港の税関における検査でスーツケースに隠されていた合成麻薬約4万錠およびコカイン約1キロが発見された。ベイカーはスーツケースはプルニエによるものと主張したが、ベイカーだけが現行犯逮捕され、プルニエは2日後に出国した。この1ヶ月後にプルニエはベルギーで麻薬で逮捕されている。2003年6月12日に千葉地方裁判所で懲役14年と罰金500万円の有罪判決となった。この事件の裁判において、ベイカーのイギリス英語に対する捜査時の誤訳の問題が争点となった。2005年7月21日の控訴判決で懲役11年と罰金300万円へ減刑とされた。
Nick Baker | |
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生誕 | Gloucestershire, England |
職業 | シェフ |
罪名 | 麻薬の密輸 |
刑罰 | 懲役11年及び罰金300万円 |
犯罪者現況 | 2008年10月に仮釈放 |
親 | Iris Baker |
背景
ベイカー氏は逮捕時に、旅行の同行者であるジェームス・プルニエ氏によって、底が二重に細工された麻薬入りのスーツケースを持って税関を通るよう仕組まれた、と主張していた[1]。 また、最初の拘留の際に日本の検察によって、睡眠を剥奪されるというひどい扱いを受け、弁護士との面会の機会も与えられず、その上、稚拙で不正確な英語で書かれた自白書にサインを強要されたとも主張した。ベイカー氏の主張は控訴審で是認されたが、判決は11年の禁錮と300万円の罰金への減刑にとどまった。2008年春、ベイカー氏は残りの刑期に服するためにイギリスへと身柄を移された[2]。
事件に対する反応
2003年4月、ベイカー氏の母であるアイリス氏はニック・ベイカー氏が無実であり、罪に陥れられたとの所信を公に表明した[3][4]。彼女は、伝えられるところによると不正であった息子の裁判に反対する運動を起こし、刑務所での彼の扱いの善処と、ここ最近ではイギリスの刑務所への彼の身柄の移送を要求した[5][6]。その請願活動は、欧州議会の議員を含む1000人以上の署名を得て[7]、当時のイギリス首相であったトニー・ブレア氏に届けられた[8][9][10]。当時、英貴族院の議員であったLudford女史は、トニー・ブレア首相に対し、2003年7月に行われるサミットでの小泉純一郎首相との会談において、本事件をとりあげるよう要求したが、実現しなかった。2004年の英庶民院においては、本事件の捜査過程と尋問中の監禁を問題視する議論がなされた。
関連項目
- ^ "Briton questioned in Japanese court during appeal of drug smuggling sentence". Associated Press. 7 December 2004.
- ^ Tilley, Emma (21 May 2008). "Nick Baker Sent Back to Britain to Finish Jail Sentence". Japan Today. Retrieved 2008-08-04.
- ^ ^ "Stages in Baker case". The Citizen. 20 August 2004.
- ^ Hollingsworth, William (4 November 2005). "British drug smuggler rules out further appeal". Kyodo News.
- ^ Hollingsworth, William (4 November 2005). "British drug smuggler rules out further appeal". Kyodo News.
- ^ "Let me complete my prison sentence in UK". The Citizen. 3 July 2007.
- ^ "Drug smuggler's friends appeal to Blair for fair appeal". Kyodo News International. 15 September 2003. Retrieved 2007-07-20.[dead link]
- ^ "Stages in Baker case". The Citizen. 20 August 2004.
- ^ "Briton convicted for drug smuggling in Japan starts appeal". The Associated Press. 23 March 2004.
- ^ "The Campaign goes to Downing Street". Sarah Ludford MEP. September 11, 2003. Retrieved 2007-01-14.