長野県中部地震
長野県中部地震(ながのけんちゅうぶじしん)は、2011年6月30日08時16分37秒(JST)頃、長野県松本市付近で発生した直下型地震である。東北地方太平洋沖地震の誘発地震とされる。この地震の震源域付近に位置し、東北地方太平洋沖地震により発生確率が上昇したとされる牛伏寺断層との関連も指摘されたが、観測の結果、牛伏寺断層と松本盆地東縁断層の境界付近で発生した地震であった[1]。
長野県中部地震 | |
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地震の震央の位置を示した地図 | |
本震 | |
発生日 | 2011年(平成23年)6月30日 |
発生時刻 | 8時16分37秒(JST) |
震央 |
![]() 北緯35度49.5分 東経137度33.4分(北緯35度49.5分秒 東経137度33.4分秒) |
震源の深さ | 4 km |
規模 | マグニチュード(M)5.4 |
最大震度 | 震度5強: 長野県 松本市 |
地震の種類 | 直下型地震、北西-南東方向に圧力軸を持つ横ずれ断層型 |
余震 | |
最大余震 | 6月30日14時11分36秒、M5.1、最大震度4 |
被害 | |
死傷者数 | 死者 1人、負傷者 17人 |
被害地域 | 長野県松本市 |
出典: 特に注記がない場合は気象庁による。 | |
プロジェクト:地球科学 プロジェクト:災害 |
なお、顕著な災害を起こした自然現象に対しては気象庁が命名することになっているが、この地震は基準に達していないため命名はされていない。被害が松本市に集中したため、松本地震とも呼ばれている。
各地の震度
震度 | 都道府県 | 市区町村 |
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5強 | 長野県 | 松本市 |
4 | 長野県 | 山形村 |
被害
死傷者
この地震により、松本市で44歳の男性が本の下敷きになり死亡した。また、14人が重軽傷を負った。
建物
住家24軒が半壊、6117軒が一部損壊した。松本城も天守の壁に複数のひびが入る等の被害を受けた。
交通
大糸線(松本駅~信濃大町駅)、中央本線(小淵沢駅~塩尻駅)、篠ノ井線(塩尻駅~篠ノ井駅)、飯田線、松本電鉄が一時運転を見合わせた。またその関係で中央西線、信越本線、しなの鉄道線などで若干の遅れが発生した。また、道路では松本空港線の一部が通行止めとなった。
他の地震・活断層との関連
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の遠方誘発地震と考えられている。この地震以降、長野県中部エリアにおける本地震の震源域付近では気象庁精密地震観測室(現・気象庁松代地震観測所、長野県長野市松代町)が震度1以上の有感地震の増加を観測していた。同観測室では東北地方太平洋沖地震の地殻変動による影響を指摘している[2]。また東北地方太平洋沖地震の翌日(3月12日)に発生した、長野県北部地震との関連性は認められていない。
この地域では、2011年3月11日以降地震活動が活発化していたが、5月中旬ころから1カ月半程度の静穏化が発生していた[3]。
緊急地震速報
地震波の検知から 3.6秒後にマグニチュード 4.6 と推定し、46.8秒後の08時17分28秒頃の第9報を一般向けの緊急地震速報として発表した[4]。
参考資料・情報
脚注
- ^ 長野県中部(松本市周辺)の地震(京都大学防災研究所 地震予知研究センター)
- ^ 松本の地震、震源域は長さ5キロ領域に 信大など解析(信濃毎日新聞 2011年7月2日)
- ^ 統計数理研究所:東北地方太平洋沖地震の余震活動と松本付近の誘発地震活動 (PDF) 地震予知連絡会 会報 第87巻
- ^ 平成23年06月30日08時16分に発生した緊急地震速報の内容 気象庁
関連項目
外部リンク
- 緊急地震速報の内容
- 2011年6月30日 長野県中部の地震 防災科学技術研究所
- 山田真澄:2011年6月30日 長野県中部の地震 京都大学 防災研究所