JR東日本E235系電車

東日本旅客鉄道の直流一般形電車

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E235系電車(E235けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流一般形電車である。

JR東日本E235系電車
試運転中のE235系
(2015年4月19日)
基本情報
製造所 総合車両製作所新津事業所
主要諸元
編成 0番台(山手線)11両(うち1両はE231系からの編入)
軌間 1,067
電気方式 直流 1,500 V
設計最高速度 120
起動加速度 3.0
減速度 4.2
編成定員 0番台(山手線)1,724名
編成重量 340.8 t
最大寸法
(長・幅・高)
19,500(先頭車は19,570)× 2,950 × 3,620 mm
車体 ステンレス
台車 DT80・TR264A・TR264B
主電動機 外扇式全密閉かご形三相誘導電動機
MT79(1時間定格出力140kW)
搭載数 4
歯車比 1:7:07
制御装置 SiC素子型VVVFインバータ制御
回生ブレーキ付き
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
直通予備ブレーキ
耐雪ブレーキ
駐車ブレーキ
保安装置 D-ATC/P統合型車上装置・デジタル列車無線・防護無線TASC
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概要

2000年平成12年)から首都圏に大量投入されたJR東日本の主力一般形車両であるE231系、さらに2006年(平成18年)から同じく首都圏に大量投入されたE233系の次世代車両として開発され、これまでの技術開発成果を取り入れた車両である。山手線への投入を目的として製造された[1]。製造メーカーは総合車両製作所新津事業所)。

2015年(平成27年)11月30日より営業運転を開始した[2](同日に発生した車両トラブル関連の詳細は後述)。現在のところ、量産先行車として1本(11両編成)のみの導入であるが、山手線では2002年(平成14年)に導入されたE231系以来、13年ぶりの新型車両である[3]

仕様

本系列は、2006年(平成18年)から多くの線区に計3000両以上を投入し、利用客へのサービス向上や輸送安定性向上に大きな効果をあげている実績のあるE233系に、従来のTIMSに代わる新しい列車情報管理システム「INTEROS」をはじめとする数多くの新機軸を導入し、利用客サービス向上だけでなくエネルギーコストやメンテナンスの低減を実現するなど、さらなる技術開発の成果を盛り込んでいる。

車両の番台区分はE231系から改造された10号車のサハE235形4600番台(量産先行車は4620)を除きすべてが0番台であり、車号は1からの付番としている。主要機器としては、VVVFインバータ装置をモハE235形・モハE234形に、電動空気圧縮機(コンプレッサー)をモハE234形に、補助電源装置 (SIV) ・保安装置・蓄電池箱・整流装置・ブレーキ制御装置(2台)をクハE235形・クハE234形に、補助電源装置 (SIV) をサハE234形にそれぞれ搭載している。車両の最高速度はE231系・E233系と同じ120km/hとしており、加減速度性能は、山手線用のE231系500番台と同一であり、起動加速度は3.0km/h/s、減速度は4.2km/h/sとしている。

デザインコンセプト

開発イメージ「人と対話する車両」からキーワードを「お客様、社会とコミュニケーションする車両」とした[4]。外観については、前面の大きな窓や表示装置によって"人と人、人と社会をつなぐ情報の窓"を表現した。デザイン監修は奥山清行

車体構造

E233系など従来車両と同様のステンレス製軽量構体とし、台枠の一部を除き、ステンレスを用いた構体としているが、雨どいが外側に出ない車体断面を新たに採用した。従来のE233系までは、外側に出る雨どい部を車両限界内に収めるため、側外板の腰部から上をわずかに室内寄りに傾けていたが、本系列ではこれを垂直に立ちあげ、雨どいと一体化した。本系列は、総合車両製作所東京急行電鉄が共同開発し、東横線5050系サハ5576にて登場した[5]次世代型オールステンレス車両「sustina」初の大都市向け通勤車両の量産モデルとなっている[6]

屋根構造としては、極力横風の抵抗を小さくするため、抵抗に対して影響の少ない空調装置部を除き歩み板を省略した。連結妻面については、骨と外板の一部の接合部や、ほろ枠の部分にレーザー溶接を適用し、水密性を確保している。なお、構体へのレーザー溶接の適用は、JR東日本の車両では一部のE721系で実績があるが、首都圏のステンレス車両に対しては初めての試みである。

オフセット衝突対策として、隅柱の一部に、断面を45度に切り取ったような位置に補強を追加し、衝突時に互いに離反する効果を持たせた。前面衝突対策としては、前面のデザインが変わったものの、E233系やE231系近郊タイプと同等の強度を有しており、乗務員室をクラッシャブルゾーンとサバイバルゾーンに区分している。また、側面衝突対策としては、E233系と同等の強度を持った構体とした。

車体長さは中間車は19,500mmであるが、先頭車では運転台機器拡大に伴い70mm延長し、19,570mmとしている。いずれも連結面間距離は20,000mmに統一しており、これはE233系と同一である。

パンタグラフは、シングルアーム型をモハE235形に1基または2基装備する。折り畳み高さは3,950mmであり、中央本線内の狭小限界トンネルにも対応している。

制御車の前面と各車両の側面の行先表示器は、フルカラーLED式となっている。フルカラーLEDは従来のE233系よりもドット数が増えて解像度が上がり、紅葉の葉や桜の花などの簡易的なイラストが表示できるようになっている。

空調装置は、各車両にAU737形 (50,000kcal/h)を屋根上に1台搭載している。室外送風機数を2台から1台に削減して、送風機のファンの翼形状を変更したことにより、低騒音化を実現している。また、冷房運転においては、データベースに蓄積された過去の各駅乗車率などから次の駅の乗車率を予測して、必要によっては、次の駅の到着前に車内を予冷する予測制御を行うことが出来る。そのほかにも、空気清浄装置はE233系とは異なりパナソニック製の「nanoe(ナノイー)」デバイスを搭載した空気清浄機を採用しており[2]、横流ファン(ラインデリア)付近の天井部に設置している。

車体色は国鉄103系電車からの山手線の伝統であるウグイス色を継承しているが、車体側面の配色はホームドア設置で見えづらくなった従来の横帯の代わりに、ドアとドア付近の幕板を塗装している。塗装は戸袋方向にグラデーションとなっている。

乗務員室

非貫通構造になっており、E231系近郊タイプやE233系(2000番台を除く)のような、いわゆる高運転台構造であるが、車掌の後方確認のしやすさを実現するため、機器の高さを身長150cmの目線高さに相当する1410mmに抑えた。このため運転台機器の表示装置類の角度を65度から50度に変更、運転士の機器視認性と両立させた。助士席側の機器については、E233系の1005mmから870mmに高さを低減し、客室からの小児客の視界を確保した。乗務員室内の割付けにおいては、E233系と基本的に同じであるが、前面ガラスは左右下部に広げており、フラットな前面デザインとの両立を図っている。

また、先頭車の前面ガラス破損時において復旧を早めるため、E231系やE233系と異なり前面ガラスが行先表示部と乗務員室内部とに分割できる構造となっており、側面の引き窓は、前面衝突強度を確保できる範囲で、高さと幅ともにE233系よりも拡大している。先頭車の前面上部に設置された前部標識灯はLEDを採用しており、着雪を防ぐため、その部分の前面ガラスには熱線入りとしている。

客室内装

 
優先席

窓上部および妻上部にデジタルサイネージを配置し、側天井の紙広告を廃止している[7]が、利用客や広告会社からの要望や需要もあり、中づり広告は存続する事になった[8][9]。既存車両でも搭載している各扉上部の17インチ液晶ディスプレイ(トレインチャンネル)に加えて、21.5インチの液晶ディスプレイを窓上部に3画面(まど上チャンネル)、妻上部に1画面(サイドチャンネル)新設した[7]。まど上チャンネルは、3画面をつながった一つの画面のようにして使用することもでき、新たなデジタルサイネージならではのコンテンツについて今後検討を行うことにしている。なお、利用客の乗車位置(号車)と区間に合わせた停車駅の情報(乗換路線・ホーム案内図・駅構内図)や電車の混雑状況、車内温度などを確認できる「山手線トレインネット」は現行のE231系500番台と同様に引き続き利用出来る。

客室では、つり手棒・荷棚・そで仕切りを枕木方向でそれぞれ連結し、側面衝突に対する車体変形量抑制を図った[* 1]。この構造はE231系からの編入である10号車以外の車両に車端部以外のそで仕切り部に、1両当たり6か所の構成としている。

側引戸装置には、新規に開発したラックアンドピニオン方式の電気式戸閉装置を採用した。この戸閉装置は従来の電気式戸閉装置とは異なり、戸閉状態においても空気式戸閉装置と同様に、常時お互いの扉が押し付け合う構造で、挟まれたものを引き抜きやすいという特徴がある。腰掛はE233系と同等の座り心地の片持ち式ロングシートであるが、デザインを一新した。また、そで仕切については居住空間を広く感じられるように半透明の構造とした。

車椅子の利用客に限らずベビーカーの利用客など、そのほか必要な利用客も使用出来るようにフリースペースを各車両に1カ所ずつ設置した。このフリースペースにはより多くの利用客が利用しやすいように、レール方向に2段の手すりを設け、妻面には腰当てとしてクッションを設けた。さらに壁面の標記だけでなく、床敷物に大きく車椅子マークとベビーカーマークを示した。車外においても各車両に車椅子マーク・ベビーカーマークが掲出されている(E231系など従来型は先頭車2両のみ)。優先席については中間車のフリーペース向かい側にも3席設置し、10号車を除いた中間車は各車両9席設けている。

電源・制御機器

制御装置には、SiC素子[* 2]を使用した2レベル電圧形PWM制御インバータにより、1台のインバータ装置で主電動機4台を制御する、1C4M方式を採用したVVVFインバータ制御を採用している。制御装置は電動車に搭載され2両で1ユニットを構成するが、E231系500番台でのユニット内の1両に1台の制御装置を搭載して、2両分の電動機を制御する2両1ユニット方式から、1両に1台の制御装置を搭載して1両分の4台のモーターを制御する独立M方式としている。そのため、集電装置付きの電動車は「M1」車、集電装置なしの電動車は「M2」車としている。これは、今後においての他線区への転出の際に、編成内の電動車の数を奇数にすることで[* 3]、他線区での最適な電動車と付随車の比率(MT比)を構成することを考慮している。また、量産先行車ではトランジスタ部にSiC-MOSFET、ダイオード部にSiC-SBDを搭載したフルSiC素子採用の三菱電機製SC104形と、トランジスタ部はSi-IGBT、ダイオード部にSiC-SBDを搭載したハイブリッドSiC素子採用の東芝製SC105形の2種類を搭載しており、両者は取付交換が可能となっている[10]。なお、SiC素子の採用は東京メトロ05系電車北綾瀬支線用改造車小田急1000形更新車京都市交通局10系機器更新車に次いで日本4例目である[* 4]が、この3形式が改造による搭載であるのに対し、E235系は落成の時点からSiC素子を使用したVVVFインバータを搭載している。また、小田急1000形はフルSiC素子、東京メトロ05系と京都市交通局10系はハイブリッドSiC素子のみを使用した制御装置を搭載しているのに対し、E235系量産先行車のそれは両方を搭載している。

ブレーキ方式は、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用している。常用ブレーキの場合では、後述するINTEROSによる編成ブレーキ力管理システムにより応荷重制御と電空協調制御を行い、回生ブレーキを優先して使用することで、省エネルギー運転と台車の基礎ブレーキで使用されている制輪子の摩耗量の低減が図られている。

運転台からのマスコンハンドルによる力行・ブレーキなどの指令は、後述するINTEROSでマスコンのノッチ指令・車両の荷重などが加味されて、主電動機のトルク演算を行なったのちに、VVVFインバータ装置・ブレーキ装置に指令が送られるシステムとなっている。

主電動機かご形三相誘導電動機 MT79形が採用され、各車両に4基搭載する[11]。構造が開放形(E231系500番台)から全閉式外扇形に変更されており、1時間定格出力は140kWに強化されている[11]

補機用の電源として、IGBT素子を使用した3レベル電圧形PWMインバータによる静止形インバータ (SIV) を搭載する[12]。待機2重系としており、片方の系統が故障しても動作を可能としている[11]。量産先行車では東洋電機製造製SC106形と東芝製SC107形の2種類を搭載し[10]、いずれも260kVAの定格容量を有し、出力電圧は三相交流440Vで統一されていることから両者は取付交換が可能となっている[12]

空気圧縮機はSIVから出力される三相交流440Vを電源とし、オイルフリーレシプロタイプ MH3130-C1600F を採用する[13]。吐出し量は1,600L/minである[11]

台車

台車はE233系用をベースとしたボルスタレス台車を採用しており、電動台車はDT80形、付随台車はTR264・TR264A・TR264B形である。電動台車の歯車装置の歯車箱の構造を分割構造としており、209系以降からの新系列の車両で使用されてきた一体形構造と比べてメンテナンス性が考慮されている。また、台車の車体の間に連結されている空気ばね枕ばね)には曲線通過性能の向上を図るため、前後方向に柔支持とした異方性空気ばねを採用している。

基礎ブレーキは、電動台車は踏面片押し式、付随台車は踏面片押し式と車軸に装備されたディスクブレーキによる併用である。先頭車の装備されたTR264形には駐車ブレーキが取付けられており、ディスクブレーキではライニング制輪子の脱着性の向上が図られている。

軸箱支持装置は軸はり式を採用している。軸箱体は軸はりと一体形となっており、軸ばねを除いて各車共通である。また軸箱と台車枠の側梁との間に取付けられる軸ダンパは、取付けられておらず、台車への取付準備工事に留めている。

情報制御装置

従来のモニタ装置を進化させた、列車情報管理装置TIMSからさらに大きく機能を拡張させた列車の情報管理装置INTEROSが導入されている。これは、TIMSが各車にある各中央・端末演算ユニットによって演算・制御を行なう分散制御方式であったのに対し、INTEROSでは各種演算機能を中央ユニットに集約した集約制御方式を採用した。このため、TIMSにおいて各車に配置されていた端末装置は、INTEROSではデータの伝送機能に特化した伝送ユニットとなっている。

主な特徴としては以下のことが挙げられる

  • 列車中のデータ通信速度を、従来と比べて10倍以上向上させており、トレインチャンネル用の広告コンテンツや車両機器のモニタリング(状態監視)データなど、大容量のデータを扱うことが可能となった。
  • WiMAX通信を利用して、各種データを地上システムにリアルタイムに送信して、それを活用することが可能となった。
  • IEC国際規格の「電気鉄道設備・列車内伝送系」に全面的に準拠している。

なお、車両の大容量のデータをリアルタイムに地上システムへ送信できる機能によって、車両および機器の劣化状態の推測に活用することを検討している。例えば、列車内でINTEROSが状態監視をしている機器で異常を検知した場合には、地上システムへその異常内容を伝送することで、異常の原因究明や修繕手配、車両交換などの対応をいち早く行なうことで、輸送影響を最小限にできると考えられており、また、機器の動作回数や動作時間、電圧・電流値、通電時間などを記録・管理することで、機器の劣化状態の推測も可能になると考えられている。

その他の機器

量産先行車には、試験的に線路と電力設備の状態監視装置を搭載している。これは車両から地上設備を監視することにより、安全性と安定性の向上の実現に向けた技術開発を進める予定で搭載されたものである。

4号車となるサハE235-1の床下には「軌道材料モニタリング装置」と「軌道変位検測装置」で構成された線路設備モニタリング装置が搭載されており、複数のカメラやセンサーなどを使用してレールの締結装置や線路状態を監視する。3号車のモハE235-3の屋根上には、前位側と集電装置のある後位側に架線状態監視装置の関連機器が搭載されている。また、山手線のホームドアが設置された駅ホームにおいて、停止線に正確に停車してからホームドアを車両側から可動させるために、TASC(定位置停止装置)の支援装置とホームドア車上装置(1号車にそのトランスポンダ車上子を設置)のほか、移動禁止システム、前方カメラを搭載している。

番台

 
大崎駅に入線する量産先行車(2015年3月26日)
 
サハE231形4600番台から改造されたサハE235形4600番台。
他の車両と車体構造が異なる。

編成構成

 
← 内回り
外回り →
号車 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1
形式 クハE235
-0
サハE235
-4600
モハE235
-0
モハE234
-0
サハE234
-0
モハE235
-0
モハE234
-0
サハE235
-0
モハE235
-0
モハE234
-0
クハE234
-0
車内表示器(面) 29 30 36 36 36 36 36 36 36 36 29
搭載機器 SIV     CP SIV   CP     CP SIV
車両重量 (t) 33.3 27.1 31.7 31.1 29.2 32.3 31.1 29.3 31.5 30.8 33.4
  • 全車両4扉車での組成。
  • 6号車に予備パンタグラフを搭載。
  • 10号車はサハE231形4600番台からの改造編入。
  • 3号車:電力モニタリング搭載時は32.7(t)
  • 4号車:レール塗油器および線路設備モニタリング搭載時は30.0(t)

付記

本系列で最初に落成した量産先行車・東京総合車両センター01編成の車両番号は、内回りの先頭車から順にクハE235-1+サハE235-4620+モハE235-1+モハE234-1+サハE234-1+モハE235-2+モハE234-2+サハE235-1+モハE235-3+モハE234-3+クハE234-1となっている。

その他

量産先行車・東京総合車両センター01編成は、2015年(平成27年)3月23日に総合車両製作所新津事業所を出場した[14]信越本線内で試運転を行ったのち、3月26日に越後石山駅から東京総合車両センターへ配給輸送された[15]。3月28日に報道公開が行われ、3月30日には、山手線に初めて入線[* 5]し、大崎 - 新宿 - 池袋間を1往復する試運転が行われた[16]。4月には東海道貨物線で試運転[17]、5月からは日中の山手線での周回試運転が行われ[18]、6月には中央本線大月までの試運転が行われた[19]。2015年(平成27年)11月29日には、びゅう旅行企画の団体臨時列車として、横須賀線品川駅から横須賀駅を往復し、これが初めて乗客を乗せての運転となった[20]。 営業運転初日の2015年(平成27年)11月30日は、始発駅である大崎駅で出発セレモニーが行なわれた後、同駅15時18分発の外回り1543Gから営業運転を開始した。

車両トラブル

営業運転初日の2015年(平成27年)11月30日、15時23分頃(営業運転開始約5分後)に目黒駅オーバーランが発生したのを皮切りに、大崎駅でドアの開閉に異常が発生、大塚駅では停車位置の1.5メートル手前で停車し、システムモニターに複数の故障表示が出て乗客約700人が車内におよそ30分間閉じ込められるといったドアやブレーキ故障などのトラブルが相次いで発生した[21]。そのため同日は23時頃に大塚駅で運転を打ち切り、東京総合車両センターへ回送された[22]

不具合の原因とみられる次世代車両制御システムINTEROSのソフトウェア改修が完了し、さらに様々な状況下で問題なく動作することも確認できたため、2016年(平成28年)3月7日から営業運転を再開している[23][24]が、当面は日中帯に5周程度で運行する。

脚注

注釈

  1. ^ sustinaの特徴的なデザインの一つでもある。
  2. ^ 高速域まで多パルスのスイッチングを行うことで、主電動機の損失を低減させ、省エネルギー性能を向上させている。
  3. ^ 2両1ユニット方式では、電動車を2両単位としているため、編成内で電動車と付随車とで新たに組成する際には、電動車の数は偶数となる。
  4. ^ 小田急8000形西武6000系など、試験的なSiC素子の採用の形式を除く。
  5. ^ 大崎駅構内には旧大井工場区域から旧山手電車区への入換のために3月26日に入線している。

出典

  1. ^ “新型通勤電車(E235系)の量産先行車新造について” (PDF) (Press release). 東日本旅客鉄道株式会社. 2 July 2014. 2015年6月6日閲覧.
  2. ^ a b JR東日本、山手線に新型車両「E235系」を11月30日より運行開始 (トラベルWatch・2015年11月30日)
  3. ^ 13年ぶり 山手線の新型車両、運転開始 (日テレNEWS24・2015年11月30日)
  4. ^ 『鉄道ファン』通巻651号、p.92
  5. ^ “東急電鉄&J-TRECが共同開発「sustina」第1号車両、東横線5050系でデビュー”. マイナビニュース. (2013年4月11日). http://news.mynavi.jp/news/2013/04/11/023/ 2015年6月6日閲覧。 
  6. ^ 大都市向け通勤車両の量産型sustinaシリーズ第1号が完成!” (PDF). 株式会社総合車両製作所 (2015年3月30日). 2015年6月6日閲覧。
  7. ^ a b JR東日本E235系、山手線新型車両11/30デビュー! 車内広告は紙媒体と併用に (マイナビニュース・2015年10月13日)
  8. ^ 山手線の新型車両「E235系」、11月30日から運行 中吊り広告は存続 (ITmedia・2015年10月14日)
  9. ^ 讀賣新聞東京版2015年10月14日35面
  10. ^ a b 『月刊とれいん』通巻486号、p.3-6
  11. ^ a b c d 『鉄道ファン』通巻651号、p.93
  12. ^ a b 『鉄道ファン』通巻651号、p.100
  13. ^ 『鉄道ファン』通巻651号、p.98
  14. ^ E235系量産先行車が試運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2015年3月24日). 2015年6月6日閲覧。
  15. ^ E235系量産先行車が配給輸送される”. 鉄道ファン・railf.jp (2015年3月27日). 2015年6月6日閲覧。
  16. ^ E235系が山手線で試運転”. 鉄道ファン railf.jp (2014年3月31日). 2015年6月6日閲覧。
  17. ^ E235系トウ01編成が東海道本線で試運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2015年4月15日). 2015年6月6日閲覧。
  18. ^ E235系が山手線で試運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2015年5月12日). 2015年6月6日閲覧。
  19. ^ E235系が中央本線で試運転”. 鉄道ファン・railf.jp (2015年6月17日). 2015年8月6日閲覧。
  20. ^ 山手線新型車両E235系、横須賀線を団体臨時列車として走行 - 11/30デビュー マイナビニュース 2015年11月29日、同12月1日閲覧。
  21. ^ 山手線新型車両トラブル 2日以降も運行休止 “頭脳”司る新ソフトに不具合(産経ニュース 2015年12月2日)
  22. ^ 山手線新型E235系、トラブル続出 1日運転見合わせ(朝日新聞デジタル 2015年12月1日)
  23. ^ JR東日本E235系、山手線新型車両3カ月ぶり復帰 - ラッシュ時間帯も平常運転 (マイナビニュース・2016年3月7日)
  24. ^ “JR東日本 E235系の運転再開”. 交通新聞 (交通新聞社). (2016年3月9日) 

参考文献

  • 水谷恵介(JR東日本鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター)「E235系一般形直流電車」『鉄道ファン』第651号、交友社、2015年7月、92 - 100頁。 

関連項目

  • MUE-Train - この試験車における成果として、次世代車両制御システム「INTEROS」などがE235系に搭載されている。

外部リンク