調緒
調緒(しらべお)とは、日本の代表的な伝統芸能である能などで用いられる楽器、鼓(大鼓、太鼓、小鼓)で使用される紐のことである。能単にしらべと呼ばれることがあり、また、

調べ緒とも表記さこともあるれる。
調緒は、鼓の皮・胴・皮の間に張られて皮を締め付け、それぞれの楽器にあった音色を出す役割を担っている。演奏中、大鼓と太鼓の調緒は皮を締めて固定されたままだか、小鼓の場合は音色を変化させるためにも使われる。
種類
調緒の種類は大きく分けて「縦」の調緒と「横」の調緒がある。太鼓の皮・胴・皮の間に張られるのが「縦」であり、この調緒が主に皮を締め付けるという役割を果たしている。そして、張られた「縦」に巻き付けて、さらに皮を締め付けるのが「横」の調緒である。この他、「化粧」という調緒もある。この「化粧」は、皮を締め付けるというよりも飾りとしての意味が強い。特に大鼓の場合は、「縦」の調緒だけで皮を締め付けるため「横」は使用しない。「横」のかわりに化粧を「縦」に軽く巻いて下に垂らし、飾りとしている。
楽器毎の調緒の種類には、次のようなものがある。
- 大鼓(おおつづみ・おおかわ)用の調緒には「縦」と「化粧」がある。
- 太鼓(たいこ)用は「縦」と「横」がある。
- 小鼓(こつづみ)用は「縦」と「横」と「化粧」がある。小鼓の場合、さらに調緒の端を結ぶための小紐(こひも)という細く短い紐も使う。
形態
三つの楽器により、それぞれ調緒の太さと長さが違う。
調緒の色は「朱色」とよばれる赤色に少し片寄ったオレンジ色を基本としているが、朱色だけではなく紫や茶色など様々な色のものもある。
材質と製作方法
本来、調緒の材質は麻糸を使用するのだが、一部には、合成繊維を使用した製品もある。 製作方法は、日本古来の手法でなわれたワラ縄に似ている。つまり、麻の繊維を適当な太さの紐として、その紐に縒りを掛けて仕上げる。現在、市販されている一般的なロープは左回転によられることが多い。しかし、調緒は古くから縒る方向は右回転である。