在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律

日本の法律

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在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律(ざいがいこうかんのめいしょうおよびいちならびにざいがいこうかんにきんむするがいむこうむいんのきゅうよにかんするほうりつ)は、在外公館日本語の名称及び位置について定め、加えて、そこに勤務する外務公務員俸給及び在勤手当などについて、物価水準や生活水準と言った特殊性を考慮して特別職の職員の給与に関する法律(昭和24年法律第252号)及び一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)に関する特例を規定した法律である。

在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 名称位置給与法
法令番号 昭和27年法律第93号
種類 法律
効力 現行法
成立 1952年4月17日
公布 1952年4月21日
施行 1952年4月21日
主な内容 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与(在勤手当等)などについて
関連法令 国家公務員法外務公務員法など
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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略称は「在外公館設置法」や「名称位置給与法」など。

構成

  • 第1条 在外公館の名称及び位置
  • 第2条 在外職員の給与
  • 第3条 給与の支払
  • 第4条 給与の支給方法
  • 第5条 在勤手当
  • 第6条 在勤手当の種類
  • 第7条 調査報告書
  • 第8条 在勤手当の額の改訂
  • 第9条 在勤手当の額の臨時の改訂又は設定
  • 第9条の2 戦争等による特別事態の際の在勤手当
  • 第10条 在勤基本手当の支給額
  • 第11条 在勤基本手当の支給期間
  • 第12条 住居手当の支給額
  • 第12条の2 住居手当の支給期間等
  • 第13条 配偶者手当の支給額
  • 第14条 配偶者手当の支給期間
  • 第15条 配偶者手当を受ける在外職員の扶養手当
  • 第15条の2 子女教育手当の支給額
  • 第15条の3 子女教育手当の支給期間
  • 第16条 館長代理手当の支給額
  • 第17条 館長代理手当の支給期間
  • 第18条 特殊語学手当
  • 第19条 研修員手当の支給額
  • 第20条 研修員手当の支給期間
  • 第21条 給与の端数計算
  • 第22条 罰則
  • 第23条 国外犯罪
  • 附則
  • 別表第一 在外公館の名称及び位置(第一条関係)
  • 別表第二 在勤基本手当の基準額(第十条関係)
  • 別表第三 研修員手当(第十九条関係)

別表第一(国名)

本法の別表第一(以下「別表1」)「在外公館の名称及び位置」は日本語による各国の名称(外名)について網羅的に明示した法律であり、事実上この別表1が日本国政府による国名の日本語標準表記の根拠とされている[1]

外務省の実務において国名の基準とされているのは大臣官房総務課が内規として定める『国名表』であるが[2]、この『国名表』は一般公開されておらず2007年平成19年)まで外務省監修協力(1973年 - 1998年度版は編集)の(財)世界の動き社『世界の国一覧表』に掲載された国名が原則として『国名表』によるものとされていた。ただし『国名表』では別表1で用いる「法文上の表記」以外に「選択表記」と言う形で公文書に別名を使用することを認めているため『世界の国一覧表』では「法文上の表記」が一般に余り使用されていないような場合は、この「選択表記」の方が採用される場合もあった。

2003年(平成15年)の別表1改正では、以下のように改正時点では余り使用されなくなっていた「法文上の表記」をそれまでは「選択表記」として認めていた一般的な表記に近付ける抜本的な改正が行われた(国名に含まれる「王国」「共和国」などの政体に関する部分は、同名の国との識別等の事情がある場合を除き省略)[3]。この際に行われた見直しの大部分は"Ti"を「ティ」から慣用として確立されている「チ」に変更する、"V+子音"を「ヴァ〜ヴォ」から「バ〜ボ」に変更する、過剰な中点長音の除去、促音の整理など表記ゆれの範疇に収まるものだが、中には"Cyprus"を英語読みした「サイプラス」からギリシャ語に基づく「キプロス」に変更したり、フランス語の"Côte d'Ivoire"を意訳した「象牙海岸」を音韻転写の「コートジボワール」に変更するなどの特殊な事例も見られる。

2015年(平成27年)には、それまでロシア語由来(異説あり)の外名で「グルジア」と呼ばれていたジョージア政府から使用取りやめを要請されたことを受けて別表1の改正が行われた[1]

2003年改正後 改正前 備考
  アルゼンチン アルゼンティ
  アンティグア・バーブーダ アンティグ・バーブーダ "Ti"を慣用の「チ」に統一する見直し方針に従うと「アングア・バーブーダ」となるはずだが、何故か「ティ」は維持されている。
  ウルグアイ ウルグ
  英国 連合王 正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」。日本の口語で広く使用される「イギリス」は外務省では採用していないが、NHKは採用している。
  エルサルバドル エルサルヴァドル
  カーボヴェルデ カーボヴェルデ 選択表記の「カーボベルデ」もよく使われる
  カタール カタル
  カンボジア カンボディ
  ギニアビサウ ギニアビサ
  キプロス サイ 「サイプラス」は"Cyprus"の英語読み
  グアテマラ テマラ
  クウェート クウェ
  コートジボワール 象牙海岸共和国 コートジボワール政府はフランス語の国名を意訳しないよう各国に要請しており、外務省の『国名表』では1986年昭和61年)から選択表記として公文書で「コートジボワール」の使用を可としていたが、2001年(平成13年)の別表1改正で法文上も「象牙海岸」の使用を取りやめた。外国政府から個別に受けた要請に基づく外名変更としては初の事例である。
  コスタリカ コスタリカ
  コンゴ共和国 コンゴ共和国 コンゴ共和国(ブラザヴィル
  コンゴ民主共和国 コンゴ民主共和国 ザイール、コンゴ共和国(レオポルドヴィル
  サウジアラビア サウディ・アラビア
  サンマリノ サンマリノ
  シエラレオネ シエラレオネ
  ジブチ ジブティ
  シエラレオネ シエラレオネ
  スリランカ スリランカ
  スロベニア スロヴェニア
  セーシェル シェル
  セルビア・モンテネグロ ユーゴースラヴィア連邦共和国 2006年に解体しモンテネグロセルビアコソボに分離
  セントクリストファー・ネーヴィス セントクリストファー・ネヴィ 選択表記に「セントクリストファー・ネイビス」、英語風の「セントキッツ・ネイビス」(St. Kitts & Nevis)など。
  セントビンセント・グレナディーン セント・ヴィンセント・グレナディーン
  セントルシア セントルシア
  チェコ チェ
  チャド チャ
  チュニジア ュニジア
  ツバル トゥヴァ
  トーゴ トーゴ
  トリニダード・トバゴ トリニダド・トバゴ
  ニカラグア ニカラグ
  ニュージーランド ニュージーランド
  ノルウェー ルウェー
  バーレーン レーン
  ハイチ ハイティ
  バチカン ヴァチカン 1981年(昭和56年)にローマ教皇庁から日本政府が使用している「法王庁」の訳語を「教皇庁」に改めるよう要請された際は拒否している。
  パプアニューギニア パプアニューギニア
  パラグアイ パラグ
  東チモール ティモール 変更前の「東ティモール」の方が一般的に使用されており『国名表』の選択表記としては残されている。
  ベトナム ヴィエトナム
  ベネズエラ ヴェネズエラ
  ボスニア・ヘルツェゴビナ ボスニア・ヘルツェゴヴィ
  ボリビア ボリヴィ
  ホンジュラス ホンュラス
  マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 マケドニア旧ユーゴスラヴィア共和国 ギリシャが「マケドニア共和国」の国名使用に反発しているため、日本政府やEUでは「旧ユーゴスラビア」を付加した国名で承認している。
  マレーシア マレシア
  モーリシャス モーリシ
  モルディブ モルディ
  モルドバ モルドヴァ
  ヨルダン ジョルダン
  ラトビア ラトヴィ
  ルクセンブルク ルクセンブルグ
2015年改正後 改正前 備考
  ジョージア グルジア 外国政府から個別に受けた要請に基づく外名変更としてはコートジボワールに続き2例目。詳細はジョージアの国名を参照。

関連項目

脚注

  1. ^ a b 事例 報道発表 国名呼称の変更(グルジア)平成27年4月22日”. 外務省. 2016年2月8日閲覧。
  2. ^ 国名や首都名の表記について二宮書店2016-09-22閲覧
  3. ^ 輸出貿易管理令等における国名表記の変更について経済産業省2016-09-22閲覧