ダイ・ハード
この記事に雑多な内容を羅列した節があります。 |
『ダイ・ハード』(原題:Die Hard)は、1988年のアメリカのアクション映画。ロデリック・ソープの小説 Nothing Lasts Forever (1979年、邦題は『ダイ・ハード』)を原作としている。監督はジョン・マクティアナンで脚本はスティーヴン・E・デ・スーザとジェブ・スチュアート。アメリカでは1988年7月15日、日本では1989年2月4日に公開され、この映画の成功により5つの続編が作られた。
| ダイ・ハード | |
|---|---|
| Die Hard | |
| 監督 | ジョン・マクティアナン |
| 脚本 |
スティーヴン・E・デ・スーザ ジェブ・スチュアート |
| 原作 |
『ダイ・ハード』 ロデリック・ソープ |
| 製作 |
ローレンス・ゴードン ジョエル・シルバー |
| 製作総指揮 | チャールズ・ゴードン |
| 出演者 |
ブルース・ウィリス アラン・リックマン アレクサンダー・ゴドノフ ボニー・ベデリア |
| 音楽 | マイケル・ケイメン |
| 撮影 | ヤン・デ・ボン |
| 編集 |
ジョン・F・フィンク フランク・J・ユリオステ |
| 製作会社 |
シルバー・ピクチャーズ ゴードン・カンパニー |
| 配給 | 20世紀フォックス |
| 公開 |
|
| 上映時間 | 131分[1] |
| 製作国 |
|
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $28,000,000[1] |
| 興行収入 | $140,767,956[1] |
| 配給収入 |
11億5000万円[2] |
| 次作 | ダイ・ハード2 |
"ダイ・ハード" という言葉には「頑固者」、「保守主義者」、「最後まで抵抗する者」、「なかなか死なない者(不死身)」といった意味がある。
あらすじ
ニューヨーク市警察のジョン・マクレーン部長刑事は、ロサンゼルスで別居中の妻ホリーに会うため、陽気なリムジン運転手アーガイルの運転で、ホリーが勤めているナカトミ商事のクリスマス・パーティに向かう。
オフィスでホリーと再会したマクレーンだったが、突如そのパーティー会場のビルに、ハンス・グルーバーとその部下たちが、重武装で乱入してくる。パーティーの出席者全員が彼らの人質になるが、ホリーの事務室にいたマクレーンは発見されることなく脱出し難を逃れる。彼らの目的は、厳重なセキュリティーにより保管されている「6億4千万ドルの無記名債券」だった。
マクレーンはハンスらが占拠するフロアから脱出し、無線でロサンゼルス市警察に通報する。しかし、ロス市警はマクレーンの通報をイタズラだと疑って取り合わない。マクレーンは火災報知機を作動させるが、ハンスが誤作動だと通報したことによって消防隊は引き返してしまう。そこでマクレーンは、確認のためにナカトミ・プラザを訪れたアル・パウエル巡査部長のパトカーへ、ハンスの部下の死体を落としてマシンガンを乱射して異常事態を知らせる。ナカトミ・プラザの異常事態を知ったパウエルは、ロス市警に応援を要請する。
マクレーンの存在に気づいたハンスは部下を動員してマクレーンを探させるが、マクレーンはゲリラ戦術でハンスの部下たちを一人ずつ制圧していく。重大テロ事件と判断したロス市警は、SWATを派遣するが突入作戦は失敗し、FBIに捜査主体を譲る。ハンスはFBIに脱出用のヘリコプターを要求するが、ハンスには大きな目論見があった。
マクレーンと交戦状態になったハンスは、マクレーンが裸足である事を利用して、ガラスを乱射して足を負傷させ、起爆装置を取り返す。FBIはテロリスト対策のため付近一帯を停電にするが、それによりセキュリティーシステムの最終ロックが外れ、テロリスト達は金庫を開けることに成功してしまう。その後ハンスは、ホリー宅に突撃取材をしたリチャード・ソーンバーグのテレビ報道により、マクレーンとホリーが夫婦であることに気付き、マクレーンに投降を求める。
弟を殺された実働部隊のリーダー・カールを、格闘戦の末にチェーンで首吊りにして倒したマクレーンは、彼らの狙いが、呼び寄せた逃走用ヘリコプターごと人質もろともビルを爆破して、混乱に乗じて逃走を試みようとしている事に気付き、屋上に急行して阻止する。人質となっていたホリーを助けるため、ハンスらを追い詰めたマクレーンは、背中にガムテープで結びつけた拳銃により、受付に扮していたエディを射殺。ビルの窓に宙吊りとなったハンスは、ビルから落下して死亡する。
その後、ビルから出たマクレーン達の前に、死亡したと思われたカールが、マシンガンを手にとって現れる。それを銃弾により止めたのは、過去に子供を誤射したトラウマにより銃を撃てなかったはずのパウエル巡査部長だった。大混乱を極めたロスに、ようやく穏やかなクリスマスが訪れるのであった。
キャスト
- ジョン・マクレーン(演 - ブルース・ウィリス)
- ニューヨーク市警察本部の部長刑事(階級は巡査部長)で、最も不運なタイミングで最も不運な場所に居合わせる最も不運で簡単には死なない(不死身の)男。偽造された身分証明書を見抜いたり、煙草の銘柄から出身国を推測するなどの刑事としての洞察力が優れており、また屋上やコンピュータ室での銃撃戦でゲリラ戦を展開したり、即席爆弾を作ったりと戦術面や工作面でも高い技術を持っている。妻のホリーはロサンゼルスで働いている。自分はニューヨークの刑事であり、辞められないと話すが、実際はホリーがすぐに舞い戻ると思っていたために同行しなかった。ホリーに誘われて訪れたナカトミ・プラザが占拠されたことを知り、テロリストグループを相手に一人で立ち向かうことになる。
- ホリー・マクレーン(演 - ボニー・ベデリア)
- ジョン・マクレーンの妻で、ナカトミ商事の重役。日系の企業では家族持ちは受けが悪いという理由から会社では旧姓の“ジェネロ”を名乗っており、それ故に夫と再会早々に結婚の概念の行き違いから諍いを起こしている。ハンス達の襲撃に遭い、更にはリチャードの強引な取材で身元をばらされたために危機に陥るが、最終的には夫であるマクレーンに助けられた。事件解決後は悪びれもしないで付きまとって取材するリチャードの顔面に渾身のパンチを放ち、結果として歯を叩き折ったが、後に告訴されてリチャードへの50m以内への接近を禁止される。
- アーガイル(演 - デヴロー・ホワイト)
- マクレーンをロサンゼルス空港からナカトミ・プラザまで運ぶ役割を担うリムジン運転手で、今作におけるマクレーンに協力的な数少ない人物。陽気な性格で、以前はタクシー運転手を勤めていたこともあって多弁である。ビルの地下駐車場でマクレーンを待つが、ハンス達が閉鎖した駐車場から出られなくなり、リチャードの報道によって事態に気づく。終盤では脱走を図るテオを発見したが、直後に運転するリムジンで体当たりを敢行し、更にはテオを運転席からの顔面パンチでノックアウトした。事件解決後は自力でビルから脱出し、マクレーン夫妻を乗せてナカトミ・プラザを後にした。
- リチャード・ソーンバーグ(演 - ウィリアム・アザートン)
- イエロー・ジャーナリズムを職業理念とするWZDCテレビの記者。自己中心的な性格で、非常に強引な取材姿勢を行うなどの一切の手段を選ばず、またその事に関しては一切悪びれもしない。マクレーン家まで押しかけた上に家政婦を脅迫して子供にインタビューし、ホリーの素性を明かして事態を悪化させた。事件解決後は悪びれもせずにしつこく付きまとって取材したが、その事に激怒したホリーからの渾身のパンチを顔面に喰らわされ、その醜態をテレビに流された。
- ハリー・エリス(演 - ハート・ボックナー)
- ナカトミ商事の重役。軽薄な性格で、夫がいると知りながらホリーをデートに誘うなどしている。また、エリート意識が非常に高いが、一方ではコカインの常習者であるなどの素行はかなり悪い。マクレーンが単独で抵抗していることを知り、「交渉」と称して彼をグループに引き渡す事を目論み、友人と偽ってハンスにマクレーンの名前や素性を暴露し、無線で彼に投降を呼びかける役を買って出る。マクレーンはエリスに銃を向けるハンスに「友人ではなく、初対面だ」と必死に説得したが、その説得虚しく射殺された。
- ジョセフ・ヨシノブ・タカギ(演 - ジェームズ・シゲタ)
- ナカトミ商事社長で、ナカトミコーポレーション副会長。1939年の京都生まれで、幼少時に一家でカリフォルニアに移住しており、またカリフォルニア大学卒で、ハーバード大学MBA修了である。また、大戦中は強制収容された経験を持っており、日系アメリカ人として苦学の末に栄達を果たすなどの輝かしき功績も誇っている。ハンスに3つ数える間に金庫の暗証番号を教えるように脅され、それでも東京本社へ行くように催促して断り続けたが、最後はそれに業を煮やしたハンスに射殺された。
警察・FBI
- アル・パウエル(演 - レジナルド・ヴェルジョンソン)
- ロサンゼルス市警察の警察官(階級は巡査部長)で、本作におけるマクレーンの相棒であり、彼に協力する数少ない人物でもある。好物はトゥインキーで、また妻は初子を身籠っている。また、過去に少年を誤射したトラウマから発砲が出来なくなっており、通常は庶務を担当している。偶然ナカトミ・プラザ付近のコンビニでトゥインキーを買い込んでいた際に司令センターからナカトミ・プラザを調べるように指示を受け、結果として事件に関わることとなる。その後、ハンス達の演技に騙されて一度はその場から去ろうとしたが、直後にマクレーンが投げ落としたテロリスト(マルコ)の遺体を見たことで事態を察し、すぐに応援を呼ぶ。その後は外から事件の状況を見届けていたが、終盤ではマクレーン夫妻を殺そうと追いかけてきたカールを射殺して二人を救う。
- ドウェイン・ロビンソン(演 - ポール・グリーソン)
- ロス市警察本部次長(階級は警視)。高慢で、マクレーンやパウエルの話に聞く耳を持たない。SWATを突入させるが、テロリストグループの予想以上の反撃に遭って失敗し、直後に連邦捜査局(FBI)に捜査主体を持って行かれたことで立場を失くす。
- ジョンソン(ビッグ・ジョンソン)(演 - ロバート・デヴィ)
- 白人のFBI特別捜査官。同じ苗字であるが、行動を共にしているジョンソン捜査官と血の繋がりはない。また、ベトナム戦争従軍の経験があり、作戦直前には「ベトナム戦争当時を思い出すぜ」と悦に浸っていた。ロス市警察本部のロビンソン次長に代わって指揮を取り、対テロリストマニュアルに沿った作戦を展開する[3]が、ヘリに乗り込んで犯人掃討に向かった際にハンス達が仕掛けた爆弾の爆発に巻き込まれて死亡した。
- ジョンソン(リトル・ジョンソン)(演 - グランド・L・ブッシュ)
- 黒人のFBI捜査官。ジョンソン特別捜査官と血の繋がりはなく、年齢も下である。また、ジョンソン特別捜査官からベトナム戦争の話をされた際は「当時中学生であったこと」を明かしている。ジョンソン特別捜査官に従ってヘリで犯人掃討に向かうが、同じく爆弾の爆発に巻き込まれて死亡する。
強盗グループ
- ハンス・グルーバー(演 - アラン・リックマン)
- 強盗グループのリーダーで、西ドイツ民族解放機構(架空の左翼テロ組織)に所属していた元テロリスト。冷酷且つ冷徹な性格で、役に立たないと見なした人間は容赦無く射殺するが、容姿や振る舞いだけは紳士的である。また、FBIのテロ対策の先読みやマクレーンと互いに顔を知らない状態で鉢合わせした時には咄嗟に脱出を試みていた人質を演じたり、激昂する部下を抑えるなどの知略や統率力に長けている。エリスの「マクレーンとは長年の友人」という嘘も見抜いた。ビルの金庫に保管された6億4千万ドル相当の債権奪取を目論んでおり、その計画の手始めとしてナカトミ・プラザを占拠し、更には表向きとして世界各国で囚われているテログループの解放を要求[4]する。終盤ではマクレーンと対峙し、最初はホリーを人質に取るが、直後にマクレーンが背中に隠していた銃で撃たれ、ホリーの腕時計を掴んだままビルから宙吊りの状態となる。その後、尚もマクレーン夫妻を道連れにしようとしたが、最期はマクレーンによって腕時計を外されたことで自身だけが転落死した。
- 第3作ではサイモンの弟であることが判明し、サイモンはマクレーンに復讐心を抱くようになる。
- カール(演 - アレクサンダー・ゴドノフ)
- 強盗グループの一員で、ハンスの右腕である実動部隊のリーダー。弟のトニーをマクレーンに殺された復讐心から幾度となく彼と壮絶な死闘を繰り広げ、3度目の戦闘では首をチェーンで絞められた上で倒されたと思われていたが、マクレーンへの執着心から蘇生し、ビル脱出直後のマクレーン達へ襲い掛かろうとしたところをトラウマを克服したパウエルに射殺された。
- テオ(演 - クラレンス・ギルヤード・Jr)
- 強盗グループの一員。コンピューターの技術に優れており、ビルの金庫破りを担当している。序盤では制御室にて業務用を除く館内の全てのエレベーターの設定を29階まで到着不能にし、シャッターを閉めてエスカレーターを停止した上で復旧できないように端末を蹴って破壊した。その後はビルの金庫の開錠作業をしていたが、SWAT隊が駆け付けた際にはビルの監視カメラなどを利用して仲間達に情報を送って支援した。終盤では金庫破りを成功させ、地下駐車場に駐車していた救急車で脱走の準備を進めていたが、アーガイルに発見された上にリムジンで体当たりされ、運転席から顔面へのパンチを受けて気絶した。
- トニー(演 - アンドリアス・ウイスニウスキー)
- 強盗グループの一員で、カールの弟。粗暴且つ好戦的な兄と正反対に慎重な頭脳派で、序盤は電話線の配線変更などのビルへの電気工作を行っていたが、兄であるカールが段取りを無視したためにそれに焦るシーンがある。また、灰色のスウェットを着ている。マクレーンが消防署へ通報を行ったのを知ったハンスの指示で単身捜索を行っている最中にマクレーンと接触したが、不意打ちを受けて揉み合いになり、最後は階段から滑落した拍子に死亡した。その後、遺体はマクレーンによって強盗グループへのメッセージに使われる。
- エディ(演 - デニス・ヘイデン)
- 強盗グループの一員。序盤は時間稼ぎのためにビルのガードマンに成り済まし、1階フロアに駐在して来客者への見張りを担当しており、通報で駆けつけたパウエルを騙し切った。SWAT到着後はユーリと共に1階で迎撃に当たり、SWAT隊を銃撃で撃退する。終盤ではハンスと共に逃走を図ろうとしていた際に現れたマクレーンに銃を向けるが、降参したという演技を行ったマクレーンに油断し、最後は彼が背中に隠し持っていた拳銃で瞬時に頭を撃ち抜かれて死亡する。
- ユーリ(演 - アル・レオン)
- 強盗グループの一員。序盤はマルコやハインリッヒと共にビルへ爆薬の設置の工作を行う。SWAT到着後はエディと共に1階で迎撃に当たり、SWAT隊を銃撃で撃退するが、その際に売店の菓子類を失敬して食す。終盤ではハンスらがマクレーンより奪い返した信管などの道具を用いて爆破工作の準備を終え、人質達を屋上に追いたてた後に下の階に下りてハンスらと合流しようとするが、駆けつけたマクレーンと鉢合わせし、最後は応射する暇も与えられずに射殺された。
- マルコ(演 - ロレンゾ・カッチャランツァ)
- 強盗グループの一員。序盤はハインリッヒやユーリと共にビルへ爆薬の設置の工作を行う。その後、物語前半にマクレーンが自分達の爆破工作の準備を行っている階の下に現れたとの連絡を受けて駆けつけるが、ちょうど鉢合わせして拳銃を突きつけられ、思わず命乞いをしてしまう。その後は駆けつけたハインリッヒの横槍で膠着を破られ、直後にハインリッヒが銃撃で死亡したことに激怒し、机の下に隠れたマクレーンに向けて銃を乱射することで一度は追い詰めるが、マクレーンからの応射が無かったことから油断して「アドバイス」を与えながら弾倉の交換を行うという大きな隙を作り、最後は机越しに拳銃の猛射を受けて死亡する。その後、遺体は通報で駆けつけたパウエルへのメッセージに利用される。
- ハインリッヒ(演 - ゲイリー・ロバーツ)
- 強盗グループの一員。序盤はマルコやユーリと共にビルへ爆薬の設置の工作を行っており、爆破工作の指揮を執る。その後、物語前半にマクレーンが自分達の爆破工作の準備を行っている階の下に現れたとの連絡を受け、マルコを先行させて自分も向かうが、駆けつけた時にはマクレーンがマルコに拳銃を突きつけて膠着状態になっており、マルコに伏せさせて拳銃で彼を撃とうとしたところをすぐに反撃に出たマクレーンに射殺される。
- フリッツ(演 - ハンス・バーリンガー)
- 強盗グループの一員。カールやフランコと共に行動し、マクレーンと幾度となく銃撃戦を繰り広げる。終盤ではエレベーターでカールやフリッツと共にハンスとマクレーンの元に駆けつけた際にドアが開いたと同時に放たれたマクレーンの発砲に対応出来ずに射殺される。
- フランコ(演 - ブルーノ・ドヨン)
- 強盗グループの一員。カールやフリッツと共に行動し、マクレーンと幾度となく銃撃戦を繰り広げる。終盤ではカールと共にハンスと合流し、マクレーンとの銃撃戦の最中に走って移動していたが、直後にマクレーンの銃撃で足を撃ち抜かれて転倒し、最後はガラス壁に頭部を強打して死亡する。
- アレクサンダー(演 - ジョーイ・プルーワ)
- 強盗グループの一員。機関銃やロケット砲などの重火器を取り扱っており、ビルの下層階で機関銃を所持して見張りを行い、マクレーンのメッセージによって異常に気付いたパウエルのパトカーに向けて猛射を加えた。SWAT到着後はロケット発射筒をジェームズと共に運用し、前進してきたSWATの装甲車を撃って破壊した。その後、装甲車へ向けて更なる砲撃を加えようとするが、最後はマクレーンにより投下されたプラスチック爆弾によってフロアごと吹き飛ばされて死亡する。
- ジェームズ(演 - ウィルヘルム・フォン・ホンブルグ)
- 強盗グループの一員。ビル屋上で見張りを担当していたが、SWAT到着後はロケット砲をアレクサンダーと共に運用する。その後、装甲車へ向けて更なる砲撃を加えようと弾薬を準備していたが、最後はマクレーンにより投下されたプラスチック爆弾によってフロアごと吹き飛ばされて死亡する。
- クリストフ(演 - ジェラール・ボン)
- 強盗グループの一員。テオの補佐を行っており、終盤では開放に成功した金庫から奪った債権を運んでいたが、直後に現れたマクレーンに殴打されて昏倒する。
制作
『ダイ・ハード』の印象的なシーンの多くとキャラクターはロデリック・ソープの小説『ダイ・ハード』(原題は Nothing Lasts Forever 、日本では映画公開後に発売されたため『ダイ・ハード』)に基づいて作られている。もともと Nothing Lasts Forever は The Detective の続編小説として書かれたものである。 The Detective は『刑事』としてフランク・シナトラ主演で映画化されている。 Nothing Lasts Forever はシナトラが続編への出演を断ったため内容が変更された。
原作との違い
- 主人公が小説では初老であるのに対し、映画では若くなっている。企画当初は原作に合わせて、クリント・イーストウッド、アル・パチーノらベテラン俳優に出演交渉していたが、いずれも断られ、当時、新進俳優だったブルース・ウィリスを起用することになり、年齢を30代に変更した。それに伴い、主人公が会いに行く相手が、娘から別居中の妻に変更されている。
- 舞台となるビルは、原作ではアメリカの会社(アメリカン・クラクソン・オイル・コーポレーション)だったが、映画では、当時の日本企業のアメリカ進出ブームを踏まえてナカトミ・コーポレーションになっている。
- 映画と比べると小説のほうが暗く深刻なトーンで描かれ、悪役の目的も小説では政治的なものだったが、映画では金目当てになっている。監督のジョン・マクティアナンはDVDの解説でより明るい内容にしたかったため変更したと語っている。
音楽
- この映画にはベートーヴェンの交響曲第9番が使用されている(グルーバーとその一味がライトモティーフ)。またテオのテーマとして "雨に唄えば" が使われている。『ダイ・ハード』のDVDでのジョン・マクティアナンの解説によれば、この映画の音楽はスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』(両方の音楽がこの映画でも使用される)へのオマージュであるという。
- 本作および『ダイ・ハード2』のエンディングでは、ヴォーン・モンロー(英語版)の歌で1946年にヒットしたクリスマス・スタンダード・ナンバー“Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!”(英語版)が効果的に使用されている。なお、本作および第2作で使用されているのは、1962年、ヴォーン・モンロー自身によって再レコーディングされたバージョンである(後述の2枚組サントラCD、およびオムニバス・アルバム“Christmas at the Movies”などに収録)。
- 終盤のハンス墜落後の場面に付けられた2つの楽曲は
- スコット・グレン主演"Man on Fire(日本未公開)"のためにジョン・スコットが書いた曲。この曲をバックに、マクレーンとパウエルが対面する。後述の2枚組サントラCDにも収録。
- ジェームズ・ホーナーによる『エイリアン2』のための未使用曲(同作のサントラ盤に収録されている"Resolution and Hyperspace"の冒頭部分)。パウエルが“機転を利かせる”場面に使用。
であり、後者は特に音源入手が容易であったが、いずれもマイケル・ケイメンの作曲ではない。なお『ダイ・ハード』は当初、使用楽曲を収録したオリジナル・サウンドトラック盤が公式には発売されなかった(後年、関係するほぼ全曲を収めた2枚組のサントラCDが複数回発売されたが、その都度生産数が極めて少ないため、入手は困難となっている)。
その他
ナカトミ・ビル(ナカトミプラザ)の外観には、ロサンゼルスにある20世紀フォックスのフォックス・プラザが使用されている。2015年発売の「ダイ・ハード MEGA-BOX」には400分の1スケールのナカトミプラザのフィギュアが同梱されていた。
主人公のキャスティングは順番にアーノルド・シュワルツェネッガー、シルヴェスター・スタローン、バート・レイノルズ、リチャード・ギアが候補として挙げられ、中でもリチャード・ギアが最有力とされていた[5]。
それまでのアクション映画では、肉体派の俳優が正面から巨悪と戦う大味なイメージが強かったのに対し、この作品では「劣勢の(普通の)主人公が頭脳で挑んでいく」という要素を取り入れ成功した。このような路線は後の『スピード』『ザ・ロック』『ミッションインポッシブル』などにも受け継がれ、新しいタイプのアクション映画を生み出したとされる。その結果、従来型のアクション映画やアクション俳優は人気が下火になりつつあった。
DVD等に収録されている音声解説によれば、落下シーンでのアラン・リックマンの驚きの表情は本物である。監督が事前に打ち合わせていたタイミングよりも早く、リックマンを落下させたからである[6]。
また、マクレーンと人質のフリをしたハンスの会話シーンは予定されておらず、アラン・リックマンがアメリカ英語を話せることが判明したため付け加えられた(ハンスは普段イギリス英語、人質のフリをするシーンのみアメリカ英語)。ちなみにハンス・グルーバーという名前は、1966年の映画『電撃フリントGO!GO作戦』で使われている。
公開
批評家の評価
Rotten Tomatoesが集めた50のレヴューでは94%がこの映画に肯定的だった。隔絶された空間で、1人で大勢と戦う主人公の物語はその後のアクション映画の定番になった。隔絶された空間というプロットは"Die Hard on a_____(○○での『ダイ・ハード』)"と呼ばれるようになる。例えば1994年の『スピード』は "Die Hard on a bus"(バスでの『ダイ・ハード』)と呼ばれ[7]、また1996年の『ザ・ロック』は "Die Hard on an island" (島での『ダイ・ハード』)と呼ばれている[8]。しかしロジャー・イーバートは副本部長のキャラクターの愚かさを批判し "彼のせいで映画の後半が台無しになっている" と述べた[9]。
『ダイ・ハード』の予算は2800万ドルであり、1988年7月15日に21の映画館で上映された。そして次の週末には710万ドルの興行収入を得て1,276館で公開される。そしてアメリカ国内で8300万ドル、世界で1億4千70万ドルの収入になった[1]。この映画はアカデミー賞の4つにノミネートされた:音響編集賞、編集賞、録音賞(ドン・ベースマン、ケヴィン・F・クリアリー、リチャード・オヴァートン、アル・オヴァートン・ジュニア)、視覚効果賞である[10]。
2001年、『ダイ・ハード』はアメリカン・フィルム・インスティチュートの「スリルを感じる映画ベスト100」の39位に選ばれている[11]。2007年6月22日に「エンターテインメント・ウィークリー」で最高のアクション映画に選ばれた[12]。2003年、悪役ハンス・グルーバーが「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」の46位になった。ハンスは他にも「エンパイア・マガジン」で17番目に偉大な映画のキャラクターに選ばれている[13]。ここではマクレーンは12位だった[14]。2010年には「エンパイア・マガジン」によって「最高のクリスマス映画」に選ばれた[15]。
表彰
- アメリカ映画ベスト100 - ノミネート[16]
- スリルを感じる映画ベスト100 - 39位[17]
- アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100
- アメリカ映画の名セリフベスト100
- "Yippee-ki-yay, motherfucker!" - ノミネート[20]
- アメリカ映画ベスト100(10周年エディション) - ノミネート[21]
ドイツ版
ドイツ語吹き替え版では、ドイツ生まれグループの名前がイギリス風に変えられている(それぞれイタリアとフランス生まれのマルコとフランコを除く)。ハンスはジャック、カールはチャーリー、ハインリッヒはヘンリーになっている。
メモリアル
- 2007年7月、ブルース・ウィリスはスミソニアン博物館の国立アメリカ歴史博物館に映画で着用していたシャツを寄贈した[22]。
- 2013年1月31日、20世紀フォックス撮影所スタジオに、本作のワンシーンの巨大壁画が描かれ、除幕式がおこなわれた[23]。
日本語吹替
| 役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| ソフト版 | テレビ朝日版 | フジテレビ版 | 機内上映版 | |||
| ジョン・マクレーン | ブルース・ウィリス | 樋浦勉 | 野沢那智 | 村野武範 | 樋浦勉 | |
| ハンス | アラン・リックマン | 小林勝彦 | 有川博 | 内海賢二 | ||
| カール | アレクサンダー・ゴドノフ | 大塚明夫 | 玄田哲章 | 秋元羊介 | ||
| ホリー | ボニー・ベデリア | 駒塚由衣 | 弥永和子 | 吉田理保子 | ||
| パウエル | レジナルド・ヴェルジョンソン | 内海賢二 | 坂口芳貞 | 富田耕生 | ||
| ロビンソン | ポール・グリーソン | 嶋俊介 | 小林修 | 屋良有作 | ||
| アーガイル | デヴロー・ホワイト | 島田敏 | 江原正士 | 竹村拓 | ||
| ソーンバーグ | ウィリアム・アザートン | 江原正士 | 安原義人 | 村山明 | ||
| エリス | ハート・ボックナー | 納谷六朗 | 石丸博也 | 朝戸鉄也 | ||
| タカギ | ジェームズ・シゲタ | 宮田光 | 阪脩 | 藤本譲 | ||
| フランコ | ブルーノ・ドヨン | 田原アルノ | 荒川太朗 | 中博史 | ||
| トニー | アンドリアス・ウイスニウスキー | 牛山茂 | 真地勇志 | |||
| テオ | クラレンス・ギルヤード | 小室正幸 | 田中亮一 | 小野健一 | ||
| アレクサンダー | ジョーイ・プルーワ | 稲葉実 | 田原アルノ | 桜井敏治 | ||
| マルコ | ロレンゾ・カッチャランツァ | 広瀬正志 | 喜多川拓郎 | 大滝進矢 | ||
| クリストフ | ジェラール・ボン | 沢木郁也 | 飛田展男 | |||
| エディ | デニス・ヘイデン | 有本欽隆 | 池田勝 | 若本規夫 | ||
| ユーリ | アル・レオン | 田原アルノ | 広瀬正志 | 鈴木勝美 | ||
| ハインリッヒ | ゲイリー・ロバーツ | 津田英三 | 沢木郁也 | 相沢正輝 | ||
| フリッツ | ハンス・バーリンガー | 沢木郁也 | 曽我部和恭 | 飛田展男 | ||
| ジェームズ | ウィルヘルム・フォン・ホンブルグ | 笹岡繁蔵 | 郷里大輔 | 笹岡繁蔵 | ||
| ビッグ・ジョンソン | ロバート・デヴィ | 広瀬正志 | 麦人 | 有本欽隆 | ||
| リトル・ジョンソン | グランド・L・ブッシュ | 星野充昭 | 谷口節 | 伊藤栄次 | ||
| ミッチェル | マット・ランダース | 有本欽隆 | 千田光男 | 大滝進矢 | ||
| ハーヴェイ・ジョンソン | デヴィッド・アーシン | 宮田光 | 徳丸完 | 広瀬正志 | ||
| ルーシー・マクレーン | テイラー・フライ | 小林優子 | 坂本真綾 | 中沢みどり | ||
| ポーリーナ | ベティ・カルヴァロー | 片岡富枝 | 竹口安芸子 | 荘司美代子 | ||
| ジニー | ダスティン・テイラー | 羽村京子 | 伊倉一恵 | 叶木翔子 | ||
| 博士 | ジョージ・クリスティ | 稲葉実 | なし[24] | 原田一夫 | ||
| ゲイル・ウォーレンズ | メアリー・エレン・トレイナー | さとうあい | 横尾まり | 鈴鹿千春 | ||
| コンビニ店員 | キップ・ウォルドー | 稲葉実 | 広瀬正志 | 亀井三郎 | ||
| サム | マーク・ゴールドスタイン | 嶋俊介 | 小島敏彦 | 上田敏也 | ||
| オペレーター主任 | ダイアナ・ジェームズ | 羽村京子 | 佐々木優子 | 種田文子 | ||
| オペレーター | シェリー・ポゴダ | さとうあい | 小林優子 | 塚田恵美子 | ||
| メアリー | トレイシー・ライナー | 小林優子 | 速見圭 | 中沢みどり | ||
| スチュワーデス | ステラ・ホール | さとうあい | 叶木翔子 | 鈴鹿千春 | ||
| セールスマン | ロバート・レッサー | 江原正士 | 小島敏彦 | 伊藤栄次 | ||
| ガードマン | リック・チケッティ | 沢木郁也 | 幹本雄之 | 中博史 | ||
| 翻訳 | 岡枝慎二(字幕) | 島伸三 | 平田勝茂 | 宇津木道子 | ||
| 演出 | 伊達康将 | 小山悟 | 春日正伸 | 福永莞爾 | ||
| 効果 | リレーション | 猪飼和彦 | ||||
| 調整 | 小野敦志 | 山田太平 | ||||
| 録音 | 東北新社スタジオ | ニュージャパン スタジオ |
||||
| プロデューサー | 圓井一夫 | 山形淳二 | ||||
| 担当 | 向井士郎 岩渕昇 |
熊沢博之 関口未來子 |
小川眞紀子 | |||
| 解説 | 淀川長治 | 高島忠夫 | ||||
| 制作 | 東北新社 | ムービーテレビジョン | ||||
| 初回放送 | 1990年10月7日 『日曜洋画劇場』 |
1992年4月4日 『G洋画劇場』 |
||||
| 正味 | 約123分 | ノーカット | ||||
地上波放送履歴(ゴールデンのみ)
| 回数 | テレビ局 | 番組名 | 放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 吹替版 | 視聴率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 1990年10月7日 | 21:02~23:24 | 142分 | テレビ朝日版 | 29.0% |
| 2回 | フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | 1992年4月4日 | 21:03~23:39 | 156分 | フジテレビ版 | 22.6% |
| 3回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 1995年6月25日 | 21:02~23:28 | 146分 | テレビ朝日版 | |
| 4回 | フジテレビ | ゴールデン洋画劇場 | 1996年12月28日 | 21:00~23:39 | 159分 | フジテレビ版 | 19.0% |
| 5回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 1998年8月30日 | 21:02~23:23 | 141分 | テレビ朝日版 | 20.5% |
| 6回 | 1999年10月3日 | 21:00~23:22 | 142分 | 16.7% | |||
| 7回 | 2002年3月24日 | 21:00~23:21 | 141分 | 15.9% | |||
| 8回 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 2004年10月1日 | 21:03~23:24 | 11.7% | ||
| 9回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 2007年6月24日 | 21:00~23:19 | 139分 | 19.4% | |
| 10回 | 日本テレビ | 金曜ロードショー | 2009年11月6日 | 21:00~23:09 | 129分 | 9.8% | |
| 11回 | テレビ東京 | 最強シネマ特別企画 | 2011年3月30日 | 21:00~23:18 | 138分 | 8.2% | |
| 12回 | テレビ朝日 | 日曜洋画劇場 | 2011年10月9日 | 21:00~23:10 | 130分 | 9.8% | |
| 13回 | TBS | 水曜プレミアシネマ | 2013年2月6日 | 21:00~22:54 | 114分 | 9.1% |
パチンコ
脚注
- ^ a b c d Die Hard (1988). Box Office Mojo. Retrieved on 2011-01-14.
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)480頁
- ^ その内容通りに電源を切らせた事が裏目に出て、金庫室の電磁ロックを突破されてしまう。
- ^ そのテロリストらの名前は「タイム誌で見た」だけである
- ^ ダイ・ハード - 金曜ロードショー
- ^ “俳優アラン・リックマンが映画「ダイ・ハード」で「あ"ぁぁー?」な表情を見せた理由”. ギズモード・ジャパン (2014年12月21日). 2015年6月1日閲覧。
- ^ Weinberger, Everett (1997). Wannabe: A Would-Be Player's Misadventures in Hollywood. Macmillan. p. 52. ISBN 0-312-15708-8
- ^ The Movies of the Eighties (1990) by Ron Base and David Haslam.
- ^ “Die Hard”. Roger Ebert, Chicago Sun-Times 2009年12月17日閲覧。
- ^ “The 61st Academy Awards (1989) Nominees and Winners”. oscars.org. 2011年10月16日閲覧。
- ^ This is the American Film Institute's list of the top 100 Most Heart-Pounding American Movies
- ^ “"Die Hard" tops magazine list of best action films”. Reuters. (2007年6月15日)
- ^ The 100 Greatest Movie Characters| 17. Hans Gruber | Empire. www.empireonline.com (2006-12-05). Retrieved on 2011-01-14.
- ^ The 100 Greatest Movie Characters| 12. John McClane | Empire. www.empireonline.com (2006-12-05). Retrieved on 2011-01-14.
- ^ “The 30 Best Christmas Movies Ever”. Empireonline.com. 2011年1月14日閲覧。
- ^ AFI's 100 Years...100 Movies Nominees
- ^ AFI's 100 Years...100 Thrills
- ^ AFI's 100 Years...100 Heroes and Villains
- ^ AFI's 100 Years...100 Heroes and Villains Nominees
- ^ AFI's 100 Years...100 Movie Quotes Nominees
- ^ AFI's 100 Years...100 Movies (10th Anniversary Edition) Ballot
- ^ “Die Hard Donation”. Smithsonian.com (2007年7月1日). 2010年9月10日閲覧。
- ^ “ブルース・ウィリス、感激の涙!『ダイ・ハード』巨大壁画、ロスの20世紀フォックススタジオにお目見え”. シネマトゥデイ (2013年2月5日). 2013年2月5日閲覧。
- ^ 出演シーンカット