銃夢火星戦記
日本の漫画
『銃夢火星戦記』(ガンムマーズクロニクル、GUNNM MARS CHRONICLE)は、木城ゆきとのSF漫画作品。 イブニング2014年22号より連載中。
銃夢火星戦記 | |
---|---|
ジャンル | SF漫画 格闘漫画 サイバーパンク |
漫画 | |
作者 | 木城ゆきと |
出版社 | 講談社 |
掲載誌 | イブニング |
発表期間 | 2014年 - |
巻数 | 4巻 |
テンプレート - ノート |
銃夢シリーズの最終章であり、前作 『銃夢 LastOrder』の続編として始まりつつ、前前作の『銃夢』の前日談も描く。
概要
サイボーグの少女ガリィを主人公とした、銃夢シリーズの最終章。
これまで明確には描かれなかった第一作『銃夢』より前の時代と、前作『銃夢 LastOrder』の直接の続編を描く。
ストーリー
- 過去編
- e.s.370年(西暦2326年)、紛争が絶えない火星。孤児として医者のフィンチに拾われた陽子とエーリカは、マミアナという小さな町の孤児院に引き取られる。しかし、町は突如攻め込んできた軍隊によって壊滅し、生き残った二人は再びフィンチに連れられ、シドニア領へと目指す。移動の途中、生活空間を支える火星天蓋(バルダヒーン)が軍隊によって破壊され、大勢が死亡する。3人は天蓋協会(MBV)のムイに助けられるも、戦争をやめない地上の人々に嫌気がさし、エーリカと陽子を天蓋を支える柱(ゾイレ)の人柱にしようとする。しかしその直後、大巫女から二人のどちらかが「転移の相」を持つという神託を告げられ、二人を解放する。
- その後、3人はエーリカの故郷にたどり着くが、エーリカは両親を殺害していたことを思い出し愕然とする。その頃、18人の領主があつまり太陽鏡反射権を決めるエドム会議の場に、怪人バロン・ムスターが現れ、シドニア領から反射権を奪うよう脅迫していた。陽子は母を名乗る人物に引き取られ、エーリカは落ち込むが、そこに陽子にかけられた賞金を狙う賞金稼ぎが現れる。エーリカはムスターに救われるも、それはエーリカが父から盗んだ本が目的であった。ところが、エーリカの生い立ちを聞いたムスターは、悪の後継者として彼女を育てることを決める。
- 現代編
- 前作「LastOrder」の3年後のe.s.594(西暦2550年)から物語が始まる。
- 「独立自治権」を与えるという名目の、LADDER(太陽系条約調停議会)による擬似戦争に過ぎなかった「ZOTT(森羅天頂武闘会)」を制し、また、ムバディによる洗脳からLADDERを解放したことで、地球と火星の運命、ひいては全宇宙の今後のあり方を変えたガリィ(陽子)は、かつてマミアナがあった土地に立っていた。そこにエーリカが現れ、戦いを挑んでくるが、彼女は「屍人兵士(ネクロ・ソルジャー)」であり、本人は200年前にガリィが殺害していた。ガリィは彼女を蘇らせた者が黒幕「ダーザイン」であると告げるが、そこに二人の師匠であり、同じくネクロ・ソルジャーとして蘇ったゲルクトが現れ、エーリカを連れて去っていく。
- 直後ガリィは、リメイラ女王の暗殺未遂容疑でザジに拘束される。リメイラ女王はすでに回復してるものの、ガリィは彼女もネクロ・ソルジャーではないかと不安を募らす。そこに現れた大巫女ムイによって解放されたガリィは、エーリカを人間に戻す方法を求めて、S・ノヴァのに会いに行く。
登場人物
主要人物
- ガリイ
- 主人公。元の名前は「陽子(ヨーコ)」で、脳以外が機械のサイボーグ。前作でZOTTで優勝を果たした。機甲術の使い手。
- 火星の戦災孤児で、生まれた時からサイボーグとなっている。エーリカと共に孤児院で過ごすが、後に母を名乗る人物に引き取られる。
- エーリカ / フラウ・X
- 陽子(ガリィ)の幼馴染で、同じく機甲術の使い手。過去にガリィが殺害したが、ネクロ・ソルジャーとして蘇った。
- 犯罪者の父と売春婦の母を持ち、激しい虐待によって左目と左手を失う。その後、父の盗品を狙った強盗犯に手を貸し、父と母を殺害。その後は陽子と同じ孤児院で過ごし、陽子と離れ離れになった後はバロン・ムスターに拾われて後継者として育つことになる。
- ダンコ
- 銃器型のナノマシン兵器。バーサーカー細胞変異体で、前作からの空白の時間にガリィが金星にいたとき着いてきた。
- ザジ
- リメイラ女王の護衛。銃器のエキスパート。前作でガリィと共にZOTTに出場し戦い抜いた戦友だが、リメイラ暗殺容疑としてガリィを逮捕する。
- リメイラ
- 火星の女王。火星統一に向けて奔走していたが、ガリィを騙る何者かによって殺害される。再生医療によって復活するが、ガリィやカエルラからはネクロ・ソルジャーではないかと疑われている。
- カエルラ・サングウィス
- いわゆる吸血鬼。不老不死であり、文明崩壊前の時代から生きている。生身でありながらガリィを凌ぐ戦闘能力を持つ。ガリィとは別行動でダーザインを追っている。
- ムイ
- 火星の生活空間を支える火星天蓋の維持管理を任された、天蓋協会の人間。ガリィの幼少期からの知り合いで、当時は庭師(ゲルトナー)だったが、現代での再会時には大巫女(プリステリン)となっている。
- S・ノヴァ
- 前作でムバディに協力し、ガリィと敵対していたマッドサイエンティスト。ネクロ・ソルジャーの治療法を求めて訪れたガリィと再開する。
過去編
- バロン・ムスター
- 各地であらゆる犯罪を犯している凶悪犯。黄金の杖と無数の仮面が着いた衣装を着た怪人。シドニア領に対して恨みを抱いており、エドム会議にてシドニア領から反射権を奪うよう大公たちを脅迫し、シドニアの滅亡を図る。その体は人面腫(マスケトーマ)という奇病に犯されており、治療法を求めて「不滅の秘宝」を探している。その手掛かりである、エーリカの父が盗んだ「クラウヴィッツ戦争論下巻」を手に入れるためエーリカを誘拐するが、彼女の過去を聞いて弟子にすることを決める。
- 本名はイタル・ソルナン。エーリカの父ヨハンと友人だった。
用語
- ダーザイン
- ガリィやカエルラが追う謎の勢力。リメイラ女王の暗殺や、ネクロソルジャーの生産など、世界の裏で暗躍しているとされる。
- 屍人兵士(ネクロ・ソルジャー)
- 死んだ人間の過去の記憶・能力をそのまま受け継いで復活した戦士。ダーザインによるものだとされる。
- 機甲術(パンツァー・クンスト)
- ガリィやエーリカが使う、対サイボーグ戦闘、無重力下戦闘を想定した火星古武術(マルス・クリーグ、マーシャル・アーツ)。過去の事件で流派は消滅している。
- 天蓋協会(MBV、Mars Baldachin Verein、エムベーファオ)
- 本来大気の薄い火星でも生活できるよう作られた、火星天蓋(バルダヒーン)を維持管理する組織。天蓋を支える巨大な柱(ゾイレ)は彼らが文字通り人柱となって作られている。不干渉原則により地上の争いごとには基本的に関知しない。