村
村(むら、そん)とは、集落や基礎自治体の一種で、第一次産業(農林漁業)に従事する者が多く、家の数と密集度が少ない地域を指す名称である。邑や邨とも書く。学術的には村落、俗語では田舎(いなか)や鄙(ひな)とも呼ばれる。対義語は市(都市)。
後述の自然村は、複数の集落の統合体であることが多かった。行政区画(基礎自治体)の単位として村という語を用いる事もあり、この場合の村は、集落よりずっと広い範囲である。
歴史
近代化以前の「村」は自然村(しぜんそん)ともいわれ、生活の場となる共同体の単位であった。江戸時代には百姓身分の自治結集の単位であり、中世の惣村を継承していた。又、中世初期の領主が荘園公領とその下部単位である名田を領地の単位としていたのに対し、戦国時代や江戸時代の領主の領地は村や町を単位としていた。
江戸時代の百姓身分とは、主たる生業が農業・手工業・商業のいずれかであるかを問わず、村に石高を持ち、領主に年貢を納める形で権利義務を承認された身分階層を指した。都市部の自治的共同体の単位である町(ちょう)に相当するが、村か町かの認定はしばしば領主層の恣意により、実質的に都市的な共同体でも、「村」とされている箇所も多かった。
近現代の大字(おおあざ)といわれる行政区域は、ほぼかつての自然村を継承しており、現在でも自治会(地区会・町内会)や消防団の地域分団の編成単位として、地域自治の最小単位としての命脈を保っている面がある。
明治に入ると、中央集権化のため、自然村の合併が推進された。こうして、かつての村がいくつか集まって新たな「村」ができたが、これは行政村(ぎょうせいそん)ともいわれる。又、近年では、市町村合併ブームで、村の数が減っている。
日本の行政村
日本国憲法では、村(そん、むら)は地方公共団体の一つで、都道府県と対等の関係にあり、市・町と並立する。
行政単位の「村」が無い都道府県
村が一つだけの都道府県
村が二つの都道府県
村が三つの都道府県
村が四つの都道府県
村が5~10の都道府県
- 岩手県(6村) - 滝沢村、九戸村、野田村、川井村、田野畑村、普代村
- 新潟県(6村) - 朝日村、粟島浦村、神林村、関川村、刈羽村、弥彦村
- 高知県(6村) - 馬路村、北川村、芸西村、日高村、大川村、三原村
- 山梨県(7村) - 小菅村、丹波山村、芦川村、忍野村、道志村、鳴沢村、山中湖村
- 青森県(8村) - 六ヶ所村、新郷村、風間浦村、佐井村、東通村、西目屋村、蓬田村、田舎館村
- 東京都(8村) - 檜原村、(以降は島嶼)青ヶ島村、小笠原村、神津島村、利島村、新島村、御蔵島村、三宅村
- 熊本県(8村) - 産山村、西原村、南阿蘇村、五木村、球磨村、相良村、水上村、山江村
- 群馬県(10村) - 富士見村、榛東村、上野村、南牧村、嬬恋村、六合村、高山村、片品村、川場村、昭和村