塩野宏
日本の法学者
塩野 宏(しおの ひろし、1931年6月13日 - )は、日本の法学者。専門は行政法。東京大学名誉教授。日本学士院長(第26代)[1]。
塩野 宏 | |
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生誕 | 1931年6月13日(94歳) |
教育 | 東京大学法学部卒業(法学士) |
業績 | |
専門分野 | 行政法 |
所属機関 | 東亜大学 |
人物
父は算術・珠算教育で著名な塩野直道。東京府生まれ。一時金沢市に在住。東京大学法学部卒業後、東京大学法学部助手、助教授を経て教授。定年退官後、成蹊大学法学部教授を経て、東亜大学通信制大学院教授。1998年紫綬褒章受章。1999年日本学士院会員。2009年文化功労者。2011年より放送文化基金理事長。2015年文化勲章受章。2016年より第26代日本学士院長[2]。
東京大学名誉教授で最高裁判所判事を務めた田中二郎に師事。『オットー・マイヤー行政法学の構造』(有斐閣、1962年)をはじめとして多数の論文、判例評釈を執筆しており、着実かつ鋭い資料整理・分析を踏まえた堅実な理論的考察を学風とする。その行政法理論体系の梗概は、『行政法I・II・III』(有斐閣)に示されている。多くの立法過程に携わり、とりわけ近年、行政訴訟検討会の座長を務め、2004年の行政事件訴訟法の改正に深く関与した。また、2001年に人権擁護法案の必要性を答申した「人権擁護推進審議会」(法務、文科など3相の諮問機関)元会長でもある。
人権擁護法案については2008年3月11日の自民党人権問題調査会で「法案はポストモダン的なもの」であるとし、人権委員会を「救済制度の至らないところにどこへでも足を伸ばすアメーバ的存在」と説明している。また「加害者として訴えられた人の救済措置が不十分」という指摘に対しては「救済制度をつくることはあまり念頭になかった」と述べている[3]。
主な著書
- 単著
- 『行政法I 行政法総論』(有斐閣、初版1991年・第6版2015年)
- 『行政法II 行政救済法』(有斐閣、初版1991年・第5版補訂版2013年)
- 『行政法III 行政組織法』(有斐閣、初版1995年・第4版2012年)
- 『オットー・マイヤー行政法学の構造』(有斐閣、1962年)
- 『公法と私法』(有斐閣、1989年)
- 『放送法制の課題』(有斐閣、1989年)
- 『行政過程とその統制』(有斐閣、1989年)
- 『国と地方公共団体』(有斐閣、1990年)
- 『行政組織法の諸相』(有斐閣、1991年)
- 『法治主義の諸相』(有斐閣、2001年)
- 『行政法概念の諸相』(有斐閣、2011年)
- 共著
記念論文集
論文
- 「制度論――電気通信法制の展開過程」『新聞学評論』第33号(1984年)
- 「行政法学における法人論の変遷」『日本學士院紀要』第56号第2号(2002年)
- 「行政委員会制度について――日本における定着度」『日本學士院紀要』第59号第1号(2004年)
- 「国立大学法人について」『日本學士院紀要』第60号第2号(2006年)
- 「基本法について」『日本學士院紀要』第63号第1号(2008年)
勲章
社会的活動
- 多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会座長代理
- 行政訴訟検討会座長
- 法学検定試験委員会委員
- 放送政策研究会座長
- 財団法人行政管理研究センター評議員
- 財団法人放送文化基金理事長
脚注
- ^ “日本学士院長に塩野氏 :日本経済新聞”. www.nikkei.com. 2019年2月3日閲覧。
- ^ “日本学士院長の選定について”. 日本学士院 (2016年10月12日). 2016年10月14日閲覧。
- ^ “【政治】人権擁護法案はポストモダン?推進役の東大教授に異論噴出”. 産経新聞. 産業経済新聞社. 12 March 2008.