石摺絵

浮世絵の様式のひとつ

これはこのページの過去の版です。Falcated (会話 | 投稿記録) による 2020年5月5日 (火) 14:11個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (図版、 <gallery> </gallery>設定にする。)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

石摺絵(いしずりえ)は、浮世絵 版画の一形態である。

概要

拓本のように、背景を墨地に、線を白抜きにして表現した版画。拓本を「石摺」とも呼ぶことから、この呼び名になった。墨摺絵の白黒を反転した図になる。

17世紀後半、浮世絵版画最初期の墨摺絵から1765年(明和2年)の錦絵に至る時期に生まれたもので、奥村政信[1]もしくは西村重長が創始したといわれる[2]

彼らのほかに、錦絵時代以降の歌川広重[3][4]や、浮世絵師ではないが、伊藤若冲が、淀川下り情景を表した「乗興舟(じょうきょうしゅう)」(1767年(寛文7年)、一巻)があげられる[5][6]

出典

  1. ^ 藤澤 1996, p. 129.
  2. ^ 千葉市美術館 2016, pp. 274、276.
  3. ^ 藤澤 1994, pp. 141、144.
  4. ^ 武藤 2008, p. 21.
  5. ^ 菊池ほか 1982, p. 16.
  6. ^ 浅野研究所 2019.

参考文献

  • 菊池貞夫、ほか「石摺絵」『原色浮世絵大百科事典3 様式・彫摺・版元』大修館書店、1982年4月15日、16頁。 
  • 藤澤紫 著「浮世絵版画における摺りの変遷とその顔料-石摺絵」、小林忠大久保純一、ほか 編『浮世絵の鑑賞基礎知識』至文堂、1994年5月20日。ISBN 978-4-7843-0150-8 
  • 藤澤紫 著「面を持つ遊女と禿・簾の下で酒を飲む二人の遊女」、東京都江戸東京博物館・日本経済新聞社 編『錦絵の誕生-江戸庶民文化の開花』1996年2月20日、129頁。 
  • 武藤純子 著「石摺絵」、国際浮世絵学会編 編『浮世絵大事典』東京堂出版、2008年6月30日、21頁。ISBN 978-4-4901-0720-3 
  • 千葉市美術館編『初期浮世絵展-版の力・筆の力』2016年1月9日。 
  • 浅野研究所、ほか編『奇想の系譜展-江戸絵画ミラクルワールド』日本経済新聞社ほか、2019年2月9日。ISBN 978-4-907243-08-1