ジモルホラミン
ジモルホラミン(Dimorpholamine)とは呼吸興奮薬の1つ。直接ないし末梢化学受容器を介して延髄および橋の外側網様体に存在する呼吸中枢を興奮させる。中枢抑制薬による呼吸抑制の治療などで使用される。商品名テラプチク。
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| 臨床データ | |
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| 投与経路 | IV、IM、SC、臍帯静脈内注射 |
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| PubChem CID | |
| KEGG | |
| CompTox Dashboard (EPA) | |
| ECHA InfoCard | 100.003.935 |
| 化学的および物理的データ | |
| 化学式 | C20H38N4O4 |
| 分子量 | 398.540 g/mol g·mol−1 |
ジモルホラミンは仮死状態の患者の自発呼吸を開始させる。呼吸の減弱に対しては呼吸回数をあまり増加させないが、1回当りの呼吸深度を増加させ、換気量を増加させる。また交感神経を興奮させて血圧を上昇させ、心収縮力を増加させる[1]:9。
効能・効果
下記の場合の呼吸障害および循環機能低下
- 新生児仮死、ショック、催眠剤中毒、溺水、肺炎、熱性疾患、麻酔剤使用時
新生児仮死の場合、臍帯静脈内注射後1〜2分で自発呼吸が始まる。筋肉内注射では4〜10分である[1]:7。
副作用
臨床使用では10.94%の副作用が発生し(再評価時)、その内訳は咳嗽、眩暈、耳鳴、口内熱感・しびれ感、全身しびれ感(いずれも5%未満)であった[2][3]。
ジモルホラミンは常用量の10倍量で痙攣誘発作用を示す[4]:12。
歴史
1946〜1947年に初めて合成され[1]:1、1952年に呼吸促進・賦活作用があることが発見されてフランスで発売された。日本では1954年11月に静注薬が、1955年11月に筋注・皮下注薬が発売された。1975年6月に再評価を受け、新生児仮死、ショック、催眠剤中毒、溺水については効果が実証されており、肺炎、熱性疾患、麻酔剤使用時についても有効であることが推定されると評価され[5]:12、いずれも効能・効果として確定された。
出典
- ^ a b c “テラプチク静注45mg/テラプチク皮下・筋注30mg インタビューフォーム”. エーザイ (2015年8月). 2016年4月12日閲覧。
- ^ “テラプチク静注45mg 添付文書” (2007年2月). 2016年4月12日閲覧。
- ^ “テラプチク皮下・筋注30mg 添付文書” (2009年10月). 2016年4月12日閲覧。
- ^ “注射用麻酔薬↔蘇生薬”. 2016年4月12日閲覧。
- ^ “医薬品再評価結果およびそれに基づく措置について(その5) 薬発第 547号”. 厚生省 (1975年6月26日). 2016年4月12日閲覧。
参考文献
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018