裁縫
裁縫(さいほう)は、布などを裁ち(裁断)、縫う(縫合)こと。手芸のうち針と糸などを使って布を縫い衣服などを制作する行為(広義の家事)。縫いもの。「針仕事」ともいう。
概要
裁縫は、簡単なものでは取れてしまったボタンを取り付け直したり、またはほつれてしまった部分を直すことであるが、手芸として高度化すると布から衣服を作り上げたり、ぬいぐるみなどの玩具から雑巾などの日用品に至るまで布製の物品を作ることである。やや範囲を広げると工芸品のうち皮を使った皮細工なども裁縫の範疇に掛かってくる。
針と糸は織機などで織物を作るようになって同時発生的にあるいはそれ以前から利用されるようになったと考えられるが、それだけに世界各地に様々な裁縫道具が見られる。それらは機能面で地域の別なく似通った機能・形状をしている場合が多い。
衣服を制作する行為を仕立てともいい、日本においては、和裁(和服を作ること)と洋裁(洋服を作ること)とがある。
その他
ミシンなど裁縫を支援する機械も発達しており、こと先進国で利用されているミシンの中には20世紀末頃よりコンピュータを内蔵した多機能化・高性能化した機器も登場している。これらミシンは家庭から縫製工場まで、様々な製品が様々な用途に用いられ、様々な縫製品を作り出している。
裁縫の技術は一朝一夕に身に付くものではなく、技能の学習と訓練が必要である。このため義務教育などでは家庭科の範疇でこういった作業に関する教育が行われるほか、専門学校などではこれを専門に教えるところや、被服科などの特別なカリキュラムも存在する。大学などでは、被服学あるいは被服構成学の一部として教授される場合がある。また布はく縫製技能士のような技能試験による資格も存在する。
ただ、先進国の多くでは、少なくとも必要最低限の実用に足る衣服や布製品は安価で大量に販売されていることもあり、裁縫という行為そのものが日常から遠ざかっている状況も珍しいことではない。しかし趣味として積極的に裁縫を好む者もおり、いわゆる「手芸用品店」、また近年では100円ショップなどでも、豊富に裁縫用品が販売されている。また、ボタンの脱落など単純な「衣服の損傷」で衣服自体を買い換えることを好まない者など向けに、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも、裁縫道具や簡単な「ソーイングキット」(最低限の道具をセットにした裁縫セット)が販売されている。
なお、こういった裁縫道具などを収める箱のことを、裁縫箱という。
現在は自動化が進行しており、自動検反システム、自動裁断システム、自動袖付けミシン、自動ボタン付けミシン、自動縫製システムなどが使われるようになって、裁縫は労働集約的では無くなってきている[1]。
大規模な縫製工場ではロボット化により裁縫に人間が関わらないこともある[2]。
裁縫と技能資格
出典
- ^ ミシン縫製工 H558 06~09 ハローワークインターネットサービス
- ^ ロボット化進む縫製工場 勝者は米国、敗者は? - WSJ