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群衆の悪魔 デュパン第四の事件

群衆の悪魔 デュパン第四の事件(ぐんしゅうのあくま デュパンだいよんのじけん)は笠井潔の歴史ミステリー小説。『臨時増刊小説現代』1992年11月~1994年8月まで連載されたのち大幅に加筆訂正され、1996年10月に講談社から書籍化された。

概要

エドガー・アラン・ポーの小説に登場する、C・オーギュスト・デュパンが探偵として活躍するオマージュ作品で、歴史上の人物も多数登場する。1848年2月22日にパリで起った2月革命当日から始まり、23日に起きた"キャピュシーヌ通りの虐殺事件"が軍隊側からの発砲だったのかデモ隊側からの挑発だったのかという歴史の謎を発端として、フィクションの連続殺人事件が展開される。いずれの事件もポーの作品をモチーフにしている。

あらすじ

2月革命の高揚感は政治に関心の薄い無名の詩人シャルルの若い魂を震わせた。外務省があるキャピュシーヌ通りのデモ隊のなかにいたシャルルは、デモ隊の前列にいた面識のある新聞記者ヴァランスがブロンドの労働者風の男に背後から狙撃されるのを目撃した。この発砲をきっかけに軍隊が銃をデモ隊に向って一斉射撃したため、多数の死傷者がでる惨事となった。シャルルは自身の目撃した事実を公表しようとするが、警察に告発してもヴァランスの新聞社に訴えても政治的に利用される恐れがありためらわれた。シャルルは二年ほどまえに知り合った、極めて怜悧で博識な勲爵士デュパンに相談することを思いついた。かの人物は政治に関心が薄いので、適当と思われたからだ。フォブール・サン=ジェルマンの古びた屋敷で、終日窓を閉ざして暮らすデュパンを訪ねたシャルルは事件の経緯を説明した。対してデュパンはかつて解決した”盗まれた手紙”事件を引き合いに、ヴァランス個人の故殺であることを隠蔽するため、あえて軍隊とデモ隊が一触即発でにらみ合うタイミングで発砲した可能性を指摘した。死体の山で死体を隠そうとしたのではないかと。その日からシャルルはデュパンによる調査に従うのだが、禍々しい連続殺人事件の渦に呑まれる。

主な登場人物

  • シャルル・B=デュファイス 貧しい無名の詩人
  • クールベ シャルルの友人、画家
  • トゥーバン シャルルの友人
  • シャンフルーリ シャルルの友人、劇作家
  • オーギュスト・デュパン 隠棲生活を送る勲爵士(シュヴァリエ)  
  • サツマ デュパンの日本人召使い
  • エミール・ド・ジラルダン "プレス"を発行する新聞社社主
  • デルフィーヌ・ド・ジラルダン エミールの妻、詩人
  • ジェスティーヌ・ド・モンテルラン デルフィーヌの友人、子爵夫人
  • クリスティーヌ ジェスティーヌの小間使い
  • ヴィクトール クリステーヌの兄、中央協和協会メンバー
  • ブリジット・ベルトラン 養護施設の元経営者
  • ヴィドック 元犯罪者のパリ警視庁老刑事
  • ヴァランス "プレス"紙記者 
  • ド・モルニー伯爵 ルイ・ナポレオン(ナポレオン三世)の異父弟

書籍出版歴

  • 1996年10月 講談社 四六上製本

関連項目

模倣作品

  • 1961年公開の石井輝男脚本監督の映画『黒線地帯』は銀座が舞台で、殺人容疑のかかった若い男と銀座を根城にする若い女スリが協力して容疑を晴らすというストーリー。時間経過を表すため、度々銀座和光の時計塔が映されている。