衛星航法補強システム

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衛星航法補強システム(えいせいこうほうほきょうシステム 英語:Satellite-based augmentation systems, SBAS)は、既存の衛星測位システム(GNSS)に対し、静止衛星の補正信号を追加することにより、その精度や信頼性を向上させることを目的としたシステム。略称はエスバス航空機で利用される電波航法の精度向上を目的に導入され、それまで利用された地上の送信アンテナから補正信号を中波帯で送信する広域ディファレンシャルGPS英語版WADGPS)や、ディファレンシャルGPSDGPS)と同義とされる[1]。測位衛星(単体測位)での誤差は、DGPSの運用を開始した1997年当時で100メートル程度あり、DGPSを利用することで1メートル程度にまで補正することが可能となった[2]。その後、測位衛星自体の精度が10メートル程度にまで向上したことにより、船舶で使用されるナビゲーションにおける国際海事機関(IMO)の性能要求基準を満たしているとして[2]、日本国内に29基あったDGPSは2019年に運用を終了した[3][4]

日本では国土交通省運輸多目的衛星である「MTSAT」から配信が行われていたが、2020年4月から準天頂衛星システムである「みちびき」を利用した補正情報の送信に切り替り[5]、SBASを利用した測位誤差は1メートル程度である[2]

各国のSBAS

 
各国で運用されるSBASのサービスエリアを示した図
北米
欧州
アジア
オセアニア

GBAS

地上型衛星航法補強システム(Ground-Based Augmentation System, GBAS)は、ディファレンシャルGPS(DGPS)データを利用し、計器着陸装置(ILS)が設置されていない空港に侵入する航空機に対し、補正された正確な位置情報の提供を行い誘導するシステムとなる[11]

脚注

  1. ^ Kee, C., Parkinson, B. W., and Axelrad, P. (1991), "Wide area differential GPS"[リンク切れ], Journal of the Institute of Navigation, 38, 2 (Summer 1991).
  2. ^ a b c ディファレンシャルGPSの廃止について” (PDF). 海上保安庁 (2017年6月30日). 2022年8月18日閲覧。
  3. ^ ディファレンシャルGPS”. 海上保安庁. 2022年8月18日閲覧。
  4. ^ 海上保安庁、ディファレンシャルGPSの運用を終了”. 内閣府. 2022年8月18日閲覧。
  5. ^ SBAS配信サービス”. 内閣府. 2022年8月18日閲覧。
  6. ^ “GAGAN System Certified for RNP0.1 Operations” (Press release) (英語). インド宇宙研究機関. 3 January 2014. 2014年1月3日時点のオリジナルよりアーカイブ.
  7. ^ Radhakrishnan, S. Anil (2014年1月11日). “GAGAN system ready for operations” (英語). The Hindu. http://www.thehindu.com/news/national/kerala/gagan-system-ready-for-operations/article5565700.ece 
  8. ^ Advances in BeiDou Navigation Satellite System (BDS) and satellite navigation augmentation technologies” (英語) (2020年3月16日). 2022年8月18日閲覧。
  9. ^ 準天頂衛星を利用したSBAS整備” (PDF). 国土交通省航空局. 2022年8月18日閲覧。
  10. ^ Trial of accurate positioning” (英語). Geoscience Australia (2019年10月5日). 2020年4月25日閲覧。
  11. ^ GBASの概要” (PDF). 総務省. 2022年8月18日閲覧。

関連項目

外部リンク