Cygwin

WindowsマシンのUnixサブシステム

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Cygwin(シグウィン)は、Windowsオペレーティングシステム上にUNIXライクな環境を提供する互換レイヤーで、フリーソフトウェアである。WindowsでUNIXのソフトウェア資産を活かすことが可能となる。

Cygwin
Logo of Cygwin
Windows XP上でのCygwin
作者 シグナスソリューションズ
開発元 シグナスソリューションズレッドハットなど
初版 1995年 (30年前) (1995)
最新版
3.4.2-1 / 2022年12月11日 (2年前) (2022-12-11)
リポジトリ ウィキデータを編集
プログラミング
言語
C/C++
対応OS Windows
種別 互換レイヤー
ライセンス GNU GPL v3
公式サイト www.cygwin.com
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ゲストOSが不要でハードウェア仮想化も行わないため煩雑な作業も無く軽量に動作する[注釈 1]X Window Systemにも対応しGUIアプリも動作する。

特徴

CygwinはUNIX OS自体を動かすのではなく、Windows環境をUNIX風に表現し直すソフトと言える。Cygwinはアプリケーションが実行するシステムコールの読み替えだけを行い、WindowsカーネルのAPIを利用する。VMwareVirtualBoxのような仮想マシンではなく互換レイヤーである。

ゲストOSは不要でCPUメモリ周辺機器などのハードウェア仮想化を行わない。このため設定は簡単であり、インストールファイルやメモリ消費量も軽量である。但し、入出力が遅いという欠点があり大量のデータを扱う用途には向かない。補助的にUNIXツールを使う場合には有用である。

パッケージ管理

CygwinのインストーラーGUIベース)はパッケージ管理システムとしても利用でき、1万以上の豊富なオープンソースソフトウェアが利用可能である。Cygwinインストール後にもこれを利用してソフトウェア構成変更、インストールアンインストール・アップデートできる。CUIでもパッケージ管理が行えるように、apt-cygというコマンドも用意されている。

ランタイムライブラリ

CygwinはUNIXカーネルそのものを利用するのでは無く、API変換を行ってWindowsカーネルを利用する。

ランタイムライブラリ「Cygwin1.dll」がAPI変換の中核を成している。これはPOSIXシステムコールと同等の機能を提供し、それぞれのプログラムはこれを動的にリンクすることでUNIX上とほぼ同じ動作がWindows上で可能になる。Cygwin用ではないUNIX用プログラムのソースコードも、大幅な変更無しにWindows用に再コンパイルすることが可能となる。

また、Windowsファイルシステムもそのまま扱うことができるため、Windowsで作成したデータとCygwinで作成したデータを混ぜて処理することが出来る。単にUNIXのアプリを実行するだけに留まらず、Windowsアプリとのコラボレーションも期待できる。

その他

Unix System V由来のIPCを利用するアプリケーションのために、サービス(NTサービス)を提供している。Cygwinに付属しているPostgreSQLは、このサービスが提供する共有バッファセマフォを利用して動作する。PostgreSQL自身は、バージョン8.0以降でCygwin依存から脱却し、全面的にWin32ネイティブにソースの書き換えが行われている。

XサーバとしてCygwin/Xが提供されている。

マイクロソフトはWindows Server 2012よりUNIXベースアプリケーション用サブシステムを非推奨とし、代替手段の一つとしてCygwinのPOSIXエミュレーションモードを紹介している[1]

脚注

注釈

  1. ^ 仮想マシンを使わない分、環境全体としてはCPUもメモリもストレージも大きく消費せず軽量になるが、DLLでシステムコールの変換を行っているためか、入出力の速度に問題があるとの指摘もある。

関連項目

外部リンク