小川さゆり
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小川 さゆり（おがわ さゆり[1]、仮名）は、日本の宗教2世。世界平和統一家庭連合（旧統一教会、当時名称は世界基督教統一神霊協会）を信仰する家庭に生まれ、教会のいう「祝福2世」「神の子」として育てられた[2]。
おがわ さゆり 小川 さゆり | |
|---|---|
| 国籍 |
 日本 |
| 活動期間 | 2022年7月 - |
| 著名な実績 | 旧統一教会の元信者として宗教2世問題を発信 |
2022年に発生した安倍晋三銃撃事件をきっかけとして、旧統一教会の問題が明るみになって以降、教会による被害や宗教虐待を告発・批判する活動を行っている[2]。
来歴
生誕と幼少期
6人兄弟の長女として生まれる。両親は統一教会の敬虔な信者であり、合同結婚式で結婚した経緯を持っている。母親は、専業主婦であるが、布教や選挙の活動のために家を空けることが多く、父親は教会の地区責任者という家庭であった。テレビや漫画といった娯楽は悪とされ禁止、礼拝や祈祷会には強制的に参加させられ、肩を脱臼することや気絶することもあった。それでも両親は信仰を強要し続けた[3]。また、教会への献金で家計は苦しく[4]、学校ではいじめを受けていた[3]。
性被害と「精神修行」、自殺願望
高校生になると、旧統一教会への信仰にのめり込むようになる。教会に行くことで気分が紛れることもあったという。そして高校3年生の時、教会の教義についてスピーチする大会で全国2位になった。そのような中で参加した宿泊研修で、班長の男性から、周囲の目が届かない個室に連れていかれ肩を抱かれて写真を撮られるといったセクハラを受けた。研修が終わっても「返信しないと天国で合えないよ」などとメールが送られてき、小川はショックを受けた。両親に相談すると、小川に悪霊がついているからこうなったと言われ、韓国での「精神修行」に参加させられた。40日間の「除霊」で精神的に不安定になり、遺書を記すに至った[4]。
家出と結婚・出産
母親は、小川の貯金やアルバイト代を無断で使うようになり、小川はさらに苦しめられた。このとき19歳だった。役所や警察を訪ね、この被害を相談したが、「家族間のこと、宗教のことだからと取り合ってもらえな」かったという。自室に引きこもるようになるが、20歳の時、家出をした[3]。同時に教会を脱会した[5][6]。家族とは距離を置けるようになったものの、過呼吸などの症状が続いた[3]。家出後の苦しみを2022年11月のインタビューで以下のように述べている[4]。
教会を本当にうらみまくったけど、でも自分が生まれたのって教会があるからで、文鮮明がマッチングしたから、自分の命があって、それもアイデンティティが崩壊しそうになる、自分の存在意義が分からなくなって…すごく死にたくなっていました。（教会がなかったら）生まれてないんで、まだ信仰2世のほうがよかったなって、両親が産みたいと思って産んでくれて、途中から入信してってほうがまだよかったなって。私もう信者増やすために生まれてきただけなので
その後、現在のパートナーと出会い結婚[3]。2022年4月に長男を出産した[7]。
2022年からの顔出しでの活動
2022年7月、安倍晋三銃撃事件が発生すると、旧統一教会による政治への浸透工作や高額献金の実態が報じられるようになった。同月、『JNN』が宗教2世問題に関する特集のためにSNSを通じて、小川に取材を申し込んだ[2]。「小川さゆり」との仮名はその際に名乗ったものである[2]。10月7日には、日本外国特派員協会で教会を批判する会見を行った[8]。その際、教会側は両親の署名付きの、会見の中止を求めるファックスを送付し、その中には小川が精神疾患を抱えており、その証言は虚偽の可能性があると記されていた[8]。小川は会見中にこのファックスを確認し、「どちらが悪なのか、これを見てくださっている多くの方は分かってくださると信じています」と述べた[9]。後日、教会はこのファックスについて「これ以上公の場に出ることで、本人の症状が悪化することを心配した『親心』からです」と説明している[8]。
2022年12月9日、国会で行われた参院消費者問題特別委員会に参考人として出席し、教会の被害と救済の必要性を訴えた[6]。翌10日、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」いわゆる「旧統一教会被害者救済法」が可決・成立。被害の救済と防止を訴えていた小川は、「大きな一歩」とした上で「議論も続けてほしい」と述べ、現状では不十分との見方を示した[10]。
脚注
- ^ “【元統一教会二世】 小川さゆり 『自己紹介』 ー日本にも反セクト法をー”. YouTube. 2023年1月8日閲覧。
- ^ a b c d “そして彼女は「小川さゆり」となった 顔を隠さず被害訴える旧統一教会・元2世信者 初取材から救済法成立までの133日【記者コラム】”. TBS NEWS DIG. pp. 1–3 (2022年12月11日). 2022年12月17日閲覧。
- ^ a b c d e 「旧統一教会など宗教2世は訴える “宗教虐待”を知ってほしい」『日本放送協会』2022年10月26日。2022年12月15日閲覧。
- ^ a b c “「祝福２世」が語る壮絶な過去 「恋愛は殺人以上の罪」なのに教団関係者からセクハラ 合同結婚式で結ばれた夫婦から生まれた自分自身への問い 旧統一教会元信者・小川さゆりさんインタビュー”. 報道RUNNER. 8カンテレ (2022年11月23日). 2022年12月15日閲覧。
- ^ “鈴木エイト氏×元2世信者・小川さゆりさん対談「旧統一教会の解散がゴールではない」”. NEWSポストセブン. 小学館 (2022年10月31日). 2022年12月16日閲覧。
- ^ a b 「「被害拡大の張本人が動かず、声あげた」 小川さゆりさん、陳述全文」『朝日新聞デジタル』2022年12月9日。2022年12月16日閲覧。
- ^ “旧統一教会元2世信者・小川さゆりさん、鈴木エイト氏に明かした「会見での涙の真相」”. NEWSポストセブン. 小学館 (2022年10月31日). 2022年12月16日閲覧。
- ^ a b c 「会見中止要求「親心から」 旧統一教会が声明」『日本経済新聞』（共同）2022年10月15日。オリジナルの2022年12月16日時点におけるアーカイブ。2022年12月16日閲覧。
- ^ 「旧統一教会、元信者の記者会見中止を要求 予定通り実施」『日本経済新聞』（共同）2022年10月7日。2022年12月16日閲覧。
- ^ 「旧統一教会 被害者救済法成立「宗教2世」ら被害訴える人たちは」『日本放送協会』2022年12月10日。2022年12月16日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 小川さゆり(仮)統一教会元二世 (@mpjgmmd) - X
- 小川さゆり 元統一教会二世 - YouTubeチャンネル
- 統一教会元2世信者小川さゆりさんへ文鮮明教祖の隠し子と初期幹部の2世から激励メッセージ届く - やや日刊カルト新聞