TDK MA
この記事には独自研究が含まれているおそれがあります。 |
MA(エムエー、メタルアロイ、Metal Alloy)は、かつてTDK(1983年〈昭和58年〉2月28日以前は東京電気化学工業名義)が1979年(昭和54年)3月から2001年(平成13年)12月まで製造・出荷していたメタルポジション(IEC TYPE IV)用コンパクトカセットテープの商品名。

(画像は1980年7月以降に出荷された後期ロットの製品)
本項では便宜上、下記の派生製品・後継製品についても記述する。
- MA-R
- MA-X
- MA-XG
- MA-XG Fermo
- MA-EX
概要・製品
MA
1979年9月発売。TDKの標準クラスのメタルテープとして発売。磁性体には後述するMA-R同様、当社が開発したメタルパウダー「ファイナビンクス」(FINAVINX)が採用されている。度重なる改良を経て、1985年(昭和60年)8月に後述するMA-Xと入れ替わる形で一旦製造・出荷終了となるが、1988年(昭和63年)2月に改良を伴う形で再度製造・出荷を開始。その後、1990年(平成2年)3月の改良以降より50分用以下の製品に採用されていたラージハブが製造コストの合理化を理由に廃止された。1998年(平成10年)9月、後述するMA-EXと入れ替わる形で製造・出荷終了。
MA-R → MA-XG
1979年3月、上記のMAに先行する形で発売。カセットハーフが透明樹脂とアルミダイキャストを用いた3ピース構造を用いたRSメカニズム[1]を採用した重厚感のあるカセット。こちらも46分テープのみラージハブが採用されている。そのため、標準価格も1,750円(1979年3月当時)とかなり高価である。発売当初は46分用と60分用の製品のみの発売だったが1980年(昭和55年)3月には90分用の製品が追加されたのに伴い標準価格を改定、同年7月には一部仕様変更に伴い、カセットハーフ上面にメタルポジション対応のオートテープセレクター用の検出孔が付くようになった。その後、1981年9月の一部改良を経て、1985年(昭和60年)10月の全面改良に伴い、商品名をMA-XGに改称し、1990年3月に後述するMA-XG Fermoと入れ替わる形で製造・出荷終了となった。
MA-X
1985年10月発売。発売当初はMAの後継として開発・発売されたが、1988年3月の改良時にMAが再登場後はMAとMA-XGの中間に位置する製品となった。しかし、商品性そのものが余りにも希薄だったため1990年(平成2年)3月に最後の改良を実質し、1992年(平成4年)3月を以て格下のMAに統合される形で製造・出荷終了となった。
MA-XG Fermo(フェルモ)
1990年3月発売。先述のMA-XGの後継かつ、最終形態となるシリーズ最上位の製品。従来品のMA-XG(←MA-R)と大きく異なり、MAシリーズ史上初にして唯一の二層塗り構造のファイナビンクス磁性体[2]が採用されているほか、業界初の5ピースの多重構造によるRS-Ⅲメカニズムを採用したカセットハーフが用いられ、材質にはセラミックのほか、ガラス繊維強化黒色樹脂が採用された。この他の特徴として、テープパス周辺の重量を増加させたサウンドスタビライザーウエイトや高充填型ガイドブロックも採用された。また、50分テープ以下の短尺テープに採用されがちなラージハブは設計段階から採用されていない。標準価格も従来のMA-XGより更に高価であった[3]ほか、その直後のDATやMDなどの各種デジタルオーディオ系のハードウェア・記録メディアの台頭・普及・低価格化に太刀打ちできず、1996年(平成8年)2月に製造・出荷終了。なお、当製品のサブネームであるFermoの商標は日本市場限定であり、海外市場では2代目MA-XGとして発売された。
MA-EX(EXtended)
1998年(平成10年)9月発売。MA、およびCDing METAL、DJ METALをそれぞれ統合した製品で、事実上、TDK最後にして日本メーカー製最後のメタルテープである。先代のMAに対し、若干のコストダウンが図られたほか、一連のMAシリーズとしては唯一、製品の製造・出荷はタイで行われていた(いわゆる海外生産[4])。2001年12月までに製造・出荷終了を経て、2007年(平成19年)12月までに流通在庫が完売。これによりMAの商標は名実共にシリーズ通算28年の歴史に幕を下ろすこととなった。