宝塚市立宝塚自然の家
概要
かつては「宝塚市立少年自然の家」として、小・中学生の子ども達が転地学習や自然学校等、年中を通し大自然の中でキャンプができる人気施設であったが、施設の老朽化が進行したことと[1]、当時の宝塚市長・渡部完の意向により、2004年(平成16年)5月2日から宿泊施設から日帰り施設へと運営形態を変更し、2008年(平成20年)4月より現在の名称へ改称した。休館を挟んで2018年4月から日曜祝日に限り、一部を一般に開放されている。2022年4月1日からは指定管理者制度を導入し、再オープンした[2]。開所日は木曜・金曜・土曜・日曜・祝日と以前より増えた。
主な施設
- 自然観察コース
- 約14haの広大なフィールドと隣接する猪ノ倉谷、 まむし谷、尾の切谷などは生物多様性の高い森林や小川や草原に囲まれている[3]。そのため、昆虫観察、植物観察、野鳥観察をはじめとする自然観察には最適の場所となっている[3]。
- 天文台「ハレーロボ」
- 1985年に阪神間の他市に先駆けて青少年の天文学習のための天文台を設置し、直径43㎝の反射鏡を備えた天体望遠鏡がある[4]。愛称「ハレーロボ」は公募により選ばれた[4]。
- 野外炊事場(バーベキュー場)
- 燃料革命の時代以前に里山で燃料としての薪や柴を使っていた当時の生活の実体験をする場としての施設となっている[4]。
- 冒険の森 (フィールドアスレチック)
- 自然豊かな森林内に設置されているつり橋、丸太渡り、でこぼこタイヤ、 円盤つな渡りなどを通過しながら自然に親しみ、体力づくり、冒険心を培うなど個人にもグループにも合った楽しみ方ができるコースとなっている[4](現在は一部のみ使用可能とになっている[4])。
その他
- 事務所
- 味処ふれあい亭
- 体験学習室
- 歴史民俗資料館 - 古民家を移築したもの。宝塚市指定文化財。
- 屋内活動場
- 多目的広場
- アカシア広場
- ギフチョウゲージ
- 松尾湿原 - 宝塚市指定文化財。
- 炭焼き窯
- カブトムシ小屋
松尾湿原
同施設の開設された1970年頃は宝塚市北部の大原野一帯には大小の特色ある湿原が多数点在していた。その頃からマツ枯れ現象の蔓延と相まって里山が照葉樹林化し、圃場整備が進められ湿原は減少していった[5]。しかし、当湿原は宝塚市立野外活動施設の敷地内であったために消失を免れた[5]。
丸山湿原群と比べると小規模であるが、松尾湿原も同様に湧水湿原である[5]。宝塚市が用地買収をした1967年(昭和42年)当時はモウセンゴケが群生し、ハッチョウトンボが多数飛翔していた[5]。その後1978年に宝塚市は天然記念物に指定しているが、その頃にはハッチョウトンボ、カスミサンショウウオなどは確認されていない[5]。1998年、施設開設後30年の間に遷移が進み指定当時の特色が消失しつつある状況を理由に一時は天然記念物指定の解除も検討された[5]。しかし、専門研究者から指摘を受け、「解除はいつでもできることだ。学術的に価値の高い文化財としての復元を試みることが最優先されるべきだ。」という結論に至り、兵庫県立大学服部保教授(現・名誉教授)の指導助言を受けながら宝塚市自然保護協会らのボランティア団体によって保全活動が始まった[5]。
1998年頃から管理放棄が遷移の進行に関係していることが分かった[5]。2004年から宝塚エコネット(TEN)も加わり、現在では主役として活動し、湧水湿原保全の実践家集団に成長している[5]。このような生態系保全活動は一般市民の参加も呼びかけて行われ、松尾湿原ではハッチョウトンボのみならず絶滅が危惧されるサギソウ、カキラン、ムラサキミミカキグサ、カスミサンショ ウウオなど、貴重な湿原植物・動物の生育も確認されている[6]。この活動は多くの研究者、ボランティア団体、連携した地道な市民活動と宝塚市の支援による大きな成果だといえる[6]。
交通アクセス
脚注
- ^ 公式サイトQ&Aより
- ^ “宝塚自然の家 | 宝塚にしたに里山ラボ │ 里山西谷の魅力を つたえる・つなげる・ひろがる”. nishitanilabo.com (2022年3月4日). 2022年7月26日閲覧。
- ^ a b “西谷の里山‐北摂里山博物館”. p. 26. 2022年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e “西谷の里山‐北摂里山博物館”. p. 27. 2022年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “西谷の里山‐北摂里山博物館”. p. 24. 2022年10月1日閲覧。
- ^ a b “西谷の里山‐北摂里山博物館”. p. 25. 2022年10月1日閲覧。
外部リンク
- 宝塚市立 宝塚自然の家(archive版)