多死社会

「人口減少社会」とは異なります。

多死社会（たししゃかい）とは、進展した高齢化により死亡数が急増し、総人口が減少していくであろうという時期^[1]。平均寿命など死亡する可能性の高い年齢に達すると共に死亡者が急増するとされる。

2022年、推計より2年早く日本は多死社会に突入した^[2][3]。

概要

2038年から2042年頃が多死社会の中でも特に事態が著しい時期であると予想されており、この時期の年間死亡数は約168万人と推計されている^[4]。この頃には日本の人口減少は著しく、毎年の人口減少数は、国内の大都市の人口に相当する約90万人に達すると推計されている^[5][6]。

日本は諸外国に先駆けて、2018年に全都道府県が超高齢社会（65歳以上の人口が総人口の21％以上）に突入した^[7]。総務省統計局の人口推計によると、2011年を境に人口が急激に減少していることが確認出来る。また、年齢階級別においては、15歳未満の年少人口および生産年齢人口（15歳から64歳）は減少し、65歳以上人口は若干の増加傾向にある。

多死社会では火葬場の不足が懸念されており、人口の多い都市部、特に首都圏（東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県）では深刻な状況となることが予想されている^[8][9]。神奈川県横浜市では既に火葬の待ち日数が長期化し、2065年に市内の死亡者数が今より3割ほど増えると予想。現在、市内で5カ所目の公営斎場の建設を計画中だが、死亡者数に対応できるのは56年ごろまでだという^[10]。

統計

年	死亡数	死亡率	人口減少数
2022(令和4)	1,568,961	12.9	-798,214
2023(令和5)

地域別統計

^[11]

都道府県別死亡率ランキング（2022年）

都道府県	死亡率	死亡数	推計人口
秋田県	18.6	17,256	878,798
高知県	17.1	11,472	644,881
青森県	16.8	20,118	1,146,456
岩手県	16.5	19,342	1,127,993
山形県	16.3	16,883	995,490
島根県	16.1	8031	633,609
和歌山県	16.0	14,308	867,928
山口県	15.9	20,687	1,262,169
徳島県	15.7	10,968	676,246
鹿児島県	15.4	23,925	1,515,027
宮崎県	15.4	16,111	1,017,134
愛媛県	15.4	19,993	1,258,374
福島県	15.4	27,394	1,719,075
長崎県	15.2	19,309	1,234,910
富山県	15.1	15,052	986,790
新潟県	15.1	32,313	2,072,506
鳥取県	14.9	10,434	524,535
大分県	14.9	16,266	1,074,833
香川県	14.7	13,552	908,642
北海道	14.6	74,431	5,006,019
長野県	14.4	28,503	1,973,321
熊本県	14.4	24,427	1,683,810
福井県	14.3	10,519	732,280
山梨県	14.1	11,090	784,175
佐賀県	14.1	11,204	781,496
岐阜県	13.9	26,175	1,897,676
三重県	13.8	23,341	1,695,415
静岡県	13.6	47,334	3,491,925
岡山県	13.6	24,901	1,815,736
茨城県	13.5	37,256	2,791,231
栃木県	13.4	24,992	1,869,547
群馬県	13.4	26,589	1,877,341
奈良県	13.3	17,166	1,274,687
石川県	13.0	14,316	1,090,014
広島県	12.9	34,940	2,695,633
京都府	12.7	31,491	2,506,128
兵庫県	12.6	66,541	5,307,856
大阪府	12.5	106,277	8,776,230
宮城県	12.4	28,040	2,231,453
福岡県	12.2	61,302	5,088,814
千葉県	11.8	72,258	6,276,574
埼玉県	11.5	82,221	7,323,374
愛知県	11.2	81,183	7,453,119
神奈川	11.0	98,829	9,217,647
滋賀県	11.0	15,043	1,396,546
東京	10.4	139,264	14,263,372
沖縄県	10.4	15,054	1,466,225

政令指定都市別死亡率ランキング（2022年）

市	死亡率	死亡数	推計人口
北九州市	13.9	12,865	900,494
静岡市	13.6	9276	666,764
新潟市	12.9	10,071	760,411
堺市	12.5	10,234	803,606
大阪市	12.4	34,239	2,815,302
浜松市	12.0	9386	769,411
神戸市	11.9	17,978	1,486,225
札幌市	11.9	23,562	1,955,605
京都市	11.8	17,137	1,431,944
名古屋市	11.2	26,121	2,337,864
岡山市	11.2	8047	709,681
熊本市	11.2	8238	735,574
千葉市	11.1	10,818	987,234
相模原市	11.0	8008	721,770
横浜市	10.4	39,388	3,772,320
広島市	10.2	12,158	1,174,626
仙台市	9.9	10,830	1,094,690
さいたま市	9.9	13,235	1,355,563
福岡市	8.9	14,469	1,669,707
川崎市	8.8	13,586	1,558,411
政令指定都市	11.3	309,646	27,702,880

将来推計

2010年に約120万人であった年間死亡数は、2025年まで着実に増加を続け、団塊世代が80歳代後半となる2030年代には160万人を超える見通しだ。これ以降も年間150万人以上と高止まりする^[12]。これは太平洋戦争期間中の年間平均死亡者数に匹敵する^[13]。

脚注

1. ^ 死をめぐる我が国の現状
2. ^ “｢1人生まれても2人が死ぬ｣が50年続く…ついに始まった｢日本人の大量死｣の行き着く先とは すでに単身世帯の3割以上が｢高齢1人暮らし｣”. PRESIDENT Online（プレジデントオンライン）. 2024年1月17日閲覧。
3. ^ “2022年多死社会の到来「年間150万人以上が死ぬ時代が今後50年続く」｜荒川和久／独身研究家・コラムニスト”. 日経COMEMO (2023年6月27日). 2024年1月17日閲覧。
4. ^ “表３－２ 将来の出生，死亡および自然増加数ならびに率：2016～65年 －人口統計資料集(2022)－”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
5. ^ 少子社会から多死社会へ
6. ^ “表１－５ 総人口，人口増加，性比および人口密度の将来推計：2015～65年 －人口統計資料集(2022)－”. 国立社会保障・人口問題研究所. 2022年6月14日閲覧。
7. ^ “間もなくやってくる「多死社会」を前に、日本がスイスから学ぶべきこと”. ダイヤモンド・オンライン (2022年1月13日). 2024年1月17日閲覧。
8. ^ ““多死社会” 年間死亡者 過去最多の156万人 火葬待ち12日間も | NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年1月17日閲覧。
9. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2016年4月17日). “【日曜講座 少子高齢時代】「多死社会」を乗り越える 故郷葬で火葬場不足を解消 論説委員・河合雅司”. 産経ニュース. 2022年6月14日閲覧。
10. ^ “人口激減、今後20年が「一番きつい」 近未来に起きる「介護難民」「多死社会」：東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2024年1月17日閲覧。
11. ^ “令和４年（2022）人口動態統計（確定数）の概況｜厚生労働省”. www.mhlw.go.jp. 2024年1月18日閲覧。
12. ^ “多死社会｜日本総研”. 日本総研. 2024年1月17日閲覧。
13. ^ “｢戦争中と同じ人数が毎年死んでいく｣これからの日本を襲う"少産多死社会"の現実 子どもが死なない社会のはずなのに”. PRESIDENT Online（プレジデントオンライン）. 2024年1月17日閲覧。

関連項目

• 人口減少社会
• 死亡率
• 高齢化
• 日本の高齢化
• 少子化
• 日本の少子化
• 少子高齢化
• 日本の人口統計

外部リンク

• - 総務省統計局　人口推計の結果の概要