アサギリソウ(朝霧草、学名:Artemisia schmidtiana)はキク科ヨモギ属多年草である。北海道、東北、北陸[1]樺太南千島の高山や海岸の岩場[2]に分布する。和名は、表面の白色の毛を通して薄く緑の見える様子を朝霧に例える[2]。仲秋(白露より寒露前まで)の季語[3]

アサギリソウ
Artemisia schmidtiana
分類
: 植物界 Plantae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: ヨモギ属 Artemisia
: アサギリソウ A. schmidtiana
学名
Artemisia schmidtiana
和名
アサギリソウ
英名
Silvermound

特徴

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高さ15~60cm、茎の先で多数に分枝する[2]。葉は互生[4]、幅約1mmに2回羽状に裂け、両面に白色の毛を持つ[5]。8~10月に長めの枝を出し幅約5mmの頭花を下向きにつける[4]頭花は黄白色、花床には毛が生える。花の重みで枝は下方にたわみがちである[2]。開花した茎は成長を止め、株元に次年の芽を形成する。地下茎は横に這う[4][6]

増やす場合、植え替えの際に株分けをするほか、さし芽も可能。さし芽は、晩春に伸びた茎を切ってさす。ただし、少しでも乾燥するとほとんど発根しない。

利用

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古代から、薬効があるとされ、強い香り持つ。世界で最も強い酒といわれる「アブサン」は、この枝葉をアルコールで加工して作られている。ヨーロッパでは、香辛料としても利用されている[7]

関連項目

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脚注

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  1. ^ 福岡誠行「日本海要素の分布様式について」『北陸の植物』第15巻第1-3号、金沢植物同好会、1966年、63-80頁。 
  2. ^ a b c d 牧野富太郎『新分類 牧野日本植物図鑑』北隆館、2017年、1193頁。ISBN 978-4-8326-1051-4 
  3. ^ 鍵和田秞子編『花の歳時記-秋』講談社、2004年、133頁。
  4. ^ a b c 奥田重俊『日本野生植物館』小学館、1997年、508頁。ISBN 4-09-526072-6 
  5. ^ 北村四郎、村田源、堀勝『原色日本植物図鑑・草木編I』保育社、1957年、55頁。ISBN 4-586-30015-9 
  6. ^ 大井次三郎『改訂新版 日本植物誌 顕花編』至文堂、1965年、1361頁。 
  7. ^ 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、162頁。 

外部リンク

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